政治意識・世論・マスメディア ── 問題
基礎
- マスメディアの効果に関する研究について、ガーブナーの培養理論の説明として妥当なものはどれですか。 (ア メディアが取り上げた争点が、政治家を評価するときの基準として使われやすくなるとする イ テレビを長時間見る人ほど、暴力や危険が多いというテレビが描く世界を現実だと考えるようになるとする ウ 同じ出来事でも、メディアがどの枠組みで報じるかによって受け手の理解や判断が変わるとする エ テレビを長時間見る人ほど、多様な情報に触れて現実を正確に認識できるようになるため、テレビは政治的な知識の差を縮めるとする undefined メディアが大きく報じた争点を有権者も国政の重要な課題だと考えるようになるなど、メディアは意見の内容ではなく「何を考えるか」に強い影響を与えるとする)
- 「沈黙の螺旋」を唱えた研究者は誰ですか。 (ア ガーブナー イ クラッパー ウ ノエル=ノイマン エ リップマン undefined イングルハート)
- アーモンドとヴァーバの政治文化の類型に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア アーモンドとヴァーバは日本を含む 5 か国を調査し、日本の政治文化を臣民型の典型だとした イ 臣民型は政府の決定や政策という出力は意識するが、自分が政治に働きかけるという入力の意識がない型で、参加型は入力と出力の両方を意識し、自分を政治に参加する主体だと考える型である ウ 臣民型は入力と出力の両方を意識して自分を政治の主体だと考える型で、参加型は政府の決定は意識するが自分が働きかけるという意識がない型である エ アーモンドとヴァーバは、参加型が純粋な形で支配する政治文化こそが最も安定した民主主義を生むとし、臣民型の要素は民主主義に有害だとした undefined 未分化型は政治システムを意識しているが参加を拒む型で、現代の民主主義国の無党派層に典型的に見られる)
- マスメディアの効果研究の流れに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 新しい強力効果論は、メディアが受け手の意見を直接変える力をもつという弾丸効果論の主張をそのまま復活させたものである イ 弾丸効果論はラザースフェルドのエリー調査によって実証され、メディアの強い影響力が確認されたことで、その後の研究の前提となった ウ 1920〜30 年代の弾丸効果論はメディアのメッセージが受け手の態度を直接変えると考え、1940 年代以降の限定効果論はメディアの効果が対人関係や先有傾向に媒介されて補強にとどまると考え、1970 年代以降の新しい強力効果論は何を考えるかの枠組みへの影響を重視した エ 1920〜30 年代の限定効果論はメディアの効果が補強にとどまると考え、1940 年代以降の弾丸効果論はメディアのメッセージが受け手の態度を直接変えると考え、1970 年代以降は再び限定効果論に戻った undefined 限定効果論はメディアが「何を考えるか」に強い影響を与えることを示した議題設定機能の研究によって確立された)
標準
- 政治意識・世論の研究について、リースマンの学説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 『孤独な群衆』で社会的性格が他人指向型・内部指向型・伝統指向型の順に変わってきたとし、現代の大衆社会では自分の内なる規範に従う内部指向型が支配的になるとした イ 政治的無関心を、政治以外に関心が向く無政治的態度、失望して離れた脱政治的態度、政治を否定する反政治的態度の 3 つに分けた ウ 人は世界を直接見ることができず、擬似環境にステレオタイプを通して反応しているため、世論は合理的な判断とはいえないとした エ 『孤独な群衆』で社会的性格が伝統指向型・内部指向型・他人指向型と変わってきたとし、政治的無関心についても前近代の伝統型無関心と、知識や機会がありながら関心をもたない現代型無関心を区別した undefined 人々の間の信頼・互酬性の規範・ネットワークである社会関係資本が豊かな地域ほど民主主義がうまく機能するとした)
- 次の事例は、政治意識やメディアの効果に関するどの概念に当てはまりますか。選挙の終盤に「B 候補が劣勢」と報じられたところ、B 候補に同情した有権者の票が集まり、予想より接戦になった。 (ア バンドワゴン効果 イ フレーミング効果 ウ 第三者効果 エ アンダードッグ効果 undefined 議題設定機能)
- 限定効果論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア クラッパーは、メディアの効果は受け手の先有傾向とは無関係に直接働くため、メディアは態度変容の十分条件になるとした イ ラザースフェルドらのエリー調査は、選挙キャンペーン中のラジオ放送によって大半の有権者が支持政党を変えたことを示し、メディアの強力な効果を実証した ウ 限定効果論の代表的な研究には、マコームズとショーのチャペルヒル研究とノエル=ノイマンの沈黙の螺旋が含まれる エ ラザースフェルドらのエリー調査は、選挙キャンペーンで意見を変える有権者は少なく、メディアの情報はオピニオン・リーダーを経由して広がることを示し、クラッパーはメディアの効果がもとの態度の補強を中心とすることをまとめた undefined 限定効果論では、人は自分の考えと異なる情報を積極的に求めるため、メディアの情報が態度を改変する力は大きいとされる)
- 政治的無関心に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ラズウェルのいう脱政治的態度は、アナーキストのように政治そのものを否定し、敵意をもつ態度である イ リースマンのいう伝統型無関心は、政治に関する知識や参加の機会をもちながら、幻滅からあえて関心をもたない態度で、現代の大衆社会に特有のものとされる ウ ラズウェルのいう無政治的態度は、かつて政治に参加したが期待が裏切られて政治から離れた態度である エ ラズウェルのいう反政治的態度は、芸術や仕事など政治以外のものに関心が向いていて政治に関心がない態度である undefined リースマンのいう現代型無関心は、政治に関する知識や参加の機会をもちながら、政治への幻滅や無力感からあえて関心をもたない態度で、大衆社会に特有のものとされる)
- 世論に関する学説の記述として妥当なものはどれですか。 (ア リップマンは、メディアが多様な情報を伝えることで人々のステレオタイプは解消されるため、世論は民主政治の最も合理的な基盤になるとした イ ノエル=ノイマンは、少数派だと感じた人ほど積極的に発言するため、メディアの報道は世論の形成にほとんど影響しないとした ウ ブライスは『世論』で擬似環境の概念を示し、アメリカの世論による統治を厳しく批判した エ 世論調査は質問の言い回しや選択肢の並べ方に影響されないため、調査結果はそのまま世論の正確な姿を示すとされる undefined リップマンは、人がメディアの伝える情報からできた擬似環境にステレオタイプを通して反応していることを指摘し、世論は合理的な判断とはいえないため専門家による情報の整理が必要だとした)
- 新しい強力効果論に含まれる概念に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 知識ギャップ仮説は、メディアからの情報が増えると社会経済的地位の高い層のほうが速く知識を吸収するため、階層間の知識の差はかえって広がるとする イ フレーミング効果は、メディアがどの枠組みで報じても事実が同じであれば受け手の判断は変わらないことをいう ウ 第三者効果は、人がメディアの影響を自分のほうが他人より強く受けていると考えがちであることをいう エ 培養理論は、テレビの視聴時間が長い人ほど現実を正確に認識し、テレビが描く世界と現実を区別できるようになるとする undefined 知識ギャップ仮説は、メディアからの情報が増えると社会経済的地位の低い層が知識を取り戻すため、階層間の知識の差は縮まるとする)
- 日本のマスメディアと政治に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア テレポリティクスとは、テレビ討論を通じて政策の内容が深く検討されるようになった現象で、政党支持の強い有権者への影響がとくに大きいとされる イ 記者クラブは法律に基づいて設置された行政機関であり、加盟する報道機関は公務員に準じた守秘義務を負う ウ インターネットを使った選挙運動は、候補者による情報発信の公平性を保てないという理由から、2026 年 9 月時点でも解禁されていない エ 放送法は新聞と放送の両方に政治的な公平を義務づけており、新聞社が特定の政党を支持する社説を掲げることは法律で禁止されている undefined 官庁や政党ごとに置かれた記者クラブは、取材の便宜がある一方で、発表に依存した横並びの報道になりやすく、加盟社以外を排除する閉鎖性があると批判されている)
発展
- 議題設定機能とプライミング効果の関係に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 議題設定機能はラザースフェルドのエリー調査で、プライミング効果はクラッパーの研究で示され、いずれも 1940 年代の概念である イ 議題設定機能とプライミング効果はいずれも限定効果論に属し、メディアの影響が対人関係を通じて補強にとどまることを示す概念である ウ 議題設定機能はメディアが強調した争点について有権者の意見の内容を直接変える効果であり、プライミング効果は有権者がどの争点を重要だと考えるかを変える効果である エ 議題設定機能はメディアが強調した争点を有権者が重要だと考えるようになる効果であり、プライミング効果はその強調された争点が政治家や政権を評価する際の基準として使われやすくなる効果で、議題設定の帰結として位置づけられる undefined プライミング効果は、有権者がメディアの報道に反発して報道と逆の基準で政治家を評価するようになる効果をいう)
- 選挙の情勢報道が投票行動に与える影響に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア バンドワゴン効果は、劣勢と報じられた候補者の支持者が投票をあきらめて棄権する現象をいう イ 優勢と報じられた候補者に票が集まるアンダードッグ効果と、劣勢と報じられた候補者に同情票が集まるバンドワゴン効果があり、常にバンドワゴン効果のほうが強く現れるとされる ウ 優勢と報じられた候補者に票が集まるバンドワゴン効果と、劣勢と報じられた候補者に同情票が集まるアンダードッグ効果があり、どちらが強く現れるかは状況によって異なるとされる エ アナウンスメント効果とは、候補者が街頭演説で政策を発表することによって有権者の支持が変わる効果をいう undefined 情勢報道は有権者の投票先に影響を与えないことが実証されているため、日本では選挙期間中の情勢報道が公職選挙法で全面的に禁止されている)
- インターネットと世論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア インターネットの普及によって選択的接触は消滅し、利用者はメディアの情報を偏りなく受け取るようになったとされる イ エコーチェンバーやフィルターバブルは、利用者が自分と異なる意見に強制的に接触させられることで意見が穏やかになる現象で、インターネットが世論の分極化を抑えることを示す ウ フィルターバブルとは、インターネット上の情報が国家の検閲によって制限され、利用者が政府に有利な情報だけを受け取る状態をいう エ エコーチェンバーはリップマンが 1920 年代に提唱した概念で、新聞の読者が同じ社説を繰り返し読むことで意見が固定される現象をいう undefined 利用者が自分と似た意見にばかり接して意見が強まるエコーチェンバーや、アルゴリズムが好みに合う情報だけを見せるフィルターバブルは、限定効果論でいう選択的接触が技術によって自動化された状態と説明される)
政治意識・世論・マスメディア ── 解答
基礎
- イ テレビを長時間見る人ほど、暴力や危険が多いというテレビが描く世界を現実だと考えるようになるとする テレビを長時間見る人ほど、暴力や危険が多いというテレビが描く世界を現実だと考えるようになるとする。限定効果論=二段階の流れ・補強効果。新しい強力効果論=議題設定(マコームズとショー)・沈黙の螺旋(ノエル=ノイマン)・培養(ガーブナー)・プライミングとフレーミング(アイエンガーら)。
- ウ ノエル=ノイマン 「沈黙の螺旋」を唱えた研究者は誰ですか。── ノエル=ノイマン。
- イ 臣民型は政府の決定や政策という出力は意識するが、自分が政治に働きかけるという入力の意識がない型で、参加型は入力と出力の両方を意識し、自分を政治に参加する主体だと考える型である 未分化型(システムを意識しない)・臣民型(出力だけ意識)・参加型(入力も意識)。最適は混合した市民文化。調査対象はアメリカ・イギリス・西ドイツ・イタリア・メキシコ。
- ウ 1920〜30 年代の弾丸効果論はメディアのメッセージが受け手の態度を直接変えると考え、1940 年代以降の限定効果論はメディアの効果が対人関係や先有傾向に媒介されて補強にとどまると考え、1970 年代以降の新しい強力効果論は何を考えるかの枠組みへの影響を重視した 弾丸(強力)→ 限定(エリー調査・クラッパー)→ 新しい強力(議題設定・沈黙の螺旋・培養)。新しい強力効果論は「態度を変える」のではなく「何を・どう考えるかの枠組み」への影響。
標準
- エ 『孤独な群衆』で社会的性格が伝統指向型・内部指向型・他人指向型と変わってきたとし、政治的無関心についても前近代の伝統型無関心と、知識や機会がありながら関心をもたない現代型無関心を区別した 『孤独な群衆』で社会的性格が伝統指向型・内部指向型・他人指向型と変わってきたとし、政治的無関心についても前近代の伝統型無関心と、知識や機会がありながら関心をもたない現代型無関心を区別した。アーモンドとヴァーバ=市民文化、リップマン=擬似環境・ステレオタイプ、イングルハート=脱物質主義、パットナム=社会関係資本、リースマン=伝統型/現代型無関心、ラズウェル=無政治的/脱政治的/反政治的。
- エ アンダードッグ効果 アンダードッグ効果。事例の「評価の基準」→ プライミング、「重要な課題だと考える」→ 議題設定、「少数派が黙る」→ 沈黙の螺旋、「優勢に集まる」→ バンドワゴン、「劣勢に同情」→ アンダードッグ、「似た意見ばかり」→ エコーチェンバー、「失望して離れる」→ 脱政治的。
- エ ラザースフェルドらのエリー調査は、選挙キャンペーンで意見を変える有権者は少なく、メディアの情報はオピニオン・リーダーを経由して広がることを示し、クラッパーはメディアの効果がもとの態度の補強を中心とすることをまとめた 限定効果論=エリー調査(二段階の流れ・オピニオン・リーダー)・選択的接触・クラッパーの補強効果。チャペルヒル研究・沈黙の螺旋は新しい強力効果論。
- undefined リースマンのいう現代型無関心は、政治に関する知識や参加の機会をもちながら、政治への幻滅や無力感からあえて関心をもたない態度で、大衆社会に特有のものとされる リースマン:伝統型(前近代・そもそも期待されない)/現代型(知識・機会があるのに関心をもたない)。ラズウェル:無政治的(別に関心)/脱政治的(失望)/反政治的(敵意)。
- undefined リップマンは、人がメディアの伝える情報からできた擬似環境にステレオタイプを通して反応していることを指摘し、世論は合理的な判断とはいえないため専門家による情報の整理が必要だとした リップマン『世論』(1922 年)=擬似環境・ステレオタイプ・世論への懐疑。ブライスは「世論による統治」と評価。ノエル=ノイマンは沈黙の螺旋(メディアが多数派を示すことで加速)。
- ア 知識ギャップ仮説は、メディアからの情報が増えると社会経済的地位の高い層のほうが速く知識を吸収するため、階層間の知識の差はかえって広がるとする 知識ギャップ仮説(ティチェナーら)=差は広がる。第三者効果=「他人のほうが影響される」と考える。フレーミング=枠組みで判断が変わる。培養理論=テレビの世界を現実と思う。
- undefined 官庁や政党ごとに置かれた記者クラブは、取材の便宜がある一方で、発表に依存した横並びの報道になりやすく、加盟社以外を排除する閉鎖性があると批判されている 記者クラブ=任意の記者組織(発表依存・閉鎖性の批判)。政治的公平は放送法(放送のみ)。テレポリティクス=映像・ワンフレーズの影響、無党派層に大きい。ネット選挙運動は 2013 年解禁。
発展
- エ 議題設定機能はメディアが強調した争点を有権者が重要だと考えるようになる効果であり、プライミング効果はその強調された争点が政治家や政権を評価する際の基準として使われやすくなる効果で、議題設定の帰結として位置づけられる 議題設定(何が重要か)→ プライミング(その争点で評価する)。ともに新しい強力効果論(マコームズとショー、アイエンガーとキンダー)。
- ウ 優勢と報じられた候補者に票が集まるバンドワゴン効果と、劣勢と報じられた候補者に同情票が集まるアンダードッグ効果があり、どちらが強く現れるかは状況によって異なるとされる アナウンスメント効果=情勢報道の影響。バンドワゴン(勝ち馬)とアンダードッグ(判官びいき)。日本で情勢報道自体は禁止されていない(人気投票の公表は禁止)。
- undefined 利用者が自分と似た意見にばかり接して意見が強まるエコーチェンバーや、アルゴリズムが好みに合う情報だけを見せるフィルターバブルは、限定効果論でいう選択的接触が技術によって自動化された状態と説明される エコーチェンバー(似た意見の反響)・フィルターバブル(パリサー・アルゴリズムによる選別)=選択的接触の自動化。世論の分極化を強めると懸念される。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zp-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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