国際政治の理論(リアリズム・リベラリズム) ── 問題
基礎
- 国際政治の理論について、E. H. カーの学説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 『パワーと相互依存』で、複合的相互依存のもとでは争点に上下の序列がなく、軍事力の役割が小さくなるとした イ 『危機の二十年』で、国際連盟に期待した戦間期の考え方をユートピアニズムと呼んで批判し、国際政治を動かすのは道義ではなく権力だとしつつ、権力だけの政治も長続きしないとした ウ 『国際社会論』で、アナーキーでも国家は共通のルールと制度を通じて国際社会を形づくっているとした エ 『国際政治の理論』で、アナーキーと能力の分布という国際システムの構造が国家の行動を決めるとした undefined 『危機の二十年』で、勢力均衡が第一次世界大戦を招いたと批判し、国際連盟による集団安全保障こそが平和を保つ唯一の道だとした)
- 『危機の二十年』で戦間期のユートピアニズムを批判した学者は誰ですか。 (ア ブル イ ウィルソン ウ モーゲンソー エ カー undefined ウォルツ)
- 国際政治におけるアナーキーとウェストファリア体制に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国際政治におけるアナーキーとは、主権国家の上に立つ世界政府が存在しない状態を指し、国際社会が無秩序だという意味ではなく、このもとで国家がどう行動するかをめぐって理論が分かれる イ 国際政治におけるアナーキーとは、国際社会が無秩序で戦争が絶えない状態を指し、国際連合の成立によってアナーキーは解消されたとされる ウ リアリズムはアナーキーのもとでも制度によって協調が可能だと考え、リベラリズムは自助しかないと考える エ ウェストファリア体制のもとでは、各国の主権は国際機構によって制限され、内政干渉が原則として認められる undefined ウェストファリア体制とは、第一次世界大戦後に国際連盟の設立によって成立した集団安全保障の体制を指す)
- リアリズムとリベラリズムの対比に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア リアリズムは民主主義の広がりが平和をもたらすと考えるのに対し、リベラリズムは民主主義と平和には関係がないと考える イ リアリズムの代表的な論者はコヘインとナイであり、リベラリズムの代表的な論者はモーゲンソーとウォルツである ウ リアリズムは国際機構や多国籍企業など多様な行為者を重視し、制度によって協調が可能だと考えるのに対し、リベラリズムは国家だけを主役とし、平和は勢力均衡によって保たれると考える エ リアリズムは統一された合理的な行為者としての国家を主役とし、安全保障と国力の追求を国家の目標とみて、平和は勢力均衡によって保たれると考えるのに対し、リベラリズムは国際機構や多国籍企業なども行為者に含め、制度や相互依存によって協調が可能だと考える undefined リアリズムもリベラリズムも、国家の利益やアナーキーの意味は国家間の相互作用の中で社会的に構成されると考える点で共通する)
標準
- 国際政治の概念について、新機能主義でいう「スピルオーバー」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア ある分野で統合が失敗すると関連分野の協力も崩れ、統合が次第に後退していく過程で、ハースがヨーロッパ統合の分析から示した イ ある国が軍備を増やすと他国も軍備を増やし、双方の安全がかえって下がる状況をいう ウ 覇権国の衰退が周辺の同盟国に波及し、国際秩序全体が不安定になる過程をいう エ ある分野の統合が関連分野の統合を促し、統合が次第に広がっていく過程で、ハースがヨーロッパ統合の分析から示した undefined 相手の変化がどれだけ速く自国に影響するかという相互依存の側面をいい、コヘインとナイが示した)
- 安全保障の仕組みについて、集団的自衛(同盟)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 対立する国も含めて 1 つの組織に入り、侵略が起きたら全加盟国で共同して制裁する仕組みで、敵を外に想定しない点で同盟と異なり、国際連盟や国際連合がその例である イ 特定の国々が外部からの攻撃に共同で対処すると約束する仕組みで、北大西洋条約機構や日米安全保障条約がその例である ウ 特定の国が突出しないように各国が同盟を組みかえて力をつり合わせる仕組みで、冷戦期の米ソ関係がその例である エ 各国が他国と条約を結ばず、自国の軍備だけで安全を確保する仕組みで、永世中立国がその例である undefined 特定の国々が外部からの攻撃に共同で対処すると約束する仕組みで、敵を想定しない点で集団安全保障と共通し、国際連盟がその例である)
- 古典的リアリズムとネオリアリズムの違いに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ネオリアリズムは、国家の指導者の性格や国内の政治体制が国家の対外行動を決めると考え、システムのレベルでの説明を否定した イ モーゲンソーの古典的リアリズムが国際システムの構造から国家の行動を説明したのに対し、ウォルツのネオリアリズムは権力政治の根拠を人間の本性に求めた ウ 古典的リアリズムは制度や相互依存によって国家間の協調が可能だと考え、ネオリアリズムはこれを否定して自助を強調した エ ネオリアリズムは、大国が多数存在する多極システムのほうが二極システムより安定すると論じ、冷戦の終結を歓迎した undefined モーゲンソーの古典的リアリズムが権力政治の根拠を人間の本性に求めたのに対し、ウォルツのネオリアリズムはアナーキーと能力の分布という国際システムの構造から国家の行動を説明し、国家の内部要因を問わない)
- ネオリベラル制度論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ネオリベラル制度論は、アナーキーという前提そのものを否定し、国際機構が世界政府として国家を強制できると考える立場である イ コヘインは『覇権後の国際政治経済学』で、覇権国が衰えてもいったんできた国際レジームが情報を提供し取引費用を下げ裏切りを見つけやすくすることで協調が続くとし、アナーキーの前提を受け入れたうえで協調の可能性を論じた ウ ネオリベラル制度論は、国家の利益やアイデンティティが国家間の相互作用の中で社会的に構成されると考える点で、コンストラクティヴィズムと同じ立場である エ コヘインは『覇権後の国際政治経済学』で、覇権国が衰えれば国際レジームも直ちに崩壊するため、協調を続けるには新たな覇権国の出現が不可欠だとした undefined 国際レジームとは常設の事務局をもつ国際機構のことであり、機構が存在しない分野には国際レジームは成立しないとされる)
- 相互依存論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 相互依存論は、相互依存が深まった国どうしでは利害の対立が生じないため、国際レジームによる調整は不要になるとした イ 複合的相互依存のもとでは、国家だけが唯一の行為者となり、多国籍企業や NGO の役割は消滅するとされる ウ 相互依存論はリアリズムの一種であり、相互依存を国力の一要素として勢力均衡に組み込むことを主張した エ コヘインとナイは、相互依存が深まると国家は他国への依存を減らすために軍事力を強化するため、軍事が常に最優先の争点になるとした undefined コヘインとナイは、相互依存を、相手の変化がどれだけ速く自国に影響するかという敏感性と、関係を断たれたときにどれだけ代替がきかないかという脆弱性の 2 つの側面から捉えた)
- 民主的平和論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 民主主義国はいかなる体制の国とも戦争をしないという経験的な傾向を説明する議論で、民主主義国が軍備を放棄していることが理由としてあげられる イ 民主主義国どうしは戦争をしないという経験的な傾向を説明する議論で、民主主義国が互いを正統と認めあうこと、開戦に議会や世論の同意が必要なこと、交渉による解決の規範を共有することなどが理由としてあげられる ウ 民主的平和論はモーゲンソーが唱えたもので、民主主義国どうしの平和は勢力均衡が働いた結果にすぎないとする エ 民主的平和論はホッブズの『リヴァイアサン』にさかのぼる議論で、強力な世界国家の樹立によってのみ平和が実現するとする undefined 民主主義国は非民主主義国より戦争を起こしやすいという経験的な傾向を説明する議論で、世論の熱狂が開戦を後押しすることが理由としてあげられる)
- 冷戦後の国際政治に関する議論の記述として妥当なものはどれですか。 (ア ウォーラーステインは、冷戦の終結によって中核・半周辺・周辺という世界システムの構造は解消されたと論じた イ ハンチントンは『文明の衝突』で、冷戦後の対立軸はイデオロギーではなく西欧・イスラム・中華などの文明の断層線に沿って生じると論じ、フクヤマは「歴史の終わり」で自由民主主義がイデオロギー上の最終的な勝利をおさめたと論じた ウ ナイは、軍事力や経済力によるソフト・パワーに対し、文化や価値観の魅力によるハード・パワーの重要性を説いた エ ローズクランスは『貿易国家の興隆』で、冷戦後は領土の拡張によって繁栄をめざす国家が主流になると論じた undefined フクヤマは『文明の衝突』で、冷戦後の対立軸は文明の断層線に沿って生じると論じ、ハンチントンは「歴史の終わり」で自由民主主義の勝利を論じた)
発展
- リアリズムの内部の立場の違いに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ミアシャイマーの攻撃的リアリズムは、国家は安全を確実にするためにできる限り力を大きくして覇権をめざすと考えるのに対し、ウォルツらの防御的リアリズムは、国家は生き残りに必要な程度の力を求めるにとどまり、力を増やしすぎると他国の対抗を招くと考える イ 安全保障のジレンマは、国家が互いの意図を完全に把握できる場合に生じる現象であり、アナーキーとは関係がないとされる ウ 攻撃的リアリズムと防御的リアリズムはいずれも、国家の利益が国家間の相互作用の中で社会的に構成されると考える点で一致する エ ミアシャイマーの攻撃的リアリズムは、国家は生き残りに必要な程度の力を求めるにとどまると考えるのに対し、ウォルツらの防御的リアリズムは、国家はできる限り力を大きくして覇権をめざすと考える undefined 覇権安定論は、覇権国の存在が国際秩序を不安定にするため、覇権国の出現を防ぐ勢力均衡が必要だと論じる立場である)
- 機能主義・新機能主義とヨーロッパ統合に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ミトラニーの機能主義は、安全保障や外交など政治性の高い分野から統合を始めなければ協力は広がらないとし、ハースの新機能主義はこれを否定して経済分野からの統合を主張した イ ハースの新機能主義は、ある分野の統合が失敗すると関連分野の協力も崩れるスピルオーバーによって、ヨーロッパ統合はいずれ後退すると予測した ウ ミトラニーの機能主義は、郵便や保健など政治性の低い分野で国際協力を積み重ねると協力が他の分野にも広がり平和につながるとし、ハースの新機能主義は、ある分野の統合が関連分野の統合を促すスピルオーバーによってヨーロッパ統合が進むとした エ 機能主義と新機能主義はいずれもリアリズムに属し、ヨーロッパ統合を大国の勢力均衡の結果として説明した undefined 新機能主義は、統合は各国政府の政治的な決断だけで進むとし、経済的な相互依存や利益集団の役割を否定した)
- コンストラクティヴィズムと英国学派に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア コンストラクティヴィズムと英国学派はいずれもマルクス主義の系譜に属し、世界を中核と周辺の分業体制として捉える イ ウェントのコンストラクティヴィズムは、アナーキーの意味は物質的な力の分布によって一義的に決まるとし、規範やアイデンティティが国家の行動に影響することを否定した ウ ウェントのコンストラクティヴィズムは、国家の利益やアナーキーの意味は国家間の相互作用の中で社会的に構成されるとして規範やアイデンティティを重視し、ブルの英国学派は、アナーキーでも国家は国際法や外交などの共通のルールと制度を通じて国際社会を形づくっているとした エ ブルの英国学派は、アナーキーのもとでは国家間に共通のルールは存在しえないため、国際社会という概念そのものを否定した undefined コンストラクティヴィズムは、国家間の協調は国際レジームによる取引費用の低減によってのみ可能だとする点で、ネオリベラル制度論と同じ立場である)
国際政治の理論(リアリズム・リベラリズム) ── 解答
基礎
- イ 『危機の二十年』で、国際連盟に期待した戦間期の考え方をユートピアニズムと呼んで批判し、国際政治を動かすのは道義ではなく権力だとしつつ、権力だけの政治も長続きしないとした 『危機の二十年』で、国際連盟に期待した戦間期の考え方をユートピアニズムと呼んで批判し、国際政治を動かすのは道義ではなく権力だとしつつ、権力だけの政治も長続きしないとした。カー(批判)→ モーゲンソー(人間の本性)→ ウォルツ(構造)がリアリズムの系譜。コヘインとナイ=相互依存、ウェント=コンストラクティヴィズム、ウォーラーステイン=世界システム論。
- エ カー 『危機の二十年』で戦間期のユートピアニズムを批判した学者は誰ですか。── カー。
- ア 国際政治におけるアナーキーとは、主権国家の上に立つ世界政府が存在しない状態を指し、国際社会が無秩序だという意味ではなく、このもとで国家がどう行動するかをめぐって理論が分かれる アナーキー=上位の権力がない(無秩序ではない)。ウェストファリア条約(1648 年)=主権国家体制の出発点(内政不干渉・主権平等)。自助はリアリズム、制度による協調はリベラリズム。
- エ リアリズムは統一された合理的な行為者としての国家を主役とし、安全保障と国力の追求を国家の目標とみて、平和は勢力均衡によって保たれると考えるのに対し、リベラリズムは国際機構や多国籍企業なども行為者に含め、制度や相互依存によって協調が可能だと考える リアリズム=国家・パワー・自助・勢力均衡(モーゲンソー・ウォルツ)。リベラリズム=多様な行為者・制度・相互依存・民主主義(コヘインとナイ・ドイル)。社会的構成はコンストラクティヴィズム。
標準
- エ ある分野の統合が関連分野の統合を促し、統合が次第に広がっていく過程で、ハースがヨーロッパ統合の分析から示した ある分野の統合が関連分野の統合を促し、統合が次第に広がっていく過程で、ハースがヨーロッパ統合の分析から示した。安全保障のジレンマ(ハーツ)、覇権安定論(キンドルバーガー・ギルピン)、国際レジーム(クラズナーの定義・コヘイン)、民主的平和論(ドイル・ラセット)、スピルオーバー(ハース)、ソフト・パワー(ナイ)。
- イ 特定の国々が外部からの攻撃に共同で対処すると約束する仕組みで、北大西洋条約機構や日米安全保障条約がその例である 特定の国々が外部からの攻撃に共同で対処すると約束する仕組みで、北大西洋条約機構や日米安全保障条約がその例である。勢力均衡(敵を想定・同盟の組みかえ)/集団安全保障(敵を想定しない・国連)/集団的自衛(敵を外に想定・NATO)。
- undefined モーゲンソーの古典的リアリズムが権力政治の根拠を人間の本性に求めたのに対し、ウォルツのネオリアリズムはアナーキーと能力の分布という国際システムの構造から国家の行動を説明し、国家の内部要因を問わない モーゲンソー=人間の本性。ウォルツ=構造(アナーキー・能力の分布)・国内要因を捨象・二極安定論。
- イ コヘインは『覇権後の国際政治経済学』で、覇権国が衰えてもいったんできた国際レジームが情報を提供し取引費用を下げ裏切りを見つけやすくすることで協調が続くとし、アナーキーの前提を受け入れたうえで協調の可能性を論じた コヘイン『覇権後』(1984 年)。国際レジーム(原則・規範・ルール・手続き)は覇権国なしでも協調を支える。アナーキーの前提は共有しつつ協調可能とする。
- undefined コヘインとナイは、相互依存を、相手の変化がどれだけ速く自国に影響するかという敏感性と、関係を断たれたときにどれだけ代替がきかないかという脆弱性の 2 つの側面から捉えた 『パワーと相互依存』(1977 年)。複合的相互依存=多様なチャンネル・争点の序列なし・軍事力の役割低下。敏感性と脆弱性。
- イ 民主主義国どうしは戦争をしないという経験的な傾向を説明する議論で、民主主義国が互いを正統と認めあうこと、開戦に議会や世論の同意が必要なこと、交渉による解決の規範を共有することなどが理由としてあげられる 民主的平和論(ドイル・ラセット)=民主主義国「どうし」は戦争をしない。源流はカント『永遠平和のために』。
- イ ハンチントンは『文明の衝突』で、冷戦後の対立軸はイデオロギーではなく西欧・イスラム・中華などの文明の断層線に沿って生じると論じ、フクヤマは「歴史の終わり」で自由民主主義がイデオロギー上の最終的な勝利をおさめたと論じた ハンチントン=文明の衝突、フクヤマ=歴史の終わり、ナイ=ソフト・パワー(文化・価値観の魅力)、ローズクランス=貿易国家(領土ではなく貿易)。
発展
- ア ミアシャイマーの攻撃的リアリズムは、国家は安全を確実にするためにできる限り力を大きくして覇権をめざすと考えるのに対し、ウォルツらの防御的リアリズムは、国家は生き残りに必要な程度の力を求めるにとどまり、力を増やしすぎると他国の対抗を招くと考える 攻撃的(ミアシャイマー・覇権をめざす)/防御的(ウォルツ・必要な程度)。覇権安定論は覇権国が秩序を支える。安全保障のジレンマは意図が確かめられないアナーキーで生じる。
- ウ ミトラニーの機能主義は、郵便や保健など政治性の低い分野で国際協力を積み重ねると協力が他の分野にも広がり平和につながるとし、ハースの新機能主義は、ある分野の統合が関連分野の統合を促すスピルオーバーによってヨーロッパ統合が進むとした ミトラニー=機能主義(政治性の低い分野から)。ハース=新機能主義(スピルオーバー)。いずれもリベラリズムの系譜。
- ウ ウェントのコンストラクティヴィズムは、国家の利益やアナーキーの意味は国家間の相互作用の中で社会的に構成されるとして規範やアイデンティティを重視し、ブルの英国学派は、アナーキーでも国家は国際法や外交などの共通のルールと制度を通じて国際社会を形づくっているとした ウェント=「アナーキーは国家がつくり出すもの」・規範とアイデンティティ。ブル『国際社会論』=アナーキーでも国際社会は存在。中核・周辺はウォーラーステイン。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zp-07/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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