行政学の理論(ウェーバー・ギューリック・サイモン・NPM) ── 問題
基礎
- 行政学の学説について、ウィルソンの「行政の研究」(1887 年)で示された主張として妥当なものはどれですか。 (ア 行政は政策形成そのものであり、政治過程の一部として理解されなければならない イ 行政の能率には市民の満足や職員の士気を含めた社会的能率という観点が必要である ウ 行政は民間企業の経営手法を取り入れ、成果と顧客満足で評価されるべきである エ 行政の原理は互いに矛盾する「ことわざ」にすぎず、意思決定の科学として組み立て直すべきである undefined 行政は政治の固有の領域の外にあり、ビジネスの分野として能率的に運営されるべきである)
- 行政学の成立に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア イギリスでサッチャー政権が民間の経営手法を行政に導入したことが出発点とされ、それ以前は行政学という学問は存在しなかった イ アメリカで資格任用制の弊害が問題となる中、グッドナウが猟官制の復活を主張したことが出発点とされる ウ アメリカで猟官制の弊害が問題となる中、ウィルソンが 1887 年の論文「行政の研究」で行政を政治から切り離して能率的に運営すべきだと主張したことが出発点とされる エ ドイツで官房学を体系化したシュタインが行政を政治と一体のものとしてとらえたことが出発点とされ、アメリカの行政学はそれを輸入したものである undefined アメリカでニューディール政策が実施される中、アップルビーが行政を政治から切り離すべきだと主張したことが出発点とされる)
- ギューリックの POSDCoRB に含まれる 7 つの職能の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 企画・実施・評価・改善・調整・報告・予算 イ 計画・組織・人事・指揮・調整・評価・監査 ウ 目的・過程・対象・地域・調整・報告・予算 エ 計画・組織・命令・調整・統制・報告・予算 undefined 計画・組織・人事・指揮・調整・報告・予算)
- ギューリックの部門編成の 4 原理にもとづき、「退役軍人を対象とする省」を設けるのはどの基準によるものですか。 (ア 階層 イ 過程 ウ 地域 エ 目的 undefined 対象(顧客))
標準
- 次の主張をした人物として妥当なものはどれですか。「行政の原理とされてきた命令一元化や統制範囲の原理は、互いに矛盾しどちらを適用すべきかを示せない「ことわざ」にすぎない」 (ア サイモン イ ワルドー ウ バーナード エ ギューリック undefined ウィルソン)
- 行政学の用語について、「統制範囲(スパン・オブ・コントロール)の原理」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 組織の部門は目的・過程・対象・地域のいずれかの基準で編成すべきだという原理 イ 組織の階層はできるだけ少なくし、命令が上から下まで速やかに伝わるようにすべきだという原理 ウ 部下は 1 人の上司からのみ命令を受けるべきであり、複数の上司からの命令が交錯して混乱を招いてはならないという原理 エ 1 人の上司が直接に監督できる部下の数には限りがあるため、それを超えない範囲で組織を編成すべきだという原理 undefined 命令系統にある部門と、それを助言・補佐する部門とを区別すべきだという原理)
- 日本における NPM(新公共管理)型の制度について、PFI の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公共施設の建設・維持管理・運営に民間の資金と経営能力を活用する仕組みで、契約により民間事業者が事業を担う イ 地方公共団体の公の施設の管理を、議会の議決を経て民間事業者や NPO に委ねる仕組み ウ 国の行政機関の内部部局を再編し、政策の企画部門と執行部門を同一の省内で分ける仕組み エ 省が中期目標を示して企画を担い、法人が実施を担って業績評価を受ける仕組みで、イギリスのエージェンシーがモデルとされる undefined 公共サービスの実施について官と民が競争入札で争い、よりすぐれた提案をした側が担当する仕組み)
- 正統派行政学(技術的行政学)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 政治・行政融合論を前提に、行政の政策形成機能や行政責任を研究した 1940 年代以降の行政学で、アップルビーが代表とされる イ 人間の限定された合理性を前提に、組織の意思決定過程を分析した行政学で、サイモンが代表とされる ウ 民間企業の経営手法を行政に導入し、成果と顧客満足で評価すべきだとする 1980 年代以降の行政学で、フッドが代表とされる エ 行政学は社会的公正などの価値に積極的に関与すべきだとする 1960 年代末の行政学で、ミノーブルック会議に集まった若手研究者が代表とされる undefined 政治・行政二分論を前提に、能率を最高の価値として組織や管理の原理を追求した 1920〜30 年代の行政学で、ギューリックやホワイトが代表とされる)
- サイモンの行政理論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 組織の意思決定はすべての選択肢を比較して期待効用を最大化する形で行われるとし、それを経営人モデルと呼んだ イ 組織の意思決定を価値前提と事実前提に分け、科学的な行政学が扱えるのは事実前提であるとした ウ 正統派の組織の原理を体系化し、命令一元化と統制範囲の原理を組み合わせれば最善の組織が設計できるとした エ 行政学は価値中立ではありえないとして、社会的公正への積極的な関与を行政学の課題とした undefined 組織の権威は上司の職務上の地位に由来し、部下の受容とは無関係に成立するとした)
- バーナードの組織論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 組織の成立には計画・組織・統制の 3 要素が必要であり、命令の権威は経済的誘因の提供によって成り立つとした イ 組織の成立には規則・階統制・文書主義の 3 要素が必要であり、命令の権威は法規にもとづく地位によって成り立つとした ウ 組織の成立には目的・過程・対象の 3 要素が必要であり、命令の権威は上司の専門知識によって成り立つとした エ 組織の成立には共通目的・協働意欲・コミュニケーションの 3 要素が必要であり、命令の権威は受け手の受容によって成り立つとした undefined 組織の成立には共通目的・非公式集団・士気の 3 要素が必要であり、命令の権威は仲間集団の規範によって成り立つとした)
- NPM(新公共管理)の考え方の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 民間企業の経営手法を行政に導入し、成果志向・顧客志向・市場メカニズムの活用・企画と実施の分離などによって行政の効率と質を高めようとする考え方 イ 行政サービスの提供を政府が独占し、民間委託や民営化を抑えることで公共性を確保しようとする考え方 ウ 行政職員の政治的中立を確保するため、政治任用を廃止して資格任用制を徹底しようとする考え方 エ 政策の企画立案を専門家に委ね、政治家や住民の関与を減らすことで合理的な政策を実現しようとする考え方 undefined 行政の実施部門を本省に統合して指揮命令系統を一本化し、規則と手続きの遵守を徹底することで行政の統一性を高めようとする考え方)
発展
- 人間関係論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 人間関係論は、行政の意思決定を分析する理論であり、サイモンの限定された合理性の概念を生み出した イ ホーソン実験は、テイラーが時間研究と動作研究を行った工場で実施され、標準作業量の設定が生産性を高めることを実証した ウ ホーソン実験では、照明を明るくするほど生産性が上がることが確認され、科学的管理法の作業条件の重視が正しいことが裏づけられた エ ホーソン実験では、照明などの作業条件を変えても生産性が変化の方向と一致せず、職場の人間関係や非公式集団の規範が生産性に影響することが見いだされた undefined 人間関係論は、作業者を経済的誘因で動く経済人とみる立場であり、出来高払いによる動機づけを重視する)
- NPM をめぐる各国の動きに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア イギリスでは 1988 年のネクスト・ステップスにより省の執行部門がエージェンシーとして切り出され、日本の独立行政法人制度のモデルになった イ ニュージーランドは NPM 型の改革を採用せず、伝統的な官僚制を維持した代表例とされる ウ 日本では独立行政法人制度が 1960 年代に導入され、イギリスのネクスト・ステップスの先例となった エ アメリカでは 1930 年代のブラウンロー委員会が NPM の考え方を初めて示し、大統領府の設置を勧告した undefined オズボーンとゲーブラーは『行政革命』で、政府はサービスの直接提供に専念し民間への委託を減らすべきだと主張した)
- 政治・行政二分論と政治・行政融合論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 二分論はニューディール以降の行政国家化を背景に登場し、融合論はそれ以前の猟官制の時代に行政と政党政治の一体性を説明するために唱えられた イ 二分論はアップルビーが、融合論はウィルソンとグッドナウが唱えたもので、現在は二分論が通説とされている ウ 二分論も融合論も行政学ではなく政治学の理論であり、行政学は両者と無関係に成立した エ 二分論はサイモンの意思決定論を基礎とし、融合論はギューリックの能率論を基礎としている undefined 二分論は猟官制の弊害を背景に行政を政治から切り離そうとしたもので、融合論はニューディール以降に行政が政策形成に関与する現実を踏まえて登場した)
行政学の理論(ウェーバー・ギューリック・サイモン・NPM) ── 解答
基礎
- undefined 行政は政治の固有の領域の外にあり、ビジネスの分野として能率的に運営されるべきである 行政は政治の固有の領域の外にあり、ビジネスの分野として能率的に運営されるべきである。人名とキーワードを 1 対 1 で結びつけて覚える(zq-01 解説 7 節)。
- ウ アメリカで猟官制の弊害が問題となる中、ウィルソンが 1887 年の論文「行政の研究」で行政を政治から切り離して能率的に運営すべきだと主張したことが出発点とされる ウィルソン「行政の研究」(1887 年)が行政学の出発点。背景は猟官制の弊害と、ペンドルトン法(1883 年)による資格任用制の導入。アップルビーは融合論の側。
- undefined 計画・組織・人事・指揮・調整・報告・予算 Planning・Organizing・Staffing・Directing・Coordinating・Reporting・Budgeting。「命令・統制」はファヨールの管理の 5 要素、「目的・過程・対象・地域」は部門編成の 4 原理で、いずれも別の概念。
- undefined 対象(顧客) 対象者(person・顧客)による編成。教育省・国防省は目的、法務・会計・人事は過程、地方支分部局は地域。「階層」は 4 原理に含まれない。
標準
- ア サイモン サイモン。主張から人名を引けるようにしておくと、人名をすり替えた誤答を切れる。
- エ 1 人の上司が直接に監督できる部下の数には限りがあるため、それを超えない範囲で組織を編成すべきだという原理 1 人の上司が直接に監督できる部下の数には限りがあるため、それを超えない範囲で組織を編成すべきだという原理。
- ア 公共施設の建設・維持管理・運営に民間の資金と経営能力を活用する仕組みで、契約により民間事業者が事業を担う 公共施設の建設・維持管理・運営に民間の資金と経営能力を活用する仕組みで、契約により民間事業者が事業を担う。NPM の日本版は「企画と実施の分離(独法)」「民間資金(PFI)」「官民競争(市場化テスト)」の 3 本柱で整理する。
- undefined 政治・行政二分論を前提に、能率を最高の価値として組織や管理の原理を追求した 1920〜30 年代の行政学で、ギューリックやホワイトが代表とされる 正統派=技術的行政学は二分論と能率を柱とする。選択肢 2 は機能的行政学、3 はサイモン、4 は NPM、5 は新行政学の説明。
- イ 組織の意思決定を価値前提と事実前提に分け、科学的な行政学が扱えるのは事実前提であるとした サイモンは価値前提と事実前提を区別し、事実前提を科学の対象とした(論理実証主義)。経営人モデルは満足化であって最適化ではない。組織の原理は「ことわざ」として批判した。価値関与は新行政学、権威の地位説はバーナードの受容説の逆。
- エ 組織の成立には共通目的・協働意欲・コミュニケーションの 3 要素が必要であり、命令の権威は受け手の受容によって成り立つとした バーナード『経営者の役割』(1938 年)。組織の 3 要素と権威受容説(無関心圏)。規則・階統制・文書主義はウェーバーの官僚制の特徴。
- ア 民間企業の経営手法を行政に導入し、成果志向・顧客志向・市場メカニズムの活用・企画と実施の分離などによって行政の効率と質を高めようとする考え方 NPM は 1980 年代のイギリス・ニュージーランドで始まった行政改革の考え方。フッドが 1991 年の論文で命名。分権化・実施部門への裁量付与が特徴で、本省への集中は逆。
発展
- エ ホーソン実験では、照明などの作業条件を変えても生産性が変化の方向と一致せず、職場の人間関係や非公式集団の規範が生産性に影響することが見いだされた ホーソン実験(メイヨー・レスリスバーガー)は物理的条件より人間関係・非公式集団の影響を見いだし、「社会人」モデルの人間関係論につながった。科学的管理法の経済人モデルへの対抗。
- ア イギリスでは 1988 年のネクスト・ステップスにより省の執行部門がエージェンシーとして切り出され、日本の独立行政法人制度のモデルになった ネクスト・ステップス(1988 年)→ エージェンシー → 日本の独立行政法人(2001 年発足)。ブラウンロー委員会(1937 年)は正統派行政学の時代。オズボーン&ゲーブラーは「漕ぐより舵取り」。ニュージーランドは NPM の代表例。
- undefined 二分論は猟官制の弊害を背景に行政を政治から切り離そうとしたもので、融合論はニューディール以降に行政が政策形成に関与する現実を踏まえて登場した 二分論(ウィルソン・グッドナウ)は猟官制の弊害と資格任用制の導入が背景。融合論(アップルビー)は行政国家化を背景に、行政の政策形成機能を認めた。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zq-01/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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