政策過程と予算 ── 問題
基礎
- 政策決定のモデルについて、ドロアの最適モデルの説明として妥当なものはどれですか。 (ア 目標があいまいで参加者が入れかわる組織では、問題・解決策・参加者・選択機会が偶然出会ったときに決定が生まれるとした イ 合理的な分析に直観や判断などの超合理的な要素を加えた決定を提唱し、増分主義を保守的だと批判した ウ 問題・政策案・政治の 3 つの流れが合流したときに政策の窓が開き、政策企業家がそれをつかんで議題化するとした エ 基本的な決定は合理的に大局を見渡して行い、日常の細かい決定は現状からの小幅な修正で行うという折衷を提唱した undefined 現状を出発点に少しだけ変えた案だけを比較し、関係者の相互調節によって決める現実的で民主的な決め方だとした)
- 日本の予算制度について、補正予算の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 年度内に支出が終わらない見込みの経費を、あらかじめ国会の議決を経て翌年度に繰り越す仕組み イ 予見しがたい予算の不足に備えて計上され、内閣の責任で支出し事後に国会の承諾を得る経費 ウ 本予算が年度開始までに成立しないときに、必要最小限の経費について組まれる予算 エ 年度途中に災害などで追加の経費が必要になったときに、本予算を変更するために組まれる予算 undefined 特定の事業や資金について、一般会計と区分して経理するために設けられる会計)
- 政策過程の段階モデルに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 政策過程の段階モデルは、政策の決定だけを扱い、課題設定や評価は含まない イ 政策過程の段階モデルでは、実施の段階は自動的に行われるものとして研究の対象から外されている ウ 政策過程は課題設定・立案・決定・実施・評価の段階に整理されるが、実際にはこの順に一方向に進むとは限らないという指摘もある エ 政策過程は課題設定・立案・決定・実施・評価の段階を必ずこの順に一方向に進み、前の段階に戻ることはない undefined 政策過程の段階モデルは、予算編成の手順を示したもので、政策一般には当てはまらない)
- 増分主義(インクリメンタリズム)と合理的決定モデルの対比として妥当なものはどれですか。 (ア 増分主義は合理的決定モデルを補うために提唱されたもので、両者は同じ人物が提唱した イ 合理的決定モデルも増分主義も、目標と手段を切り離さずに同時に選ぶ点で共通している ウ 合理的決定モデルはすべての選択肢を比較して最善を選ぶ理想型であり、増分主義は現状からの小幅な修正案だけを比較する現実の決め方である エ 合理的決定モデルは現状からの小幅な修正案だけを比較する決め方であり、増分主義はすべての選択肢を比較して最善を選ぶ理想型である undefined 合理的決定モデルは民主的な決め方として、増分主義は専門家による決め方として提唱された)
標準
- アリソンの 3 つのモデルについて、政府内政治(官僚政治)モデルの説明として妥当なものはどれですか。 (ア 政府を 1 人の合理的な人格とみなし、国家が目標に照らして最善の手段を選んだものとして決定を説明する イ 政府を複数の組織のゆるい集合とみなし、各組織が標準作業手続に従って動いた結果として決定を説明する ウ 政府を利益集団の圧力を受ける場とみなし、最も強い圧力団体の要求の反映として決定を説明する エ 政府を利害の異なるプレーヤーの集まりとみなし、政府内の交渉や駆け引きの結果として決定を説明する undefined 政府を問題と解決策が偶然出会う場とみなし、選択機会にたまたま居合わせた参加者によって決定を説明する)
- 予算編成の理論・手法について、ZBB(ゼロベース予算)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 各機関が目標を設定し、その達成度によって評価する手法で、ニクソン政権が導入した イ 各府省の概算要求に前年度比の上限を設けて総額を抑える手法で、日本の予算編成で使われている ウ 政策目標ごとに事業を体系化し、費用便益分析で最も効率的な事業に予算を配分する手法で、ジョンソン政権が連邦全体に導入した エ 前年度の額を前提にせず、すべての事業をゼロから見直して優先順位をつける手法で、カーター政権が連邦政府に導入した undefined 事業や機関に期限を設け、期限が来たら見直して存続の必要がなければ自動的に終了させる手法)
- コブ=エルダーらの課題設定(アジェンダ設定)の類型に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 外部主導型は市民や団体が提起した問題が世論の支持を得て政府の議題になる経路で、動員型は政府が先に決めた政策への支持をあとから国民に広げる経路である イ 外部主導型は政府が先に決めた政策への支持をあとから国民に広げる経路で、動員型は市民や団体が提起した問題が政府の議題になる経路である ウ 内部主導型は市民運動が政府内部に働きかけて議題化する経路で、公衆の広い支持を必要とする エ コブ=エルダーらは課題設定の経路を 1 つに限定し、すべての政策は世論の高まりから始まるとした undefined 動員型は外国政府の圧力によって議題化する経路で、国内の世論は関与しない)
- 政策実施の研究に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア リプスキーはキューバ危機を分析し、政府内の交渉によって政策の実施が左右されることを示した イ プレスマン=ウィルダフスキーは連邦政府の雇用対策がオークランド市で行き詰まった過程を分析し、関係機関の合意が必要な決定点が増えるほど実施の成功確率が下がることを示した ウ プレスマン=ウィルダフスキーは決定された政策は自動的に実施されることを実証し、実施は研究の対象にならないとした エ 政策実施の研究は、予算編成における増分主義を批判するために始まった undefined リプスキーは第一線の職員には裁量がほとんどなく、政策の中身は本省の決定によって完全に決まるとした)
- リプスキーの「ストリートレベルの官僚制」に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 第一線の職員は規則に厳密に縛られており、裁量の余地がないため政策の中身に影響を与えないと指摘した イ 第一線の職員の裁量を完全になくすため、すべての業務を標準作業手続に置きかえるべきだと主張した ウ 第一線の職員は本省の幹部よりも高い専門性をもつため、政策の立案を第一線に委ねるべきだと主張した エ 警察官や教員など市民と直接接する第一線の職員は、限られた時間と資源の中で広い裁量をもち、その裁量の使い方が実質的に政策の中身を決めると指摘した undefined 第一線の職員は市民の要求をそのまま上位機関に伝える役割にとどまり、自らは判断を行わないと指摘した)
- 日本の予算過程に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 各府省が夏に閣議了解された概算要求基準に沿って 8 月末に概算要求を財務省に提出し、財務省の査定を経て 12 月下旬に政府案が閣議決定される イ 財務省が各府省の要求を待たずに予算案を作成し、国会の議決を経ずに 4 月から執行する ウ 予算案は会計検査院が作成して内閣に送付し、内閣がそれを国会に提出する エ 各府省が 12 月に概算要求を国会に直接提出し、予算委員会の査定を経て 3 月に政府案が閣議決定される undefined 各府省が 4 月に概算要求を内閣府に提出し、経済財政諮問会議の査定を経て 8 月末に政府案が閣議決定される)
- 予算の原則に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 総計予算主義は特定の収入を特定の支出に結びつけないという原則で、ノン・アフェクタシオンの原則は会計を一つにまとめるという原則である イ 事前議決の原則は決算を国会の議決に付すという原則で、予算については事後の承認で足りる ウ 総計予算主義は収入と支出をすべて計上して相殺しないという原則で、ノン・アフェクタシオンの原則は特定の収入を特定の支出に結びつけないという原則である エ 公開の原則は予算の内容を国会議員にだけ公開するという原則で、国民への公表は義務づけられていない undefined 単一の原則は収入と支出を相殺して純額だけを計上するという原則で、特別会計はこの原則を徹底したものである)
発展
- 予算の国会審議と決算に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 予算はどちらの議院から審議してもよく、両院の議決が異なるときは両院協議会の議決が国会の議決となる。決算は国会の承認がなければ支出が無効になる イ 予算は内閣ではなく国会議員が作成して提出し、衆参両院で可決されれば成立する。決算は内閣が作成し会計検査院の検査は不要である ウ 予算は衆議院に先議権があり、参議院が否決すれば予算は成立しない。決算は会計検査院が国会に直接提出する エ 予算は参議院に先議権があり、衆議院が受け取ってから 60 日以内に議決しないときは参議院の議決が国会の議決となる。決算は財務省の検査を経て内閣が国会に提出する undefined 予算は衆議院に先議権があり、参議院が受け取ってから 30 日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる。決算は会計検査院の検査を経て内閣が国会に提出する)
- PPBS に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 日本で 1960 年代から使われている概算要求の上限設定の手法で、財政再建期にはマイナスの上限が設けられた イ 政策目標ごとに事業を体系化し費用便益分析で予算を配分しようとしたが、分析に膨大な手間がかかることや目標そのものが政治的に争われることから、連邦政府では 1971 年に廃止された ウ 前年度ベースの増分をめぐる交渉で予算が決まるという理論で、ウィルダフスキーが提唱した エ 事業に期限を設けて自動的に終了させる手法で、アメリカの州で始まりのちに連邦政府に広がった undefined 前年度の額を前提にせずすべての事業をゼロから見直す手法で、現在もアメリカ連邦政府の予算編成の基本となっている)
- 日本の予算編成をめぐる近年の動きに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 2001 年から財務省が廃止され、予算編成のすべてを経済財政諮問会議が担うようになった イ 概算要求基準(シーリング)は 2001 年の中央省庁再編で廃止され、各府省は上限なしに要求できるようになった ウ 2001 年から経済財政諮問会議が毎年「骨太の方針」をまとめ、財務省主導の査定に内閣主導の大枠が上乗せされる形になった エ 経済財政諮問会議は財務省に置かれ、財務大臣が議長を務める undefined 事業仕分けは 1980 年代の財政再建期に大蔵省が導入した手法で、現在も毎年実施されている)
政策過程と予算 ── 解答
基礎
- イ 合理的な分析に直観や判断などの超合理的な要素を加えた決定を提唱し、増分主義を保守的だと批判した 合理的な分析に直観や判断などの超合理的な要素を加えた決定を提唱し、増分主義を保守的だと批判した。提唱者 1 人にキーワード 1 つで結びつける(zq-04 解説 6 節)。
- エ 年度途中に災害などで追加の経費が必要になったときに、本予算を変更するために組まれる予算 年度途中に災害などで追加の経費が必要になったときに、本予算を変更するために組まれる予算。
- ウ 政策過程は課題設定・立案・決定・実施・評価の段階に整理されるが、実際にはこの順に一方向に進むとは限らないという指摘もある 段階モデルは整理の道具。実施の途中で立案に戻る、評価が次の課題設定になる、といった循環や逆行が現実には起こる。
- ウ 合理的決定モデルはすべての選択肢を比較して最善を選ぶ理想型であり、増分主義は現状からの小幅な修正案だけを比較する現実の決め方である 合理的モデルは目標を明確にし全選択肢を比較(目標と手段を分離)。増分主義(リンドブロム)は目標と手段を同時に選び、小幅な修正を多元的相互調節で決める。
標準
- エ 政府を利害の異なるプレーヤーの集まりとみなし、政府内の交渉や駆け引きの結果として決定を説明する 政府を利害の異なるプレーヤーの集まりとみなし、政府内の交渉や駆け引きの結果として決定を説明する。アリソン『決定の本質』(1971 年)はキューバ危機を 3 つのモデルで分析した。「1 人・組織・政治」の 3 語で復元する。
- エ 前年度の額を前提にせず、すべての事業をゼロから見直して優先順位をつける手法で、カーター政権が連邦政府に導入した 前年度の額を前提にせず、すべての事業をゼロから見直して優先順位をつける手法で、カーター政権が連邦政府に導入した。PPBS=ジョンソン・費用便益/ZBB=カーター・ゼロから/サンセット=期限。
- ア 外部主導型は市民や団体が提起した問題が世論の支持を得て政府の議題になる経路で、動員型は政府が先に決めた政策への支持をあとから国民に広げる経路である 外部主導型(市民 → 世論 → 政府)、動員型(政府 → 国民)、内部主導型(政府内部・専門家の中で議題化、公衆には広げない)。
- イ プレスマン=ウィルダフスキーは連邦政府の雇用対策がオークランド市で行き詰まった過程を分析し、関係機関の合意が必要な決定点が増えるほど実施の成功確率が下がることを示した プレスマン=ウィルダフスキー『実施』(1973 年)。リプスキー『ストリートレベルの官僚制』(1980 年)は第一線職員の広い裁量を指摘。キューバ危機はアリソン。
- エ 警察官や教員など市民と直接接する第一線の職員は、限られた時間と資源の中で広い裁量をもち、その裁量の使い方が実質的に政策の中身を決めると指摘した ストリートレベルの官僚は資源の制約の中で「どの相手にどれだけ力を注ぐか」を選ばざるをえず、その裁量が政策の実質を決める。
- ア 各府省が夏に閣議了解された概算要求基準に沿って 8 月末に概算要求を財務省に提出し、財務省の査定を経て 12 月下旬に政府案が閣議決定される 概算要求基準(夏)→ 概算要求(8 月末)→ 財務省査定 → 財務省原案・復活折衝 → 政府案閣議決定(12 月下旬)→ 国会審議(1〜3 月)→ 執行(4 月〜)。予算の作成・提出は内閣のみ。
- ウ 総計予算主義は収入と支出をすべて計上して相殺しないという原則で、ノン・アフェクタシオンの原則は特定の収入を特定の支出に結びつけないという原則である 総計予算主義(完全性)・ノン・アフェクタシオン(統一)・単一・事前議決・公開・限定の各原則。特別会計は単一の原則の例外。
発展
- undefined 予算は衆議院に先議権があり、参議院が受け取ってから 30 日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる。決算は会計検査院の検査を経て内閣が国会に提出する 憲法 60 条(衆議院の先議・30 日で自然成立)、73 条・86 条(内閣が作成・提出)、90 条(会計検査院の検査 → 内閣が国会に提出)。決算の不承認は支出の効力に影響しない。
- イ 政策目標ごとに事業を体系化し費用便益分析で予算を配分しようとしたが、分析に膨大な手間がかかることや目標そのものが政治的に争われることから、連邦政府では 1971 年に廃止された PPBS(計画事業予算制度)は国防総省で始まりジョンソン政権が 1965 年に連邦全体へ、1971 年に廃止。失敗は増分主義の根強さを示す例とされる。選択肢 2 は ZBB、3 はサンセット、4 はシーリング、5 は増分主義。
- ウ 2001 年から経済財政諮問会議が毎年「骨太の方針」をまとめ、財務省主導の査定に内閣主導の大枠が上乗せされる形になった 経済財政諮問会議は内閣府に置かれ、議長は内閣総理大臣。「骨太の方針」は 2001 年から。事業仕分けは 2009〜2010 年の民主党政権(行政刷新会議)。シーリングは現在も使われている。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zq-04/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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