行政統制・行政責任・行政改革 ── 問題
基礎
- ギルバートのマトリックスにもとづくと、上司による職務命令や内部監査は行政統制の手段としてどれに分類されますか。 (ア 外在的・非制度的統制 イ 内在的・制度的統制 ウ 内在的・非制度的統制 エ 外在的・制度的統制 undefined 統制の手段には含まれない)
- フリードリッヒ=ファイナー論争に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア フリードリッヒは議会など外部機関による制度的統制を重視し、ファイナーは行政官の専門性と職業倫理にもとづく内在的責任を重視した イ 両者はともに外在的統制を否定し、行政官の自律的な判断に行政責任を委ねるべきだと主張した ウ 両者はともに内在的責任を否定し、行政官の判断は法律の機械的な執行に限られるべきだと主張した エ フリードリッヒは行政官の専門性と職業倫理にもとづく内在的責任を重視し、ファイナーは議会など外部機関による制度的統制を重視した undefined 論争は行政統制の 4 分類をめぐるもので、ギルバートのマトリックスの原型となった)
- オンブズマン制度に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 20 世紀後半にアメリカで始まった制度で、日本では総務省に国のオンブズマンが置かれている イ 会計検査院の検査官のことで、内閣から独立して国の決算を検査する ウ 1809 年にスウェーデンで始まった制度で、日本では 1990 年に川崎市が自治体として最初に導入したが、国のレベルでは導入されていない エ 1809 年にイギリスで始まった制度で、日本では 1999 年の情報公開法によって国のレベルに導入された undefined 市民団体が自主的に行政を監視する運動のことで、法律や条例にもとづく制度ではない)
- 会計検査院に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 憲法 90 条にもとづき内閣から独立した地位をもち、国の収入支出の決算を合規性だけでなく経済性・効率性・有効性の観点からも検査する イ 内閣府に置かれる機関で、各府省の政策評価の結果を点検する ウ 最高裁判所の下に置かれる機関で、行政処分の適法性を審査する エ 国会に置かれる機関で、両議院の議長が任命した検査官が各府省の予算案を審査する undefined 財務省の内部部局で、各府省の概算要求を査定して予算案を作成する)
標準
- 行政責任論について、「アカウンタビリティ」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 議会が行政に対して行う統制の総称で、法律の制定と予算の議決を含む イ 状況に応じて適切に対応する責任(応答責任)で、フリードリッヒの機能的責任に近い概念である ウ 市民が行政文書の開示を請求できる権利のことで、情報公開法に定められている エ 外部に対して説明し、問われれば答える責任(説明責任)で、ファイナーの外在的責任に近い概念である undefined 行政官が自らの専門技術的な判断にもとづいて政策を立案する権限のことである)
- 行政を外から点検する制度について、パブリックコメント(意見公募手続)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 議会などが任命する独立した人物が市民の苦情を受けて行政を調査し是正を勧告する制度で、日本では国のレベルには導入されていない イ 市民が行政文書の開示を請求できる制度で、1999 年の情報公開法で法制化され、請求権者は国民に限らず何人にも認められている ウ 住民が監査委員に対して行政の監査を請求できる制度で、地方自治法に定められ、有権者の 50 分の 1 以上の署名を必要とする エ 各府省が自らの政策の効果を測定して評価し公表する制度で、2001 年に法制化され、総務省がその統一性と客観性を点検している undefined 行政機関が命令や処分基準などの案をあらかじめ公表して広く意見を募り、結果を公表する手続で、2005 年の行政手続法改正で法制化された)
- 戦後日本の行政改革について、民主党政権(2009〜12 年)の行政改革の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 首相自身が会長を務める会議の報告にもとづき、1 府 22 省庁を 1 府 12 省庁に再編し、副大臣・大臣政務官を導入した イ 「官から民へ」を掲げ、道路公団民営化と郵政民営化を進め、経済財政諮問会議を使った官邸主導の予算編成を行った ウ 「政治主導」を掲げ、行政刷新会議による事業仕分けを公開の場で実施し、政務三役による省の運営を試みた エ 「増税なき財政再建」を掲げ、三公社の民営化とゼロ・シーリングを実施し、歳出の抑制によって財政再建を図った undefined 内閣官房に内閣人事局を設置し、各府省の幹部職員の人事を一元管理する仕組みを作って官邸主導の人事を進めた)
- ギルバートのマトリックスによる行政統制の分類として妥当なものはどれですか。 (ア 議会による統制は内在的・制度的、マスメディアによる統制は外在的・制度的、会計検査院による統制は外在的・非制度的、職員の職業倫理による統制は内在的・非制度的に分類される イ 議会による統制は外在的・非制度的、マスメディアによる統制は内在的・非制度的、会計検査院による統制は内在的・制度的、職員の職業倫理による統制は外在的・制度的に分類される ウ 議会による統制は外在的・制度的、マスメディアによる統制は外在的・制度的、会計検査院による統制は外在的・制度的、職員の職業倫理による統制は内在的・制度的に分類される エ 議会による統制は外在的・制度的、マスメディアによる統制は外在的・非制度的、会計検査院による統制は内在的・制度的、職員の職業倫理による統制は内在的・非制度的に分類される undefined 議会による統制は外在的・制度的、マスメディアによる統制は内在的・非制度的、会計検査院による統制は外在的・制度的、職員の職業倫理による統制は内在的・非制度的に分類される)
- 日本の情報公開制度に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 情報公開法は「知る権利」を明文で定めており、この権利にもとづいて外国人を除く国民が開示を請求できる イ 自治体の条例が国に先行し、1982 年に山形県金山町と神奈川県が条例を制定したのち、国の情報公開法は 1999 年に制定され 2001 年に施行された ウ 情報公開制度は行政の内部統制の一つであり、ギルバートのマトリックスでは内在的・制度的統制に分類される エ 国の情報公開法が 1982 年に制定され、それを受けて自治体が条例を制定するようになった undefined 情報公開法にもとづく不開示決定に不服がある場合、裁判所への訴えは認められず、審査会への審査請求だけが可能である)
- 議会による行政統制に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 議会は行政処分の取消しを直接命じることができ、裁判所による統制を必要としない イ 議会による統制は行政の内部からの統制であり、ギルバートのマトリックスでは内在的・制度的統制に分類される ウ 議会は法律の制定によってのみ行政を統制し、予算や決算は財務省と会計検査院の専権事項であって議会は関与しない エ 議会は法律の制定・予算の議決・決算の審査・国政調査権などによって行政を統制するが、行政国家化により委任立法が増えると細部までの統制は難しくなる undefined 議会は行政の専門技術的な判断に踏み込めないため、行政国家化した現代では議会による統制は完全に機能を失った)
- 2000 年代以降の行政改革に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 小泉内閣は事業仕分けを行い、民主党政権は郵政民営化を実現し、2014 年には内閣府が新設された イ 小泉内閣は三公社の民営化を実現し、民主党政権は省庁再編を行い、2014 年には人事院が廃止された ウ 2000 年代以降は行政改革が行われておらず、2001 年の省庁再編が最後の改革である エ 民主党政権は内閣人事局を設置して幹部人事を一元化し、第二次安倍内閣がこれを廃止した undefined 小泉内閣は経済財政諮問会議を使った官邸主導で郵政民営化などを進め、民主党政権は事業仕分けを行い、2014 年には内閣人事局が設置されて幹部人事が一元化された)
発展
- 第二次臨時行政調査会(土光臨調)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 1981 年に鈴木内閣の下で設置され、大幅な増税による財政再建と郵政事業の民営化を答申した イ 1981 年に鈴木内閣の下で設置され、「増税なき財政再建」を掲げ、その答申にもとづいて電電公社・専売公社(1985 年)・国鉄(1987 年)の民営化が実現した ウ 1996 年に橋本内閣の下で設置され、1 府 22 省庁を 1 府 12 省庁に再編する最終報告をまとめた エ 2001 年に小泉内閣の下で設置され、道路公団と郵政の民営化を答申した undefined 1961 年に池田内閣の下で設置され、内閣機能の強化と行政手続法の制定を答申し、いずれも直ちに実現した)
- 橋本内閣の行政改革に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 首相自身が会長を務めた行政改革会議の最終報告(1997 年)を受けて中央省庁等改革基本法が制定され、2001 年に省庁再編・内閣府の新設・独立行政法人制度の導入が実現した イ 経済財政諮問会議を使って郵政民営化と道路公団民営化を進め、「官から民へ」を実現した ウ 土光敏夫を会長とする審議会の答申を受けて、国鉄・電電公社・専売公社の三公社が民営化された エ 内閣人事局を設置し、各府省の幹部職員の人事を一元管理する仕組みを作った undefined 行政刷新会議を設けて事業仕分けを公開の場で行い、政務三役による政治主導を試みた)
- 日本の政策評価制度に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 政策評価は会計検査院が各府省に代わって一括して行い、その結果を国会に報告する イ 政策評価の方式は総合評価の 1 方式に統一されており、事業ごとの評価や実績の測定は行われない ウ 三重県の事務事業評価(1996 年)など自治体の取り組みが先行し、国では 2001 年に政策評価法が制定されて各府省が自ら政策を評価し公表する仕組みが導入された エ 政策評価法は各府省の評価結果を予算に反映させることを禁止しており、評価は公表のみを目的とする undefined 国の政策評価法が 1980 年代に制定され、それを受けて自治体が事務事業評価を導入するようになった)
行政統制・行政責任・行政改革 ── 解答
基礎
- イ 内在的・制度的統制 上司による職務命令や内部監査は内在的・制度的統制。「行政の外か内か」「法令に定められた制度か」の 2 軸で分ける(zq-05 解説 2 節)。
- エ フリードリッヒは行政官の専門性と職業倫理にもとづく内在的責任を重視し、ファイナーは議会など外部機関による制度的統制を重視した フリードリッヒ(1940 年)=機能的責任(専門技術的基準と民衆感情への応答)、ファイナー(1941 年)=外在的・制度的責任。現在は両者を組み合わせる必要があると理解されている。
- ウ 1809 年にスウェーデンで始まった制度で、日本では 1990 年に川崎市が自治体として最初に導入したが、国のレベルでは導入されていない オンブズマンはスウェーデン発祥(1809 年)。日本は自治体のみ(川崎市 1990 年)。国は行政相談制度が近い役割。市民団体の「市民オンブズマン」は制度としてのオンブズマンとは別。
- ア 憲法 90 条にもとづき内閣から独立した地位をもち、国の収入支出の決算を合規性だけでなく経済性・効率性・有効性の観点からも検査する 会計検査院は憲法 90 条の機関。3 人の検査官による検査官会議で運営。3E(経済性・効率性・有効性)の検査も行う。政策評価の点検は総務省。
標準
- エ 外部に対して説明し、問われれば答える責任(説明責任)で、ファイナーの外在的責任に近い概念である 外部に対して説明し、問われれば答える責任(説明責任)で、ファイナーの外在的責任に近い概念である。「フリードリッヒ=内・機能/ファイナー=外・制度」で固定する。
- undefined 行政機関が命令や処分基準などの案をあらかじめ公表して広く意見を募り、結果を公表する手続で、2005 年の行政手続法改正で法制化された 行政機関が命令や処分基準などの案をあらかじめ公表して広く意見を募り、結果を公表する手続で、2005 年の行政手続法改正で法制化された。
- ウ 「政治主導」を掲げ、行政刷新会議による事業仕分けを公開の場で実施し、政務三役による省の運営を試みた 「政治主導」を掲げ、行政刷新会議による事業仕分けを公開の場で実施し、政務三役による省の運営を試みた。一臨調(池田)→ 土光臨調(民営化)→ 橋本(再編)→ 小泉(郵政)→ 民主(仕分け)→ 内閣人事局の順。
- エ 議会による統制は外在的・制度的、マスメディアによる統制は外在的・非制度的、会計検査院による統制は内在的・制度的、職員の職業倫理による統制は内在的・非制度的に分類される 外在的制度的=議会・裁判所・首長・オンブズマン、外在的非制度的=マスメディア・世論・圧力団体、内在的制度的=上司の命令・会計検査院・人事院、内在的非制度的=職業倫理・同僚評価。
- イ 自治体の条例が国に先行し、1982 年に山形県金山町と神奈川県が条例を制定したのち、国の情報公開法は 1999 年に制定され 2001 年に施行された 自治体先行(1982 年)、国は 1999 年制定・2001 年施行。情報公開法は「知る権利」を明記せず「説明責務」を目的とし、請求権者は「何人も」(外国人も可)。不開示には審査請求も訴訟も可能。
- エ 議会は法律の制定・予算の議決・決算の審査・国政調査権などによって行政を統制するが、行政国家化により委任立法が増えると細部までの統制は難しくなる 議会統制は外在的・制度的。委任立法の増加や専門化で限界があるが「完全に機能を失った」は言い過ぎ。処分の取消しは裁判所の役割。
- undefined 小泉内閣は経済財政諮問会議を使った官邸主導で郵政民営化などを進め、民主党政権は事業仕分けを行い、2014 年には内閣人事局が設置されて幹部人事が一元化された 小泉(2001〜06 年)=郵政・道路公団民営化・三位一体、民主党政権(2009〜12 年)=事業仕分け、2014 年内閣人事局(第二次安倍内閣)。人事院は存続。
発展
- イ 1981 年に鈴木内閣の下で設置され、「増税なき財政再建」を掲げ、その答申にもとづいて電電公社・専売公社(1985 年)・国鉄(1987 年)の民営化が実現した 土光臨調は「増税なき財政再建」と三公社民営化。第一次臨調(1961 年)の答申は多くが実現せず。省庁再編は行政改革会議(橋本)。郵政・道路公団は小泉内閣。
- ア 首相自身が会長を務めた行政改革会議の最終報告(1997 年)を受けて中央省庁等改革基本法が制定され、2001 年に省庁再編・内閣府の新設・独立行政法人制度の導入が実現した 橋本行革=行政改革会議(1996〜98 年)→ 中央省庁等改革基本法(1998 年)→ 2001 年再編。三公社は土光臨調、郵政は小泉、事業仕分けは民主党政権、内閣人事局は 2014 年(第二次安倍内閣)。
- ウ 三重県の事務事業評価(1996 年)など自治体の取り組みが先行し、国では 2001 年に政策評価法が制定されて各府省が自ら政策を評価し公表する仕組みが導入された 自治体先行(三重県 1996 年)、政策評価法 2001 年制定・2002 年施行。各府省の自己評価が基本で総務省が点検。事業評価・実績評価・総合評価の 3 方式。結果は予算や企画に反映させる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zq-05/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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