地方自治と中央地方関係 ── 問題
基礎
- 中央地方関係のモデルについて、ライトの政府間関係の 3 類型の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 中央地方関係を集権─分権と融合─分離の 2 つの軸で整理し、戦後日本を集権・融合型に位置づけたモデル イ 地方制度を英米型の分離型と大陸型の融合型に分け、日本を大陸型に位置づけた類型 ウ 中央と地方は権限・財源・情報などの資源を互いに依存し合う交渉関係にあるととらえたモデル エ 政府間関係を分離権威型・包括権威型・重複権威型の 3 つに分け、アメリカの現実は重複権威型だとしたモデル undefined 国が法令・補助金・通達で地方を上から統制するという見方に対し、自治体が国の政策形成に働きかけ互いに競争するという見方を示したモデル)
- 地方財政について、地方交付税の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 国と自治体の間で税源を移し、国庫補助負担金と地方交付税を同時に見直した 2000 年代半ばの改革 イ 国が特定の事業のために交付する特定財源で、国庫負担金・国庫補助金・委託金からなり、使途は限定される ウ 国税の一定割合を財源として財政力の弱い自治体に配分される一般財源で、使途は限定されず、普通交付税と特別交付税からなる エ 住民税・固定資産税・事業税などの自治体の自主財源で、使途は限定されない undefined 自治体が建設事業などのために行う借入れで、2006 年度から国の許可制に代えて協議制がとられている)
- 地方自治の本旨に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 住民自治は国から独立した団体が自らの権限で地域を治めるという要素、団体自治は住民の意思で地域のことを決めるという要素を指す イ 地方自治の本旨は地方自治法に定義が明記されており、住民自治のみを意味する ウ 地方自治の本旨は憲法には規定がなく、地方分権一括法で初めて法律上の概念となった エ 地方自治の本旨は国が地方を統制する権限の根拠であり、団体自治のみを意味する undefined 住民自治は地域のことを住民の意思で決めるという民主主義の要素、団体自治は国から独立した団体が自らの権限と責任で地域を治めるという分権の要素を指す)
- 地方交付税と国庫支出金の違いに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 地方交付税は使途が限定される特定財源であるのに対し、国庫支出金は使途が限定されない一般財源である イ 地方交付税は自治体の自主財源であり、国庫支出金は自治体の借入れである ウ 地方交付税は使途が限定されない一般財源であるのに対し、国庫支出金は特定の事業や事務のために交付される特定財源で使途が限定される エ 地方交付税も国庫支出金も使途が限定されない一般財源であり、両者の違いは財源が国税か地方税かという点にある undefined 地方交付税はすべての自治体に人口に比例して配分され、財政力による差はつけられない)
標準
- 自治体の事務について、法定受託事務の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 国の出先機関である地方支分部局が地域において執行する国の事務で、自治体はこれに関与しない イ 自治体が本来担う事務で、国の関与は助言・勧告・是正の要求など弱いものが中心となり、条例の制定や議会の関与が及ぶ ウ 国が自治体に委託して行わせる事務で、費用は全額国が負担し、自治体の議会は関与できない エ 知事や市町村長を国の下級機関として国の事務を執行させる仕組みで、国の包括的な指揮監督を受け、条例の制定や議会の関与は及ばない undefined 本来は国(または都道府県)の役割だが法律で自治体に委ねられた事務で、是正の指示や代執行などより強い国の関与も認められるが、自治体の事務として条例の制定や議会の関与が及ぶ)
- 地方分権改革について、1999 年の地方分権一括法の内容として妥当なものはどれですか。 (ア 合併特例債などの財政上の優遇によって市町村合併を促し、市町村数を約 3,200 から約 1,700 に減らした イ 機関委任事務を廃止して自治事務と法定受託事務に再編し、国の関与を法定主義と必要最小限の原則に従わせ、国地方係争処理委員会を設けた ウ 義務付け・枠付けの見直しと国の出先機関の見直しを進め、条例で基準を定められる範囲を広げた エ 市町村優先の原則と事務の再配分、地方財政平衡交付金の創設を提言した undefined 国庫補助負担金の削減・国から地方への税源移譲・地方交付税の見直しを一体として進めた)
- 英米型と大陸型の地方制度に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 大陸型では住民の自治組織が先にあり国がそれを認めたのに対し、英米型では国が統治機構として自治体を設けた イ 英米型も大陸型も自治体の権限は制限列挙であり、法律で個別に与えられた事務だけを処理できる ウ 英米型は住民自治を重視し国と地方の事務が分かれている分離型で自治体の権限は制限列挙、大陸型は団体自治を重視し国の事務を自治体も担う融合型で概括授権をとる エ 英米型は団体自治を重視し国の事務を自治体も担う融合型、大陸型は住民自治を重視し国と地方の事務が分かれている分離型である undefined 日本は明治以来の英米型の伝統をもち、戦後の機関委任事務は分離型の典型とされる)
- 天川モデルに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 中央と地方が資源を互いに依存し合う関係にあるとし、日本の中央地方関係を交渉のゲームとして描いた イ 政府間関係を分離権威型・包括権威型・重複権威型の 3 つに分け、日本を包括権威型に位置づけた ウ 分権化とは融合型から分離型への移行を意味し、日本の分権改革は分離型をめざすものだと説明した エ 集権─分権の軸と融合─分離の軸で中央地方関係を整理し、戦後日本を集権・融合型に位置づけ、分権改革は分権・融合型への移行だと説明される undefined 集権─分権の軸と融合─分離の軸で中央地方関係を整理し、戦後日本を分権・分離型に位置づけた)
- 機関委任事務の廃止に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 1999 年の地方分権一括法で機関委任事務は全廃され、自治体の事務は自治事務と法定受託事務に再編されて、いずれにも条例制定権と議会の関与が及ぶようになった イ 1999 年の地方分権一括法で機関委任事務の一部が廃止されたが、旅券の交付や国政選挙などは現在も機関委任事務として残っている ウ 機関委任事務は都道府県の事務の 1 割程度にすぎなかったため、その廃止が自治体の運営に与えた影響は小さかった エ 機関委任事務は自治事務に一本化され、法定受託事務という区分は 2006 年の第二次分権改革で新たに設けられた undefined 機関委任事務の廃止によって国の関与は一切認められなくなり、法定受託事務についても国は是正の指示を行えない)
- 国の関与に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国地方係争処理委員会は内閣府に置かれ、自治体の申出を受けて国の関与を取り消す決定を行う イ 国の関与には法律の根拠が必要であり(関与の法定主義)、必要最小限で公正・透明でなければならず、関与に不服がある自治体は国地方係争処理委員会に審査を申し出て、さらに高等裁判所に訴えることができる ウ 国の関与は法律の根拠がなくても通達によって行うことができ、自治体はこれに従わなければならない エ 関与に不服がある自治体は最高裁判所に直接訴えることができ、国地方係争処理委員会を経る必要はない undefined 自治事務については国の関与が一切認められず、法定受託事務についてのみ助言・勧告が認められる)
- 大都市制度に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 政令指定都市は法律上人口 50 万以上の市から政令で指定され、都道府県の事務の多くを処理し行政区を設けるのに対し、中核市は人口 20 万以上で保健所の設置などを担い、2015 年に特例市と統合された イ 政令指定都市は人口 20 万以上の市から指定され、中核市は人口 50 万以上の市から指定される ウ 政令指定都市は都道府県から独立した団体となり、その区域は都道府県の区域から除かれる エ 特別区は東京都以外の道府県にも設けられており、市と全く同じ権限をもつ基礎的自治体である undefined 中核市は都道府県の事務のすべてを処理し、都道府県の関与を一切受けない)
発展
- 村松岐夫の中央地方関係論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 日本の地方は国の下請けにすぎないとする垂直的行政統制モデルを提唱し、辻清明の官僚優位論を地方自治の分野で裏づけた イ 政府間関係を分離権威型・包括権威型・重複権威型に分け、日本は包括権威型から重複権威型へ移行したと主張した ウ 三割自治という言葉を初めて用い、日本の地方財政が国に従属していることを批判した エ 中央地方関係を集権─分権と融合─分離の 2 軸で整理し、戦後日本を集権・融合型に位置づけた undefined 国が法令・補助金・通達で地方を上から統制するという垂直的行政統制モデルに対し、自治体が国の政策形成に働きかけ互いに競争するという水平的政治競争モデルを示し、日本の地方は見た目より自律的だと主張した)
- 三位一体の改革に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 民主党政権の下で地方交付税の増額・国庫補助金の拡充・地方債の許可制復活を同時に進めたもので、自治体の財政基盤が強化された イ 橋本内閣の下で機関委任事務の廃止・国の関与の縮小・必置規制の緩和を同時に進めたもので、第一次分権改革と呼ばれる ウ 地方税・地方交付税・国庫支出金の 3 つを廃止して一つの一括交付金に統合したもので、自治体の使途の自由が大幅に広がった エ 国・都道府県・市町村の三者が対等に協議する場を設けたもので、国と地方の協議の場に関する法律として制定された undefined 小泉内閣の下で国庫補助負担金の削減・税源移譲・地方交付税の見直しを同時に進めたもので、税源移譲は実現したが交付税の削減幅が大きく、財政力の弱い自治体の運営が苦しくなったという評価がある)
- 自治体の首長と議会の関係に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 首長と議員はともに住民の直接選挙で選ばれる二元代表制をとり、議会は首長の不信任議決ができ、首長はこれに対して議会を解散できるほか、議決に対する再議の権限をもつ イ 首長は議会の不信任議決に対して議会を解散することはできず、不信任議決があれば直ちに失職する ウ 議会は予算の調製・提出権をもち、首長は議会が提出した予算案を執行するだけである エ 首長は議会の議決に対して拒否権をもたず、議決された条例をそのまま公布しなければならない undefined 首長は議会が議員の中から選出する議院内閣制をとり、議会の信任を失えば首長は辞職しなければならない)
地方自治と中央地方関係 ── 解答
基礎
- エ 政府間関係を分離権威型・包括権威型・重複権威型の 3 つに分け、アメリカの現実は重複権威型だとしたモデル 政府間関係を分離権威型・包括権威型・重複権威型の 3 つに分け、アメリカの現実は重複権威型だとしたモデル。提唱者 1 人にキーワード 1 つで結びつける(zq-06 解説 6 節)。
- ウ 国税の一定割合を財源として財政力の弱い自治体に配分される一般財源で、使途は限定されず、普通交付税と特別交付税からなる 国税の一定割合を財源として財政力の弱い自治体に配分される一般財源で、使途は限定されず、普通交付税と特別交付税からなる。「交付税=自由/国庫支出金=限定」で固定する。
- undefined 住民自治は地域のことを住民の意思で決めるという民主主義の要素、団体自治は国から独立した団体が自らの権限と責任で地域を治めるという分権の要素を指す 憲法 92 条の「地方自治の本旨」=住民自治(民主主義)+団体自治(自由主義・分権)。法律上の定義規定はなく、解釈で内容が定まっている。
- ウ 地方交付税は使途が限定されない一般財源であるのに対し、国庫支出金は特定の事業や事務のために交付される特定財源で使途が限定される 交付税=一般財源(自由)、国庫支出金=特定財源(限定)。交付税は財政力の弱い自治体に配分され、財政力指数 1 超は不交付団体。
標準
- undefined 本来は国(または都道府県)の役割だが法律で自治体に委ねられた事務で、是正の指示や代執行などより強い国の関与も認められるが、自治体の事務として条例の制定や議会の関与が及ぶ 本来は国(または都道府県)の役割だが法律で自治体に委ねられた事務で、是正の指示や代執行などより強い国の関与も認められるが、自治体の事務として条例の制定や議会の関与が及ぶ。自治事務も法定受託事務も「自治体の事務」である点が機関委任事務との違い。
- イ 機関委任事務を廃止して自治事務と法定受託事務に再編し、国の関与を法定主義と必要最小限の原則に従わせ、国地方係争処理委員会を設けた 機関委任事務を廃止して自治事務と法定受託事務に再編し、国の関与を法定主義と必要最小限の原則に従わせ、国地方係争処理委員会を設けた。1995 推進法 → 1999 一括法 → 2004〜06 三位一体 → 2006 第二次の年表で覚える。
- ウ 英米型は住民自治を重視し国と地方の事務が分かれている分離型で自治体の権限は制限列挙、大陸型は団体自治を重視し国の事務を自治体も担う融合型で概括授権をとる 英米型=分離・住民自治・制限列挙、大陸型=融合・団体自治・概括授権。日本は大陸型で、機関委任事務は融合型の典型。
- エ 集権─分権の軸と融合─分離の軸で中央地方関係を整理し、戦後日本を集権・融合型に位置づけ、分権改革は分権・融合型への移行だと説明される 天川晃の 2 軸モデル。日本は集権・融合型 → 分権・融合型へ。「分権化=分離化」ではない。3 類型はライト、資源依存はローズ。
- ア 1999 年の地方分権一括法で機関委任事務は全廃され、自治体の事務は自治事務と法定受託事務に再編されて、いずれにも条例制定権と議会の関与が及ぶようになった 機関委任事務は全廃。旅券交付・国政選挙・生活保護などは法定受託事務になった。法定受託事務には是正の指示・代執行など強い関与も可。都道府県の事務の 7〜8 割を占めたといわれる。
- イ 国の関与には法律の根拠が必要であり(関与の法定主義)、必要最小限で公正・透明でなければならず、関与に不服がある自治体は国地方係争処理委員会に審査を申し出て、さらに高等裁判所に訴えることができる 関与の法定主義・必要最小限・公正透明。国地方係争処理委員会は総務省に置かれ、勧告を行う。訴訟は高等裁判所へ。自治事務にも助言・勧告・是正の要求などの関与はある。
- ア 政令指定都市は法律上人口 50 万以上の市から政令で指定され、都道府県の事務の多くを処理し行政区を設けるのに対し、中核市は人口 20 万以上で保健所の設置などを担い、2015 年に特例市と統合された 政令指定都市(法律上 50 万以上・行政区)、中核市(20 万以上・2015 年に特例市を統合)、特別区(東京都の 23 区・都区財政調整)。政令指定都市も都道府県の区域内にある。
発展
- undefined 国が法令・補助金・通達で地方を上から統制するという垂直的行政統制モデルに対し、自治体が国の政策形成に働きかけ互いに競争するという水平的政治競争モデルを示し、日本の地方は見た目より自律的だと主張した 村松は辻清明らの集権論への反論として水平的政治競争モデルを提唱。zq-02 の官僚制論争(辻=連続説 vs 村松=断絶説)と同じ構図。
- undefined 小泉内閣の下で国庫補助負担金の削減・税源移譲・地方交付税の見直しを同時に進めたもので、税源移譲は実現したが交付税の削減幅が大きく、財政力の弱い自治体の運営が苦しくなったという評価がある 三位一体の改革(2004〜06 年・小泉内閣)=補助金削減約 4.7 兆円・税源移譲約 3 兆円・交付税削減約 5.1 兆円。選択肢 2 は一括法(1999 年)。
- ア 首長と議員はともに住民の直接選挙で選ばれる二元代表制をとり、議会は首長の不信任議決ができ、首長はこれに対して議会を解散できるほか、議決に対する再議の権限をもつ 二元代表制。不信任議決 → 首長は 10 日以内に解散か失職(地方自治法 178 条)。予算の調製・提出権は首長。再議(一般的拒否権)あり。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zq-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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