日本国憲法の基本と人権 ── 問題
基礎
- 総議員数が 465 人の議院で、憲法改正の発議に必要な賛成は最低何人ですか(96 条:総議員の 3 分の 2 以上)。
- 日本国憲法の人権の分類について、最高裁判所裁判官の国民審査(79 条)はどの分類に属しますか。 (ア 国務請求権(受益権) イ 自由権(精神的自由) ウ 社会権 エ 参政権 undefined 平等権)
- 日本国憲法の基本原理と条文について、憲法改正の発議の要件はどれですか。 (ア 両議院の合同会議での総議員の 4 分の 3 以上の賛成 イ 各議院の出席議員の 3 分の 2 以上の賛成 ウ 各議院の総議員の 3 分の 2 以上の賛成 エ 各議院の総議員の過半数の賛成 undefined 衆議院の総議員の 3 分の 2 以上の賛成(参議院は過半数))
- 日本国憲法が保障する人身の自由に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 何人も、自己に不利益な供述を強要されないが、自白だけを証拠として有罪とすることはできる イ 拷問は禁止されるが、残虐な刑罰については法律で定めれば科すことができる ウ 実行の時に適法だった行為でも、後に制定された法律によって処罰することができる エ 何人も、現行犯として逮捕される場合を除き、裁判官の発する令状がなければ逮捕されない undefined 同一の犯罪について、無罪判決が確定した後でも新証拠があれば再び刑事上の責任を問える)
- 社会権に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 教育を受ける権利(26 条)は義務教育の無償を定めるが、最高裁は教科書代まで無償とすべきとした イ 社会権は国家の干渉を排除する「国家からの自由」であり、18 世紀の市民革命期に確立した ウ 堀木訴訟で最高裁は、児童扶養手当と障害福祉年金の併給禁止を 25 条に反し違憲とした エ 日本国憲法は社会権として生存権・教育を受ける権利・勤労の権利を定めるが、労働三権は法律上の権利にすぎない undefined 社会権を世界で初めて明文で保障した憲法は、1919 年のドイツのワイマール憲法とされる)
- 朝日訴訟(最大判昭和 42 年)で主に争点となった日本国憲法の条文として妥当なものはどれですか。 (ア 25 条(生存権) イ 26 条(教育を受ける権利) ウ 13 条(幸福追求権) エ 14 条(法の下の平等) undefined 27 条(勤労の権利))
- 日本国憲法 34 条が定める内容として妥当なものはどれですか。 (ア 抑留・拘禁された後に無罪の裁判を受けたときは、国にその補償を求めることができる イ 理由を直ちに告げられ弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留・拘禁されない ウ 現行犯として逮捕される場合を除き、裁判官の発する令状によらなければ逮捕されない エ 自己に不利益な供述を強要されず、本人の自白だけを証拠として有罪とされない undefined 法律の定める手続によらなければ、生命や自由を奪われたり刑罰を科されたりしない)
- 日本国憲法における天皇の地位と権能に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 皇位は世襲であり、皇室典範の改正には憲法改正と同じ国民投票の手続が必要である イ 天皇は国会の指名に基づかずに内閣総理大臣を選任し、最高裁判所長官を自らの判断で任命する ウ 天皇は国政に関する権能をもたないが、国会が可決した法律案に対しては例外として公布を拒む拒否権が認められている エ 天皇の国事行為には国会の召集・衆議院の解散・法律の公布などがあり、いずれも内閣の助言と承認を必要とする undefined 天皇の国事行為の責任は天皇自身が負い、内閣はその責任を負わない)
標準
- 憲法改正の国民投票で有効投票が 5985 万票だったとき、承認に必要な賛成は最低何万票ですか(有効投票の過半数)。
- 衆議院(定数 465)と参議院(定数 242)の両院で憲法改正を発議するとき、必要な賛成の合計は最低何人ですか。 (ア 472 人 イ 432 人 ウ 627 人 エ 354 人 undefined 395 人)
- 人権に関する最高裁判所の判例について、マクリーン事件(最大判昭和 53 年)で示された立場はどれですか。 (ア 外国人には社会権のみが保障され、精神的自由は保障されないとした イ 外国人にも国民とまったく同じ範囲で人権が保障され、政治活動を理由に在留期間の更新を拒むことは許されないとした ウ 人権規定は権利の性質上国民のみを対象とするものを除き外国人にも及ぶが、在留の可否は国の裁量に属する エ 外国人の政治活動は憲法上保障されず、これを理由に直ちに国外退去を命じることができるとした undefined 外国人は国民ではないので、憲法の人権規定はいっさい外国人には及ばないとした)
- 新しい人権と判例について、「宴のあと」事件(東京地判昭和 39 年)で認められた権利はどれですか。 (ア みだりに容ぼうを撮影されない自由としての肖像権 イ 国の保有する情報の開示を求める権利としての知る権利 ウ 自己の情報の訂正や削除を国に求める権利としての自己情報コントロール権 エ 報道機関に反論文の掲載を求める権利としてのアクセス権 undefined 私生活をみだりに公開されない権利としてのプライバシーの権利)
- 最高裁判所が法令を違憲と判断した判決として妥当なものはどれですか。 (ア 猿払事件で、公務員の政治的行為を一律に禁止する規定を 21 条に反し違憲とした イ 小売市場事件で、小売市場の開設許可制を職業選択の自由に反し違憲とした ウ 森林法共有林事件で、共有林の分割請求を制限する規定を財産権の侵害として違憲とした エ 夫婦同氏事件で、夫婦同姓を定める民法の規定を 24 条に反し違憲とした undefined 津地鎮祭事件で、市が体育館の起工式として地鎮祭の費用を支出したことを政教分離に反し違憲とした)
- 外国人の人権に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 外国人には国政選挙の選挙権が憲法上保障されており、公職選挙法がこれを制限するのは違憲である イ 外国人には社会権が保障されないので、国民年金など社会保障制度の対象にすることは許されない ウ 外国人には出入国の自由が国民と同じ範囲で保障され、在留期間の更新を拒むことはできない エ 最高裁は、地方公共団体の選挙権を永住外国人に法律で付与することは憲法上禁止されていないとした undefined 外国人には憲法上の人権はいっさい保障されず、法律で個別に認められた範囲の権利をもつにすぎないとされる)
- 日本国憲法と大日本帝国憲法の比較に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 大日本帝国憲法の下では帝国議会が唯一の立法機関とされ、天皇に立法権はなかった イ 大日本帝国憲法には地方自治の章が置かれていたが、日本国憲法では削除された ウ 日本国憲法は改正手続を通常の法律と同じにした軟性憲法である エ 大日本帝国憲法は民定憲法、日本国憲法は欽定憲法である undefined 日本国憲法では天皇は象徴とされ、国政に関する権能をもたず国事行為のみを行う)
- 日本国憲法の人権規定の条文に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 信教の自由は保障されるが、国およびその機関は宗教教育を行うことができる(20 条) イ 教育を受ける権利は保障され、義務教育の無償の範囲は教科書代まで含むと憲法が明記している(26 条) ウ 検閲は禁止され、通信の秘密は侵してはならないと定めている(21 条 2 項) エ 華族その他の貴族の制度は認められないが、栄典の授与に伴う特権は一代に限り認められる(14 条) undefined 公務員の選定・罷免は国民固有の権利であるが、投票の秘密は法律の定める場合には制限できる(15 条))
発展
- 精神的自由に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 博多駅事件で、報道機関の取材の自由は 21 条で絶対的に保障され、取材フィルムの提出命令は許されないとした イ チャタレイ事件で、わいせつ文書の販売を処罰することは表現の自由の侵害にあたり違憲とした ウ 北方ジャーナル事件で、名誉毀損を理由とする出版物の事前差止めは検閲にあたり、いかなる場合も許されないとした エ 津地鎮祭事件で、目的効果基準を用いたうえで市の地鎮祭費用の支出を違憲とした undefined 空知太神社事件で、市が神社の敷地として市有地を無償で提供していたことを 89 条に反し違憲とした)
- 法の下の平等(14 条)に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 再婚禁止期間事件で、女性のみに 6 か月の再婚禁止期間を設ける規定のうち 100 日を超える部分を違憲とした イ 尊属殺重罰規定事件で、尊属を重く保護する立法目的そのものが不合理であるとして違憲とした ウ 議員定数不均衡訴訟で、最高裁は衆議院の一票の格差が 2 倍を超えれば直ちに違憲として選挙を無効とし、やり直しを命じてきた エ 夫婦同氏事件で、夫婦同姓を定める民法 750 条を 14 条に反し違憲とした undefined 国籍法事件で、婚外子の国籍取得に父母の婚姻を要求する規定を法律婚を尊重する合理的な区別として合憲とした)
- 公務員・在監者など特別な関係にある者の人権に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 麹町中学内申書事件で、生徒の学生運動への参加を内申書に記載したことは思想・良心の自由を侵害し違憲であるとした イ よど号ハイジャック記事抹消事件で、未決拘禁者の新聞閲読の制限は、監獄内の規律や秩序の維持に障害が生じる相当の蓋然性がある場合に限って許されるとした ウ 全農林警職法事件で、公務員の争議行為を一律に禁止することは 28 条の労働基本権の保障に反し違憲であるとした エ 東京都管理職選考事件で、外国籍の職員を管理職の選考試験から除外することは 14 条の法の下の平等に反し違憲であるとした undefined 猿払事件で、公務員の政治的行為を一律に禁止することは表現の自由を過度に制約するものであり、罰則を科す限度で違憲であるとした)
- 最高裁判所が法令を違憲と判断した次の判決を、年代の古い順に正しく並べたものはどれですか。 ア:国籍法事件 イ:薬事法距離制限事件 ウ:尊属殺重罰規定事件 エ:在外邦人選挙権制限事件 (ア ウ → イ → エ → ア イ イ → ウ → ア → エ ウ ウ → イ → ア → エ エ イ → ウ → エ → ア undefined ウ → エ → イ → ア)
日本国憲法の基本と人権 ── 解答
基礎
- 310 465 × 2/3 = 310。これ以上の整数は 310 人。出席議員ではなく<strong>総議員</strong>の 3 分の 2 なので、欠席者がいても必要数は変わらない。
- エ 参政権 選挙権 15・国民審査 79・憲法改正国民投票 96・地方特別法の住民投票 95 が参政権。
- ウ 各議院の総議員の 3 分の 2 以上の賛成 96 条。発議は総議員の 3 分の 2 以上、承認は国民投票の過半数。
- エ 何人も、現行犯として逮捕される場合を除き、裁判官の発する令状がなければ逮捕されない 33 条。38 条は自白だけで有罪にできないと定める。39 条は遡及処罰の禁止と一事不再理。36 条は拷問と残虐な刑罰を絶対に禁止する(条文の文言)。
- undefined 社会権を世界で初めて明文で保障した憲法は、1919 年のドイツのワイマール憲法とされる ワイマール憲法(1919 年)が社会権の先駆け。社会権は「国家による自由」。労働三権は 28 条。堀木訴訟は合憲。義務教育の無償は授業料の無償を意味するとした(最大判昭和 39 年。教科書は法律で無償)。
- ア 25 条(生存権) 朝日訴訟(最大判昭和 42 年)の争点は 25 条(生存権)。判例は「事件名 → 条文 → 合憲か違憲か」の 3 点セットで覚える。薬事法(22 条・違憲)と森林法(29 条・違憲)は経済的自由、愛媛玉串料(20 条 3 項・89 条・違憲)と猿払(21 条・合憲)と博多駅(21 条・提出命令は適法)は精神的自由、尊属殺(14 条・違憲)、朝日訴訟(25 条・プログラム規定的な理解)、京都府学連(13 条・肖像権)、全農林警職法(28 条・合憲)。
- イ 理由を直ちに告げられ弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留・拘禁されない 34 条は「理由を直ちに告げられ弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留・拘禁されない」。人身の自由は 31 条(法定手続)→ 33 条(逮捕の令状主義)→ 34 条(弁護人依頼権)→ 35 条(住居の令状主義)→ 36 条(拷問・残虐刑の禁止)→ 38 条(自白)→ 39 条(遡及処罰の禁止・一事不再理)の順に並び、40 条(刑事補償)は国務請求権に分類される。番号を 1 つずらした肢に注意。
- エ 天皇の国事行為には国会の召集・衆議院の解散・法律の公布などがあり、いずれも内閣の助言と承認を必要とする 3 条・7 条。内閣総理大臣は国会の指名に基づき、最高裁長官は内閣の指名に基づいて天皇が任命する(6 条)。天皇は国政に関する権能をもたず(4 条)、法律案の拒否権はない。皇室典範は国会の議決で改正できる法律(2 条)。国事行為の責任は内閣が負う(3 条)。
標準
- 2993 過半数は「半分を超える」こと。5985 ÷ 2 = 2992.5 なので、これを超える最小の整数 2993 万票。半分ちょうどでは承認されない。有権者総数ではなく<strong>有効投票</strong>が分母。
- ア 472 人 衆院 465 × 2/3 = 310 人、参院 242 × 2/3 = 161.33 → 162 人。合計 472 人。両院それぞれで 3 分の 2 が要るので、合計 3 分の 2 でも過半数でもない。
- ウ 人権規定は権利の性質上国民のみを対象とするものを除き外国人にも及ぶが、在留の可否は国の裁量に属する マクリーン事件は「性質説」。在留中の政治活動を在留期間更新の判断で不利に考慮しても違憲ではないとした。
- undefined 私生活をみだりに公開されない権利としてのプライバシーの権利 「宴のあと」事件はモデル小説をめぐる下級審判決で、プライバシー権を初めて承認した。
- ウ 森林法共有林事件で、共有林の分割請求を制限する規定を財産権の侵害として違憲とした 森林法共有林事件(最大判昭和 62 年)は 29 条違反の違憲判決。津地鎮祭は合憲、小売市場は合憲、夫婦同氏は合憲(平成 27 年・令和 3 年)、猿払事件は合憲。
- エ 最高裁は、地方公共団体の選挙権を永住外国人に法律で付与することは憲法上禁止されていないとした 最判平成 7 年。国政選挙権は国民に限られるが、地方選挙権を法律で永住外国人に与えることは禁止されていない(許容説)。実際には付与されていない。出入国の自由や在留の可否は国の裁量。
- undefined 日本国憲法では天皇は象徴とされ、国政に関する権能をもたず国事行為のみを行う 1 条・4 条。明治憲法は欽定憲法で、天皇が統治権を総攬し、帝国議会は協賛機関。地方自治の章は日本国憲法で新設。日本国憲法は硬性憲法。
- ウ 検閲は禁止され、通信の秘密は侵してはならないと定めている(21 条 2 項) 21 条 2 項は検閲の禁止と通信の秘密。14 条 3 項は栄典に「いかなる特権も伴はない」とし、貴族制度も認めない。20 条 3 項は国とその機関の宗教教育・宗教的活動を禁止。15 条 4 項は投票の秘密を「侵してはならない」と定め、法律で制限できるとはしていない。26 条 2 項の「無償」は授業料の無償の意味で(最大判昭和 39 年)、教科書は法律で無償にしている。
発展
- undefined 空知太神社事件で、市が神社の敷地として市有地を無償で提供していたことを 89 条に反し違憲とした 空知太神社事件(最大判平成 22 年)。博多駅事件は取材の自由を「十分尊重に値する」としつつ提出命令を認めた。北方ジャーナル事件は厳格な要件のもとで事前差止めを例外的に許容。チャタレイ事件は有罪。津地鎮祭は合憲。
- ア 再婚禁止期間事件で、女性のみに 6 か月の再婚禁止期間を設ける規定のうち 100 日を超える部分を違憲とした 再婚禁止期間事件(最大判平成 27 年)。国籍法事件は違憲(平成 20 年)。定数訴訟は「違憲状態」や事情判決の手法で、選挙を無効とした最高裁判決はない。尊属殺は目的は合理的・手段が不合理。夫婦同氏は合憲。
- イ よど号ハイジャック記事抹消事件で、未決拘禁者の新聞閲読の制限は、監獄内の規律や秩序の維持に障害が生じる相当の蓋然性がある場合に限って許されるとした よど号ハイジャック記事抹消事件(最大判昭和 58 年)。猿払事件(最大判昭和 49 年)は一律禁止を合憲、全農林警職法事件(最大判昭和 48 年)も争議行為の一律禁止を合憲。東京都管理職選考事件(最大判平成 17 年)は、公権力の行使にあたる管理職への外国人の任用を制限しても違憲ではないとした。麹町中学内申書事件(最判昭和 63 年)は、内申書の記載は思想・信条そのものを記載したものではなく違法ではないとした。「特別な関係にある者への制限を違憲とした」と結論を逆にする肢が定番。
- ア ウ → イ → エ → ア 尊属殺重罰規定(1973 年・戦後初の法令違憲)→ 薬事法距離制限(1975 年)→ 在外邦人選挙権制限(2005 年)→ 国籍法(2008 年)。この後に非嫡出子相続分(2013 年)・再婚禁止期間(2015 年)・在外邦人の国民審査権制限(2022 年)・性同一性障害特例法の生殖能力要件(2023 年)・旧優生保護法(2024 年)と続く。「戦後初」と「最も新しい」を問う型に備えて両端を固定しておく。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/shakai/zk-01/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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