財政と金融(予算・租税・日本銀行) ── 問題
基礎
- ある銀行に最初に 400 万円の預金があり、支払準備率が 10% のとき、信用創造によって預金の総額は最大でいくらになりますか(万円)。
- ある銀行に最初に 100 万円の預金があり、支払準備率が 5% のとき、信用創造によって新たに作り出される預金(最初の預金を除く)は最大でいくらですか(万円)。
- 住民税の分類と特徴の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 都道府県が課税する直接税で、事業を営む個人や法人が納める イ 国が課税する直接税で、所得が多いほど高い税率がかかる累進課税がとられている ウ 都道府県と市町村が課税する直接税で、前年の所得をもとに税額が決まる エ 市町村が課税する間接税で、税を納める事業者と負担する住民が異なる undefined 国が課税する間接税で、商品の価格に上乗せして消費者が負担する)
- 金融政策について、日本銀行が買いオペレーションを行ったとき、市場に起こる変化として妥当なものはどれですか。 (ア 家計の預金が日本銀行に移り、預金通貨の量が減る イ 金融機関の手元資金が増えて貸出しがしやすくなり、市場の金利は下がる ウ 金融機関の手元資金が減って貸出しがしにくくなり、市場の金利は上がる エ 金融機関の手元資金は変わらないが、国債の価格が下がって金利が上がる undefined 政府の税収が増えて、国債の発行額を減らすことができる)
- 国の予算の手続きに関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 予算は内閣が作成して国会に提出し、先に参議院に提出しなければならず、参議院が 60 日以内に議決しないときは否決したものとみなされる イ 予算は国会議員が作成して提出し、先に衆議院に提出しなければならず、参議院が受け取ってから 30 日以内に議決しないときは廃案となる ウ 予算は財務省が作成して国会に提出し、衆議院と参議院のどちらに先に提出してもよく、両院の議決が一致しなければ廃案となる エ 予算は内閣が作成して国会に提出し、先に衆議院に提出しなければならず、参議院が受け取ってから 30 日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる undefined 予算は内閣が作成して国会に提出し、先に衆議院に提出しなければならず、参議院が受け取ってから 60 日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる)
- 日本銀行の役割に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 日本銀行は民間の金融機関から預金を受け入れる銀行の銀行であるが、金融政策の決定は内閣が行い、日本銀行はそれを執行するにとどまる イ 日本銀行は日本銀行券を発行する唯一の発券銀行であり、民間の金融機関と取引する銀行の銀行、国庫金を扱う政府の銀行という役割をもつ ウ 日本銀行は国庫金の出し入れを扱う政府の銀行であるが、紙幣の発行は財務省が行っており、日本銀行は発券には関与しない エ 日本銀行は政府の一機関として財務大臣の指揮の下で金融政策を決定し、政策委員会は財務省の職員で構成されている undefined 日本銀行は紙幣と硬貨の両方を発行する発券銀行であり、個人や一般企業からも預金を受け入れて貸出しを行っている)
標準
- 課税所得 300 万円までの部分には 5%、300 万円を超える部分には 40% の税率がかかる超過累進税率のもとで、課税所得が 700 万円の人の税額はいくらですか。 (ア 160 万円 イ 175 万円 ウ 295 万円 エ 35 万円 undefined 280 万円)
- ある年度の国の一般会計は、税収などの歳入が 59 兆円、公債金(国債の発行収入)が 49 兆円、国債費を除く政策的経費が 91 兆円、国債費が 17 兆円で、歳入と歳出は等しくなっています。この年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は何兆円ですか。
- 税抜き価格 3000 円の飲食料品(軽減税率 8% の対象)と、税抜き価格 2000 円の日用品(標準税率 10%)を同時に買ったとき、支払う税込みの合計金額はいくらですか。 (ア 5460 円 イ 5440 円 ウ 5240 円 エ 5400 円 undefined 5500 円)
- 次の政策は、財政の機能のうちどれの例として妥当ですか。好況で所得が増えると、累進課税によって税負担が自動的に重くなり、消費の行きすぎが抑えられる。 (ア 資源配分の調整 イ 物価の安定(金融政策の役割) ウ 経済の安定化(ビルト・イン・スタビライザー) エ 所得の再分配 undefined 経済の安定化(フィスカル・ポリシー))
- 「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公債金を除く歳入と、国債費を除く歳出の差で、その年の政策的な経費を借金に頼らずまかなえているかを示す イ 国債の発行額と償還額の差で、その年に国債残高がどれだけ増えたかを示す ウ 税収と国債費の差で、税収でどれだけ借金の返済に充てられるかを示す エ 歳入の総額と歳出の総額の差で、国債の発行を含めた年度全体の収支を示す undefined 歳入に占める公債金の割合で、財政が国債にどれだけ依存しているかを示す)
- 国債の発行に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 財政法は国債を日本銀行に直接引き受けさせることを原則としており、市中の金融機関への売却は例外的にしか認められない イ 赤字国債は 1990 年代に初めて発行されて以来、一度も発行されなかった年度がなく、建設国債より発行の歴史が長い ウ 財政法は公共事業費などに充てる建設国債の発行のみを認めており、歳入不足を補う赤字国債は年度ごとに特例法を制定して発行している エ 財政法は国債の発行を全面的に禁止しているため、赤字国債も建設国債も毎年度の特例法によって発行している undefined 財政法は建設国債と赤字国債の両方の発行を認めており、いずれも国会の議決を経ずに財務大臣の判断で発行できる)
- 日本の消費税に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 消費税はシャウプ勧告に基づいて 1949 年に導入された間接税で、税率は導入以来 10% で変わっていない イ 消費税は 1989 年に税率 3% で導入され、その後 5%・8% を経て 2019 年に 10% となり、同時に飲食料品などを対象とする軽減税率 8% が導入された ウ 消費税は 1989 年に税率 5% で導入され、2014 年に 8%、2019 年に 10% となったが、軽減税率はまだ導入されていない エ 消費税は納める人と負担する人が同じ直接税であり、所得が高い人ほど所得に対する負担の割合が重くなる undefined 消費税の税率 10% はすべて国の収入となり、地方公共団体には地方交付税を通じてのみ配分される)
発展
- 租税の公平に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 累進課税では所得全体に最高税率がかかるため、所得が税率の区分を少し超えただけで手取りが大きく減る問題があり、これを逆進性という イ 水平的公平とは負担する力の大きい人ほど多く負担すべきという考え方で、消費税は所得にかかわらず同じ税率であるため水平的公平を最もよく実現している ウ 垂直的公平とは同じ負担する力の人は同じだけ負担すべきという考え方で、給与所得者と自営業者で所得の捕捉率が異なる問題は垂直的公平の問題である エ 垂直的公平とは負担する力の大きい人ほど多く負担すべきという考え方で、所得税の累進課税はこれを実現する仕組みであり、消費税には所得が低い人ほど負担の割合が重くなる逆進性がある undefined 消費税は所得の高い人ほど消費額が大きく税額も大きいため、所得に対する負担の割合も所得が高い人ほど重くなる累進的な税である)
- 1990 年代以降の日本銀行の金融政策に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 2016 年に導入したマイナス金利政策は、家計の普通預金の金利をマイナスにして貯蓄から消費への流れをつくる政策である イ 2013 年に始めた量的・質的金融緩和は、日本銀行が国債の買入れをやめて売りオペに転じることで物価上昇率 2% を目指す政策である ウ 2001 年に操作目標を金利から日本銀行当座預金残高に変えた量的緩和政策を導入し、2013 年には物価上昇率 2% を目標に国債を大量に買い入れる量的・質的金融緩和を始め、2016 年にはマイナス金利政策を導入した エ 1999 年に導入したゼロ金利政策は現在まで一度も解除されておらず、2024 年時点でも政策金利はゼロに据え置かれている undefined 1990 年代以降、日本銀行は預金準備率の引き下げを金融緩和の中心的な手段として毎年のように行ってきた)
- 日本の金融制度に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 金融機関が破綻したとき預金保険制度で保護されるのは元本 1,000 万円までであり、利息は保護されず、決済用預金も 1,000 万円が上限となる イ 金融機関が破綻したとき預金保険制度で保護されるのは、1 金融機関につき預金者 1 人あたり元本 1,000 万円までとその利息であり、利息のつかない決済用預金は全額が保護される ウ 国際的な業務を行う銀行には自己資本比率を 4% 以上に保つことが求められ、国内業務のみの銀行には 8% 以上が求められる エ 金融機関の監督は 1990 年代から一貫して財務省(旧大蔵省)が行っており、金融庁は金融商品の広告を審査する機関である undefined 1990 年代後半の日本版金融ビッグバンでは、銀行・証券・保険の相互参入が禁止され、金融持株会社の設立も認められなくなった)
財政と金融(予算・租税・日本銀行) ── 解答
基礎
- 4000 預金の総額 = 最初の預金 ÷ 支払準備率 = 400 ÷ 0.1 = 4000 万円。最初の預金の 10 倍まで預金通貨がふくらむ。
- 1900 預金の総額は 100 ÷ 0.05 = 2000 万円。ここから最初の預金 100 万円を引いた 1900 万円が、信用創造で新たに作り出された預金。「総額」と「作り出された額」を区別する。
- ウ 都道府県と市町村が課税する直接税で、前年の所得をもとに税額が決まる 住民税は都道府県と市町村が課税する直接税で、前年の所得をもとに税額が決まる。「国か地方か」「納める人と負担する人が同じか違うか」の 2 つの軸で分類する。
- イ 金融機関の手元資金が増えて貸出しがしやすくなり、市場の金利は下がる 金融機関の手元資金が増えて貸出しがしやすくなり、市場の金利は下がる。「お金を増やして金利を下げるのが緩和(不況時)、減らして上げるのが引き締め(過熱時)」の向きにそろえる。買いオペ・利下げ・準備率引き下げが緩和側。
- エ 予算は内閣が作成して国会に提出し、先に衆議院に提出しなければならず、参議院が受け取ってから 30 日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる 憲法 86 条(内閣が作成・提出)、60 条 1 項(衆議院の先議)、60 条 2 項(30 日で衆議院の議決が国会の議決)。法律案の「60 日で否決とみなす」(59 条)と混同しない。
- イ 日本銀行は日本銀行券を発行する唯一の発券銀行であり、民間の金融機関と取引する銀行の銀行、国庫金を扱う政府の銀行という役割をもつ 発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行の 3 つ。硬貨は政府が発行する。日本銀行は個人や一般企業とは取引しない。金融政策は日本銀行の政策委員会(金融政策決定会合)が決め、1997 年の日本銀行法改正で政府からの独立性が強められた。
標準
- イ 175 万円 区分ごとに計算して足す。300 × 5% = 15 万円、(700 − 300) × 40% = 160 万円。合計 175 万円。所得全体に 40% をかけた 280 万円ではない。
- 32 プライマリーバランス = 税収などの歳入 − 政策的経費 = 59 − 91 = −32 兆円。赤字は 32 兆円。公債金 49 兆円から国債費 17 兆円を引いても同じ 32 兆円になる(借金のうち、過去の借金の返済に回らず政策に使われた分)。
- イ 5440 円 飲食料品は 3000 × 1.08 = 3240 円、日用品は 2000 × 1.10 = 2200 円。合計 5440 円。全部に 10% をかけた 5500 円ではない。軽減税率の対象は飲食料品(酒類・外食を除く)と定期購読の新聞。
- ウ 経済の安定化(ビルト・イン・スタビライザー) 経済の安定化(ビルト・イン・スタビライザー)。公共財の供給は資源配分、格差を縮めるのは所得再分配、景気の波を小さくするのは経済の安定化。安定化は「政府がその都度決める(フィスカル・ポリシー)」か「制度が自動で働く(ビルト・イン・スタビライザー)」かで分ける。
- ア 公債金を除く歳入と、国債費を除く歳出の差で、その年の政策的な経費を借金に頼らずまかなえているかを示す プライマリーバランス(基礎的財政収支)とは、公債金を除く歳入と、国債費を除く歳出の差で、その年の政策的な経費を借金に頼らずまかなえているかを示す。誤答は別の用語(建設国債と赤字国債、一般会計と特別会計、マネタリーベースと信用創造など)の説明になっている。
- ウ 財政法は公共事業費などに充てる建設国債の発行のみを認めており、歳入不足を補う赤字国債は年度ごとに特例法を制定して発行している 建設国債の原則(財政法 4 条ただし書)と市中消化の原則(5 条・日銀引受けは原則禁止)。赤字国債は 1965 年度に戦後初めて発行され、1975 年度以降ほぼ毎年度発行されている(1990〜93 年度は発行なし)。
- イ 消費税は 1989 年に税率 3% で導入され、その後 5%・8% を経て 2019 年に 10% となり、同時に飲食料品などを対象とする軽減税率 8% が導入された 1989 年 3% → 1997 年 5% → 2014 年 8% → 2019 年 10%(軽減税率 8%)。10% のうち 2.2% は地方消費税。消費税は間接税で逆進性がある。シャウプ勧告(1949 年)は直接税中心の税制を勧告したもので、消費税とは関係がない。
発展
- エ 垂直的公平とは負担する力の大きい人ほど多く負担すべきという考え方で、所得税の累進課税はこれを実現する仕組みであり、消費税には所得が低い人ほど負担の割合が重くなる逆進性がある 垂直的公平(力に応じて)=累進課税、水平的公平(同じ力なら同じ負担)=捕捉率の問題(クロヨン)。消費税は税額は高所得者が大きくても、所得に対する割合は低所得者ほど重い(逆進性)。累進課税は区分ごとに税率をかける超過累進で、区分を超えても手取りが逆転することはない。
- ウ 2001 年に操作目標を金利から日本銀行当座預金残高に変えた量的緩和政策を導入し、2013 年には物価上昇率 2% を目標に国債を大量に買い入れる量的・質的金融緩和を始め、2016 年にはマイナス金利政策を導入した ゼロ金利(1999 年)→ 量的緩和(2001〜2006 年)→ 量的・質的金融緩和(2013 年)→ マイナス金利(2016 年)→ 2024 年 3 月にマイナス金利を解除。マイナス金利がかかるのは日本銀行当座預金の一部で、家計の預金金利ではない。預金準備率操作は 1991 年を最後に使われていない。
- イ 金融機関が破綻したとき預金保険制度で保護されるのは、1 金融機関につき預金者 1 人あたり元本 1,000 万円までとその利息であり、利息のつかない決済用預金は全額が保護される ペイオフは元本 1,000 万円とその利息、決済用預金は全額保護(2005 年全面解禁)。ビッグバンは相互参入・持株会社の解禁など自由化の方向。監督は 2000 年発足の金融庁。BIS 規制は国際業務 8%・国内業務 4%。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/shakai/zk-05/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
📄 紙で解くなら プリント(レベルと問題数を選べます)。このページをそのまま印刷しても各レベル 10 問と解答が出ます。