国民所得と景気・国際経済 ── 問題
基礎
- ある年の名目 GDP が 412 兆円、GDP デフレーターが 80(基準年 = 100)のとき、実質 GDP は何兆円ですか。
- ある国の実質 GDP が前年の 500 兆円から今年は 520 兆円になりました。今年の実質経済成長率は何%ですか。
- 景気循環のうち「ジュグラーの波」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 周期は約 20 年で、住宅や建物の建築需要の増減が原因とされる イ 周期は約 50 年で、大きな技術革新が原因とされる ウ 周期は約 40 か月で、企業の在庫投資の増減が原因とされる エ 周期は約 10 年で、企業の設備投資の増減が原因とされる undefined 周期は約 10 年で、原油価格の変動が原因とされる)
- 次の状況を表す用語として妥当なものはどれですか。生産が落ちこんで失業が増えているにもかかわらず、物価の上昇が同時に続いている。 (ア デフレ・スパイラル イ スタグフレーション ウ ディマンド・プル・インフレーション エ コスト・プッシュ・インフレーション undefined ハイパー・インフレーション)
- GDP(国内総生産)に計上されるものに関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 主婦や主夫が家庭内で行う家事労働は、社会に価値を生み出しているので市場価格で評価して GDP に計上される イ 中古住宅の売買代金は、その年に住宅の所有者が変わって取引が成立しているので GDP に計上される ウ 株式の売買で得た利益は、その年に生み出された所得なので GDP に計上される エ 持ち家の帰属家賃や農家の自家消費分は、市場で取引されていなくても例外として GDP に計上される undefined 年金や生活保護の給付は、その年に家計が受け取った所得なので GDP に計上される)
- 円高が日本経済に与える影響に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 円高になると日本の輸出品のドル建て価格が下がるため輸出には有利になる一方、輸入品の円建て価格は上がるため輸入には不利になる イ 円高になると海外旅行の費用は円で見て高くなるため、日本から海外への旅行者は減る傾向がある ウ 円高とは 1 ドルと交換するのに必要な円が増えることであり、たとえば 1 ドル = 100 円から 1 ドル = 120 円になることをいう エ 円高になると日本の輸出品のドル建て価格が上がるため輸出には不利になる一方、輸入品の円建て価格は下がるため輸入には有利になる undefined 円高は日本の金利が海外より低下したときに起こりやすく、日本から海外への資金の流出が円高の原因となる)
- ある国の 1 年間の民間消費が 335 兆円、民間投資が 104 兆円、政府支出が 106 兆円、輸出が 95 兆円、輸入が 128 兆円でした。支出面から見た GDP は何兆円ですか。
標準
- ある国の GDP が 400、海外からの所得が 37、海外への所得が 18、固定資本減耗が 108、間接税が 37、補助金が 10 のとき、国民所得(NI)はいくらですか。
- 為替相場が 1 ドル = 120 円から 1 ドル = 100 円に変化しました。日本国内で 30000 円の製品を輸出するとき、変化後のドル建て価格はいくらですか(ドル)。
- 戦後日本経済における「高度経済成長」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 1950 年に始まった朝鮮戦争にともなう米軍の物資需要で、日本の景気が回復したことをいう イ 1980 年代後半、低金利で余った資金が株式や土地に流れ、資産価格が実態から離れて高騰した状態をいう ウ 1955 年から 1973 年まで続いた、実質で年平均およそ 10% の高い経済成長をいう エ 1990 年代後半から続いた、物価が持続的に下落する状態をいう undefined 1974 年から 1980 年代前半まで続いた、年率 4〜5% 程度の安定した成長をいう)
- 国際経済における「IMF(国際通貨基金)」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 1995 年に設立された、貿易ルールの運用と紛争処理を行う国際機関である イ 1961 年に設立された、先進国の経済政策の調整と発展途上国援助を目的とする機関である ウ 1944 年の協定に基づき設立された、戦後復興と発展途上国の開発のための長期融資を行う機関である エ 1947 年に調印された、自由・無差別・多角を原則として関税の引き下げなどを進めた国際協定である undefined 1944 年の協定に基づき設立された、為替相場の安定と国際収支が悪化した国への短期融資を行う機関である)
- 国民所得の指標に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア GNI は GDP に海外からの所得を加え、海外への所得を引いたもので、海外で働く日本人の所得も日本の GNI に含まれる イ NI(国民所得)は NNP(国民純生産)に間接税を加え、補助金を差し引いて求める ウ 国民所得は生産・分配・支出の 3 つの面から見ることができ、生産面が最も大きく、支出面が最も小さくなる エ GDP は国内で一定期間に生産された財・サービスの総額であり、原材料などの中間生産物の価値も含めて合計する undefined 国富は一国の土地・建物・機械などの実物資産と国内の預金・株式などの金融資産をすべて合計したものであり、ある時点のストックの指標である)
- 日本の国際収支統計(2014 年以降の形式)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 第二次所得収支には海外投資から得る利子・配当が計上され、第一次所得収支には無償援助や海外への送金などが計上される イ 経常収支は貿易・サービス収支と第一次・第二次所得収支からなり、海外投資の利子・配当は第一次所得収支に入る ウ 資本移転等収支には外貨準備の増減が計上され、金融収支には資本形成のための無償資金協力が計上される エ 近年の日本は貿易収支の大幅な黒字が経常収支の黒字を支えており、第一次所得収支は赤字が続いている undefined 経常収支は貿易収支と金融収支からなり、海外への直接投資や証券投資は経常収支の一部として計上される)
- 景気と物価の指標に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 消費者物価指数は総務省が、企業物価指数は日本銀行が作成しており、景気の現状判断には内閣府の景気動向指数や日本銀行の短観などが使われる イ 経済成長率はふつう名目 GDP の増加率で測り、物価が上昇した年は実質成長率のほうが名目成長率より高くなる ウ GDP デフレーターは実質 GDP を名目 GDP で割って求める指標で、その値が 100 を超えていれば基準年より物価が下落したことを示す エ 景気循環は好況・後退・不況・回復の 4 局面からなり、キチンの波は約 10 年周期で設備投資の増減が原因とされる undefined 消費者物価指数は日本銀行が、企業物価指数は総務省が作成しており、どちらも家計が購入する財・サービスの価格の動きを測る)
- ある国の前年の名目 GDP は 500 兆円で、GDP デフレーターは 100 でした。今年の名目 GDP は 530.4 兆円、GDP デフレーターは 102 です。今年の実質経済成長率は何%ですか。
- 為替相場の変動とその要因に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 円高になると日本人の海外旅行は不利になり、外国人が日本を旅行するときには有利になる イ 日本の輸出が増え、代金として受け取ったドルを円に交換する動きが強まると、円が売られて円安になりやすい ウ 1 ドル = 150 円から 1 ドル = 140 円になることを円安といい、日本の輸入品の円建て価格は上がる エ 日本の物価上昇率が米国より高い状態が長く続くと、購買力の面から長期的には円高になりやすい undefined 日本の金利が海外より高くなると、円建ての資産で運用する動きが強まって円が買われ、円高になりやすい)
発展
- A 国では X 財 1 単位の生産に 20 人、Y 財 1 単位の生産に 60 人の労働者が必要で、B 国では X 財 1 単位に 40 人、Y 財 1 単位に 20 人が必要です。両国とも現在は X 財と Y 財を 1 単位ずつ生産しています。リカードの比較生産費説に従い、各国が比較優位をもつ財に労働者全員を振り向けて完全に特化したとき、X 財の生産量は両国合わせて何単位になりますか。
- 戦後の国際通貨体制の流れに関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 1976 年のキングストン合意で主要国は変動相場制を廃止して固定相場制に戻り、1985 年のプラザ合意で再び変動相場制に移行した イ 1944 年のブレトン・ウッズ協定で主要国はそろって変動相場制を採用し、1971 年のスミソニアン協定で戦後初めて 1 ドル = 360 円の固定相場が新たに設定された ウ 1985 年のプラザ合意は、行きすぎたドル安を是正するために先進 5 か国がドル買いの協調介入を行うことを決めたものである エ 1944 年のブレトン・ウッズ協定で金ドル本位の固定相場制が成立し、1971 年のニクソン・ショックで金とドルの交換が停止され、1973 年に変動相場制へ移行した undefined 1971 年のニクソン・ショックとは、米国がドルを切り上げて 1 ドル = 308 円とし、固定相場制を強化した出来事である)
- 貿易に関する学説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 比較生産費説は、各国が絶対的に生産性の高い財にのみ特化すべきだとする学説で、すべての財で劣る国は貿易から利益を得られないとする イ リストは、発展の遅れた国でも自由貿易によって幼稚産業が成長するとして、関税による保護をやめるべきだと主張した ウ リカードの比較生産費説によれば、ある国がすべての財の生産で他国より生産性が高い場合、その国はすべての財を自国で生産して輸出し、貿易の利益を一方的に独占する エ アダム・スミスは、国の富は金・銀の保有量で決まるため、輸出を増やして輸入を抑える保護貿易政策をとるべきだと主張した undefined リカードの比較生産費説によれば、ある国がすべての財の生産で他国より生産性が高い場合でも、相対的に生産性の高い財に特化して貿易すれば両国とも利益を得られる)
- 国際的な貿易体制に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア WTO のドーハ・ラウンドは 2001 年に始まり、2008 年に全分野で最終合意に達して交渉を終えた イ GATT のウルグアイ・ラウンド(1986〜94 年)は、農産物・サービス・知的財産権を交渉の対象に加え、WTO の設立を決めた ウ 日本は 2018 年発効の TPP11(CPTPP)には参加しているが、中国などが加わる 2022 年発効の RCEP には参加していない エ FTA は投資や人の移動まで含む幅広い連携を定める協定であり、EPA は関税の撤廃だけを定める協定である undefined GATT は 1995 年に設立された国際機関で、加盟国間の貿易紛争を処理する手続を強化した点に特徴がある)
国民所得と景気・国際経済 ── 解答
基礎
- 515 GDP デフレーター = 名目 ÷ 実質 × 100 なので、実質 = 名目 ÷ デフレーター × 100 = 412 ÷ 80 × 100 = 515 兆円。デフレーターが 100 より小さいので、実質は名目より大きくなる(物価下落分を戻した)。
- 4 経済成長率 = (今年 − 前年) ÷ 前年 × 100 = (520 − 500) ÷ 500 × 100 = 20 ÷ 500 × 100 = 4%。今年の値ではなく前年の値で割る。
- エ 周期は約 10 年で、企業の設備投資の増減が原因とされる ジュグラーの波は、周期は約 10 年で、企業の設備投資の増減が原因とされる。短い順に、キチン(在庫・約 40 か月)→ ジュグラー(設備・約 10 年)→ クズネッツ(建築・約 20 年)→ コンドラチェフ(技術革新・約 50 年)。
- イ スタグフレーション スタグフレーション。需要が引っぱる(ディマンド・プル)か、コストが押し上げる(コスト・プッシュ)か。不況と物価上昇の同時進行がスタグフレーション、物価下落の悪循環がデフレ・スパイラル。
- エ 持ち家の帰属家賃や農家の自家消費分は、市場で取引されていなくても例外として GDP に計上される 帰属家賃(持ち家に住む人が自分に家賃を払っているとみなす)・農家の自家消費・公務員の給与などの政府サービスは例外的に計上される。中古品の売買(仲介手数料は除く)・家事労働・株式や土地の売買益・年金などの移転所得は計上されない。
- エ 円高になると日本の輸出品のドル建て価格が上がるため輸出には不利になる一方、輸入品の円建て価格は下がるため輸入には有利になる 円高 = 1 ドルに必要な円が減る(120 円 → 100 円)。輸出には不利、輸入と海外旅行には有利。日本の金利が上がる・輸出が増えるなど円の需要が増えると円高になりやすい。
- 512 GDP(支出面)= 民間消費 + 民間投資 + 政府支出 +(輸出 − 輸入)= 335 + 104 + 106 +(95 − 128)= 512 兆円。純輸出(輸出 − 輸入)は -33 兆円で貿易赤字。三面等価の原則により、生産面・分配面から見た GDP もこれと等しくなる。輸入を足してしまう誤りに注意。
標準
- 284 GNI = GDP + 海外からの所得 − 海外への所得 = 400 + 37 − 18 = 419。NNP = GNI − 固定資本減耗 = 419 − 108 = 311。NI = NNP − 間接税 + 補助金 = 311 − 37 + 10 = 284。
- 300 ドル建て価格 = 円建て価格 ÷ 為替相場 = 30000 ÷ 100 = 300 ドル(変化前は 30000 ÷ 120 = 250 ドル)。1 ドルが 120 円から 100 円になったのは円高で、日本の輸出品のドル建て価格は上がるので輸出に不利になる。
- ウ 1955 年から 1973 年まで続いた、実質で年平均およそ 10% の高い経済成長をいう 高度経済成長とは、1955 年から 1973 年まで続いた、実質で年平均およそ 10% の高い経済成長をいう。傾斜生産方式 → ドッジ・ライン → 朝鮮特需 → 高度経済成長 → 石油危機 → プラザ合意 → バブル → 崩壊、の順番で押さえる。
- undefined 1944 年の協定に基づき設立された、為替相場の安定と国際収支が悪化した国への短期融資を行う機関である IMF(国際通貨基金)は、1944 年の協定に基づき設立された、為替相場の安定と国際収支が悪化した国への短期融資を行う機関である。通貨はブレトン・ウッズ(1944)→ ニクソン・ショック(1971)→ 変動相場制(1973)、貿易は GATT(1947)→ WTO(1995)→ FTA・EPA、の 2 本の流れで整理する。
- ア GNI は GDP に海外からの所得を加え、海外への所得を引いたもので、海外で働く日本人の所得も日本の GNI に含まれる NI = NNP − 間接税 + 補助金。三面等価により生産・分配・支出は事後的に等しい。GDP は付加価値の合計で中間生産物は含めない。国富は実物資産と対外純資産の合計で、国内の金融資産は貸し借りが相殺されるので含めない。
- イ 経常収支は貿易・サービス収支と第一次・第二次所得収支からなり、海外投資の利子・配当は第一次所得収支に入る 経常収支 = 貿易・サービス収支 + 第一次所得収支(投資収益)+ 第二次所得収支(無償援助・送金)。直接投資・証券投資・外貨準備は金融収支。近年の日本は第一次所得収支の黒字が大きく、貿易収支は赤字の年もある。
- ア 消費者物価指数は総務省が、企業物価指数は日本銀行が作成しており、景気の現状判断には内閣府の景気動向指数や日本銀行の短観などが使われる 消費者物価指数=総務省、企業物価指数=日本銀行。デフレーター = 名目 ÷ 実質 × 100 で、100 超なら基準年より物価上昇。キチンの波は約 40 か月・在庫投資。成長率はふつう実質で測り、物価上昇時は名目 > 実質。
- 4 今年の実質 GDP = 名目 ÷ デフレーター × 100 = 530.4 ÷ 102 × 100 = 520 兆円。前年は名目と実質が等しく 500 兆円なので、実質成長率 =(520 − 500)÷ 500 × 100 = 4%。名目成長率は 6.08% で、実質より物価上昇率 2% の分ほど高い(名目成長率 − 物価上昇率 ≒ 実質成長率)。
- undefined 日本の金利が海外より高くなると、円建ての資産で運用する動きが強まって円が買われ、円高になりやすい 金利の高い通貨は買われる。輸出増でドルを円に換えれば円の需要が増えて円高。150 円 → 140 円は 1 ドルを買うのに必要な円が減るので円高で、輸入品は安くなる。円高は海外旅行に有利・外国人の訪日には不利。物価上昇率が高い国の通貨は購買力が落ちるので、長期的には円安の要因。
発展
- 4 各国の中で X 財と Y 財の必要人数の比をとる。A 国は 20/60 = 1/3、B 国は 40/20 = 2。比が小さい A 国が X 財に比較優位、B 国が Y 財に比較優位。A 国の労働者 20 + 60 = 80 人を全員 X 財に回すと 80 ÷ 20 = 4 単位。B 国は Y 財に特化するので X 財は作らない。特化前の合計 2 単位より増える。
- エ 1944 年のブレトン・ウッズ協定で金ドル本位の固定相場制が成立し、1971 年のニクソン・ショックで金とドルの交換が停止され、1973 年に変動相場制へ移行した ブレトン・ウッズ(1944・固定相場・IMF と世界銀行)→ 1 ドル = 360 円(1949)→ ニクソン・ショック(1971・金ドル交換停止)→ スミソニアン協定(1971・308 円に切り上げ)→ 変動相場制(1973)→ キングストン合意(1976・変動相場制を正式承認)→ プラザ合意(1985・ドル高是正のドル売り協調介入)。
- undefined リカードの比較生産費説によれば、ある国がすべての財の生産で他国より生産性が高い場合でも、相対的に生産性の高い財に特化して貿易すれば両国とも利益を得られる 比較生産費説は「相対的に得意な財」への特化を説く(絶対優位ではない)。リストは幼稚産業を守る保護貿易を主張。金銀の保有量を富とみる考えは重商主義で、スミスはそれを批判した。
- イ GATT のウルグアイ・ラウンド(1986〜94 年)は、農産物・サービス・知的財産権を交渉の対象に加え、WTO の設立を決めた GATT は 1947 年調印の協定で、1995 年に国際機関の WTO に発展した。FTA は関税撤廃が中心、EPA はそれに投資・人の移動などを加えた包括的な協定(逆)。日本は CPTPP・RCEP の両方に参加。ドーハ・ラウンドは合意に至らず停滞している。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/shakai/zk-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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