労働と社会保障 ── 問題
基礎
- 時給 2000 円で働く労働者が、ある日 1 日の法定労働時間を超えて 5 時間の時間外労働(深夜・休日ではない)をしました。労働基準法の最低基準で計算すると、この時間外労働に対して支払われる賃金はいくらですか(円)。
- ある国の 15 歳以上人口のうち、就業者が 5820 万人、完全失業者が 180 万人、非労働力人口が 4157 万人です。完全失業率は何%ですか。
- 労働基準法が定める「解雇の予告」の基準として妥当なものはどれですか。 (ア 少なくとも 60 日前に予告するか、60 日分以上の平均賃金を支払う イ 少なくとも 14 日前に予告するか、14 日分以上の平均賃金を支払う ウ 労働者の同意があれば予告なしに即日解雇できる エ 少なくとも 30 日前に予告しなければならず、賃金の支払いで代えることはできない undefined 少なくとも 30 日前に予告するか、30 日分以上の平均賃金を支払う)
- 日本の社会保険のうち「後期高齢者医療制度」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 70 歳以上の医療費を全額公費でまかなう制度で、1973 年に始まった イ 自営業者などが加入する医療保険で、保険者は市町村と都道府県である ウ 75 歳以上を対象とする医療制度で、2008 年に始まった エ 65 歳以上を対象とする医療制度で、2000 年に始まった undefined 40 歳以上が加入し、要介護認定を受けてサービスを利用する保険で、保険者は市町村である)
- 次の制度は、日本の社会保障の 4 つの柱のうちどれにあたりますか。仕事中のけがに対して、事業主が納めた保険料をもとに療養費や休業補償を給付する労災保険 (ア 公的扶助 イ 社会資本の整備(公共事業) ウ 社会福祉 エ 社会保険 undefined 公衆衛生)
- 生活保護制度に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 生活保護の扶助は生活扶助の 1 種類だけであり、医療費や住宅費は別の制度から給付される イ 生活保護は、資産や能力などあらゆるものを活用してもなお生活に困窮する人に対して行われ、生活・教育・住宅・医療などの扶助があり、費用は国が 4 分の 3 を負担する ウ 生活保護の費用は全額を市町村が負担しており、国からの負担はない エ 生活保護は社会保険の一つであり、あらかじめ保険料を納めていた人だけが困窮したときに給付を受けられる undefined 生活保護は憲法 27 条の勤労の権利を具体化した制度で、働く意思のある人にのみ支給される)
標準
- ある月のハローワークの有効求人数が 100 万人、有効求職者数が 400 万人のとき、有効求人倍率はいくらですか。 (ア 0.25 倍 イ 4 倍 ウ 0.75 倍 エ 1.25 倍 undefined 3 倍)
- ある国の公的年金は完全な賦課方式で運営されています。高齢者 4000 万人に 1 人あたり年 60 万円を給付し、その費用を現役世代 6000 万人が均等に負担するとき、現役世代 1 人あたりの年間負担額は何万円ですか。
- 社会保障の歴史における「国民皆保険・国民皆年金」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 1973 年に日本で実現した、70 歳以上の医療費を無料にする体制である イ 1986 年に日本で実現した、全国民共通の基礎年金を 1 階とする 2 階建て年金の体制である ウ 1947 年に日本国憲法の施行とともに実現した、すべての国民が公的な医療保険と年金に加入する体制である エ 1961 年に日本で実現した、すべての国民が公的な医療保険と年金に加入する体制である undefined 2000 年に日本で実現した、40 歳以上が加入する介護保険の体制である)
- 労働に関する法律のうち「育児・介護休業法」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 時間外労働に罰則つきの上限を設け、年 5 日の年次有給休暇の取得を使用者に義務づけた イ 募集・採用・配置・昇進などでの性別による差別を禁止し、1997 年の改正でセクシュアル・ハラスメント防止の配慮義務が加わった ウ 子が原則 1 歳になるまでの育児休業と、家族を介護するための介護休業を男女とも取得できるようにした エ 女性の職業生活での活躍を推進するため、大企業に行動計画の策定と数値目標の公表を義務づけた undefined 子が 3 歳になるまでの育児休業を女性に限って認め、その期間の賃金の全額を事業主が保障するようにした)
- 労働三権と労働三法に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 憲法 28 条が保障する労働三権とは、勤労の権利・団結権・団体交渉権の 3 つであり、争議権は法律で認められたものである イ 労働組合法は、組合員であることを理由とする不利益取扱いや正当な理由のない団体交渉の拒否などを不当労働行為として禁止しており、その審査は労働委員会が行う ウ 労働基準法は、労使の争いを斡旋・調停・仲裁によって解決する手続を定めた法律で、労働基準監督署が仲裁を行う エ 労働組合が行った正当なストライキであっても、使用者に損害を与えた場合には組合が損害賠償責任を負う undefined 労働関係調整法は、労働条件の最低基準を定めた法律で、違反した使用者には罰則が科される)
- 日本の公的年金制度に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 老齢基礎年金を受け取るには保険料の納付済期間などが 25 年以上必要であり、この受給資格期間は制度発足以来変わっていない イ 基礎年金の給付費は全額が加入者の保険料でまかなわれており、国庫からの負担はない ウ 20 歳以上 60 歳未満の全国民が加入する国民年金(基礎年金)を 1 階とし、会社員・公務員が加入する厚生年金を 2 階とする 2 階建ての仕組みで、財源は現役世代の保険料を高齢者の給付に充てる賦課方式を基本としている エ 公的年金は自分が積み立てた保険料を将来自分が受け取る積立方式で運営されているため、少子高齢化が進んでも現役世代の負担が増えることはない undefined 国民年金に加入するのは自営業者と学生に限られ、会社員は厚生年金のみに加入して国民年金には加入しない)
- 日本の医療保険と介護保険に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 介護保険は 65 歳以上の人だけが保険料を負担し、40〜64 歳の人は保険料を負担せずサービスも利用できない イ 介護保険の保険者は都道府県であり、介護サービスを利用するには都道府県知事の要介護認定を受ける必要がある ウ 医療機関の窓口での自己負担は原則 3 割で、75 歳以上は後期高齢者医療制度の対象となり原則 1 割(所得の高い人は 2〜3 割)である エ 後期高齢者医療制度は 2000 年に介護保険と同時に始まった制度で、65 歳以上のすべての人が対象である undefined 医療機関の窓口での自己負担は年齢にかかわらず一律 3 割であり、高齢者や未就学児の負担割合も同じである)
発展
- 時給 1400 円で働く労働者が、1 日 8 時間の勤務を終えた後にそのまま残業し、そのうち 2 時間が深夜(午後 10 時〜午前 5 時)にかかる時間外労働になりました。労働基準法の最低基準で計算すると、この深夜の時間外労働 2 時間に対して支払われる賃金はいくらですか(円)。
- 公務員の労働基本権に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 警察職員・消防職員・自衛隊員は団結権と団体交渉権をもつが、争議権だけが認められていない イ 一般の公務員には団結権は認められているが争議権は認められておらず、その代償措置として国家公務員については人事院が給与などについて勧告を行う仕組みがある ウ 公務員の労働三権の制限に対する代償措置は存在せず、公務員の給与は法律に基づいて内閣が一方的に決定している エ 最高裁判所は全農林警職法事件において、公務員の争議行為を一律に禁止することは憲法 28 条に反して違憲であると判断した undefined 一般の公務員には民間の労働者と同じく労働三権のすべてが認められており、ストライキを行うことも法律上禁止されていない)
- 日本の少子高齢化に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 65 歳以上の人口が総人口に占める割合が 7% を超えた社会を高齢化社会、14% を超えた社会を高齢社会、21% を超えた社会を超高齢社会と呼び、日本はすでに超高齢社会に入っている イ 日本の合計特殊出生率は 1989 年に 1.57 まで下がって「1.57 ショック」と呼ばれたが、その後は回復を続けて 2020 年代には人口を維持できる 2.07 を上回っている ウ 2004 年の年金改正で導入されたマクロ経済スライドは、物価の上昇に合わせて年金額を毎年同じ率で引き上げる仕組みである エ 日本の総人口は現在も増加を続けており、人口減少が始まるのは 2040 年ごろと予測されている undefined 日本の公的年金は積立方式を基本としているため、高齢化率が上がっても現役世代 1 人あたりの負担は変わらない)
労働と社会保障 ── 解答
基礎
- 12500 時間外労働の割増率は 25% 以上なので、1 時間あたり 2000 × 1.25 = 2500 円。2500 × 5 = 12500 円。基本の 10000 円に割増分 2500 円を足しても同じ。
- 3 完全失業率 = 完全失業者 ÷ 労働力人口 × 100。労働力人口 = 就業者 + 完全失業者 = 5820 + 180 = 6000 万人。180 ÷ 6000 × 100 = 3%。非労働力人口 4157 万人は分母に入れない。
- undefined 少なくとも 30 日前に予告するか、30 日分以上の平均賃金を支払う 解雇の予告は、少なくとも 30 日前に予告するか、30 日分以上の平均賃金を支払う。労働基準法の数字は「8・40・25・35・25・10・30・15」の並びで覚える。
- ウ 75 歳以上を対象とする医療制度で、2008 年に始まった 後期高齢者医療制度は、75 歳以上を対象とする医療制度で、2008 年に始まった。社会保険は「何歳から・誰が払う・何をもらう」の 3 点で区別する。
- エ 社会保険 社会保険。保険料を払った人への給付なら社会保険、困窮が要件で全額公費なら公的扶助、児童・高齢者・障害者などへのサービスなら社会福祉、予防・衛生なら公衆衛生。
- イ 生活保護は、資産や能力などあらゆるものを活用してもなお生活に困窮する人に対して行われ、生活・教育・住宅・医療などの扶助があり、費用は国が 4 分の 3 を負担する 生活保護は公的扶助(保険料なし・全額公費)。補足性の原理。8 種類の扶助(生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭)。費用は国 4 分の 3・地方 4 分の 1。根拠は憲法 25 条の生存権。
標準
- ア 0.25 倍 有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数 = 100 ÷ 400 = 0.25 倍。1 を下回っているので、求職者 1 人に対して求人が 1 件に満たない(就職が難しい側)。求職者数を求人数で割らない。
- 40 給付総額は 60 万円 × 4000 万人。これを現役 6000 万人で割ると、1 人あたり 60 × 4000 ÷ 6000 = 40 万円。現役 1.5 人で高齢者 1 人を支えているので、60 ÷ 1.5 でも同じ。少子高齢化で現役が減れば 1 人あたりの負担は増える。
- エ 1961 年に日本で実現した、すべての国民が公的な医療保険と年金に加入する体制である 国民皆保険・国民皆年金は、1961 年に日本で実現した、すべての国民が公的な医療保険と年金に加入する体制である。英 1601(救貧法)→ 独 1883(ビスマルク)→ 米 1935(社会保障法)→ 英 1942(ベバリッジ報告)→ 日 1961(皆保険・皆年金)の順で押さえる。
- ウ 子が原則 1 歳になるまでの育児休業と、家族を介護するための介護休業を男女とも取得できるようにした 育児・介護休業法は、子が原則 1 歳になるまでの育児休業と、家族を介護するための介護休業を男女とも取得できるようにした。法律名と「いつ・何を定めたか」をひとことで結びつける。
- イ 労働組合法は、組合員であることを理由とする不利益取扱いや正当な理由のない団体交渉の拒否などを不当労働行為として禁止しており、その審査は労働委員会が行う 労働三法の役割分担:労働基準法=最低基準(労働基準監督署)、労働組合法=団結の保障と不当労働行為の禁止(労働委員会)、労働関係調整法=斡旋・調停・仲裁。労働三権は団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)で、憲法 28 条が直接保障。正当な争議行為には刑事免責・民事免責がある。
- ウ 20 歳以上 60 歳未満の全国民が加入する国民年金(基礎年金)を 1 階とし、会社員・公務員が加入する厚生年金を 2 階とする 2 階建ての仕組みで、財源は現役世代の保険料を高齢者の給付に充てる賦課方式を基本としている 2 階建て(基礎年金+厚生年金)。会社員も国民年金の第 2 号被保険者として基礎年金に加入している。賦課方式が基本。受給資格期間は 2017 年に 25 年から 10 年に短縮。基礎年金給付費の 2 分の 1 は国庫負担。
- ウ 医療機関の窓口での自己負担は原則 3 割で、75 歳以上は後期高齢者医療制度の対象となり原則 1 割(所得の高い人は 2〜3 割)である 窓口負担は原則 3 割、未就学児 2 割、70〜74 歳 2 割、75 歳以上 1 割(所得により 2〜3 割)。介護保険(2000 年)は 40 歳以上が加入、保険者は市町村、市町村の要介護認定が必要。後期高齢者医療制度は 2008 年、75 歳以上。
発展
- 4200 時間外(25%)と深夜(25%)が重なるので割増率は合計 50% 以上。1 時間あたり 1400 × 1.5 = 2100 円。2100 × 2 = 4200 円。休日労働(35%)と深夜が重なれば 60% になる。
- イ 一般の公務員には団結権は認められているが争議権は認められておらず、その代償措置として国家公務員については人事院が給与などについて勧告を行う仕組みがある 警察・消防・自衛隊・海上保安庁・刑事施設の職員は三権すべてなし。それ以外の一般の公務員は争議権なし。代償措置が人事院勧告。全農林警職法事件(最大判昭和 48 年 4 月 25 日)は一律禁止を合憲とした。
- ア 65 歳以上の人口が総人口に占める割合が 7% を超えた社会を高齢化社会、14% を超えた社会を高齢社会、21% を超えた社会を超高齢社会と呼び、日本はすでに超高齢社会に入っている 7%(1970 年)・14%(1994 年)・21%(2007 年)を超え、2024 年には 29% 前後。合計特殊出生率は 2023 年に 1.20 と過去最低。総人口は 2008 年をピークに減少。年金は賦課方式が基本。マクロ経済スライドは現役の減少と平均余命の伸びに応じて給付水準を調整(抑える)仕組み。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/shakai/zk-07/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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