勉強法

更新 2026-09-12 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

英語の勉強法 ── 研究で確かめられている5つのやり方

このページも数学の勉強法と同じ立場です。「こうすると英語ができるようになるらしい」という話ではなく、実験で比べられた結果が論文として出ているやり方だけを集め、「何人を対象に・何を測って・どれくらい差が出たか」まで書きます。数字が出せないものは出せないと書きます。

英語は、数学とちがって覚えるものの量(単語・熟語・文法の形)が多い教科です。そのため研究も「単語をどう覚えると残るか」に集まっています。ここではそれを中心に、読解と文法にも触れます。

結論の表

やり方ひとことで英語ではこうする証拠の強さ
① 見るより思い出す単語は「眺める」のではなく「隠して言う・書く」単語カードは日本語を見て英語を言う/書く。覚えた語もテストは続ける強い(実験+メタ分析)
② 間をあけて戻る1日で10回より、数日に分けて10回同じ単語帳を「1日目・3日目・7日目・14日目」に回す強い(実験+メタ分析)
③ 文の中で何度も出会う単語は文脈で10回会うと定着しやすい単語帳の例文を読む+やさしい英文をたくさん読む中〜強
④ やさしい英文を多く読む(多読)辞書なしで読める本をたくさん中学レベルの英語の読み物・教科書の本文を音声つきで中(メタ分析あり)
⑤ 文法は「型」で書いて使う文法は説明を読むより、型で文を作る1つの形で3〜5文を自分で作る→添削→書きかえ問題中(数学の「例題学習」「練習テスト」の知見を流用)

証拠の強さは「中学生・高校生に近い対象で、追跡テストがあり、複数の研究で同じ方向の結果が出ているか」で判定しています。


① 見るより思い出す(練習テスト・想起練習)

何をするか

単語帳を「読む」のをやめて、日本語を見て英語を言う(書く)英語を見て日本語を言うをくり返す。正解できた単語も、テストから外さない。

どんな研究があるか

英語での具体例

注意点


② 間をあけて戻る(分散練習)

何をするか

同じ単語を1日で何回も見るのではなく、日をあけて見直す。間隔は「1日後→3日後→1週間後→2週間後」のように広げていくのが目安。

どんな研究があるか

英語での具体例

注意点


③ 文の中で何度も出会う

何をするか

単語を単語帳だけで覚えるのではなく、例文・英文の中で繰り返し出会う。目安は10回。

どんな研究があるか

英語での具体例

注意点


④ やさしい英文を多く読む(多読)

何をするか

辞書を引かずに読めるレベルの英文を、たくさん読む。わからない単語は飛ばし、話の流れを追う。

どんな研究があるか

英語での具体例

注意点


⑤ 文法は「型」で書いて使う

何をするか

文法の説明を読んで「わかった」で終わらせず、その形で自分の文を3〜5個作る。間違いを直してもらい、次の日に書きかえ問題を解く。

どんな研究があるか

英語の文法学習そのものを中高生で比べた大規模な研究は、この記事の基準(DOI 確認・数字あり)で見つけられたものが限られています。そのため、ここは数学の勉強法で引いた一般的な学習研究を流用しています。

英語での具体例

注意点


よく聞くけれど証拠が弱いもの

「単語は書いて覚える(何十回も書く)」

同じ単語を何十回も書き写すのは、①の「思い出す」が含まれていない(見ながら書いている)ため、練習テストの効果が出にくい。書くなら、隠して思い出してから書く

「単語は文脈で覚えるべきで、単語帳は浅い知識にしかならない」

Elgort(2011)は、単語カード型の意図的学習でも形と意味の処理が自動化することを示しました。単語帳が「浅い」とは言えません。一方、Webb(2007)は文脈で10回以上出会うことの価値も示しています。どちらか、ではなく両方

「自分は耳で覚えるタイプだから聞くだけ」

数学の勉強法でも引いた Pashler ほか(2008)は、学習スタイルに合わせた指導が有利という証拠は「ほとんどない」としています。英語では、音と文字の両方で出会うほうが結びつきが強くなる(Webb & Chang の方法も読みながら聞く)。


5つをつなげた1週間の型(例)

中3・高校受験向け。1日30〜40分。

曜日やること
単語帳 新規50語:日本語→英語で隠してテスト(①)。わからない語に印
月曜の50語を再テスト(②)+文法1単元の解説→例文を和文英訳(⑤)
単語帳 新規50語+火曜の文法の小テスト(⑤)
水曜の50語を再テスト+教科書本文を音声つきで2回読む(③④)
月・水の100語を再テスト(②)+長文1題(設問先読み・e3-08
今週の文法の書きかえ・並べかえ10問(①⑤)+やさしい英文を10分(④)
休み、または先週・先々週の単語をまとめて再テスト(②)

ポイントは、単語は必ず隠してテストし、同じ語に日をあけて3回以上戻ること。文法は読むより書く。長文はやさしいものを量で。


この記事の立場

大学受験(高校英語)ではこう使う

高校英語の単元は 文法 20・語彙 4・読解 4・作文とリスニング 2 の 30 単元


参考文献

  1. Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966–968. https://doi.org/10.1126/science.1152408
  2. Rowland, C. A. (2014). The effect of testing versus restudy on retention: A meta-analytic review of the testing effect. Psychological Bulletin, 140(6), 1432–1463. https://doi.org/10.1037/a0037559
  3. Elgort, I. (2011). Deliberate learning and vocabulary acquisition in a second language. Language Learning, 61(2), 367–413. https://doi.org/10.1111/j.1467-9922.2010.00613.x
  4. Nakata, T. (2015). Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning: Does gradually increasing spacing increase vocabulary learning? Studies in Second Language Acquisition, 37(4), 677–711. https://doi.org/10.1017/S0272263114000825
  5. Nakata, T., & Webb, S. (2016). Does studying vocabulary in smaller sets increase learning? The effects of part and whole learning on second language vocabulary acquisition. Studies in Second Language Acquisition, 38(3), 523–552. https://doi.org/10.1017/S0272263115000236
  6. Webb, S. (2007). The effects of repetition on vocabulary knowledge. Applied Linguistics, 28(1), 46–65. https://doi.org/10.1093/applin/aml048
  7. Webb, S., & Chang, A. C.-S. (2015). Second language vocabulary learning through extensive reading with audio support: How do frequency and distribution of occurrence affect learning? Language Teaching Research, 19(6), 667–686. https://doi.org/10.1177/1362168814559800
  8. Nakanishi, T. (2015). A meta-analysis of extensive reading research. TESOL Quarterly, 49(1), 6–37. https://doi.org/10.1002/tesq.157
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  10. Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
  11. Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
  12. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  13. Sweller, J., & Cooper, G. A. (1985). The use of worked examples as a substitute for problem solving in learning algebra. Cognition and Instruction, 2(1), 59–89. https://doi.org/10.1207/s1532690xci0201_3
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