勉強法

更新 2026-09-18 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

テスト効果(思い出す練習) ── 読み返すより、閉じて思い出す

一言で

解説やノートを読み返すより、閉じて自分で思い出す・解くほうが、数日後・数週間後に残ります。「テスト効果」「検索練習」「想起練習」と呼ばれ、点数をつけない小テストでも同じことが起きます。 読み返しは「わかった気」を作り、テストは「本当に残るもの」を作る、というのがこの分野の要点です。

何が分かっているか

Roediger & Karpicke(2006) ── 大学生に文章教材を学ばせ、「くり返し読み直す」群と「読んだあと思い出すテストを受ける(答え合わせなし)」群に分けました。5 分後のテストでは読み直し群が上でしたが、2 日後・1 週間後ではテスト群が読み直し群を上回りました。しかも読み直し群は「覚えている自信」だけは高くなっていました(要旨に % が無いので数字は書きません)。

Karpicke & Roediger(2008) ── 大学生に外国語(スワヒリ語)の単語を学ばせ、いちど正解できた単語を「その後も繰り返し学習する」「繰り返しテストする」「どちらもやめる」に分けました。1 週間後の再生テストでは、繰り返し学習(眺める)は効果がなく、繰り返しテスト(思い出す)は大きな効果がありました。学生自身の「どれくらい覚えていると思うか」の予想は、実際の成績と無相関でした。

Rowland(2014) ── テスト効果の研究をまとめたメタ分析。思い出して書く(再生)テストのほうが、選択肢から選ぶ(再認)テストより効果が大きいという結果です(効果量の数値は要旨に無いので書きません)。

McDaniel, Agarwal, Huelser, McDermott & Roediger(2011) ── アメリカの中学 2 年(8 年生)の理科の授業で行われた実験。授業内容の一部だけを選択式の小テスト(答えの確認つき)に出し、残りは出さずに単元末テストの成績を比べました。小テストに出した内容は、出さなかった内容より単元末テストで 13〜25% 高く、小テストを「授業前」「授業直後」「単元テスト前の復習」のどこに置くかを比べると、復習として行った小テストの効果が最も大きく、その効果は学期末・学年末まで残りました。

Roediger, Agarwal, McDaniel & McDermott(2011) ── アメリカの 6 年生(日本の小 6 相当)の社会科で、同じ設計の 3 つの実験。授業内容の一部を選択式の小テスト(低リスク)に 3 回出すと、出さなかった内容や「2 回提示しただけ」の内容より、章末テストでも学期末テストでも上でした。実験 3 では記述式(自分で答えを書く)の最終テストでも効果が確かめられています(% は要旨に無いので書きません)。

Dunlosky ら(2013) ── 10 種類の勉強法の総説で、練習テストは「有用性:高」。分散練習(間隔反復)と並ぶ最上位で、要約・マーカー・再読は「低」でした。

このほか、理科の勉強法で引いた Butler(2010)は、くり返しテストで覚えた知識が同じ問題だけでなく、ちがう分野の推論問題にも転移したことを示し、Karpicke & Blunt(2011)は科学教材で想起練習が概念図を作る学習より上だったことを示しています(どちらも % は要旨に無いので書きません)。

よくある誤解

「テストは覚えたかを測るもので、覚えるためのものではない」 上の研究はすべて「テストを受けること自体が学習になる」ことを示しています。点数をつけない・成績に入らない小テストでも起きます。

「読んで『わかった』のだから、次に進んでよい」 Roediger & Karpicke(2006)で読み直し群は自信だけが上がり、Karpicke & Roediger(2008)では「覚えたと思う」予想と成績が無相関でした。「わかった」の感覚は、残っているかどうかの目安になりません。閉じて解けるかで判断します。

「選択式の小テストでは意味がない」 McDaniel ら・Roediger らの教室実験は選択式で効果が出ています。ただし Rowland(2014)のとおり、自分で書く形のほうが効果は大きいので、選択式で正解したあとに用語や式を白紙に書いてみると、両方の利点が使えます。

このサイトでの使い方

各単元は「解説 → 小テスト」の順に並んでいます。テスト効果を使う手順はこうです。

  1. 解説を読んだら閉じて、ページ下の小テスト(基礎 10 問)を解く。読んだだけで次に進まない
  2. 間違えた問題は、その場の解説で確認したら「同じ型でもう 1 問」ボタンで、別の数の問題を解き直す
  3. 間違えた型は端末内に記録され、次に開いたとき「前に間違えた型をやり直す」ボタンが出ます。3 日後・1 週間後に、まずこれから
  4. 定期テスト前は、ノートを読み返す代わりに単元一覧から小テストを通しで受ける。McDaniel らの研究でもっとも効果が大きかったのは「テスト前の復習としての小テスト」でした
  5. 教科の全単元から混ぜて出す 数学 全単元まぜこぜテスト は、「どの単元の問題か」を自分で判断する練習(交互練習)と、思い出す練習を同時に行えます

例:二次方程式(因数分解・平方根・解の公式) なら、解説の「まずここだけ」を読んで閉じ、小テスト → 間違えた型だけ「もう 1 問」 → 1 週間後に「前に間違えた型をやり直す」。be動詞(現在) のような英語の単元も同じで、日本語を見て英文を書けるかまで確かめると、Rowland の言う「書く形」になります。

注意点

引いた論文

番号は docs/参考文献ログ.md の #。すべて DOI を開いて書誌と要旨を確認しています。