勉強法

更新 2026-10-04 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

テスト効果(思い出す練習) ── 読み返すより、閉じて思い出す

一言で

解説やノートを読み返すより、閉じて自分で思い出す・解くほうが、数日後・数週間後に残ります。 これを「テスト効果」と呼びます。「検索練習」「想起練習」(どちらも、頭の中から答えを引き出す練習のこと)とも言います。点数をつけない小テストでも同じことが起きます。 読み返しは「わかった気」を作り、テストは「本当に残るもの」を作る。これがこの分野の要点です。

今日からやること

  1. 教科書やノートを 1 ページ読んだら閉じる。白い紙に、覚えている用語や式を 3 分で書き出してから開いて確かめる
  2. 単語帳は眺めずに、日本語を隠して英語を言う。言えなかったカードだけ別の山に分ける
  3. 定期テスト 1 週間前は、ノートの読み返しをやめる。問題集の小テストや過去の定期テストを、答えを隠して解く

何が分かっているか

Roediger & Karpicke(2006)

Karpicke & Roediger(2008) 大学生がスワヒリ語の単語を覚えました。いちど正解できた単語を「その後もくり返し学習する」「くり返しテストする」「どちらもやめる」に分けています。 後日のテストでは、くり返し学習(眺める)では差が出ず、くり返しテスト(思い出す)では大きな差が出ました。 学生自身の「どれくらい覚えていると思うか」の予想は、実際の成績と関係がありませんでした(無相関)。

Rowland(2014) テスト効果の研究をまとめたメタ分析(多くの実験結果を合算する研究)です。自分で思い出して書くテスト(再生)は、選択肢から選ぶテスト(再認)より差が大きい結果でした。効果量の数値は要旨に無いので書きません。

McDaniel, Agarwal, Huelser, McDermott & Roediger(2011)

Roediger, Agarwal, McDaniel & McDermott(2011) アメリカの 6 年生(日本の小 6 相当)の社会科で、同じ設計の実験を 3 つ行いました。授業内容の一部を、成績に入らない選択式の小テストに 3 回出しています。 出した内容は、出さなかった内容や「2 回見せただけ」の内容より、章末テストでも学期末テストでも上でした。 実験 3 では記述式(自分で答えを書く)の最終テストでも差が確かめられています(% は要旨に無いので書きません)。

Dunlosky ら(2013) 10 種類の勉強法をまとめた総説で、練習テストは「有用性:高」でした。分散練習(間隔反復)と並ぶ最上位です。要約・マーカー・読み返しは「低」でした。

このほか、理科の勉強法で引いた研究が 2 つあります。どちらも % は要旨に無いので書きません。

よくある誤解

「テストは覚えたかを測るもので、覚えるためのものではない」 上の研究はすべて「テストを受けること自体が学習になる」ことを示しています。点数をつけない・成績に入らない小テストでも起きます。

「読んで『わかった』のだから、次に進んでよい」 Roediger & Karpicke(2006)で、読み直し群は自信だけが上がりました。Karpicke & Roediger(2008)では「覚えたと思う」予想と成績が無相関でした。 「わかった」の感覚は、残っているかどうかの目安になりません。閉じて解けるかで判断します。

「選択式の小テストでは意味がない」 McDaniel ら・Roediger らの教室の実験は、選択式で差が出ています。ただ Rowland(2014)のとおり、自分で書く形のほうが差は大きいです。選択式で正解したら、用語や式を白紙に書いてみると両方の利点が使えます。

このサイトでの使い方

各単元は「解説 → 小テスト」の順に並んでいます。テスト効果を使う手順はこうです。

  1. 解説を読んだら閉じて、ページ下の小テスト(基礎 10 問)を解く。読んだだけで次に進まない
  2. 間違えた問題は、その場の解説で確かめる。そのあと「同じ型でもう 1 問」ボタンで、別の数の問題を解き直す
  3. 間違えた型は端末内に記録され、次に開くと「前に間違えた型をやり直す」ボタンが出ます。3 日後・1 週間後に、まずこれから
  4. 定期テスト前は、ノートを読み返す代わりに単元一覧から小テストを通しで受ける。McDaniel らの研究で差が最も大きかったのは「テスト前の復習としての小テスト」でした
  5. 数学 全単元まぜこぜテスト は全単元から混ぜて出ます。「どの単元の問題か」を自分で見分ける練習(交互練習)と、思い出す練習を同時にできます

例:二次方程式(因数分解・平方根・解の公式) なら、解説の「まずここだけ」を読んで閉じます。小テスト → 間違えた型だけ「もう 1 問」→ 1 週間後に「前に間違えた型をやり直す」の順です。 be動詞(現在) のような英語の単元も同じです。日本語を見て英文を書けるかまで確かめると、Rowland の言う「書く形」になります。

注意点

引いた論文

番号は docs/参考文献ログ.md の #。すべて DOI を開いて書誌と要旨を確認しています。