勉強法

更新 2026-10-04 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

間隔反復(分散練習) ── 1 日で 10 回より、日をあけて 10 回

一言で

同じ内容を 1 日にまとめて練習するより、日をあけて何回かに分けて戻るほうが、数日〜数か月後まで残ります。 心理学では「分散練習(日をあけてくり返すこと)」や「間隔効果」と呼びます。もっとも多く確かめられている現象の一つです。 戻る間隔は「テストが先にあるほど長く」が目安です。入試まで半年あるなら、数週間おきでかまいません。

今日からやること

  1. 今日覚えた英単語は、3 日後と 1 週間後にもう一度テストする。日本語を見て英語を書き、書けなかった語に印をつける
  2. 単元を終えた日に、1 週間後と 1 か月後の「戻る日」を手帳やカレンダーに書く。書かない復習は、ただの放置になる
  3. 定期テスト 2 週間前からは、1 日 1 教科を詰めるのをやめる。毎日少しずつ、前の範囲にも戻る

何が分かっているか

Cepeda, Pashler, Vul, Wixted & Rohrer(2006)

Rohrer & Taylor(2007)の実験 1 大学生を対象に、同じ数の数学の問題を「1 回にまとめて解く」群と「何回かに分けて解く」群で比べました。1 週間後のテストで、分けた群が大きく上回りました。要旨に具体的な % が無いので、数字は書きません。

Rohrer, Dedrick & Stershic(2015) 中学 1 年生(アメリカの 7 年生)126 人が対象です。3 か月間、練習問題の並べ方を変えて解かせ、予告なしのテストを 1 日後と 30 日後に行いました。 差の大きさは 1 日後で d = 0.42、30 日後で d = 0.79 でした。効果量 d は差の大きさの目安で、0.2 が小・0.5 が中・0.8 が大です。 これは「混ぜて解く」(交互練習)の実験です。ただ混ぜると自然に「前の単元に日をあけて戻る」形になるので、間隔の研究としても読めます。時間がたつほど差が開いたのがポイントです。

Nakata(2015) 日本の大学生 128 人に英単語 20 語を覚えてもらいました。「詰め込み」と「間隔あり」を比べ、さらに「同じ間隔」と「間隔を広げていく」も比べています。 間隔をあける効果は大きな効果量で確かめられました。間隔を広げる方式は同じ間隔より上でした。ただしその差は限定的(統計的には意味のある差)です。 著者自身も「広げ方より、間隔を入れること自体の効果が大きい」とまとめています。

Nakata & Webb(2016) 英単語 20 語を「全部まとめて回す」か「4 語・10 語に分けて回す」かを比べた研究です。間隔をそろえると、分け方の差はほぼ無く、間隔の差のほうが大きい結果でした。 「1 日何語ずつ」の区切り方より「いつ戻るか」が大事、ということです。

Dunlosky, Rawson, Marsh, Nathan & Willingham(2013) 10 種類の勉強法を「年齢・教材・テストの種類をまたいで通用するか」で評価した総説です。分散練習は「有用性:高」でした。 これは練習テスト(テスト効果)と並ぶ最上位です。要約・マーカー・読み返しは「低」でした。

よくある誤解

「間をあけると忘れるから、忘れないうちに固めたい」 忘れかけたところで思い出すから残る、というのがこの現象の中身です。少し忘れているくらいがちょうどよく、「忘れた感じ」は失敗のサインではありません。 Kornell(2009)では、間隔があく回し方が 90% の参加者で勝ちました。それなのに 72% の参加者は、詰めた回し方のほうがよかったと感じていました。感覚は当てになりません。

「間隔反復は単語カード専用」 Cepeda らのメタ分析は言葉の記憶が中心です。でも Rohrer らの研究では、数学の問題でも同じ向きの結果が出ています。単語・用語・公式・解き方のどれにも当てはまります。

「間隔は 1 日→3 日→7 日と、正確に広げないといけない」 Nakata(2015)のとおり、広げ方の差は限定的で、間隔を入れること自体のほうが大きいです。カレンダーに「戻る日」が書いてあれば、日数のずれは気にしなくてよいです。

このサイトでの使い方

各単元は「解説 → 小テスト」の順です。小テストは毎回ちがう数・ちがう語で出るので、日をあけて戻っても同じ問題の丸暗記になりません。

注意点

引いた論文

番号は docs/参考文献ログ.md の #。すべて DOI を開いて書誌と要旨を確認しています。