勉強法

更新 2026-09-18 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

間隔反復(分散練習) ── 1 日で 10 回より、日をあけて 10 回

一言で

同じ内容を 1 日にまとめて練習するより、日をあけて何回かに分けて戻るほうが、数日〜数か月後に残ります。心理学では「間隔効果」「分散練習」と呼ばれ、もっとも繰り返し確かめられている現象の一つです。 戻る間隔は「テストまでの期間が長いほど長く」が目安で、入試まで半年あるなら数週間単位でかまいません。

何が分かっているか

Cepeda, Pashler, Vul, Wixted & Rohrer(2006) ── 184 本の論文・317 の実験・839 件の比較をまとめたメタ分析(過去の実験結果を統計的に合算する研究)。対象は言葉を覚えて思い出す課題です。まとめて練習するより間をあけるほうが記憶が残ること、そして最適な間隔は「テストまでの期間が長いほど長くなる」ことを示しました。1 週間後のテストなら数日あけ、数か月先の入試なら数週間あける、というイメージです。

Rohrer & Taylor(2007)の実験 1 ── 大学生。同じ数の数学の問題を「1 回にまとめて解く」群と「複数回に分けて解く」群に分け、1 週間後にテスト。分けた群が大きく上回りました(要旨に具体的な % が無いので、数字は書きません)。

Rohrer, Dedrick & Stershic(2015) ── 中学 1 年生(アメリカの 7 年生)126 人。3 か月間、練習問題の並べ方を変えて解かせ、予告なしのテストを 1 日後と 30 日後に行いました。差の大きさは 1 日後で d = 0.42、30 日後で d = 0.79(d は「差の大きさ」の指標で、0.2 が小・0.5 が中・0.8 が大の目安)。この研究は「混ぜて解く」(交互練習)の実験ですが、混ぜると自然に「前の単元に日をあけて戻る」形になるので、間隔の研究としても読めます。時間がたつほど差が開いたのがポイントです。

Nakata(2015) ── 日本の大学生 128 人に英単語 20 語を学習させ、「詰め込み」と「間隔あり」、さらに「等間隔」と「間隔を広げていく」を比べた研究。間隔をあける効果は大きな効果量で確認されました。「間隔を広げていく方式」は等間隔より上でしたが、その差は限定的(統計的には有意)で、著者自身が「間隔を入れること自体のほうが、広げ方より効果が大きい」とまとめています。

Nakata & Webb(2016) ── 英単語 20 語を「まとめて回す」か「4 語・10 語に分けて回す」かを比べた研究。間隔をそろえると分け方の差はほぼ無く、間隔のほうが効果が大きい。「1 日 ◯ 語ずつ」の区切り方より「いつ戻るか」が大事、ということです。

Dunlosky, Rawson, Marsh, Nathan & Willingham(2013) ── 10 種類の勉強法を、年齢・教材・テストの種類をまたいでどれだけ通用するかで評価した総説。分散練習は「有用性:高」で、これは練習テスト(テスト効果)と並ぶ最上位の評価です。要約・マーカー・再読は「低」でした。

よくある誤解

「間をあけると忘れるから、忘れないうちに固めたい」 忘れかけたところで思い出すから残る、というのがこの現象の中身です。少し忘れているくらいがちょうどよく、「忘れた感じ」は失敗のサインではありません。大学受験の勉強法で引いた Kornell(2009)では、間隔があく回し方が 90% の参加者で勝ったのに、72% の参加者は詰めた回し方のほうがよかったと感じていました。感覚は当てになりません

「間隔反復は単語カード専用」 Cepeda らのメタ分析は言葉の記憶が中心ですが、Rohrer らの研究は数学の問題で同じ方向の結果です。単語・用語・公式・解法のどれにも当てはまります。

「間隔は 1 日→3 日→7 日と、正確に広げないといけない」 Nakata(2015)のとおり、広げ方の差は限定的で、間隔を入れること自体のほうが大きい。カレンダーに「戻る日」が書いてあれば、日数のずれは気にしなくてよいです。

このサイトでの使い方

各単元は「解説 → 小テスト」の順に並んでいて、小テストは毎回ちがう数・ちがう語で出るので、日をあけて戻っても同じ問題の暗記にはなりません。

注意点

引いた論文

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