数学A / 数学と人間の活動 / ha-07
整数の性質 ① ── 約数と倍数・互除法・一次不定方程式
この単元でできるようになること
- 素因数分解から約数の個数・総和、最大公約数・最小公倍数が求められる
- 余りによる分類(3 で割った余りで 3 種類…)を使って整数の性質を示せる
- ユークリッドの互除法で大きな数の最大公約数が求められる
- 一次不定方程式 ax + by = c の整数解をすべて求められる
- 「互いに素」の意味と使い方がわかる
入試での位置づけ
「数学と人間の活動」は共通テスト数学A の選択問題で、一次不定方程式とn 進法(ha-08)が中心です。互除法は不定方程式の特殊解を見つける道具として必須。整数問題は私立・国公立の記述でも「余りの分類」「互いに素」を使った証明として出ます。
1. 約数・倍数の基本
まずここだけ
素因数分解:整数を素数の積で表す。360 = 2³ × 3² × 5
| 求めるもの | 方法 | 例(360) |
|---|---|---|
| 約数の個数 | (指数 + 1) の積 | (3+1)(2+1)(1+1) = 24 個 |
| 約数の総和 | (1 + p + … + pᵃ) の積 | (1+2+4+8)(1+3+9)(1+5) = 15 × 13 × 6 = 1170 |
| 最大公約数 G | 共通の素因数を、小さいほうの指数で | 360 と 84 = 2² × 3 × 7 → 2² × 3 = 12 |
| 最小公倍数 L | すべての素因数を、大きいほうの指数で | 2³ × 3² × 5 × 7 = 2520 |
性質:2 数 a、b について ab = G × L(a、b の最大公約数 G、最小公倍数 L)。
360 × 84 = 12 × 2520 ✓
互いに素
最大公約数が 1 の 2 数を互いに素という(8 と 15 など)。 a と b が互いに素で、a が bc を割り切るなら、a は c を割り切る(不定方程式で使う)。
2. 余りによる分類
まずここだけ
整数を n で割った余りは 0、1、…、n − 1 の n 通り。整数 = nk + r の形で分ける。
「n² を 3 で割った余りは 0 か 1」の証明: n = 3k → n² = 9k² → 余り 0 n = 3k + 1 → n² = 9k² + 6k + 1 = 3(3k² + 2k) + 1 → 余り 1 n = 3k + 2 → n² = 9k² + 12k + 4 = 3(3k² + 4k + 1) + 1 → 余り 1
連続する整数の積:連続する 2 整数の積は 2 の倍数、連続する 3 整数の積は 6 の倍数。
n(n + 1)(n + 2) は 6 の倍数 → n³ − n = (n − 1)n(n + 1) も 6 の倍数
3. ユークリッドの互除法
ここまでできれば十分
a を b で割った余りを r とすると、gcd(a, b) = gcd(b, r)。余りが 0 になるまでくり返す。
gcd(1071, 462) 1071 = 462 × 2 + 147 462 = 147 × 3 + 21 147 = 21 × 7 + 0 → 最大公約数 21
大きい数を小さい数で割り、「割る数」と「余り」で同じことをくり返す。素因数分解しにくい大きな数に使う。
4. 一次不定方程式
ここまでできれば十分
ax + by = c の整数解 (x, y) を求める。
手順:
- 特殊解を 1 つ見つける(小さい数なら代入、大きい数なら互除法を逆にたどる)
- もとの式から特殊解の式を引く
- 互いに素を使って一般解を書く
3x + 5y = 1 ① 特殊解:x = 2、y = −1(3・2 + 5・(−1) = 1) ② 引く:3(x − 2) + 5(y + 1) = 0 → 3(x − 2) = −5(y + 1) ③ 3 と 5 は互いに素なので x − 2 は 5 の倍数:x − 2 = 5k → x = 5k + 2、y = −3k − 1(k は整数)
3x + 5y = 7 特殊解:1 の解を 7 倍して x = 14、y = −7(または x = 4、y = −1 のほうが小さい) 一般解:x = 5k + 4、y = −3k − 1
互除法を逆にたどる(特殊解が見つからないとき)
37x + 11y = 1 37 = 11 × 3 + 4、11 = 4 × 2 + 3、4 = 3 × 1 + 1 逆にたどる:1 = 4 − 3 = 4 − (11 − 4 × 2) = 4 × 3 − 11 = (37 − 11 × 3) × 3 − 11 = 37 × 3 − 11 × 10 特殊解 x = 3、y = −10。一般解 x = 11k + 3、y = −37k − 10
解を持つ条件
ax + by = c が整数解を持つ ⇔ c が gcd(a, b) の倍数。
6x + 4y = 3 は解なし(左辺は偶数)
応用:条件つきの解
「x、y がともに正」「最小の x」などは、k の範囲を不等式で決める。
x = 5k + 4 > 0 かつ y = −3k − 1 > 0 → k ≧ 0 かつ k ≦ −1 → 解なし(3x + 5y = 7 の正の整数解はない)
5. その他の整数問題
もう一歩
積の形に直す:xy − 2x − 3y = 0 → (x − 3)(y − 2) = 6 → 約数の組を調べる。
分数の整数条件:(n + 7)/(n + 2) が整数 → 1 + 5/(n + 2) → n + 2 は 5 の約数 → n + 2 = ±1、±5。
倍数の判定法:3 の倍数 ⇔ 各位の和が 3 の倍数、4 の倍数 ⇔ 下 2 けたが 4 の倍数、9 の倍数 ⇔ 各位の和が 9 の倍数、11 の倍数 ⇔ 奇数位の和 − 偶数位の和が 11 の倍数。
6. 自己チェック
- 素因数分解 → 約数の個数は (指数 + 1) の積
- G は小さい指数、L は大きい指数。ab = GL
- 互除法:割る数と余りでくり返す
- 不定方程式:特殊解 → 引く → 互いに素で一般解
- 解を持つ条件:右辺が gcd の倍数
7. 小テストへ
→ 小テスト(ha-07)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学A「(3) 数学と人間の活動 ア(ア) 数量や図形と人間の活動(整数の性質)」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/math/ha-07/ / 更新 2026-09-12