中1〜3 国語 / 語句 / k-03
慣用句・ことわざ・故事成語
この単元でできるようになること
- (2 つ以上の語が結びついて特別な意味になる言い方)の意味が言え、体の部分を使った慣用句(頭・顔・目・耳・鼻・口・歯・舌・首・肩・胸・腹・手・足・腰)を文脈に合わせて使える
- ことわざ(教えや知恵を短く言ったもの)の意味と、似た意味・反対の意味のことわざの組がわかる
- 故事成語(中国の古い出来事から生まれた語)の意味と由来(→ k-11)が言える
- 慣用句・ことわざの誤用(「気が置けない」「役不足」「確信犯」「情けは人のためならず」)を正しく直せる
入試での位置づけ
慣用句の空欄補充(「( )を長くして待つ」→ 首)とことわざの意味・似た意味の組(「石の上にも三年」≒「雨だれ石をうがつ」、「善は急げ」⇔「急いては事をし損じる」)が定番。誤用の多い語(「情けは人のためならず」「役不足」)は意味を問う形で頻出。
1. 体の部分を使った慣用句
まずここだけ
| 部分 | 慣用句 | 意味 |
|---|---|---|
| 頭 | 頭が下がる/頭をかかえる/頭が固い/頭に血がのぼる | 感心する/困り悩む/考えが柔軟でない/かっとなる |
| 顔 | 顔が広い/顔を立てる/顔から火が出る/顔に泥を塗る | 知り合いが多い/面目を保たせる/恥ずかしい/面目をつぶす |
| 目 | 目がない/目を疑う/目が高い/目に余る/目をかける/目から鼻へ抜ける/目と鼻の先 | 大好きだ/信じられない/見る力がある/ひどくて見過ごせない/世話をする/賢い/近い |
| 耳 | 耳が痛い/耳を貸す/耳にたこができる/耳を疑う/耳が早い | 弱点をつかれてつらい/聞いてやる/何度も聞いてうんざり/信じられない/情報が早い |
| 鼻 | 鼻が高い/鼻につく/鼻であしらう/鼻を明かす | 誇らしい/いやになる/冷たく扱う/あっと言わせる |
| 口 | 口が軽い/口が堅い/口をすっぱくする/口車に乗る/口をはさむ/口火を切る/口が滑る | 秘密を話してしまう/秘密を守る/何度も注意する/うまい話にだまされる/話に割りこむ/最初に始める/うっかり言う |
| 歯・舌 | 歯が立たない/歯に衣着せぬ/舌を巻く/舌を出す | 相手が強くてかなわない/遠慮せず言う/感心する/ばかにする |
| 首 | 首を長くする/首をかしげる/首が回らない/首を突っこむ | 待ちこがれる/不思議に思う/借金で苦しい/関わる |
| 肩 | 肩を落とす/肩を持つ/肩の荷が下りる/肩を並べる | 落胆する/味方する/責任を終えて楽になる/対等になる |
| 胸 | 胸を打つ/胸を張る/胸をなでおろす/胸がすく | 感動する/自信をもつ/安心する/すっきりする |
| 腹 | 腹を割る/腹が立つ/腹をくくる/腹を探る/腹が黒い | 本心を話す/怒る/覚悟する/本心をさぐる/心が悪い |
| 手 | 手を焼く/手に余る/手を抜く/手を打つ/手が出ない/手を貸す/手塩にかける/手のひらを返す | 扱いに困る/自分の力では無理/いい加減にする/取り引きを決める・対策する/高すぎて買えない/助ける/大切に育てる/態度を急に変える |
| 足 | 足が出る/足を洗う/足を引っ張る/足が棒になる/足元を見る/二の足を踏む | 予算を超える/悪事をやめる/じゃまをする/疲れ切る/弱みにつけこむ/ためらう |
| 腰 | 腰が低い/腰が重い/腰を据える/腰を抜かす | 謙虚だ/なかなか動かない/落ち着いて取り組む/ひどく驚く |
その他:油を売る(むだ話で仕事を怠ける)、水に流す(過去のことを忘れる)、さじを投げる(あきらめる)、羽を伸ばす(のびのびする)、太鼓判を押す(保証する)、棚に上げる(自分の問題を問わない)、輪をかける(程度を大きくする)、雲をつかむ(ぼんやりしてつかめない)、花を持たせる(相手に名誉をゆずる)、板につく(似合ってくる)、お茶をにごす(いい加減にごまかす)、焼け石に水(効果がない)、馬が合う(気が合う)、猫の額(せまい)、虫がいい(自分勝手)。
2. ことわざ
まずここだけ
| ことわざ | 意味 |
|---|---|
| 石の上にも三年 | がまんして続ければ成功する |
| 急いては事をし損じる | あせると失敗する |
| 善は急げ | よいことはすぐに実行せよ |
| 猿も木から落ちる | 名人も失敗することがある(≒弘法にも筆の誤り・河童の川流れ) |
| ちりも積もれば山となる | わずかでも積み重ねれば大きくなる |
| 転ばぬ先のつえ | 失敗しないよう前もって準備(≒備えあれば憂いなし) |
| 失敗は成功のもと | 失敗から学べば成功につながる |
| 二兎を追う者は一兎をも得ず | 2 つ同時にねらうと両方失う(≒虻蜂取らず) |
| 背に腹はかえられぬ | 大事なもののために他を犠牲にするしかない |
| 泣きっ面に蜂 | 不運が重なる(≒弱り目にたたり目) |
| 馬の耳に念仏 | 言っても効果がない(≒犬に論語・猫に小判・豚に真珠) |
| 百聞は一見にしかず | 何度も聞くより一度見るほうがよい |
| 灯台もと暗し | 身近なことはかえって気づきにくい |
| 井の中の蛙(大海を知らず) | 見識がせまい |
| のど元過ぎれば熱さを忘れる | 苦しさも過ぎれば忘れる |
| 情けは人のためならず | 人に親切にすれば自分に良い報いが返ってくる(「人のためにならない」は誤り) |
| かわいい子には旅をさせよ | 大切な子ほど苦労させて育てよ |
| 良薬は口に苦し | ためになる忠告は聞きづらい |
| 雨降って地固まる | もめごとのあとかえって安定する |
| 早起きは三文の徳 | 早起きはよいことがある |
| 立つ鳥跡をにごさず | 去るときはあとをきれいに |
| 鉄は熱いうちに打て | 若いうちに鍛えよ・機会を逃すな |
| 能ある鷹は爪を隠す | 実力のある人はひけらかさない |
| 三人寄れば文殊の知恵 | 人が集まれば良い考えが出る |
| 船頭多くして船山に上る | 指示する人が多いと失敗する |
| ぬかに釘・豆腐にかすがい | 手ごたえがない |
| 月とすっぽん・提灯に釣鐘 | 比べものにならないほどちがう |
| 論より証拠 | 議論より証拠を示すほうが早い |
| 渡る世間に鬼はない | 世の中には親切な人もいる |
| 果報は寝て待て | 幸運はあせらず待つ |
反対の意味の組:善は急げ ⇔ 急いては事をし損じる/三人寄れば文殊の知恵 ⇔ 船頭多くして船山に上る/渡る世間に鬼はない ⇔ 人を見たら泥棒と思え/かわいい子には旅をさせよ ⇔ 獅子はわが子を千尋の谷に落とす(似た)/立つ鳥跡をにごさず ⇔ あとは野となれ山となれ。
3. 故事成語(k-11 と合わせて)
ここまでできれば十分
矛盾・五十歩百歩・推敲・蛇足・温故知新・四面楚歌・臥薪嘗胆・呉越同舟・杞憂・朝三暮四・背水の陣・画竜点睛・登竜門・完璧・漱石枕流・塞翁が馬・他山の石・守株(→ 由来と意味は k-11)。 追加:覆水盆に返らず(一度したことは取り返せない)、虎の威を借る狐(強い者の力をたよる)、漁夫の利(両者が争う間に第三者が利益)、百発百中、一網打尽、他山の石、鶏口となるも牛後となるなかれ、竜頭蛇尾、千里の道も一歩から(老子)、大器晩成。
4. 誤用の多い語(入試で「意味を問う」形で出る)
ここまでできれば十分
| 語 | 正しい意味 | よくある誤解 |
|---|---|---|
| 情けは人のためならず | 人への親切は自分に返ってくる | 人のためにならない × |
| 気が置けない | 遠慮がいらない・気楽 | 油断できない × |
| 役不足 | 役が軽すぎて実力に合わない | 力不足 × |
| 確信犯 | 正しいと信じて行う犯罪 | 悪いとわかってやる × |
| さわり | 話や曲の中心・要点 | 最初の部分 × |
| 煮詰まる | 議論がまとまる段階に近づく | 行き詰まる × |
| 姑息 | 一時しのぎ | ずるい × |
| 敷居が高い | 不義理をして行きにくい | 高級で入りにくい × |
| 琴線に触れる | 感動する | 怒らせる × |
| おっとり刀 | 急いでかけつける | ゆっくり × |
| 流れに耳を洗う | (参考)俗世を離れる | |
| 穿った見方 | 本質を見抜く見方 | ひねくれた見方 × |
| 失笑 | おかしくて思わず笑う | 笑いを失う × |
| 破天荒 | だれも成しえなかったことをする | 豪快・型破り × |
5. よくある間違い
- 「首を長くする」を「首をかしげる」と混同(長く=待つ、かしげる=不思議)
- 「手を焼く」と「手に余る」(焼く=扱いに困る、余る=力では無理。近いが区別)
- 「足が出る」を「疲れる」(予算超過。疲れるは「足が棒になる」)
- 「情けは人のためならず」を「ためにならない」(自分に返ってくる)
- 「役不足」を「力不足」(逆)
- 「善は急げ」と「急いては事をし損じる」を似た意味(反対)
- 「猿も木から落ちる」と「馬の耳に念仏」を同じ意味(落ちる=名人も失敗、念仏=言っても効果なし)
6. 自己チェック
- 体の慣用句:首を長く(待つ)・目がない(好き)・鼻が高い(誇り)・口が軽い(秘密を話す)・腹を割る(本心)・手を焼く(困る)・足が出る(予算超過)・肩の荷(責任終了)
- ことわざの似た組:猿も木から落ちる≒弘法にも筆の誤り、馬の耳に念仏≒猫に小判、転ばぬ先のつえ≒備えあれば憂いなし
- 反対の組:善は急げ⇔急いては事をし損じる、三人寄れば⇔船頭多くして
- 誤用注意:情けは人のためならず・役不足・気が置けない・確信犯・煮詰まる・敷居が高い
- 故事成語は k-11 と合わせて
7. 小テストへ
→ 小テスト(k-03)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』── 「言葉の特徴や使い方に関する事項(語彙:慣用句や故事成語)」第 1〜3 学年
- 文化庁「国語に関する世論調査」(各年度)── 「情けは人のためならず」「役不足」「気が置けない」などの意味の理解度調査(誤用の一次資料)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/japanese/k-03/ / 更新 2026-09-12