高1 / 古文 / jg-03
助動詞①(る・らる・す・さす・しむ・ず・む・むず・じ・まし・まほし)
この単元でできるようになること
- 助動詞を接続・活用・意味の 3 点で整理する方法と、未然形接続の助動詞の一覧を言える
- る・らるの 4 つの意味(受身・可能・自発・尊敬)を、文脈のサイン(〜に/打消/心情語/主語が貴人)で見分けられる
- す・さす・しむの使役と尊敬を、「〜に」「下に尊敬語があるか」で見分けられる
- ずの活用(ず/ざり)と、む・むずの 5 つの意味(推量・意志・勧誘・仮定・婉曲)、じ(打消推量・打消意志)、まし(反実仮想・ためらい)、まほし(希望)を訳せる
- 文中の助動詞を、上の活用形から識別し、下に続く語から活用形を決められる
入試での位置づけ
助動詞は古文文法の中心。共通テストでは「傍線部の解釈」の選択肢に助動詞の訳が組みこまれ、「る」を可能と取るか受身と取るかで正解が変わります。まず未然形接続の 11 語(この単元)を固め、次に連用形・終止形接続(jg-04)へ。「る・らる」「む」「まし」は最頻出です。
1. 助動詞の整理のしかた
まずここだけ
助動詞は①接続(上の語の活用形)②活用(どの型で変化するか)③意味の 3 点で覚える。
| 接続 | 助動詞 |
|---|---|
| 未然形 | る・らる・す・さす・しむ・ず・む・むず・じ・まし・まほし(この単元) |
| 連用形 | き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ(jg-04) |
| 終止形(ラ変型には連体形) | べし・らむ・めり・なり(推定)・らし・まじ(jg-04) |
| 連体形・体言 | なり(断定)・たり(断定)・ごとし(jg-04) |
| サ変未然・四段已然 | り(jg-04) |
識別の手順:①上の語の活用形を見る(例:「書か-」なら未然形 → る・す・ず・む…のどれか)②語の形で候補を絞る ③意味は文脈で決める。
2. る・らる ── 受身・可能・自発・尊敬
まずここだけ
- 接続:る = 四段・ナ変・ラ変の未然形(a 段)、らる = それ以外(上一・上二・下二・カ変・サ変)の未然形
- 活用:下二段型(れ・れ・る・るる・るれ・れよ)
- 意味と見分け方:
意味 訳 サイン 例 受身 〜される 「〜に(〜によって)」がある・補える 人に笑はる(人に笑われる) 可能 〜できる 下に打消(ず・じ・で)がある(古文の可能は打消をともなうのが原則) え答へられず(答えられない) 自発 自然と〜される・〜せずにいられない 心情・知覚の動詞(思ふ・思ひ出づ・泣く・案ず・ながむ・知る)につく 昔のこと思ひ出でらる(自然と思い出される) 尊敬 〜なさる・お〜になる 主語が貴人、他の尊敬語(給ふ・おはす)と並ぶ 帝、笑はせ給ふ/大臣の仰せらる - 「る・らる」が尊敬になる目安:「〜れ給ふ」「〜られ給ふ」は受身・自発・可能+尊敬(る・らるは尊敬ではない)。「仰せらる」は尊敬
- 現代語の「れる・られる」と同じ 4 用法。順番の覚え方「受・可・自・尊」
3. す・さす・しむ ── 使役と尊敬
まずここだけ
- 接続:す = 四段・ナ変・ラ変の未然形、さす = それ以外、しむ = すべての未然形(漢文訓読調・和漢混淆文で多い)
- 活用:下二段型(せ・せ・す・する・すれ・せよ)
- 意味:
意味 訳 見分け方 例 使役 〜させる 「〜に(〜をして)」がある・補える。下に尊敬語がない 人に書かす(人に書かせる)、供に持たせて 尊敬 〜なさる・お〜になる 下に尊敬語(給ふ・おはします)がある:「せ給ふ」「させ給ふ」「しめ給ふ」= 最高敬語(二重敬語)。主語は天皇・皇族など 帝、御覧ぜさせ給ふ - ただし「せ給ふ」でも使役+尊敬のことがある(「人に〜させなさる」)→ 「〜に」があれば使役
- 「す」の識別:未然形+す = 使役・尊敬の助動詞、サ変動詞「す」(する)、名詞+「す」(サ変複合動詞:念ず)
4. ず ── 打消
まずここだけ
- 接続:未然形。活用:特殊型 + ザリ活用(ラ変型)
未然 連用 終止 連体 已然 命令 特殊型 (な) ず ず ぬ ね ○ ザリ ざら ざり ○ ざる ざれ ざれ - 連体形「ぬ」と已然形「ね」が最重要:「知らぬ人」(知らない人)、「知らねば」(知らないので)。完了「ぬ」(連用形接続:「散りぬ」)と区別:上が未然形(a 段)なら打消、連用形(i 段)なら完了
- 「ざり」は助動詞に接続するとき(知らざりけり・知らざるべし)
- 「で」(接続助詞)= 〜ないで(「ずて」の変化):知らで過ぐ
- 「な〜そ」「え〜ず」(jg-01)
5. む・むず・じ・まし・まほし
まずここだけ
む(ん)・むず(んず):未然形接続、四段型(○・○・む・む・め・○)。意味は主語の人称で判断するのが基本。
| 意味 | 訳 | 目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| 推量 | 〜だろう | 主語が三人称 | 雨降らむ(雨が降るだろう) |
| 意志 | 〜しよう・〜するつもりだ | 主語が一人称 | 我行かむ(私は行こう) |
| 勧誘・適当 | 〜しませんか・〜するのがよい | 主語が二人称・「こそ〜め」 | いざ行かむ(さあ行こう)、参りたまへこそよからめ |
| 仮定 | 〜としたら | 「〜む(連体形)+は・に・には」 | 思はむ子を法師になしたらむこそ(かわいいと思うような子を) |
| 婉曲 | 〜ような | 連体形で下に体言 | 思はむ人(愛するような人) |
- 連体形の「む」は仮定・婉曲(訳さなくてもよいことが多い)。文末の「む」は推量・意志・勧誘
- むず = 「むとす」の変化。意味は「む」と同じ(サ変型:○・○・むず・むずる・むずれ・○)
じ:未然形接続、無変化(○・○・じ・じ・じ・○)。「む」の打消:打消推量(〜ないだろう:三人称)、打消意志(〜しないつもりだ:一人称)。「よも〜じ」(まさか〜ないだろう)。 まし:未然形接続、特殊型(ましか/ませ・○・まし・まし・ましか・○)。
- 反実仮想「〜ましかば〜まし」「〜ませば〜まし」「〜せば〜まし」「〜(未然)ば〜まし」= もし〜だったら〜だろうに(事実はそうでない):世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(もし桜がなかったら春の心はのどかだろうに)
- ためらいの意志「〜まし」に疑問語(いかに・や・何):いかにせまし(どうしようかしら)
- 単独で「〜だろうに」の推量 まほし:未然形接続、形容詞シク型。希望(〜したい):見まほし(見たい)。「たし」(連用形接続、jg-04)と同じ意味。
6. 識別の練習
まずここだけ
「書かれ」:四段未然+る → 受身・可能・自発・尊敬。「人に書かる」→ 受身 「え書かれず」:打消がある → 可能 「思ひ出でられて」:心情動詞 → 自発 「帝、書かせ給ふ」:下に給ふ → 尊敬(最高敬語)。「人に書かせ給ふ」なら使役+尊敬 「知らぬ」(a 段+ぬ)→ 打消の連体形/「散りぬ」(i 段+ぬ)→ 完了の終止形 「行かむ」(文末・私)→ 意志/「行かむ人」(連体)→ 婉曲 「なかりせば〜まし」→ 反実仮想
7. よくある間違い
- 「る」と「らる」の接続を逆にする(る = a 段の未然形、らる = それ以外)
- 「れ給ふ」を尊敬の「る」+「給ふ」とする(「る」は受身・自発・可能。尊敬は「せ給ふ」)
- 「せ給ふ」を常に尊敬とする(「〜に」があれば使役+尊敬)
- 可能の「る」を打消なしで訳す(古文の可能は打消をともなう)
- 「ぬ」を全部完了とする(未然形+ぬ は打消の連体形)
- 「ね」を完了の命令形とだけ見る(未然形+ね は打消の已然形)
- 連体形の「む」を「〜だろう」と訳す(婉曲・仮定:「〜ような」)
- 「じ」を「じ(じっと)」と読む(打消推量・打消意志)
- 「まし」を単なる推量で訳す(「せば〜まし」は反実仮想:事実と違うことに注意)
- 「まほし」の接続を連用形とする(未然形。連用形は「たし」)
8. 自己チェック
- 未然形接続の助動詞 11 語を言えるか
- る・らる の 4 つの意味とサインを言えるか
- す・さす・しむ の使役と尊敬の見分け(〜に/下の給ふ)を言えるか
- ず の活用(ず・ず・ぬ・ね/ざら・ざり・ざる・ざれ)と完了「ぬ」との区別を言えるか
- む の 5 つの意味と人称の目安、連体形の「む」の訳を言えるか
- じ・まし(反実仮想の型)・まほし を訳せるか
9. 小テストへ
→ 小テスト(jg-03)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「言語文化」「古典探究」
- 『古今和歌集』在原業平「世の中にたえて桜の…」、『枕草子』「思はむ子を法師になしたらむこそ」ほか著作権の切れた古典の一節
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jg-03/ / 更新 2026-09-13