高1 / 生物基礎 / bb-01
生物の特徴(共通性と多様性・細胞・ATP)
この単元でできるようになること
- すべての生物に共通する特徴(細胞・DNA・代謝と ATP・恒常性・生殖と進化)を挙げられる
- 生物の多様性が進化の結果であること、系統樹の読み方がわかる
- 原核細胞と真核細胞、動物細胞と植物細胞の違いを細胞小器官の有無で説明できる
- 細胞小器官(核・ミトコンドリア・葉緑体・液胞・細胞壁・細胞膜)のはたらきを言える
- ATP の構造(アデノシン + リン酸 3 個)とエネルギーの受け渡しのしくみを説明できる
- 顕微鏡の使い方・倍率・ミクロメーターの計算ができる
入試での位置づけ
生物基礎の入口で、共通テストでは原核細胞・真核細胞の比較表、細胞小器官のはたらき、ATP の構造と役割、ミクロメーターの計算が定番。「大腸菌は原核生物で核膜がないが DNA はある」「ミトコンドリアと葉緑体は独自の DNA をもつ」のような細かい正誤が問われます。
1. 生物の共通性と多様性
まずここだけ
すべての生物に共通する特徴:
- からだが細胞からできている
- 遺伝情報として DNA をもち、子に伝える
- 代謝を行い、ATP をエネルギーの受け渡しに使う
- 体内の状態を一定に保つ(恒常性)
- 生殖によって子をつくり、進化する
多様性:現在知られている生物は約 190 万種(名前のついたもの)。共通の祖先から進化によって枝分かれしてきたため、共通性と多様性の両方がある。 系統樹:進化の道筋を枝分かれで表した図。近い枝ほど近縁。
ウイルス:細胞をもたず、自分だけでは増えない → 生物とはみなさないことが多い(DNA または RNA はもつ)。
2. 細胞の構造
まずここだけ
| 原核細胞 | 真核細胞 | |
|---|---|---|
| 核膜 | ない(DNA は細胞質中にある) | ある(核の中に DNA) |
| 膜で包まれた細胞小器官 | ない | ミトコンドリア・葉緑体など |
| 大きさ | 小さい(1〜10 μm) | 大きい(10〜100 μm) |
| 例 | 大腸菌・乳酸菌・シアノバクテリア(細菌) | 動物・植物・菌類(カビ・キノコ・酵母)・原生生物(ゾウリムシ・ミドリムシ) |
| 構造 | はたらき | 動物 | 植物 |
|---|---|---|---|
| 核 | DNA を含む。核膜で包まれる | ○ | ○ |
| 細胞膜 | 物質の出入りを調節 | ○ | ○ |
| 細胞質基質 | 化学反応の場(サイトゾル) | ○ | ○ |
| ミトコンドリア | 呼吸で ATP をつくる。独自の DNA | ○ | ○ |
| 葉緑体 | 光合成。クロロフィルを含む。独自の DNA | × | ○ |
| 液胞 | 水・物質の貯蔵、色素(アントシアン) | 小さいか無し | 発達 |
| 細胞壁 | セルロースで形を保つ | × | ○ |
共生説:ミトコンドリアと葉緑体は、もともと別の原核生物が取り込まれてできた(独自の DNA・二重の膜をもつ根拠)。
3. ATP ── エネルギーの通貨
まずここだけ
ATP(アデノシン三リン酸) = アデノシン(アデニン + リボース)+ リン酸 3 個
- リン酸どうしの結合(高エネルギーリン酸結合)が切れて ADP + リン酸 になるとき、エネルギーが放出される
- 呼吸や光合成でつくられ、筋収縮・物質の合成・能動輸送などあらゆる生命活動に使われる
- すべての生物が ATP を使う → 生物の共通性の 1 つ
ATP ⇄ ADP + リン酸:使ったら呼吸で再合成(1 日に体重に近い量が回転)
4. 顕微鏡とミクロメーター
ここまでできれば十分
- 倍率 = 接眼レンズ × 対物レンズ。高倍率にすると視野は狭く暗くなり、焦点深度は浅くなる
- 像は上下左右が逆。右上に見えるものを中央に → プレパラートを右上に動かす
- 手順:低倍率でピントを合わせてから高倍率へ。対物レンズを遠ざけながらピントを合わせる
ミクロメーター:接眼ミクロメーター(目盛りは倍率で長さが変わる)と対物ミクロメーター(1 目盛り = 10 μm)を重ねて、 接眼 1 目盛りの長さ = 対物の目盛り数 × 10 μm ÷ 接眼の目盛り数
対物 5 目盛りと接眼 20 目盛りが一致:接眼 1 目盛り = 50 ÷ 20 = 2.5 μm。細胞が接眼 8 目盛り分 → 20 μm
大きさの目安:ヒトの赤血球 8 μm、大腸菌 3 μm、ゾウリムシ 200 μm、ヒトの卵 140 μm、インフルエンザウイルス 0.1 μm。1 mm = 1000 μm、1 μm = 1000 nm。
5. よくある間違い
- 原核細胞に DNA がないと思う(核膜がないだけで DNA はある)
- 酵母・カビを原核生物と思う(菌類は真核生物)
- シアノバクテリアを植物と思う(光合成をする原核生物)
- 動物細胞に液胞が「絶対にない」とする(小さいものはある)
- ATP のリン酸を 2 個とする(3 個。ADP が 2 個)
- 高倍率で視野が明るくなると思う(暗くなる)
- ミクロメーターで対物の目盛りを「倍率で変わる」とする(変わるのは接眼側の 1 目盛りの実長)
6. 自己チェック
- 生物の共通性 5 つを言えるか
- 原核と真核の違い(核膜・細胞小器官・例)を言えるか
- ミトコンドリア・葉緑体・液胞・細胞壁の有無を動物・植物で言えるか
- ATP の構造とエネルギー放出のしくみを言えるか
- 接眼ミクロメーター 1 目盛りの長さを計算できるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(bb-01)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「生物基礎」(1) ア 生物の特徴
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/bb-01/ / 更新 2026-09-12