高1 / 生物基礎 / bb-02
代謝(酵素・光合成・呼吸)
この単元でできるようになること
- を同化(エネルギーを蓄える合成)と異化(エネルギーを取り出す分解)に分けて説明できる
- 酵素の性質(生体触媒・タンパク質・基質特異性・最適温度と最適 pH・繰り返し使える)を説明できる
- 光合成(葉緑体、CO₂ + H₂O + 光エネルギー → 有機物 + O₂)と呼吸(ミトコンドリア、有機物 + O₂ → CO₂ + H₂O + ATP)を対比できる
- 呼吸と燃焼の違い(段階的・低温・ATP に蓄える)を言える
- 独立栄養生物と従属栄養生物、エネルギーの流れを説明できる
入試での位置づけ
代謝は「酵素の性質」(触媒・基質特異性・温度と pH のグラフ)と「光合成と呼吸の対比」(場所・材料・生成物・エネルギー)が共通テストの定番。カタラーゼの実験(過酸化水素 + 肝臓片・酸化マンガン(Ⅳ))は繰り返し出ます。細かい化学反応の経路(解糖系など)は「生物」の範囲で、基礎では全体像と ATP の役割が問われます。
1. 代謝 ── 同化と異化
まずここだけ
代謝:生体内での化学反応全体。
| 同化 | 異化 | |
|---|---|---|
| 内容 | 簡単な物質から複雑な物質を合成 | 複雑な物質を簡単な物質に分解 |
| エネルギー | 吸収して蓄える | 放出して ATP をつくる |
| 例 | 光合成、タンパク質の合成 | 呼吸、発酵 |
ATP がエネルギーの仲立ち:異化でつくった ATP を同化や運動に使う。
- 独立栄養生物:無機物から有機物を合成できる(植物・藻類・シアノバクテリア)
- 従属栄養生物:他の生物がつくった有機物を取り入れる(動物・菌類・多くの細菌)
2. 酵素 ── 生体触媒
まずここだけ
- 触媒:反応を速めるが、自分は変化しない → 繰り返し使える
- 酵素はタンパク質でできた生体触媒。細胞内(細胞質基質・ミトコンドリア・葉緑体)でも細胞外(消化酵素)でもはたらく
- 基質特異性:酵素は決まった物質(基質)にしか作用しない(活性部位に基質がぴったり合う:鍵と鍵穴)
- 最適温度(多くは 35〜40 ℃)・最適 pH(ペプシン 2、アミラーゼ 7、トリプシン 8)がある。高温ではタンパク質が変性して失活(低温では活性が下がるだけで失活しない)
| 酵素 | 基質 → 生成物 | 場所 |
|---|---|---|
| カタラーゼ | 過酸化水素 H₂O₂ → 水 + 酸素 | 肝臓・多くの細胞 |
| アミラーゼ | デンプン → 麦芽糖 | だ液・すい液 |
| ペプシン | タンパク質 → ペプチド | 胃液(pH 2) |
| リパーゼ | 脂肪 → 脂肪酸 + モノグリセリド | すい液 |
カタラーゼの実験:過酸化水素水に肝臓片を入れると酸素が発生(線香が炎を上げる)。煮た肝臓片では発生しない(酵素が変性)。酸化マンガン(Ⅳ)(無機触媒)でも発生し、こちらは煮ても発生する。
3. 光合成 ── 光エネルギーを有機物に
まずここだけ
場所:葉緑体(クロロフィルが光を吸収) 反応:二酸化炭素 + 水 + 光エネルギー → 有機物(グルコースなど)+ 酸素 6CO₂ + 12H₂O → C₆H₁₂O₆ + 6O₂ + 6H₂O
- 光エネルギーでまず ATP をつくり、その ATP を使って CO₂ から有機物を合成する(同化)
- 発生する酸素は水に由来
- 葉緑体をもたないシアノバクテリアも光合成をする
- 光合成でつくった有機物はデンプンとして蓄えられたり、呼吸に使われたりする
4. 呼吸 ── 有機物からエネルギーを取り出す
まずここだけ
場所:主にミトコンドリア(一部は細胞質基質) 反応:有機物(グルコース)+ 酸素 → 二酸化炭素 + 水 + エネルギー(ATP) C₆H₁₂O₆ + 6O₂ + 6H₂O → 6CO₂ + 12H₂O
| 呼吸 | 燃焼 | |
|---|---|---|
| 反応 | 有機物 + O₂ → CO₂ + H₂O | 同じ |
| 温度 | 体温程度 | 高温 |
| 進み方 | 酵素で段階的 | 一気に |
| エネルギー | ATP に蓄える | 熱・光として放出 |
発酵:酸素を使わずに有機物を分解(アルコール発酵:酵母がグルコース → エタノール + CO₂、乳酸発酵:乳酸菌)。得られる ATP は呼吸よりずっと少ない。
5. 光合成と呼吸の対比
| 光合成 | 呼吸 | |
|---|---|---|
| 場所 | 葉緑体 | ミトコンドリア |
| 材料 | CO₂・H₂O | 有機物・O₂ |
| 生成物 | 有機物・O₂ | CO₂・H₂O |
| エネルギー | 光 → 有機物に蓄える(同化) | 有機物 → ATP に取り出す(異化) |
| 行う生物 | 植物・藻類・シアノバクテリア | ほぼすべての生物(植物も!) |
植物も呼吸をしている。昼は光合成 > 呼吸で見かけ上 O₂ を出し、夜は呼吸だけ。
6. よくある間違い
- 「植物は呼吸をしない」(昼も夜も呼吸している)
- 酵素を「使うとなくなる」と思う(繰り返し使える)
- 低温で酵素が「失活」すると書く(活性が下がるだけ。失活は高温・pH の変化)
- 光合成の O₂ が CO₂ 由来だと思う(水由来)
- 呼吸を「息をすること」(ガス交換)と混同する(細胞内の化学反応)
- カタラーゼの実験で酸化マンガン(Ⅳ)を煮ると発生しなくなると書く(無機触媒は熱に強い)
7. 自己チェック
- 同化(合成・吸収)と異化(分解・放出)を例つきで言えるか
- 酵素の 4 つの性質(触媒・タンパク質・基質特異性・最適条件)を言えるか
- 光合成と呼吸の反応式(言葉)と場所を言えるか
- 呼吸と燃焼の違いを 2 つ言えるか
- 植物も呼吸する、と言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(bb-02)
関連する単元
- 前提:bb-01 細胞と ATP、s2-08 植物のはたらき(中学)、s2-09 消化と酵素(中学)
- 次に進む:bb-03 DNA、bb-09 生態系(炭素の循環)
- ここで使う考え方が出てくる:cb-09 酸化還元(呼吸は有機物の酸化)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「生物基礎」(1) イ 生物とエネルギー
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/bb-02/ / 更新 2026-09-12