勉強法

更新 2026-10-04 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

理科の勉強法 ── 研究で確かめられている4つのやり方

このページも数学・英語と同じ立場です。実験で比べた結果が論文になっているやり方だけを集めました。研究ごとに「だれを対象に・何を比べて・どれくらい差が出たか」を書きます。数字が要旨に無いものは書きません。

理科は「暗記が半分、計算が半分」と言われます。でも研究で見ると、どちらも同じやり方が通用します。用語も計算も、残るやり方は3つです。読み返すより思い出す・まとめるより説明する・間をあけて戻る。しかも理科には、中学生の教室で行われた実験がそろっています。

今日からやること

  1. 解説を読んだら閉じて小テスト。まちがえた問題は、3日後と1週間後にもう一度解く
  2. まとめノートを作る時間を、白紙に用語・式・実験の流れを思い出して書く時間に変える。1単元10分で
  3. 定期テスト2週間前からは、ノートを読み返す代わりに範囲の小テストを通しで受ける

結論の表

やり方ひとことで理科ではこうする証拠の強さ
① 小テストで思い出す授業のあと・単元の前に短いテストを受ける解説を読んだら閉じて小テスト。まちがえた問題は日をあけてもう一度強い(中学の教室実験で +13〜25%)
② まとめノートより「思い出して書く」図をまとめる時間を、白紙に思い出して書く時間に解説を閉じて、白紙に用語・式・実験の流れを書き出す強い(理科の文章で実験)
③ 自分に説明する「なぜそうなる?」を自分の言葉で言う実験結果の理由、公式がそうなる理由を一文で言う中〜強(中2相当の血液循環の文章で実験)
④ 聞くだけより手を動かす授業を聞くだけより、解く・書く・話す動画や授業のあとは問題を解く。読んだ実験は手順を自分で言う強い(225研究のメタ分析・大学)

証拠の強さは3点で判定しています。中高生に近い対象か。時間をおいたテストがあるか。複数の研究で同じ方向の結果が出ているか。


① 小テストで思い出す(練習テスト)

何をするか

単元を学んだら、まとめを読み返さずに小テストを受けます。まちがえたら答えを確認し、数日あけてもう一度。点数はつけなくてよいです(成績に入らない、気軽なテスト)。

どんな研究があるか

McDaniel, Agarwal, Huelser, McDermott & Roediger(2011)

小テストを置く時期も比べました。「授業の前」「授業の直後」「単元テスト前の復習」です。復習として行った小テストの差が最も大きく、その差は学期末・学年末のまとめのテストまで残りました。

Roediger, Agarwal, McDaniel & McDermott(2011)は、同じ設計の社会科の研究です(→ 社会の勉強法)。対象はアメリカの 6 年生(ミドルスクール・小学 6 年相当)です。教科がちがっても同じ結果でした。

Butler(2010)

「テストで覚えた知識は応用できない」という心配への反証です。

理科での具体例

注意点


② まとめノートより「思い出して書く」

何をするか

単元が終わったら、教科書や解説を閉じて白紙に書き出します。覚えている用語・式・実験の流れ・図です。書けなかったところだけ、解説で確認します。きれいなまとめノートを作る時間を、これに置きかえます。

どんな研究があるか

Karpicke & Blunt(2011)(Science 誌)

その差は、理解や推論を問う問題でも保たれました。最終テストが概念図を描く課題のときでも同じです。まとめを作るほうが深く学べそうに見えますが、思い出す練習のほうが上だったのです。

Nesbit & Adesope(2006)は、概念図そのもののメタ分析です。55 研究・5,818 人が対象です(小 4〜大学・理科を含む)。概念図を使う学習は、使わない学習より記憶が伸びました。ただし差の大きさは、使い方によって小〜大とばらつきました。

つまり概念図はむだではありません。「読むだけ」よりは良く、「思い出す練習」には及ばないという位置です。

理科での具体例

注意点


③ 自分に説明する(自己説明)

何をするか

解説を読みながら、一文ごとに自分に問います。「これはなぜ?」「前の文とどうつながる?」。答えを自分の言葉で言うか書きます。答えが出なくてもかまいません。

どんな研究があるか

Chi, de Leeuw, Chiu & LaVancher(1994)

とくに説明を多く出した生徒は、複雑な問いに答える力や、書かれていないしくみを推論する力が高かったのです。訓練なしに「説明して」と頼んだだけで、この差が出ています。

数学の勉強法で引いた Dunlosky ほか(2013) は、自己説明を「有用性・中」としています(練習テスト・分散練習の次)。

理科での具体例

注意点


④ 聞くだけより手を動かす(能動学習)

何をするか

授業・動画・解説を受け取るだけで終わらせません。直後に問題を解く・図を描く・人に説明する。

どんな研究があるか

Freeman ほか(2014)

「0.47 標準偏差」は、差の大きさの目安「効果量 d」と同じ物差しです。0.2 が小・0.5 が中・0.8 が大の目安です。差はどの分野でも、クラスの大きさにかかわらず見られました。小さいクラス(50 人以下)で最大でした。

大学の研究ですが、「聞いて終わり」と「手を動かす」の差は、中学でも同じ方向と考えられます。数字は大学のものとして読んでください。

理科での具体例

注意点


まとめ:理科の 1 週間の回し方(例)

日やること
授業の日解説を読む → 閉じて小テスト(基礎)→ まちがえた問題の解説を確認
3 日後同じ単元の小テスト(標準)。白紙に用語・式を書き出す(②)
1 週間後前週の単元をまとめて小テスト。理由が言えない用語に「なぜ?」(③)
定期テスト前ノートを読む代わりに、範囲の小テストを通しで受ける(①で最も差が大きかったやり方)

大学受験(高校理科)ではこう使う

高校理科の単元は 物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の 39 単元(共通テスト理科①の範囲)。


参考文献(DOI は確認ずみ・2026-09-12)

  1. McDaniel, M. A., Agarwal, P. K., Huelser, B. J., McDermott, K. B., & Roediger, H. L. (2011). Test-enhanced learning in a middle school science classroom: The effects of quiz frequency and placement. Journal of Educational Psychology, 103(2), 399–414. https://doi.org/10.1037/a0021782
  2. Roediger, H. L., Agarwal, P. K., McDaniel, M. A., & McDermott, K. B. (2011). Test-enhanced learning in the classroom: Long-term improvements from quizzing. Journal of Experimental Psychology: Applied, 17(4), 382–395. https://doi.org/10.1037/a0026252
  3. Butler, A. C. (2010). Repeated testing produces superior transfer of learning relative to repeated studying. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 36(5), 1118–1133. https://doi.org/10.1037/a0019902
  4. Karpicke, J. D., & Blunt, J. R. (2011). Retrieval practice produces more learning than elaborative studying with concept mapping. Science, 331(6018), 772–775. https://doi.org/10.1126/science.1199327
  5. Nesbit, J. C., & Adesope, O. O. (2006). Learning with concept and knowledge maps: A meta-analysis. Review of Educational Research, 76(3), 413–448. https://doi.org/10.3102/00346543076003413
  6. Chi, M. T. H., de Leeuw, N., Chiu, M.-H., & LaVancher, C. (1994). Eliciting self-explanations improves understanding. Cognitive Science, 18(3), 439–477. https://doi.org/10.1207/s15516709cog1803_3
  7. Freeman, S., Eddy, S. L., McDonough, M., Smith, M. K., Okoroafor, N., Jordt, H., & Wenderoth, M. P. (2014). Active learning increases student performance in science, engineering, and mathematics. Proceedings of the National Academy of Sciences, 111(23), 8410–8415. https://doi.org/10.1073/pnas.1319030111
  8. (数学・英語の勉強法から再引用)Dunlosky et al. (2013) https://doi.org/10.1177/1529100612453266 / Rowland (2014) https://doi.org/10.1037/a0037559 / Cepeda et al. (2006) https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354

確認方法:CrossRef API で書誌を、OpenAlex API で要旨を取得し、本文に書いた数字は要旨に書かれているものだけを使いました。生データは docs/参考文献_生データ_理社国_2026-09-12.txt。