中1〜3 国語 / 古典 / k-10
歴史的仮名遣いと古文の基礎(係り結び・古語・作品)
この単元でできるようになること
- を現代仮名遣いに直せる(は行転呼・ゐゑを・ぢづ・くわ・長音「あう→おう」「いう→ゆう」「えう→よう」・「む」→「ん」)
- 古文によく出る古語(あやし・いと・をかし・つきづきし・ありがたし・うつくし・やがて・ゆかし・さらなり・げに など)の意味が言える
- (ぞ・なむ・や・か → 連体形、こそ → 已然形)と主語の省略、敬語、和歌の決まり(五七五七七・句切れ・枕詞・掛詞)がわかる
- 主な作品と作者・時代・ジャンル(竹取物語・伊勢物語・枕草子・源氏物語・今昔物語集・方丈記・平家物語・徒然草・おくのほそ道・万葉集・古今和歌集・新古今和歌集)を結びつけられる
入試での位置づけ
仮名遣いの書き換え(「いふ → いう」「けふ → きょう」)は古文の大問でほぼ必ず 1 問。古語の意味(「あやし」=不思議だ・身分が低い、「うつくし」=かわいい、「ありがたし」=めったにない)と作品と作者(徒然草=兼好法師、枕草子=清少納言、おくのほそ道=芭蕉)も定番。主語の補いと係り結びは記述の土台。
1. 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに
まずここだけ
| 規則 | 例 |
|---|---|
| ① 語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」→「わ・い・う・え・お」 | あはれ → あわれ、いふ → いう、かは → かわ、なほ → なお、にほひ → におい(語頭の「は」はそのまま:はな) |
| ② 「ゐ・ゑ・を」→「い・え・お」 | ゐる → いる、こゑ → こえ、をかし → おかし、をとこ → おとこ |
| ③ 「ぢ・づ」→「じ・ず」 | はぢ → はじ、みづ → みず、いづれ → いずれ |
| ④ 「くわ・ぐわ」→「か・が」 | くわし(菓子)→ かし |
| ⑤ 「む」→「ん」(助動詞・一部) | なむ → なん、いはむ → いわん、こむ → こん |
| ⑥ 長音 あ段+う → お段+う | やう → よう、かう → こう、あふぎ → あう → おうぎ、たまふ → たまう → たもう |
| い段+う → い段+ゅう | うつくしう → うつくしゅう、きう → きゅう |
| え段+う → い段+ょう | けふ → けう → きょう、てふ → ちょう、せうそこ → しょうそこ |
手順:①〜④を先に直してから、⑥の長音を見る(「けふ」→ まず「けう」→ 次に「きょう」)。 注意:助詞の「は」「へ」「を」は現代でもそのまま(「花は」「川へ」「本を」)。
「をとこもすなる日記といふものを」→「おとこもすなる日記というものを」 「やうやう白くなりゆく山ぎは」→「ようよう白くなりゆく山ぎわ」
2. よく出る古語
まずここだけ
| 古語 | 意味 | 注意 |
|---|---|---|
| いと | とても・たいそう | |
| をかし | 趣がある・美しい・おもしろい | 現代の「おかしい(変だ)」ではない |
| あやし | 不思議だ/身分が低い・みすぼらしい | 2 つの意味 |
| うつくし | かわいらしい・いとおしい | 現代の「美しい」とずれる |
| ありがたし | めったにない・珍しい | 「感謝」ではない |
| つきづきし | 似つかわしい・ふさわしい | |
| やがて | そのまま・すぐに | 現代の「しばらくして」ではない |
| ゆかし | 見たい・知りたい・心が引かれる | |
| さらなり | 言うまでもない | 「春はあけぼの」に |
| げに | 本当に・なるほど | |
| あさまし | 驚きあきれる | 現代の「卑しい」ではない |
| おどろく | 目を覚ます・気づく | 「びっくり」だけではない |
| いみじ | ひどく・たいへん(良くも悪くも) | |
| なつかし | 心が引かれる・親しみやすい | |
| はづかし | 立派だ(こちらが恥ずかしくなるほど)・恥ずかしい | |
| ののしる | 大声で騒ぐ・評判になる | 「悪口」ではない |
| わろし | よくない(「あし」ほどではない) | よし>よろし>わろし>あし |
| 心にくし | 奥ゆかしい・上品だ | |
| らうたし | かわいい | |
| すさまじ | 興ざめだ | |
| あした | 朝 | 「明日」ではない |
| つとめて | 早朝・翌朝 | |
| ゐる(居る) | 座る・いる | |
| のたまふ | おっしゃる(尊敬) | |
| まゐる | 参上する(謙譲) | |
| 候ふ(さうらふ) | あります・おります(丁寧) |
3. 古文の決まり
ここまでできれば十分
係り結び:文中に係助詞があると、文末が終止形でなく決まった形になる。
| 係助詞 | 文末 | 意味 |
|---|---|---|
| ぞ・なむ・や・か | 連体形 | 強調(ぞ・なむ)、疑問・反語(や・か) |
| こそ | 已然形 | 強調 |
「月こそあれ」「いづれの山か天に近き」「花ぞ昔の香ににほひける」
主語の省略:古文は主語を省くことが多い → 敬語の有無・接続助詞「て」(主語は同じことが多い)・「を・に・ば」(主語が変わることが多い)で判断。 敬語:尊敬語(のたまふ・おはす・給ふ)は身分の高い人の動作、謙譲語(申す・まゐる・奉る)は身分の高い人への動作。 会話文:「と」「とて」「と言ふ」の前までが会話。 ものの名前:有明の月・十五夜・月の異名(1 月むつき・3 月やよい・5 月さつき・7 月ふみづき・12 月しわす)、方角・時刻(子=北・午=南・真夜中「子の刻」・正午「午の刻」)。
和歌:五・七・五・七・七(31 音)。句切れ(意味の切れ目。初句切れ〜四句切れ)。枕詞(決まった語を導く 5 音:あしひきの → 山、ちはやぶる → 神、たらちねの → 母、ひさかたの → 光・天)。掛詞(1 語に 2 つの意味:「まつ」=松・待つ、「あき」=秋・飽き)。序詞・体言止め・倒置。俳句:五・七・五、季語・切れ字(や・かな・けり)。
4. 主な作品
ここまでできれば十分
| 時代 | 作品 | 作者 | ジャンル・冒頭など |
|---|---|---|---|
| 奈良 | 万葉集 | 大伴家持ら | 最古の和歌集・万葉がな・防人の歌 |
| 平安 | 竹取物語 | 不明 | 最古の物語(「物語の出で来はじめの祖」)「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」 |
| 平安 | 伊勢物語 | 不明 | 歌物語(在原業平) |
| 平安 | 古今和歌集 | 紀貫之ら | 最初の勅撰和歌集・仮名序 |
| 平安 | 土佐日記 | 紀貫之 | 仮名の日記 |
| 平安 | 枕草子 | 清少納言 | 随筆「春はあけぼの」 |
| 平安 | 源氏物語 | 紫式部 | 長編物語・光源氏 |
| 平安末 | 今昔物語集 | 不明 | 説話集「今は昔」 |
| 鎌倉 | 新古今和歌集 | 藤原定家ら | 後鳥羽上皇の命 |
| 鎌倉 | 方丈記 | 鴨長明 | 随筆「ゆく河の流れは絶えずして」無常観 |
| 鎌倉 | 平家物語 | 不明 | 軍記物語「祇園精舎の鐘の声」琵琶法師 |
| 鎌倉 | 徒然草 | 兼好法師(吉田兼好) | 随筆「つれづれなるままに」 |
| 鎌倉 | 宇治拾遺物語 | 不明 | 説話集(こぶとり・わらしべ) |
| 室町 | 御伽草子 | 一寸法師など | |
| 江戸 | おくのほそ道 | 松尾芭蕉 | 俳諧紀行文「月日は百代の過客にして」 |
| 江戸 | 『南総里見八犬伝』『東海道中膝栗毛』 | 馬琴・一九 |
三大随筆=枕草子・方丈記・徒然草。三大和歌集=万葉・古今・新古今。
5. よくある間違い
- 語頭の「は」も「わ」に変える(語頭はそのまま:「はる」はそのまま)
- 「けふ」を「けう」で止める(→ きょうまで)
- 「をかし」を「変だ」(趣がある)、「うつくし」を「美しい」(かわいい)、「ありがたし」を「感謝」(めったにない)
- 「やがて」を「しばらくして」(そのまま・すぐに)
- 「こそ」の結びを連体形(已然形)
- 枕草子を紫式部(清少納言)、方丈記を兼好(鴨長明)、徒然草を長明(兼好法師)
- 竹取物語に作者がいるとする(作者不明)
6. 自己チェック
- は行転呼(語頭以外)・ゐゑを・ぢづ・くわ・む→ん・長音(あう→おう、いう→ゆう、えう→よう)
- をかし=趣、あやし=不思議/身分低い、うつくし=かわいい、ありがたし=珍しい、やがて=すぐに
- ぞなむやか → 連体形、こそ → 已然形。主語は敬語と「て」「を・に・ば」で
- 三大随筆:枕草子(清少納言・平安)、方丈記(鴨長明・鎌倉)、徒然草(兼好・鎌倉)
- 和歌 5 7 5 7 7・枕詞(あしひきの→山・ちはやぶる→神・たらちねの→母)
7. 小テストへ
→ 小テスト(k-10)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』── 「我が国の言語文化に関する事項(伝統的な言語文化)」:歴史的仮名遣い・古典の音読・作品
- 文化庁「現代仮名遣い」(昭和 61 年内閣告示第 1 号)(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/gendaikana/)── 仮名遣いの規則の一次資料
- 国立国語研究所『日本古典対照分類語彙表』── 古語の意味
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/japanese/k-10/ / 更新 2026-09-12