中1 数学 / 数と式 / m1-02
正負の数の加法・減法
この単元でできるようになること
- 負の数がまじった たし算(加法)ができる
- 負の数がまじった ひき算(減法)を、たし算に直して計算できる
- かっこを外して、たし算とひき算が混ざった式を一気に計算できる
- 「符号のミス」が起きる場所を自分で見つけられる
入試での位置づけ
入試の計算問題は、この単元の考え方を使わずに解けるものがほとんどありません。それだけでなく、方程式・関数・図形の計算まで、負の数の足し引きは全部の単元の中に入り込んでいます。ここでのミスは「この単元の失点」ではなく「数学全体の失点」になります。逆に言えば、ここが安定すると数学全体の点が安定します。
1. 加法(たし算)── 数直線で動く
まずここだけ
たし算は「数直線の上を動くこと」だと考えます。
- 正の数をたす = 右へ動く
- 負の数をたす = 左へ動く
たとえば (−3) + 5 は、「−3 の位置から右へ 5 動く」です。
左へ 右へ 5 →
─┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──
−4 −3 −2 −1 0 1 2 3 4
●────────────────→ ●
出発 −3 到着 +2
到着したのは +2。だから (−3) + 5 = 2 です。
(−3) + (−5) なら、「−3 から左へ 5 動く」ので −8 に着きます。
数直線を使わずに計算するルール
毎回数直線を書くのは大変なので、ルールにまとめます。慣れるまでは、ルールと数直線の両方で確かめてください。
① 同じ符号どうしの和 絶対値をたして、共通の符号をつける。 (+3) + (+5) = +8 (−3) + (−5) = −8
② 違う符号どうしの和 絶対値の差を出して、絶対値が大きいほうの符号をつける。 (−3) + (+5):絶対値は 3 と 5。差は 2。大きいのは +5 側 → +2 (+3) + (−5):絶対値は 3 と 5。差は 2。大きいのは −5 側 → −2
③ 0 をたす・絶対値が同じで符号が逆 (−4) + 0 = −4 (+4) + (−4) = 0
例
| 式 | どう考えるか | 答え |
|---|---|---|
| (+7) + (+2) | 同符号。7+2=9 に + | +9 |
| (−7) + (−2) | 同符号。7+2=9 に − | −9 |
| (−7) + (+2) | 異符号。7−2=5。大きいのは −7 側 | −5 |
| (+7) + (−2) | 異符号。7−2=5。大きいのは +7 側 | +5 |
| (−2.5) + (+4) | 異符号。4−2.5=1.5。大きいのは +4 側 | +1.5 |
よくある間違い
- (−7) + (+2) を「7+2=9 だから −9」としてしまう → 符号が違うときは差を出す。数直線で「−7 から右へ 2」を思い浮かべれば −5 とわかる
- (+3) + (−5) の答えを「+2」にしてしまう → 絶対値が大きいのは −5 側なので、答えは − 側。「多いほうが勝つ」と覚えると楽
2. 減法(ひき算)── 全部たし算に直す
まずここだけ
負の数のひき算は、「ひく数の符号を変えて、たし算にする」 の一手だけ覚えれば足ります。
a − b は、a + (−b) と同じ
理由を気温で考えます。「5℃ から 3℃ 下がる」は 5 − 3 = 2。これは「5℃ に −3℃ を加える」5 + (−3) = 2 と同じことです。ひくこと=反対向きの数をたすこと。
手順
- ひく数の符号を反対にする(+ なら −、− なら +)
- 「−」を「+」に書き換える
- あとは加法のルール①②で計算
例
| 式 | たし算に直す | 答え |
|---|---|---|
| (+5) − (+8) | (+5) + (−8) | −3 |
| (+5) − (−8) | (+5) + (+8) | +13 |
| (−5) − (+8) | (−5) + (−8) | −13 |
| (−5) − (−8) | (−5) + (+8) | +3 |
特に 「− (−8)」が「+ (+8)」になるところ(マイナスのマイナスはプラス)が、最初はいちばん違和感があるところです。数直線で言えば「左へ 8 動くことの反対」=「右へ 8 動く」です。
よくある間違い
- (−5) − (−8) を「−5 − 8 = −13」にしてしまう → ひく数の −8 の符号を変えていない。まず符号を変えてからたし算にする
- (+5) − (+8) で「5 から 8 は引けない」と止まる → 負の数の世界では引けます。(+5) + (−8) = −3
ここまでできれば十分
たし算とひき算を、それぞれ単独で間違えなくなればここまでで合格です。次の節は「まとめて計算する」技術で、テストの計算問題のほとんどはこの形で出ます。
3. 加法と減法の混じった式 ── かっこを外す
まずここだけ
(−3) + (+5) − (−2) − (+4) のような式は、全部たし算に直したあと、かっこと「+」を取って、数字と符号だけ並べます。
- ひき算をたし算に直す:(−3) + (+5) + (+2) + (−4)
- かっこと + を外す:−3 + 5 + 2 − 4
この「かっこを外した形」を 項を並べた式 と呼びます。−3、+5、+2、−4 のひとつひとつが です(この式の項は −3、5、2、−4)。
計算のコツ:正の項と負の項をまとめる
−3 + 5 + 2 − 4 なら
- 正の項:5 + 2 = 7
- 負の項:−3 − 4 = −7
- 合わせて:7 − 7 = 0
順番どおりに左から計算しても答えは同じですが、正と負を分けてまとめるほうが速く、ミスも減ります。たし算は順番を変えても、まとめる順序を変えても答えが変わらない(加法の交換法則・結合法則)ので、この並べ替えは自由です。
例
(−6) − (−9) + (−4) − (+3)
- たし算に:(−6) + (+9) + (−4) + (−3)
- かっこを外す:−6 + 9 − 4 − 3
- 正の項:9 負の項:−6 − 4 − 3 = −13
- 9 − 13 = −4
もう一歩(発展):小数・分数がまじる場合
考え方はまったく同じです。通分・小数点の位置合わせだけ落ち着いてやります。
(−1/2) + (+2/3) − (+1/6)
- かっこを外す:−1/2 + 2/3 − 1/6
- 通分(分母6):−3/6 + 4/6 − 1/6
- 正の項:4/6 負の項:−3/6 − 1/6 = −4/6
- 4/6 − 4/6 = 0
よくある間違い
- かっこを外すとき、「− (−2)」の符号を変え忘れて「−2」のまま外す → かっこの前の − は、中の符号をひっくり返す
- 「−3 + 5」を「−8」にする → 先頭の −3 は「ひく」ではなく「負の項」。異符号の和なので差を出して 2
- 正と負をまとめたあと、最後の引き算で符号を付け忘れる → 「絶対値が大きいほうの符号」をもう一度確認
4. 符号ミスを減らす自己チェック
ミスが出やすいのは決まって次の3か所です。計算を終えたら、この3つだけ見直してください。
- 「− (−□)」を「+□」にしたか(マイナスのマイナス)
- 異符号の和で「差」を出したか(たしてしまっていないか)
- 答えの符号は、絶対値が大きいほうの符号になっているか
見直すのは全部でなく、この3点だけ。全部を見直すと時間が足りず、結局どこも見直せません。
5. 小テストへ
10問で確かめましょう。間違えた問題は、解説を読んでから同じ型の別の数でもう一度解けます。
→ 小テスト(m1-02)
関連する単元
- 前提:m1-01 正負の数の意味・数直線・絶対値・大小
- 次に進む:m1-03 正負の数の乗法・除法・累乗
- ここで使う考え方が出てくる:m1-06 一次式の計算(項をまとめる)、m1-08 一次方程式(移項)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 A 数と式 (1) 正の数と負の数 ── 「正の数と負の数の四則計算」「加法と減法を統合して捉えること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m1-02/ / 更新 2026-09-12