中2 数学 / 関数 / m2-08
一次関数の利用
この単元でできるようになること
- 身のまわりの量(水の量・料金・温度・ばね)を一次関数で表し、予測に使える
- 速さと時間のグラフ(ダイヤグラム)を読み、追いつく・出会う時刻を求められる
- 図形の上を動く点(動点)の問題で、面積を時間の一次関数として表せる
- 変域ごとに式が変わる関数(折れ線のグラフ)を扱える
- 座標平面で、直線で囲まれた三角形の面積を求められる
入試での位置づけ
一次関数の利用は、関数の大問の後半として出題されやすく、「グラフを読む」「動点」「面積」の3つが柱です。計算は m2-06・m2-07 の範囲を出ませんが、「時間 x と面積 y の関係を自分で式にする」段階でつまずく人が多い分野です。表を作って数個の値を確かめてから式にする習慣が、ここでの得点を安定させます。
1. 一次関数で表せる量
まずここだけ
「一定の割合で増える(減る)」量は、一次関数で表せます。
| 場面 | 式 | 傾き a の意味 | 切片 b の意味 |
|---|---|---|---|
| 水そうに毎分 3 L 入れる。はじめ 10 L | y = 3x + 10 | 1 分あたりの増加量 | 最初の量 |
| 携帯の料金:基本料 2000 円+1 分 30 円 | y = 30x + 2000 | 1 分あたりの料金 | 基本料 |
| ばねに x g のおもりで長さ y cm(自然長 12 cm、1 g で 0.5 cm のびる) | y = 0.5x + 12 | 1 g あたりののび | 自然長 |
| 標高が 100 m 上がるごとに気温が 0.6 ℃下がる。地上 20 ℃ | y = −0.006x + 20 | 1 m あたりの変化(負) | 地上の気温 |
傾き = 1 あたりの変化量、切片 = はじめの値。この読み方ができれば、逆に「表やグラフから式を作る」ときも、「1 あたりいくら増えるか」と「x = 0 のときいくらか」を探せばよいことになります。
例:表から式を作る
| おもり x (g) | 0 | 10 | 20 | 30 |
|---|---|---|---|---|
| ばねの長さ y (cm) | 12 | 17 | 22 | 27 |
10 g ごとに 5 cm のびる → 1 g あたり 0.5 cm → a = 0.5。x = 0 で 12 → b = 12。y = 0.5x + 12 「50 g のときの長さ」→ 0.5 × 50 + 12 = 37 cm。表にない値を式で予測するのが、関数を使う目的です。
料金プランの比較
A プラン:基本料 1000 円、1 分 40 円。B プラン:基本料 2200 円、1 分 10 円。何分以上使うと B が安いか。
A:y = 40x + 1000、B:y = 10x + 2200。等しくなるのは 40x + 1000 = 10x + 2200 → x = 40。 40 分より長く使うなら B(傾きが小さい=伸びが少ない)。答え:40 分を超えると B が安い
「どちらが得か」は交点を求め、交点の左右で傾きの大小を見る問題です。
2. 速さのグラフ(ダイヤグラム)
まずここだけ
横軸に時間、縦軸に道のり(出発点からの距離)をとったグラフを、鉄道の運行図にちなんでダイヤグラムと呼びます。
- 傾き = 速さ(1 分あたりに進む道のり)
- 横線(傾き 0)= 止まっている
- 2 本のグラフの交点 = 2 人が同じ場所にいる(出会う・追いつく)
例:追いつく
弟は家を出て分速 60 m で歩き、兄は 6 分後に家を出て分速 90 m で追いかける。兄が家を出てから何分後に追いつくか。
弟:出発してから x 分後の道のり y = 60x 兄:弟の出発を基準に x 分後とすると、兄は (x − 6) 分歩いているので y = 90(x − 6) = 90x − 540 交点:60x = 90x − 540 → 30x = 540 → x = 18。弟の出発から 18 分後 = 兄が出てから 12 分後(1080 m 地点)
「x が何を基準にしているか」を最初に決めて、両方の式を同じ基準で書くのがコツです。
例:出会う
A 地点と、そこから 3000 m 離れた B 地点がある。P は A から B へ分速 80 m、Q は B から A へ分速 70 m で同時に出発した。何分後に出会うか。
A からの距離で表す。P:y = 80x、Q:y = 3000 − 70x(B からスタートして A に近づく=減る) 80x = 3000 − 70x → 150x = 3000 → x = 20。20 分後(A から 1600 m の地点)
向かい合って進む人は、片方の式が右下がりになります。
グラフを読む問題
グラフから「途中で止まった時間」「速さが変わった時刻」を読む問題では、
- 横になっている区間 → 止まっている
- 傾きが急になった → 速くなった
- 折れ曲がった点の座標 → その時刻・場所
を式に直さず読み取るだけで答えられるものも多いです。まずグラフの折れ点の座標を全部書き出すことから始めます。
よくある間違い
- 兄と弟で x の基準がずれたまま連立する → 同じ基準(どちらかの出発時刻)にそろえる
- 「出会う」の問題で、Q の式を y = 70x にしてしまう → B から A に向かうなら y = 3000 − 70x
- 分と時間、m と km を混ぜる → 式を立てる前に単位をそろえる
ここまでできれば十分
ダイヤグラムで「傾き = 速さ」「交点 = 出会う・追いつく」が使えれば、この単元の前半は合格です。
3. 動点の問題
まずここだけ
長方形 ABCD(AB = 6 cm、BC = 10 cm)の辺上を、点 P が A を出発して B、C の順に毎秒 1 cm で動く。P が出発してから x 秒後の △APD の面積を y cm² とする。x と y の関係を式で表せ。
P がどの辺にいるかで式が変わるので、区間に分けます。
① P が AB 上(0 ≦ x ≦ 6) AP = x。△APD は底辺 AD = 10、高さ AP = x。y = (1/2) × 10 × x = 5x
② P が BC 上(6 ≦ x ≦ 16) △APD は底辺 AD = 10、高さは AB = 6 で一定。y = (1/2) × 10 × 6 = 30(一定)
グラフにすると、0〜6 秒は原点から (6, 30) まで右上がり、6〜16 秒は y = 30 の横線。折れ線になります。
動点の手順
- 点の速さから、各辺を通過する時刻を出す(AB 6 cm を毎秒 1 cm → 6 秒、BC 10 cm → 16 秒まで)
- 区間ごとに、図をかいて三角形の底辺と高さを x で表す
- 式にして、変域を添える
- 区間の境目(x = 6)で式の値がつながるか確かめる(5 × 6 = 30 ✓)
例:P が CD 上に進む場合
CD = 6 cm なので 16 ≦ x ≦ 22。P は C から D に向かい、DP = 22 − x。△APD は底辺 AD = 10、高さ DP = 22 − x。 y = (1/2) × 10 × (22 − x) = −5x + 110。x = 16 で 30 ✓、x = 22 で 0(P が D に着いて三角形がつぶれる)✓
よくある間違い
- 区間を分けずに1つの式で書こうとする → 辺ごとに式が変わる
- 高さを「P までの道のり」にする → 高さは底辺に垂直な長さ。BC 上にいるときの高さは AB で一定
- 変域を書き忘れる → 式は変域とセットで答える
4. 座標平面上の三角形の面積
ここまでできれば十分(の次)
直線 ℓ:y = 2x + 4 と直線 m:y = −x + 7 の交点を A、ℓ と y 軸の交点を B、m と y 軸の交点を C とする。△ABC の面積を求めよ。
- A:2x + 4 = −x + 7 → x = 1、y = 6 → A(1, 6)
- B:ℓ の切片 → B(0, 4)
- C:m の切片 → C(0, 7)
- 底辺を y 軸上の BC = 7 − 4 = 3 にとると、高さは A の x 座標 = 1
- 面積 = (1/2) × 3 × 1 = 3/2
y 軸上(または x 軸上)に2頂点があるなら、それを底辺に。高さはもう1つの頂点の x 座標(または y 座標)の絶対値です。
原点と2点の三角形
原点 O と A(1, 6)、B(0, 4) の △OAB → 底辺 OB = 4(y 軸上)、高さ = A の x 座標 1 → 面積 2
面積を2等分する直線(発展)
「原点を通り △ABC の面積を2等分する直線」は、辺 BC の中点を通る直線です(中点で底辺を半分にすれば、高さが共通なので面積も半分)。B(0, 4)、C(0, 7) の中点は (0, 11/2)。原点とこの点を通る直線は…y 軸そのものになってしまうので、この例では別の辺で考えます。一般に「頂点を通って面積を2等分」=「向かい合う辺の中点を通る」と覚えておけば、式は m2-06 の「2点を通る直線」で求まります。
5. 自己チェック
- 傾き = 1 あたりの変化量、切片 = はじめの値、と読めたか
- ダイヤグラム:x の基準(誰の出発時刻か)を両方の式でそろえたか
- 動点:辺ごとに区間を分け、境目で値がつながるか確かめたか
- 面積:軸上の 2 点を底辺にし、高さは残る頂点の座標の絶対値にしたか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m2-08)
関連する単元
- 前提:m2-06 一次関数、m2-07 一次関数と方程式
- 次に進む:m2-09 平行線と角(図形分野へ)
- ここで使う考え方が出てくる:m2-13 平行線と面積(等積変形)、m3-09 y=ax² の利用、m3-10 放物線と直線
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 C 関数 (1) 一次関数 ── 「一次関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m2-08/ / 更新 2026-09-12