中2 数学 / 図形 / m2-12
平行四辺形 ── 性質・条件・特別な平行四辺形
この単元でできるようになること
- 平行四辺形の定義と 3 つの性質(対辺・対角・対角線)を使える
- 平行四辺形になるための条件 5 つを言え、証明で「平行四辺形である」ことを示せる
- 長方形・ひし形・正方形を、平行四辺形との関係(条件の追加)で整理できる
- 平行四辺形の性質を根拠にした合同の証明が書ける
入試での位置づけ
平行四辺形は、証明問題の題材として最も出題されやすい図形の 1 つです。「平行四辺形 ABCD」と書かれた瞬間に、対辺が等しい・対辺が平行(錯角)・対角線が中点で交わるを根拠として使えます。「四角形 ○○○○ が平行四辺形であることを証明せよ」は、条件 5 つのどれかを示す問題で、条件を覚えていないと手が出ません。長方形・ひし形・正方形は、平行四辺形に「条件を足した」図形として整理すると混乱しません。
1. 平行四辺形の定義と性質
まずここだけ
2 組の対辺がそれぞれ平行な四角形を といいます(定義)。記号 ▱ABCD。
向かい合う辺を 対辺、向かい合う角を 対角 といいます。
A ────────── D
/ /
/ / AB ∥ DC、AD ∥ BC
B ────────── C
性質(定理)
- 2 組の対辺はそれぞれ等しい(AB = DC、AD = BC)
- 2 組の対角はそれぞれ等しい(∠A = ∠C、∠B = ∠D)
- 対角線はそれぞれの中点で交わる(AO = CO、BO = DO。O は交点)
さらに、定義から 隣り合う角の和は 180°(AB ∥ DC で同側内角)。
性質①の証明(対角線を引く)
対角線 AC を引く。△ABC と △CDA において、AC は共通、AB ∥ DC より錯角 ∠BAC = ∠DCA、AD ∥ BC より錯角 ∠BCA = ∠DAC。1 組の辺とその両端の角 → △ABC ≡ △CDA → AB = CD、BC = DA。
「平行四辺形に対角線を引くと合同な三角形が 2 つできる」──これが性質の出どころで、証明で対角線を補助線に引く理由でもあります。
角の計算
∠A = 110° の平行四辺形 → ∠C = 110°(対角)、∠B = ∠D = 70°(隣り合う角の和が 180°)
よくある間違い
- 平行四辺形の対角線が「等しい」と思う → 対角線が等しいのは長方形。平行四辺形は「中点で交わる」だけ
- 対角線が「垂直に交わる」と思う → 垂直なのはひし形
- 隣り合う角を等しいとする → 隣り合う角は和が 180°。等しいのは対角
2. 平行四辺形になるための条件
まずここだけ
四角形が平行四辺形であるといえるのは、次の 5 つのどれか 1 つが成り立つときです。
| 条件 | |
|---|---|
| ① | 2 組の対辺がそれぞれ平行(定義) |
| ② | 2 組の対辺がそれぞれ等しい |
| ③ | 2 組の対角がそれぞれ等しい |
| ④ | 対角線がそれぞれの中点で交わる |
| ⑤ | 1 組の対辺が平行で、その長さが等しい |
①〜④は性質の逆(すべて正しい)、⑤は「1 組」だけでよいという便利な条件です。
証明での使い方
「四角形 EBFD が平行四辺形であることを証明せよ」
図の中で、EB と FD について「平行」と「等しい」の両方が言えそうなら⑤、対角線の中点なら④、というように、5 つの中から図に合う条件を選び、それを示すのが手順です。
例:▱ABCD の対角線 BD 上に、BE = DF となる点 E、F をとると、四角形 AECF は平行四辺形
対角線 AC と BD の交点を O とすると、AO = CO(平行四辺形の対角線)。BO = DO で、BE = DF より EO = BO − BE = DO − DF = FO。 対角線 AC、EF がそれぞれの中点 O で交わるので、条件④より四角形 AECF は平行四辺形。
よくある間違い
- 「1 組の対辺が平行」だけで平行四辺形とする → 台形もそう。平行かつ等しい(⑤)が必要
- 「1 組の対辺が等しく、もう 1 組が平行」を⑤と思う → ⑤は同じ 1 組が平行で等しい。別の組では平行四辺形とは限らない(等脚台形が反例)
- 条件を 2 つ示そうとして時間を使う → 1 つで十分
ここまでできれば十分
性質 3 つを根拠に使え、条件 5 つの中から示すものを選べれば、この単元の中心は合格です。
3. 特別な平行四辺形
まずここだけ
平行四辺形に条件を足すと、長方形・ひし形・正方形になります。
| 図形 | 定義 | 平行四辺形に足す条件 | 対角線の性質 |
|---|---|---|---|
| 4 つの角がすべて等しい(90°) | 1 つの角が 90° | 長さが等しい | |
| 4 つの辺がすべて等しい | 隣り合う 2 辺が等しい | 垂直に交わる | |
| 4 角が等しく 4 辺が等しい | 長方形かつひし形 | 等しく、垂直に交わる |
平行四辺形 ──(角が 90°)──→ 長方形 ──┐
│ ├──→ 正方形
└───(辺が等しい)──→ ひし形 ──────┘
すべて平行四辺形の仲間なので、平行四辺形の性質(対辺が等しい・対角線が中点で交わる)はどれにも使えます。
対角線で見分ける
| 対角線が… | 図形 |
|---|---|
| 中点で交わる | 平行四辺形 |
| 中点で交わり、長さが等しい | 長方形 |
| 中点で交わり、垂直 | ひし形 |
| 中点で交わり、等しく、垂直 | 正方形 |
「対角線が等しい平行四辺形は長方形」「対角線が垂直な平行四辺形はひし形」は、証明問題で「〜が長方形であることを示せ」のときの締めに使います。
例:ひし形の対角線が垂直である証明
ひし形 ABCD の対角線の交点を O。△ABO と △ADO で、AB = AD(ひし形)、BO = DO(平行四辺形の対角線)、AO 共通。3 組の辺 → 合同 → ∠AOB = ∠AOD。∠AOB + ∠AOD = 180° なので、それぞれ 90°。AC ⊥ BD。
よくある間違い
- 長方形の対角線が垂直と思う → 長方形は等しい、ひし形が垂直
- 「正方形は長方形ではない」と思う → 正方形は長方形の特別な場合(かつひし形でもある)
- ひし形の定義を「対角線が垂直」とする → 定義は4 辺が等しい。対角線の垂直は性質
4. 台形
ここまでできれば十分(の次)
1 組の対辺が平行な四角形を台形といい、平行な 2 辺のうち上を上底、下を下底、平行でない 2 辺を脚といいます。脚の長さが等しい台形を等脚台形といい、底角が等しく、対角線の長さが等しい性質があります。
台形は平行四辺形ではありません(平行なのが 1 組だけ)。「四角形が平行四辺形であることを示す」問題で台形の可能性を消すために、条件⑤の「平行かつ等しい」が必要になるわけです。
5. 証明の型(この単元)
もう一歩(発展)
型①:平行四辺形の性質を根拠に、三角形の合同を示す
▱ABCD で、辺 AD、BC 上にそれぞれ AE = CF となる点 E、F をとると、BE = DF △ABE と △CDF において、AB = CD(平行四辺形の対辺)、AE = CF(仮定)、∠A = ∠C(平行四辺形の対角)。2 組の辺とその間の角 → 合同 → BE = DF。
型②:四角形が平行四辺形であることを示す 上の図で、さらに四角形 EBFD が平行四辺形であることを示すなら:ED = AD − AE、BF = BC − CF で、AD = BC、AE = CF より ED = BF。ED ∥ BF(AD ∥ BC の一部)。1 組の対辺が平行で等しい(条件⑤)→ 平行四辺形。
型③:長方形・ひし形であることを示す まず平行四辺形であることを示し(または与えられ)、「対角線が等しい」→ 長方形、「隣り合う辺が等しい」→ ひし形、で締める。
証明で「平行四辺形 ABCD」と書かれたら、使える根拠が 5 つ(AB = DC、AD = BC、∠A = ∠C、∠B = ∠D、対角線の中点、+平行から錯角)あると思って、図に印をつけてから書き始めてください。
6. 自己チェック
- 平行四辺形の性質:対辺が等しい・対角が等しい・対角線が中点で交わる、を根拠として書いたか
- 平行四辺形であることを示すとき、条件 5 つのどれを示したか明記したか(「1 組の対辺が平行でその長さが等しいので」)
- 長方形=対角線が等しい、ひし形=対角線が垂直、を取り違えていないか
- 「1 組が平行で別の1 組が等しい」を条件⑤と混同していないか
7. 小テストへ
→ 小テスト(m2-12)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 B 図形 (2) 図形の合同 ── 「平行四辺形の基本的な性質」「平行四辺形になるための条件」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m2-12/ / 更新 2026-09-12