中2 数学 / 図形 / m2-11
二等辺三角形・直角三角形
この単元でできるようになること
- 二等辺三角形の定義と性質(底角が等しい・頂角の二等分線は底辺を垂直に2等分する)を使い、証明できる
- 「2 つの角が等しい三角形は二等辺三角形」(性質の逆)を使える
- 正三角形の性質と、二等辺三角形との関係がわかる
- 直角三角形の合同条件 2 つを使って証明できる
- 定義・定理・逆の関係を整理して説明できる
入試での位置づけ
二等辺三角形の「底角が等しい」は、角度の問題・証明の根拠として最も多く使われる性質の1つです。直角三角形の合同条件は、「垂線を引く」型の証明(角の二等分線上の点から 2 辺への距離が等しい、など)で使います。この単元の証明は「二等辺三角形であることを示す」「直角三角形の合同で辺が等しいことを示す」の 2 型に集約されます。
1. 二等辺三角形の定義と性質
まずここだけ
2 つの辺が等しい三角形を といいます(これが )。等しい 2 辺の間の角を 頂角、残りの辺を 底辺、底辺の両端の角を 底角 といいます。
A ← 頂角
/\
/ \ AB = AC
/ \
B──────C ← 底角 ∠B、∠C
底辺
性質(定理)
- 二等辺三角形の 2 つの底角は等しい
- 頂角の二等分線は、底辺を垂直に 2 等分する
証明されて正しいと確かめられた事柄を といいます。定義は「言葉の約束」、定理は「定義から導かれる事実」です。
性質①の証明(頂角の二等分線を引く)
AB = AC の △ABC で、∠A の二等分線と BC の交点を D とする。 △ABD と △ACD において、AB = AC(仮定)、∠BAD = ∠CAD(角の二等分線)、AD は共通。 2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので △ABD ≡ △ACD。よって ∠B = ∠C。
同じ合同から BD = CD、∠ADB = ∠ADC = 90° も出るので、性質②(AD ⊥ BC、BD = CD)も同時に示せます。
角の計算での使い方
- 頂角 40° → 底角は (180 − 40) ÷ 2 = 70°
- 底角 65° → 頂角は 180 − 65 × 2 = 50°
- 「AB = AC」と書いてあったら、図の ∠B と ∠C に同じ印をつける
よくある間違い
- どの角が底角かを取り違える → 等しい 2 辺にはさまれた角が頂角、残りの 2 つが底角
- 「二等辺三角形の 3 辺が等しい」と思う → 3 辺が等しいのは正三角形(二等辺三角形の特別な場合)
2. 二等辺三角形になるための条件(逆)
まずここだけ
性質①の逆:2 つの角が等しい三角形は、二等辺三角形である(等しい 2 角を底角とする)。これも正しい定理です。
「∠B = ∠C ならば AB = AC」──証明問題で「△ABC が二等辺三角形であることを証明せよ」と言われたら、2 つの角が等しいことを示すか、2 つの辺が等しいことを示すかのどちらかです。角で示すほうが、平行線の錯角や合同から角を持ってこられるので使いやすいことが多いです。
例
AB = AC の二等辺三角形 ABC で、∠B の二等分線と AC の交点を D とする。∠A = 36° のとき、△BCD が二等辺三角形であることを示せ。
∠B = ∠C = (180 − 36)/2 = 72°。∠DBC = 36°。△BCD で ∠BDC = 180 − 36 − 72 = 72° = ∠C。2 角が等しいので BD = BC の二等辺三角形。
(この 36°-72°-72° の三角形は「黄金三角形」と呼ばれ、入試の角度問題に繰り返し登場します)
3. 正三角形
まずここだけ
3 辺が等しい三角形が (定義)。3 つの角はすべて 60°(性質)。逆に、3 つの角が等しい三角形は正三角形。
正三角形は「2 辺が等しい」も満たすので二等辺三角形の一種です。二等辺三角形の性質はすべて正三角形にも使えます。
証明での使い方:「正三角形 ABC」と書いてあったら AB = BC = CA、∠A = ∠B = ∠C = 60° が仮定として使えます(m2-10 型③)。
4. 直角三角形の合同条件
まずここだけ
直角三角形では、直角と向かい合う辺を といいます(最も長い辺)。直角三角形どうしは、次のどちらかで合同です。
| 直角三角形の合同条件 | 内容 |
|---|---|
| ① | 斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しい |
| ② | 斜辺と他の 1 辺がそれぞれ等しい |
①は、直角 + 鋭角 1 つがわかれば残りの角もわかるので「1 組の辺とその両端の角」に帰着します。②は、三平方の定理(中3)で残りの辺も等しくなることから「3 組の辺」に帰着します。三角形の合同条件 3 つに加えて、直角三角形専用の 2 つ、合わせて 5 つを使い分けます。
使いどころ:垂線がある図
「点 P から 2 辺に垂線を下ろす」「垂線の長さが等しい」という設定では、直角三角形が 2 つできます。
例:∠AOB の二等分線上の点 P から辺 OA、OB に垂線 PC、PD を下ろすと、PC = PD
△POC と △POD において、∠PCO = ∠PDO = 90°、OP は共通(斜辺)、∠POC = ∠POD(角の二等分線)。 斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しいので △POC ≡ △POD。よって PC = PD。
これは m1-13 の「角の二等分線上の点は 2 辺から等しい距離にある」の証明です。
逆の例
点 P から ∠AOB の 2 辺に下ろした垂線 PC、PD の長さが等しいならば、OP は ∠AOB の二等分線
△POC と △POD で、∠C = ∠D = 90°、OP 共通(斜辺)、PC = PD(仮定)。斜辺と他の 1 辺 → 合同 → ∠POC = ∠POD。
よくある間違い
- 直角三角形の合同条件を「直角と 1 辺」とする → 直角のほかに斜辺が必要
- 斜辺でない辺を斜辺と思う → 斜辺は直角の向かい(最も長い辺)
- 直角三角形なのに、ふつうの合同条件で書けるときに無理に直角三角形の条件を使う → どちらでも正しければよいが、根拠の書き漏れに注意
ここまでできれば十分
「二等辺三角形 ⇔ 底角が等しい」を両方向で使え、直角三角形の合同条件 2 つを言えれば、この単元の基本は合格です。
5. 証明の型(この単元)
ここまでできれば十分(の次)
型①:二等辺三角形であることを示す → 合同または平行線の錯角などから 2 つの角が等しいことを示し、「2 つの角が等しいので二等辺三角形」で締める。
AB = AC の △ABC で、BC 上に BD = CE となる点 D、E をとると、△ADE は二等辺三角形
△ABD と △ACE において、AB = AC(仮定)、BD = CE(仮定)、∠B = ∠C(二等辺三角形の底角)。2 組の辺とその間の角 → 合同 → AD = AE。よって二等辺三角形。(こちらは「2 辺が等しい」で締める例)
型②:垂線と直角三角形 → 直角の印を 2 つの三角形につけ、斜辺(共通なことが多い)ともう 1 つ(鋭角か辺)を探す。
型③:二等辺三角形の性質を根拠に使う → 「二等辺三角形の底角は等しいので ∠B = ∠C」と、等しい関係の根拠として使う(m2-10 の根拠一覧)。
もう一歩(発展):定義・定理・逆の整理
| 内容 | 逆 | 逆は正しいか | |
|---|---|---|---|
| 二等辺三角形の定義 | 2 辺が等しい | ─ | ─ |
| 定理 | 2 辺が等しい → 底角が等しい | 底角が等しい → 2 辺が等しい | 正しい |
| 定理 | 正三角形 → 3 角が 60° | 3 角が等しい → 正三角形 | 正しい |
| 一般 | 合同 → 面積が等しい | 面積が等しい → 合同 | 正しくない(反例:底辺 4・高さ 3 と底辺 6・高さ 2) |
「逆は必ずしも正しくない」(m2-10)。二等辺三角形の性質は逆も正しい珍しい例で、だからこそ両方向で使えます。
6. 自己チェック
- 頂角・底辺・底角の位置を、等しい 2 辺から判断したか
- 「底角が等しい」を根拠に使うとき、「二等辺三角形の底角は等しいので」と書いたか
- 二等辺三角形であることを示すとき、2 角または 2 辺が等しいことを示して締めたか
- 直角三角形の合同条件は「斜辺 + 鋭角」か「斜辺 + 他の 1 辺」。斜辺を含めたか
7. 小テストへ
→ 小テスト(m2-11)
関連する単元
- 前提:m2-09 平行線と角、m2-10 三角形の合同条件
- 次に進む:m2-12 平行四辺形
- ここで使う考え方が出てくる:m3-14 円周角(円の半径で二等辺三角形ができる)、m3-16 三平方の定理
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 B 図形 (2) 図形の合同 ── 「三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめること」(二等辺三角形の性質、直角三角形の合同条件)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m2-11/ / 更新 2026-09-12