中3 数学 / 図形 / m3-15
円周角の利用 ── 円と相似
この単元でできるようになること
- 円周角の定理を根拠にして、相似の証明が書ける
- 弦の交点でできる相似(方べきの定理につながる形)から長さを求められる
- 円の外の点から引いた 2 直線がつくる相似を使える
- 円周角と作図(円の中心・接線)を結びつけられる
入試での位置づけ
「円と相似」は、公立高校入試の証明問題で最も出題されやすい型の 1 つです。「同じ弧に対する円周角は等しい」が 2 組の角の片方を必ず与えるので、相似の証明が組み立てやすい反面、「どの弧に対する円周角か」を正しく書けないと減点されます。証明のあとの「線分の長さを求めよ」は、相似比の比例式です。
1. 弦の交点でできる相似
まずここだけ
円周上の 4 点 A、B、C、D があり、弦 AC と BD が円の内部の点 P で交わるとき
A
/ \
D──P────B ∠ADB = ∠ACB(弧 AB の円周角)
\ / ∠DAC = ∠DBC(弧 DC の円周角)
C ∠APD = ∠BPC(対頂角)
△PAD ∽ △PBC
証明 △PAD と △PBC において、弧 CD に対する円周角は等しいので ∠PAD = ∠PBC …①(∠CAD = ∠CBD) 対頂角は等しいので ∠APD = ∠BPC …② ①、②より、2 組の角がそれぞれ等しいので △PAD ∽ △PBC
(①は「弧 AB に対する円周角 ∠ADP = ∠BCP」でもよい。どちらか 1 組と対頂角で足ります)
長さを求める
△PAD ∽ △PBC より PA : PB = PD : PC、つまり PA × PC = PB × PD。
PA = 4、PC = 6、PB = 3 のとき PD は? 4 × 6 = 3 × PD → PD = 8
「交わる 2 弦の、交点で分けられた線分の積が等しい」──高校で「方べきの定理」と呼ばれる関係ですが、中学では相似から導いて使うのが正式です。
対応順に注意
△PAD ∽ △PBC は「P ↔ P、A ↔ B、D ↔ C」。△PAD ∽ △PCB ではありません。円周角で等しい角の頂点どうし(A と B、D と C)を対応させます。
よくある間違い
- 円周角の根拠を「弧 CD に対する」と書かずに ∠CAD = ∠CBD とだけ書く → 「弧 CD に対する円周角は等しいので」と弧を明記
- 対応順を取り違えて比例式を作る → 角の対応で頂点順を決める
- PA × PB = PC × PD としてしまう → 同じ弦の 2 つの部分の積(PA × PC と PB × PD)
2. 円の外の点からの相似
まずここだけ
円の外の点 P から 2 本の直線を引き、円と A、B および C、D で交わるとき(P、A、B が一直線、P、C、D が一直線)
A
P ───C─────────B 弧 AC... の円周角
\ \
D─────
△PAD ∽ △PCB
証明:∠P は共通。円に内接する四角形 ACDB の内角と外角の関係(∠PAD = ∠PCB。内接四角形の向かい合う角の和が 180° だから、外角は向かい合う内角に等しい)。2 組の角。 (または、弧 BD に対する円周角 ∠BAD = ∠BCD → その補角どうしも等しい)
PA × PB = PC × PD(対応する辺の比 PA : PC = PD : PB)
接線がある場合(発展)
P から円に接線 PT を引くと、△PTA ∽ △PBT(接線と弦のつくる角 ∠PTA = ∠PBT:接弦定理・高校内容)。PT² = PA × PB。入試では出題されにくいので参考程度に。
3. 直径・直角を使う相似
まずここだけ
AB を直径とすると ∠ACB = 90°(C は円周上)。直角と共通角で相似ができます。
AB を直径とする円で、C から AB に垂線 CH を下ろすと、△ACH ∽ △CBH ∽ △ABC(m3-11 の直角三角形の図と同じ)。CH² = AH × BH
弦 AB の中点を M とすると、OM ⊥ AB(中心から弦への垂線は弦を 2 等分する。二等辺三角形 OAB の頂角の二等分線)
「中心から弦に垂線 → 弦の中点 → 直角三角形 → 三平方の定理(m3-16)」は、弦の長さや半径を求める定番の流れです。
円周角の定理と証明の組み合わせ(定番の証明問題)
円 O の周上に A、B、C、D があり、AC は直径、AD = CD とする。BD と AC の交点を E とするとき、△ABE ∽ △DCE を証明せよ。
△ABE と △DCE において、 弧 AD に対する円周角は等しいので ∠ABE = ∠DCE …① 対頂角は等しいので ∠AEB = ∠DEC …② ①、②より 2 組の角がそれぞれ等しいので △ABE ∽ △DCE
「直径」「AD = CD」は使わなくても証明できることがあります。問題文の条件を全部使う必要はなく、(2)(3)の長さ計算で使うための条件のこともあります。
よくある間違い
- 円周角の根拠の「弧」を、頂点を含む側にする(∠ABE の弧を「弧 AB」とする)→ ∠ABE は B から A、D を見込む角なので弧 AD
- 直角の根拠を書かない → 「AC は直径なので ∠ABC = 90°(半円の弧に対する円周角)」
- 証明に使わない条件を無理に使おうとして混乱する → 使う条件だけで書けばよい
ここまでできれば十分
弦の交点型・外部の点型・直径型の 3 つの図で、円周角を根拠に相似が書け、比例式で長さが出せれば、この単元の中心は合格です。
4. 円周角と作図
ここまでできれば十分(の次)
円の中心を求める:円周上の 3 点をとり、2 本の弦の垂直二等分線の交点(m1-13 の「3 点から等距離」)。
円周角が 90° になる点の作図:線分 AB を直径とする円をかけば、円周上の点 P で ∠APB = 90°。「∠APB = 90° となる点 P を作図せよ」は、AB の中点を中心とする円で解けます。
接線の作図:円 O の外の点 P から接線を引くには、OP を直径とする円をかき、円 O との交点 T が接点(∠OTP = 90° になるから)。
もう一歩(発展):内接四角形と円周角
円に内接する四角形 ABCD で、対角線の交点を P とすると、△PAB ∽ △PDC と △PAD ∽ △PBC の 2 組の相似が同時にできます。問題文でどちらの三角形を指定しているかを見て、対応する円周角(弧 AB か弧 AD か)を選びます。「どの弧か」を図で確かめてから根拠を書く習慣が、この単元の得点を安定させます。
5. 自己チェック
- 円周角の根拠は「弧○○に対する円周角は等しいので」と、弧を明記したか
- 弦の交点型の相似は △PAD ∽ △PBC(対応順を角で確認)か
- 長さは PA × PC = PB × PD(同じ弦の 2 部分の積)か
- 直径があれば 90°、中心から弦への垂線は弦の中点、を使ったか
- 問題文の条件を全部使おうとして混乱していないか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m3-15)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第3学年 B 図形 (2) 円周角と中心角 ── 「円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m3-15/ / 更新 2026-09-12