中3 数学 / 図形 / m3-16
三平方の定理
この単元でできるようになること
- 三平方の定理(a² + b² = c²)を使って、直角三角形の辺の長さを求められる
- 定理の逆(3 辺の関係から直角三角形かどうか判断)を使える
- 特別な直角三角形(45°-45°-90°、30°-60°-90°)の辺の比を使える
- よく出る整数の組(3-4-5、5-12-13 など)を覚えて速く計算できる
入試での位置づけ
三平方の定理は、中3の図形の集大成で、入試の図形問題(平面・空間・座標)のほぼすべてで長さを求める最終手段として使われます。この単元は定理そのものと基本的な計算で、次の単元で利用に進みます。√ を含む答え(m3-04・m3-05)と特別な直角三角形の比が正確に扱えることが、後半の得点の土台です。
1. 三平方の定理
まずここだけ
直角三角形の直角をはさむ 2 辺の長さを a、b、斜辺(直角の向かい・最も長い辺)を c とすると
a² + b² = c²
/|
c / | b
/ |
/____|
a
「直角をはさむ 2 辺の 2 乗の和 = 斜辺の 2 乗」。(ピタゴラスの定理)といいます。
なぜ成り立つか
1 辺 (a + b) の正方形の中に、直角三角形 4 つと 1 辺 c の正方形を並べると、面積の関係 (a + b)² = 4 × (1/2)ab + c² → a² + 2ab + b² = 2ab + c² → a² + b² = c²。展開(m3-01)で示せる証明で、教科書に載っている代表的なものです。
辺を求める
斜辺を求める:a = 3、b = 4 → c² = 9 + 16 = 25 → c = 5 直角をはさむ辺を求める:c = 13、a = 5 → b² = 169 − 25 = 144 → b = 12 √ が残る:a = 2、b = 3 → c² = 13 → c = √13 √ を簡単にする:a = 4、b = 8 → c² = 80 → c = √80 = 4√5
長さは正なので、c² = 25 から c = ±5 でなく c = 5。
よくある間違い
- 斜辺を間違える → 直角の向かいが斜辺。c² = a² + b² の c は必ず斜辺
- 斜辺がわかっていて他の辺を求めるときに、足してしまう(b² = 169 + 25)→ 引く
- √80 を √80 のまま答える → 4√5(m3-04)
- 直角三角形でないのに使う → 定理は直角三角形だけ
ここまでできれば十分
斜辺・他の辺の両方を求められ、√ の中を簡単にできれば、この単元の基本は合格です。
2. 三平方の定理の逆
まずここだけ
3 辺が a、b、c(c が最大)の三角形で a² + b² = c² ならば、その三角形は直角三角形(c の向かいの角が直角)。
- 3、4、5 → 9 + 16 = 25 = 5² → 直角三角形
- 5、12、13 → 25 + 144 = 169 = 13² → 直角三角形
- 4、5、6 → 16 + 25 = 41 ≠ 36 → 直角三角形ではない
- 1、1、√2 → 1 + 1 = 2 = (√2)² → 直角三角形
- 2、3、√13 → 4 + 9 = 13 → 直角三角形
最も長い辺を c にして、残り 2 辺の 2 乗の和と比べます。
覚えておく整数の組(ピタゴラス数)
| a | b | c |
|---|---|---|
| 3 | 4 | 5 |
| 5 | 12 | 13 |
| 8 | 15 | 17 |
| 7 | 24 | 25 |
これらの倍数(6-8-10、9-12-15、10-24-26)も直角三角形。「斜辺 10、1 辺 6」と見たら、計算せずに 8 と分かります。
3. 特別な直角三角形
まずここだけ
角度が決まった 2 種類の直角三角形は、辺の比を覚えておくと、三平方の定理を使わずに長さが出ます。
① 45°-45°-90°(直角二等辺三角形・正方形の半分)
辺の比 1 : 1 : √2 1 辺 a の正方形の対角線 = a√2
② 30°-60°-90°(正三角形の半分)
辺の比 1 : 2 : √3(30° の向かい : 斜辺 : 60° の向かい) 1 辺 a の正三角形の高さ = (√3/2)a
① 45° ② 30°
|\ |\
1 | \ √2 √3| \ 2
|____\ |____\
1 45° 1 60°
例
- 直角二等辺三角形で直角をはさむ辺が 5 → 斜辺 5√2
- 斜辺が 6 の直角二等辺三角形 → 他の辺 6/√2 = 3√2
- 30°-60°-90° で斜辺 8 → 30° の向かい 4、60° の向かい 4√3
- 1 辺 6 の正三角形の高さ → 3√3、面積 → (1/2) × 6 × 3√3 = 9√3
正三角形の面積の公式
1 辺 a の正三角形の面積 = (√3/4)a²。高さ (√3/2)a に底辺 a をかけて 2 で割った結果です。1 辺 4 なら (√3/4) × 16 = 4√3。
よくある間違い
- 1 : 2 : √3 の「2」を 60° の向かいと思う → 2 は斜辺(最も長い)。√3 ≒ 1.73 が 60° の向かい
- 直角二等辺三角形の斜辺を 2 倍にする → √2 倍
- 斜辺から他の辺を出すときに √2 をかける → √2 で割る(有理化して 3√2)
4. 計算の型
ここまでできれば十分(の次)
2 段階で使う:図の中に直角三角形が 2 つあるとき、1 つ目で出した辺を 2 つ目で使う。
長方形 ABCD(AB = 3、BC = 4)の対角線 AC = 5。さらに AC を 1 辺とする直角三角形で他の辺が 12 なら斜辺 13。
方程式で解く:未知の辺を x とおいて、三平方の定理の式を立てる。
直角三角形で、斜辺が他の 1 辺より 2 長く、残りの辺が 6 のとき。他の 1 辺を x とすると (x + 2)² = x² + 36 → 4x + 4 = 36 → x = 8、斜辺 10
折り返し:長方形の紙を折ると、折り返した部分は合同(長さが等しい)。等しい辺に印をつけて、直角三角形の 3 辺を x で表して方程式を立てる。
長方形 ABCD(AB = 8、AD = 10)を、頂点 D が辺 BC 上の点 E に重なるように折ると、折り目の端が AD 上の F。AF = x とおくと FE = FD = 10 − x、AE² = AF² + … のように立式する型。BE = 6 が先に出る(△ABE で 8-6-10)ことが多い。
もう一歩(発展):√ の近似で長さの感覚を持つ
√2 ≒ 1.41、√3 ≒ 1.73、√5 ≒ 2.24。答えが 4√5 なら約 8.9。図をかいたときに「見た目と合っているか」を確かめる目安になります。「斜辺が他の辺より短い」答えが出たら、斜辺の取り違えです。
5. 自己チェック
- 斜辺(直角の向かい)を c にしたか。c² = a² + b² で足す・引くを間違えていないか
- 答えの √ の中を簡単にしたか。負の解を除いたか
- 逆:最大の辺を c にして a² + b² = c² を確かめたか
- 45° は 1 : 1 : √2、30°-60° は 1 : 2 : √3(2 が斜辺)
- 3-4-5、5-12-13 とその倍数を見つけたか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m3-16)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第3学年 B 図形 (3) 三平方の定理 ── 「三平方の定理の意味を理解し、それが証明できること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m3-16/ / 更新 2026-09-12