中3 理科 / 生物 / s3-05
生殖と遺伝(減数分裂・遺伝の規則性)
この単元でできるようになること
- 体細胞分裂の順序(染色体が現れる → 中央に並ぶ → 両端に分かれる → 2 つの細胞)と、分裂の前に染色体が複製されることを説明できる
- 無性生殖(分裂・出芽・栄養生殖:親と同じ遺伝子)と有性生殖(受精:親と異なる組み合わせ)のちがいが言える
- 減数分裂で染色体の数が半分になり、受精でもとの数に戻ることを説明できる
- 顕性(優性)・潜性(劣性)の形質、遺伝子の記号(AA・Aa・aa)を使って、子・孫の形質の比(3:1 など)を求められる
- DNA・遺伝子・染色体の関係、遺伝子の技術(品種改良・遺伝子組換え)の例が言える
入試での位置づけ
メンデルの実験(純系 AA × aa → 子はすべて Aa(顕性)→ 孫は 3:1)と、Aa × aa や Aa × Aa の組み合わせから比を求める計算が最頻出。体細胞分裂の図の並べ替え、減数分裂での染色体数(例:24 本 → 12 本)も定番。用語は 2021 年以降「」(旧:優性・劣性)。
1. 細胞分裂と成長
まずここだけ
体細胞分裂:1 つの細胞が 2 つに分かれる。分裂後の細胞が大きくなることで体が成長する(根の先端の成長点、観察には塩酸で細胞を離し、酢酸カーミンで染色)。
順序:
- 核の中に染色体が現れる(分裂前に染色体は複製されて 2 倍になっている)
- 染色体が細胞の中央に並ぶ
- 染色体が両端に分かれる(それぞれ同じ数)
- 2 つの核ができ、細胞質が分かれる(植物では中央に仕切り)→ もとの細胞と同じ数の染色体をもつ 2 つの細胞
染色体:遺伝子(DNA)を含む。ヒトは 46 本。種類によって数が決まっている。
2. 生殖
まずここだけ
| 無性生殖 | 有性生殖 | |
|---|---|---|
| 方法 | 体細胞分裂でふえる | 生殖細胞(卵・精子/卵細胞・精細胞)が受精 |
| 例 | 分裂(アメーバ・ミカヅキモ)、出芽(酵母・ヒドラ)、栄養生殖(ジャガイモのいも・さし木・イチゴのほふく茎)、胞子 | 動物、植物の種子 |
| 子の遺伝子 | 親と全く同じ | 両親から半分ずつ → 親と異なる組み合わせ(多様性) |
動物の有性生殖:精巣で精子、卵巣で卵 → 受精 → 受精卵 → 体細胞分裂をくり返して胚 → 個体。この過程が発生。 植物の有性生殖:花粉(精細胞)が柱頭につき花粉管をのばし、胚珠の中の卵細胞と受精 → 胚珠が種子に(胚 → 次の植物体)。
減数分裂:生殖細胞をつくるときの特別な分裂。染色体の数が半分になる。受精で合わさり、もとの数に戻る。
体細胞の染色体 24 本 → 生殖細胞 12 本 → 受精卵 24 本
3. 遺伝の規則性
まずここだけ
- 形質:生物の特徴(種子の形・色など)。遺伝:形質が親から子へ伝わる。遺伝子:形質を決めるもの。染色体の中の DNA が本体。
- 対立形質:同時に現れない 2 つの形質(丸としわ)。
- 純系:何代も同じ形質しか現れない系統。
メンデルの実験(エンドウ):
- 丸の純系(AA)× しわの純系(aa)→ 子はすべて Aa → すべて丸 → 子に現れる形質が顕性(優性)、現れない形質が潜性(劣性)
- 子 Aa どうしをかけ合わせる → 孫は AA:Aa:aa = 1:2:1 → 形質は 丸:しわ = 3:1
分離の法則:対になっている遺伝子は、減数分裂で分かれて別々の生殖細胞に入る。
ここまでできれば十分:かけ合わせの表
| 親の組み合わせ | 子の遺伝子 | 形質の比(顕性:潜性) |
|---|---|---|
| AA × aa | すべて Aa | すべて顕性 |
| Aa × Aa | AA:Aa:aa = 1:2:1 | 3:1 |
| Aa × aa | Aa:aa = 1:1 | 1:1 |
| AA × Aa | AA:Aa = 1:1 | すべて顕性 |
| aa × aa | すべて aa | すべて潜性 |
解き方:表(2 × 2)を書く。横に片方の親の生殖細胞(A・a)、縦にもう片方、4 マスを埋める。
Aa × Aa で孫が 800 個できたとき、しわは 800 × 1/4 = 200 個、丸は 600 個。 丸(Aa)としわ(aa)をかけると、丸:しわ = 1:1 → 400 個ずつ。 「丸の子の中で、しわの遺伝子 a をもつものの割合」:孫の丸は AA:Aa = 1:2 → 2/3。
現れた形質から遺伝子を判断:潜性の形質が現れた → 必ず aa。顕性の形質 → AA か Aa(aa とかけ合わせて判定できる)。
4. 遺伝子と技術
ここまでできれば十分
- DNA(デオキシリボ核酸):遺伝子の本体。染色体に含まれる。
- 品種改良・遺伝子組換え(ほかの生物の遺伝子を組みこむ)・遺伝子診断・クローン(無性生殖の利用)。
- 生殖の多様性:有性生殖は環境の変化に強い(多様な子)、無性生殖は速く増やせる。
5. よくある間違い
- 体細胞分裂で「染色体が半分になる」(同じ数。半分は減数分裂)
- 子の Aa を「丸としわが混ざる」(すべて丸。顕性だけ現れる)
- 孫の比 1:2:1 を形質の比と混同(形質は 3:1)
- Aa × aa を 3:1 にする(1:1)
- 無性生殖で子が親と異なる遺伝子になるとする(同じ)
- 「優性 = 優れている」と考える(現れやすいだけ。新用語は顕性)
6. 自己チェック
- 体細胞分裂:複製 → 並ぶ → 分かれる → 同じ数の 2 細胞
- 無性生殖 = 親と同じ遺伝子。有性生殖 = 受精・多様
- 減数分裂で半分、受精でもとに戻る
- AA × aa → Aa(顕性)。Aa × Aa → 1:2:1、形質 3:1。Aa × aa → 1:1
- 潜性の形質が出た個体は必ず aa
7. 小テストへ
→ 小テスト(s3-05)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』── 第 2 分野「(5) 生命の連続性 ア(ア) 生物の成長と殖え方 ア(イ) 遺伝の規則性と遺伝子」
- 日本遺伝学会『遺伝単』(2017)── 「優性・劣性」を「顕性・潜性」に改める提案。教科書では 2021 年度以降「顕性・潜性」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/science/s3-05/ / 更新 2026-09-12