勉強法

更新 2026-09-14 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

公務員試験の勉強法 ── 科目が多い試験を、研究で確かめられたやり方で回す

公務員試験(地方上級・国家一般職)の特徴は、科目が多いことと、数的処理のように「解法を知っている」だけでは間に合わず、速く解けるまで練習が要る分野があることです。このページでは、教科別の勉強法(数学英語社会大学受験)で引いた研究のうち、公務員試験の 1 年に当てはまるものを組み直します。

先に断っておくと、公務員試験そのものを対象にした実験は見つけていません。ここに書くのは、大学生や中高生を対象にした学習の研究を、公務員試験の場面に当てはめたものです。「何人を対象に・何を測って・どれくらい差が出たか」まで書くので、当てはまり具合を自分で判断してください。

結論の表

やり方ひとことで公務員試験ではこうする証拠の強さ
① 見返すより解く(練習テスト)読み直すより、思い出して解くほうが残る解説を読んだら閉じて小テスト。判例・条文・公式も「見ずに言えるか」で確かめる強い(多数の実験・メタ分析)
② 間をあけて戻る(分散練習)1 回で固めず、日をあけて戻る科目が多いので週の中で科目を回すだけで自然に間隔があく強い(184 論文のメタ分析)
③ 混ぜて解く(交互練習)単元ごとに固めず、混ぜて「どの解法か」を選ぶ練習数的処理は本番が混ざって出る。まぜこぜテストを週 1 回強い(中学生 54 クラスの RCT・d = 0.83)
④ 解答例をまず読む(例題学習)初見で悩むより、解き方を読んでから類題数的処理・ミクロ・マクロの計算は「解法を読む → すぐ類題」中〜強(5 実験。同じ型の問題に限る)
⑤ 「いつ・どこで・何を」を決めるやる気より、条件つきの予定「講義が終わったら図書館で憲法 40 分」のように if–then で書く強い(94 研究のメタ分析・d = 0.65)
⑥ 自分の「わかった感」を信用しない読めたと解けるは別判断は小テストの点で。マーカーを引いた量ではなく強い(レビュー)

① 見返すより解く(練習テスト)

何をするか

解説を読んだあと、もう一度読み返すのではなく、閉じて問題を解く。法律・政治学のような暗記が多い科目こそ、「判例名を見て結論を言う」「条文の要件を言う」を思い出す形でやる。

どんな研究があるか

公務員試験での具体例

注意点


② 間をあけて戻る(分散練習)

何をするか

1 つの科目を 1 週間で固めきろうとせず、日をあけて何度も戻る。公務員試験は科目が多いので、週の中で科目を回すだけで自然にそうなります

どんな研究があるか

公務員試験での具体例

注意点


③ 混ぜて解く(交互練習)

何をするか

「判断推理の対応関係を 10 問連続」ではなく、対応関係・順序関係・位置関係・数的推理を混ぜて解く。本番の教養試験は単元名が書かれていないので、「これはどの型か」を見分ける練習そのものが必要です。

どんな研究があるか

公務員試験での具体例

注意点


④ 解答例をまず読む(例題学習)

何をするか

初めての型の問題を自力で長く悩まず、まず解答例を読んで手順を理解し、すぐに数を変えた類題を自分で解く。このサイトの単元の型(解説 → 数を変えて出る小テスト)はこの研究に合わせてあります。

どんな研究があるか

公務員試験での具体例

注意点


⑤ 「いつ・どこで・何を」を決める(実行意図)

何をするか

「今月は民法をがんばる」ではなく、「2 限が終わったら図書館 3 階で民法 zm-05 の小テストを 30 分」のように、状況(if)と行動(then)を結びつけて書く。

どんな研究があるか

公務員試験での具体例


⑥ 自分の「わかった感」を信用しない

何をするか

「解説がスラスラ読めた」「講義でわかった」を覚えた証拠にしない。判断は小テストの点で。

どんな研究があるか

公務員試験での具体例


⑦ 寝る

Rasch & Born(2013)の生理学の総説:睡眠が記憶の保持を高めることは確立しており、寝ている間に記憶が整理されます。直前期に徹夜で詰めるより、寝る前に今日の単元を思い出してから寝るほうが残ります。


1 週間の型(例・1 次試験の 6 か月前)

曜日内容
数的処理 新しい単元 1 つ(解説 → 小テスト基礎〜標準)+ 憲法 復習(2 週間前の単元の小テスト)
憲法 新しい単元 1 つ + ミクロ 復習
ミクロ 新しい単元 1 つ + 数的処理 復習
数的処理 新しい単元 1 つ + 民法 復習
民法 or 行政法 新しい単元 1 つ + マクロ 復習
マクロ or 財政学 新しい単元 1 つ + 文章理解 2 本
まぜこぜテスト(数的処理・法律)+ 1 週間の記録を見て「10/10 でない単元」を書き出す

「新しい単元は 1 日 1 つ」「復習は別の科目」「週 1 回は混ぜる」の 3 つが入っていれば、順番は自由です。知識分野(社会・人文・自然)は、出題科目と配点 で志望先の出題数を見てから足してください。


よく聞くけれど証拠が弱いもの


この記事の立場


参考文献

  1. Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning. Psychological Science, 17, 249–255. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
  2. Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319, 966–968. https://doi.org/10.1126/science.1152408
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