勉強法

更新 2026-10-04 / 引用した論文はすべて DOI を確認しています

社会の勉強法 ── 研究で確かめられている4つのやり方

このページも他の教科と同じ立場です。実験で比べた結果が論文になっているやり方だけを集めました。研究ごとに「だれを対象に・何を比べて・どれくらい差が出たか」を書きます。数字が要旨に無いものは書きません。

社会は覚える量が多い教科です。だから研究も「覚えたことをどう残すか」に集まっています。中学生の社会科の教室で行われた実験も複数あります。結論は単純です。読み返す時間を思い出す時間に置きかえる。そして間をあけてもう一度。

今日からやること

  1. 教科書を読み返す代わりに、解説を閉じて小テスト。用語は「説明 → 用語」「用語 → 説明」の両方向で答える
  2. 今日終えた単元を、1 か月後にもう一度小テストする日としてカレンダーに書く
  3. 歴史の出来事を1つ、「なぜ → 何が → その結果」の3点で一文にして言ってみる

結論の表

やり方ひとことで社会ではこうする証拠の強さ
① 小テストで思い出す読み返すより、テストで思い出す解説を閉じて小テスト。用語は「説明 → 用語」「用語 → 説明」の両方向強い(中学の社会科で実験・学期末まで差が残った)
② 間をあけてもう一度1 週間後より、もっとあとに戻るほうが残る単元が終わって 2〜4 週間後に、その単元の小テスト強い(中学の歴史で 9 か月後まで追跡)
③ 流れと理由でつなぐ年号の丸暗記より、「なぜ → 何が起きた → その結果」出来事を「原因 → 出来事 → 結果」の 3 点で言う。並べ替え問題で確かめる中(説明・理解の研究からの応用)
④ 地図・図表と一緒に覚える文字だけより、地図・グラフ・年表の上で地名は白地図に、統計はグラフの形で、歴史は年表の位置で中(図を使う学習のメタ分析)

① 小テストで思い出す(練習テスト)

何をするか

単元を学んだら、教科書や解説を読み返さずに小テストを受けます。点数はつけず、まちがえたら答えを確認します。

どんな研究があるか

Roediger, Agarwal, McDaniel & McDermott(2011)

実験 3 では、授業で 1 回小テストをしたうえで、家で Web の自己テストをすすめました。すると記述式(自分で答えを書く)の最終テストでも差が確かめられました。

Agarwal, Bain & Chamberlain(2012)は、上の研究に関わった 3 人の論文です。教師・校長・研究者が書いています。小テスト(思い出す練習)を教室でどう使うかを、それぞれの立場から勧めています。研究が現場で使える形にされている例として挙げます。細かい助言は要旨が取得できなかったため、ここには書きません。

理科の勉強法で引いた McDaniel ほか(2011)(中 2 理科・+13〜25%)も、同じ設計で同じ結果です。

社会での具体例

注意点


② 間をあけてもう一度(分散練習)

何をするか

単元が終わった直後だけでなく、2〜4 週間あけてもう一度小テストをします。忘れかけたころに戻るのが、いちばん残ります。

どんな研究があるか

Carpenter, Pashler & Cepeda(2009)

最も残ったのは「16 週間後にテストで復習」した内容でした。間隔が長いほうが、9 か月後に強かったのです(著者は「点が全体に低かったので、伸びの数値自体は小さい」と断っています)。

数学の勉強法で引いた Cepeda ほか(2006) のメタ分析(184 論文)も同じです。テストまでの期間が長いほど、ちょうどよい間隔も長くなります。入試は数か月〜1 年先なので、間隔は長めでよいのです。

社会での具体例

注意点


③ 流れと理由でつなぐ

何をするか

年号や用語をばらばらに覚えません。「なぜ起きた → 何が起きた → その結果どうなった」の 3 点でつなぎ、自分の言葉で一文にします。

どんな研究があるか

社会での具体例

注意点


④ 地図・図表と一緒に覚える

何をするか

地名は白地図の上で、統計はグラフの形で、歴史は年表の位置で覚えます。文字だけのリストを、位置のある図に変えます。

どんな研究があるか

Nesbit & Adesope(2006)

差が出た使い方には、自分で図を作る・直すものが含まれていました。

ただし理科の勉強法で引いた研究もあります。Karpicke & Blunt(2011) では、概念図を作るより閉じて思い出すほうが上でした。図は「読むだけ」の代わりにはなります。でも「思い出す」の代わりにはなりません。

地図・年表そのものの差を中学の社会科で測った、数字つきの研究は見つけていません。図で整理する → 図を閉じて思い出すの順で使うのが、研究に沿った使い方です。

社会での具体例

注意点


まとめ:社会の 1 か月の回し方(例)

時期やること
授業の日解説を読む → 閉じて小テスト(基礎)→ まちがえたところを確認
3 日後同じ単元の小テスト(標準)。出来事を「なぜ → 何が → 結果」で 3 つ言う(③)
1 週間後白地図・年表を閉じて書き出す(④)。書けなかったところだけ確認
1 か月後その単元の小テストをもう一度(②で最も残った「長い間隔」)。並べ替え問題で流れを確認
定期テスト前範囲の小テストを通しで。読み返しはしない

大学受験(高校社会)ではこう使う

高校社会の単元は 地理総合・歴史総合・公共の 30 単元です。2025 年度からの共通テストで、探究科目と組み合わせる共通の土台です。


参考文献(DOI は確認ずみ・2026-09-12)

  1. Roediger, H. L., Agarwal, P. K., McDaniel, M. A., & McDermott, K. B. (2011). Test-enhanced learning in the classroom: Long-term improvements from quizzing. Journal of Experimental Psychology: Applied, 17(4), 382–395. https://doi.org/10.1037/a0026252
  2. Agarwal, P. K., Bain, P. M., & Chamberlain, R. W. (2012). The value of applied research: Retrieval practice improves classroom learning and recommendations from a teacher, a principal, and a scientist. Educational Psychology Review, 24(3), 437–448. https://doi.org/10.1007/s10648-012-9210-2
  3. Carpenter, S. K., Pashler, H., & Cepeda, N. J. (2009). Using tests to enhance 8th grade students’ retention of U.S. history facts. Applied Cognitive Psychology, 23(6), 760–771. https://doi.org/10.1002/acp.1507
  4. Chi, M. T. H., de Leeuw, N., Chiu, M.-H., & LaVancher, C. (1994). Eliciting self-explanations improves understanding. Cognitive Science, 18(3), 439–477. https://doi.org/10.1207/s15516709cog1803_3
  5. Butler, A. C. (2010). Repeated testing produces superior transfer of learning relative to repeated studying. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 36(5), 1118–1133. https://doi.org/10.1037/a0019902
  6. Nesbit, J. C., & Adesope, O. O. (2006). Learning with concept and knowledge maps: A meta-analysis. Review of Educational Research, 76(3), 413–448. https://doi.org/10.3102/00346543076003413
  7. Karpicke, J. D., & Blunt, J. R. (2011). Retrieval practice produces more learning than elaborative studying with concept mapping. Science, 331(6018), 772–775. https://doi.org/10.1126/science.1199327
  8. (他教科から再引用)McDaniel et al. (2011) https://doi.org/10.1037/a0021782 / Cepeda et al. (2006) https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354 / Karpicke & Roediger (2008) https://doi.org/10.1126/science.1152408

確認方法:CrossRef API で書誌を、OpenAlex API で要旨を取得し、本文に書いた数字は要旨に書かれているものだけを使いました。生データは docs/参考文献_生データ_理社国_2026-09-12.txt。