高1 / 漢文 / jk-01
返り点・書き下し文・再読文字・置き字
この単元でできるようになること
- 返り点(レ点・一二点・上下点・甲乙点と組み合わせ)にしたがって漢文を正しい順で読める
- 書き下し文のルール(助詞・助動詞はひらがな、置き字は書かない、は 2 度目をひらがな、送り仮名は歴史的仮名遣い)で書き下せる
- 再読文字 8 語(未・将・且・当・応・宜・須・猶・盍)の読みと意味を言える
- 置き字(而・於・于・乎・焉・矣・也)の働きを説明できる
- 基本の語順(主語+動詞+目的語、否定詞は動詞の前、前置詞句)から、返り点がなくても読みを推定できる
入試での位置づけ
共通テスト漢文の設問は「返り点と書き下し文の組み合わせ」「傍線部の解釈」「空欄補充(語順・句形)」。返り点の問題は語順のルールを知っていれば返り点を見なくても正解が絞れます。再読文字は読めれば得点の定番知識です。
1. 返り点の種類と読む順
まずここだけ
| 返り点 | 読み方 | 例 |
|---|---|---|
| レ点 | 1 字だけ下から上に返る | 読レ書 → 書を読む |
| 一二(三)点 | 一 → 二 → 三 の順に返る。2 字以上離れて返るとき | 有二朋一(朋有り)、不三知二其名一(其の名を知らず) |
| 上中下点 | 一二点をはさんでさらに返る | 有下朋自二遠方一来上(朋の遠方より来たる有り) |
| 甲乙丙点 | 上中下点をはさんでさらに返る | |
| 一レ点・上レ点 | レ点を読んでから一点(上点)として返る | 不一レ…:まず 1 字返り、さらに二点へ |
| ハイフン(−) | 2 字の熟語を 1 語として返る | 為二政一… |
読む手順:①返り点のない字は上から順に読む ②レ点はすぐ下の 1 字を先に ③一点の字を読んだら二点の字へ ④一二点を含む部分を読み終えてから上点 → 下点 ⑤上下点を含む部分を終えてから甲 → 乙。
「我二欲三読二漢文一」→ 我 → 漢文 → 読 → 欲 → 「我漢文を読まんと欲す」
2. 書き下し文のルール
まずここだけ
- 漢字はそのまま、送り仮名はひらがな(歴史的仮名遣い:「〜ふ」「〜ゐ」)
- 助詞・助動詞にあたる漢字はひらがなに直す:之(の)・者(は)・而(て・ども)・不(ず)・也(なり)・矣・焉(訳さない/なり)・可(べし)・見・被(る・らる)・使・令(しむ)・与(と)・与(か)・乎(や・か)・耳・已(のみ)・自・従(より)・於(に・を)
- 置き字は書かない(而・於・于・乎〈文中〉・焉・矣・也〈文末の一部〉)
- 再読文字は1 度目は漢字、2 度目はひらがな(未 → 未だ〜ず、将 → 将に〜んとす)
- 否定「不」は「ず」、「無」は「なし」、「非」は「〜にあらず」
- 人名・地名はそのまま
「学レ而時習レ之、不二亦説一乎」→ 「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや」(而は置き字で書かない、之・不・乎はひらがな)
3. 再読文字 8 語
まずここだけ
| 字 | 読み | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 未 | いまだ〜ず | まだ〜ない | 未レ知レ生 → 未だ生を知らず |
| 将・且 | まさに〜(んと)す | 今にも〜しようとする・〜するだろう | 将二入一城 → 将に城に入らんとす |
| 当 | まさに〜べし | 当然〜すべきだ | 当レ学 → 当に学ぶべし |
| 応 | まさに〜べし | きっと〜だろう(推量) | 応レ知 → 応に知るべし |
| 宜 | よろしく〜べし | 〜するのがよい | 宜レ往 → 宜しく往くべし |
| 須 | すべからく〜べし | 〜する必要がある・ぜひ〜せよ | 須レ学 → 須らく学ぶべし |
| 猶・由 | なほ〜(ごと)し | ちょうど〜のようだ | 猶レ水 → 猶水のごとし |
| 盍 | なんぞ〜ざる | どうして〜しないのか(〜したらどうか) | 盍レ帰 → 盍ぞ帰らざる |
- 読むとき:1 度目は副詞として上から、2 度目は助動詞として下から返って読む。書き下しでは 2 度目をひらがな
- 「当」と「応」は同じ読み。意味は当 = 当然、応 = 推量
4. 置き字
まずここだけ
| 置き字 | 働き | 送り仮名で表す |
|---|---|---|
| 而 | 接続(順接「〜て」、逆接「〜ども・〜も」) | 上の字に「〜て」「〜ども」をつける:学ビテ而 |
| 於・于・乎 | 前置詞(場所・対象・比較・受身・起点:〜に・〜を・〜より・〜において) | 下の名詞に「〜に」「〜を」「〜より」をつけて返る:青ハ出二於藍一 → 青は藍より出づ |
| 焉・矣 | 文末の断定・強調(〜のだ) | 書かない(「焉」は「いづくんぞ」「これ」と読むこともある) |
| 也 | 文末の断定「なり」/文中の提示「や」 | 文末は「なり」と読むことが多い(置き字として読まないこともある) |
| 兮 | 詩の中の調子 |
「於」のポイント:比較「A は B より〜」(苛政ハ猛二於虎一 → 苛政は虎より猛なり)、受身「〜に〜される」(治二於人一 → 人に治めらる)。
5. 漢文の語順(返り点を予測する)
まずここだけ
- 基本は主語(S)+動詞(V)+目的語(O)(英語と同じ):我読書 → 我書を読む。O は V より後に書かれ、読みは先 → V に返る
- 否定詞(不・無・非・莫)は動詞の前:不読書 → 書を読まず(否定詞は最後に読む → 返り点がつく)
- 前置詞(於・于・以・与・自・従)+名詞は動詞の後に置かれ、読みは「名詞+助詞」で動詞の前に返る:坐二於石一 → 石に坐す
- 助動詞(可・能・欲・使・見)は動詞の前に書かれ、読みは動詞の後:可レ読 → 読むべし、能レ読 → 読むこと能ふ
- 「以」:以レA(A を以て)= A で・A によって。以 A 為 B(A を以て B と為す)= A を B とする
- 「所」「者」:所レV(V する所)、V 者(V する者 = 人・こと)
- 疑問詞(何・誰・安・焉・奚)は文頭または動詞の前:何レ為(何をか為す)
「不三知二其名一」:否定詞・動詞・目的語の順に書かれ、読みは目的語(其の名)→ 動詞(知)→ 否定(ず)。語順のルールから「不→三点、知→二点、名→一点」と予測できる
6. よくある間違い
- 一二点をレ点のように「1 字だけ」返す(一点から二点へ。間に何字あっても)
- 上下点を一二点より先に読む(一二点の部分を終えてから上点 → 下点)
- 置き字「而」「於」を書き下し文に書く(書かない。送り仮名で表す)
- 「不」「之」「也」を漢字のまま書き下す(ひらがな:ず・の・なり)
- 再読文字の 2 度目を漢字で書く(ひらがな:未だ〜ず)
- 「未」を「まだ〜した」と訳す(まだ〜ない)
- 「当」と「応」の意味を逆にする(当 = 当然〜べき、応 = きっと〜だろう)
- 「須」を「すべからく〜べし」でなく「〜すべし」だけで読む
- 「於」の比較(〜より)と受身(〜に…される)を見落とす
- 送り仮名を現代仮名遣いにする(歴史的仮名遣い:思ふ・従ひて)
- 目的語を動詞の前に読む語順を忘れて上から順に読む(V → O は返る)
7. 自己チェック
- レ点・一二点・上下点・甲乙点の読む順を言えるか
- 書き下し文で ひらがなにする字(之・者・不・也・可・与・乎・耳)と書かない字(而・於・焉・矣)を言えるか
- 再読文字 8 語の読みと意味を言えるか
- 置き字 5 種の働きと「於」の比較・受身を言えるか
- S+V+O、否定詞・助動詞・前置詞の語順から返り点を予測できるか
- 「以〜為〜」「所」「者」を読めるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(jk-01)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「言語文化」「古典探究」(漢文の訓読)
- 『論語』学而「学而時習之」、『荀子』「青出於藍」、『礼記』「苛政猛於虎」ほか著作権の切れた漢籍の一節
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jk-01/ / 更新 2026-09-13