高1 / 現代文 / jn-01
評論の読み方(対比・具体と抽象・接続語・筆者の主張)
この単元でできるようになること
- 評論は「筆者の主張」と「それを支える説明」でできていると知り、主張の文を見つけられる
- 接続語の種類(順接・逆接・添加・・換言・例示・理由・結論)を見分け、次に来る内容を予測できる
- 具体と抽象を区別し、「つまり」「要するに」の後の抽象(まとめ)と「たとえば」の後の具体(例)を対応づけられる
- 対比(A と B の二項対立)を見つけ、筆者がどちらの側に立つかを読める
- 指示語(これ・それ・この〜)の指す内容を直前から探し、言い換えられる
- 設問の型(理由説明・内容説明・空欄補充・趣旨合致)ごとの解き方を使える
入試での位置づけ
共通テスト国語の第 1 問(評論・論理的文章)は、約 3,000〜4,000 字の文章に 5〜6 問。「傍線部の説明」「理由」「本文の構成・表現」「2 つの文章の比較」が出ます。配点は 200 点中 45〜50 点。本文に書いてあることだけで答えるのが鉄則で、自分の知識や感想で選ぶと外れます。この単元の例文はすべてこのサイトのための自作です。
1. 評論の構造 ── 主張と説明
まずここだけ
評論 = 筆者が「〜である/〜すべきだ」と主張する文章。段落は「主張(抽象)」と「説明(具体例・理由・対比・引用)」の組み合わせ。
主張の文の見つけ方:
- 文末:「〜のである」「〜と言えよう」「〜にほかならない」「〜ではないだろうか」(反語 = 強い肯定)「〜べきだ」「〜必要がある」
- 位置:段落の最初か最後。文章全体では最終段落と冒頭の問題提起の答え
- 接続語:「つまり」「要するに」「このように」「だから」「しかし」の後
- 繰り返し:言い換えながら何度も出てくる語(キーワード)。「〇〇とは〜である」という定義の文
自作例:「私たちは便利さを追い求めてきた。駅には階段の横に必ずエスカレーターがあり、店に行かずとも翌日には品物が届く。しかし、便利さは同時に、私たちから『待つ』という経験を奪っている。つまり、便利さの代償は、時間ではなく経験なのである。」 → 主張 = 最後の文(「つまり」+「のである」)。2 文目は具体例。「しかし」で話が転じる。
2. 接続語 ── 次に来るものを予測する
まずここだけ
| 種類 | 接続語 | 後に来るもの |
|---|---|---|
| 順接 | だから・したがって・それゆえ・そこで・すると | 前が原因、後が結果・結論 |
| 逆接 | しかし・だが・ところが・けれども・とはいえ・もっとも | 前と反対の内容。後が筆者の本音(前は譲歩・一般論) |
| 添加(累加) | そして・さらに・また・しかも・そのうえ・加えて | 前と同じ方向の情報を追加 |
| 対比 | 一方・他方・それに対して・逆に・むしろ・反面 | 比べる相手(A に対して B) |
| 換言(言い換え) | つまり・すなわち・要するに・言い換えれば・いわば | 前の内容のまとめ・抽象化(= 主張が来やすい) |
| 例示 | たとえば・例を挙げれば・具体的には | 前の抽象的な内容の具体例 |
| 理由 | なぜなら・というのは・その理由は | 前の内容の根拠(「〜からだ」で終わる) |
| 結論・まとめ | このように・以上のように・結局・こうして | それまでのまとめ |
| 転換 | さて・ところで・では・次に | 話題が変わる |
| 選択 | または・あるいは・もしくは | どちらか |
| 補足 | ただし・なお・もっとも・ちなみに | 前の内容への条件・例外 |
読解での使い方:
- 「しかし」の後に線を引く(筆者の立場)。「たしかに/もちろん〜。しかし〜」は譲歩 → 反論の型で、しかしの後が主張
- 「つまり」の後に線(まとめ)。「たとえば」の前に線(例が説明している抽象)
- 「なぜなら」は理由説明問題の答えの場所
- 空欄補充(接続語):前後の関係を確認(反対 → 逆接、例 → 例示、まとめ → 換言、追加 → 添加)
3. 具体と抽象
まずここだけ
- 抽象 = まとめ・一般化・概念(「便利さ」「近代」「他者」「言語」)。筆者の主張は抽象で書かれる
- 具体 = 個別の例・体験・数字・固有名詞(「駅のエスカレーター」「翌日配送」)。主張をわかりやすくするための材料
- 型:「抽象 → たとえば → 具体 → つまり/このように → 抽象」のサンドイッチ。設問の答えは抽象の方(具体例は選択肢では言い換えられているか消えている)
自作例:「子どもは身体で世界を学ぶ。たとえば、初めて雪を見た幼児は、まず触り、口に入れ、踏みしめてみる。図鑑で『雪は冷たい』と読むより先に、手のひらの痛みで知るのである。このように、知識は頭より先に身体に宿る。」 → 抽象:「身体で世界を学ぶ」「知識は身体に宿る」。具体:雪を触る幼児。選択肢で「雪」が出てきたらそれは例の言い換えにすぎないので、抽象の「身体が知識に先立つ」を選ぶ。
選択肢の吟味:具体例をそのまま書いた選択肢は「例にすぎない」で外れが多い。抽象レベルが一致するものを選ぶ。
4. 対比 ── 二項対立を見つける
まずここだけ
評論の多くはA と B を対比して、筆者は B を支持(または A を批判)する。
- よくある対比の軸:近代/前近代、西洋/日本(東洋)、科学(理性)/感性(身体)、都市/地方(自然)、個人/共同体、デジタル/アナログ、効率/ゆとり、客観/主観、普遍/個別、言葉/沈黙、大人/子ども、見る/見られる
- 目印:「一方」「それに対して」「〜ではなく、〜」「かつては〜、今は〜」「〜と〜の違い」「前者/後者」
- 読み方:①2 つの軸を見つけ、②それぞれにどんな語が結びついているかを表にし(A:速い・便利・浅い/B:遅い・不便・深い)、③筆者がどちらをプラスに評価しているかを「しかし」「むしろ」「本来」などから読む
- 注意:筆者は「B がよい」と単純に言わないことも多い(「A を否定するのではない。しかし A だけでは〜」)。両方を認めたうえで B の価値を説く型に注意
自作例:「かつて手紙は、書いてから届くまでに数日を要した。一方、メッセージアプリは一秒で届く。だが、その数日の間に書き手が感じていた、相手を思う時間は、一秒の中には存在しない。」 → 対比:手紙(遅い・思う時間がある)/アプリ(速い・時間がない)。筆者は「だが」の後で手紙の側の価値を述べる。
5. 指示語・言い換え・キーワード
まずここだけ
- 指示語(これ・それ・あれ・この〜・そうした〜・こうして)は直前を見て、当てはめて文が成り立つか確かめる。「それ」が指すのは語のことも文全体のこともある
- 言い換え:筆者は同じことを別の言葉で繰り返す(「便利さ」=「待たないこと」=「経験の省略」)。イコールの関係を線でつなぐと、設問の「どういうことか」に答えられる
- キーワード:「〜とは〜である」(定義)、「〇〇」(カギカッコつき=筆者独自の用法)、繰り返される抽象語
- 比喩:「〜は〜のようなものだ」→ 設問「どういうことか」は比喩を普通の言葉に戻す
6. 設問の型と解き方
まずここだけ
| 型 | 問い方 | 解き方 |
|---|---|---|
| 内容説明 | 「〜とはどういうことか」 | 傍線部の語を言い換えた箇所(直前直後・同じキーワードの文)を探す。比喩・指示語を普通の言葉に |
| 理由説明 | 「〜のはなぜか」 | 傍線部の前後の「なぜなら」「〜からだ」、因果を示す接続語。選択肢の末尾が「〜から」で、傍線部とつながるか確認 |
| 空欄補充 | 接続語・語句 | 前後の関係(逆接か順接か例示か)、対比の相手の語 |
| 趣旨・主張 | 「筆者の考えに合うもの」 | 最終段落と「つまり」の後。言い過ぎ(「すべて」「決して」「唯一」)や本文にない主張は外す |
| 構成・表現 | 「本文の展開の説明」「表現の特徴」 | 段落ごとに役割(問題提起・具体例・反論・結論)をメモ。比喩・反語・引用・問いかけの効果 |
| 複数資料 | 「文章 I と II の関係」「生徒のノート」 | 共通点と相違点を一言で。ノートの空欄は本文の語で |
選択肢の外し方(消去法):
- 本文にない(自分の常識では正しくても外す)
- 言い過ぎ・限定し過ぎ(「すべて」「必ず」「唯一」「まったく」)
- 因果の逆転(原因と結果が逆)
- 主語のすり替え(筆者の考え → 一般の考え、A の特徴 → B の特徴)
- 具体例をそのまま(抽象レベルが合わない)
- 部分的に正しいが、傍線部の説明になっていない(問いに答えていない)
7. 読む手順
まずここだけ
- 設問を先にざっと見る(傍線部の位置と問いの型を把握)
- 本文を段落ごとに読み、接続語に印(しかし ○、つまり ◎、たとえば △)
- 対比の軸をメモ(A/B と、それぞれのプラス・マイナス)
- 主張の文に線(文末表現・最終段落)
- 設問ごとに該当箇所に戻り、本文の言葉で答えを作ってから選択肢を見る(選択肢を先に読むと引っ張られる)
- 消去法で2 つに絞ったら、差のある部分だけを本文と照合
8. よくある間違い
- 「しかし」の前を筆者の主張と思う(後が本音。前は一般論・譲歩)
- 具体例をそのまま書いた選択肢を選ぶ(答えは抽象のレベル)
- 自分の知識・常識で正しい選択肢を選ぶ(本文に書いてあるかだけ)
- 「すべて」「唯一」など言い過ぎの選択肢を、勢いがあるからと選ぶ
- 指示語の内容を後ろから探す(原則は直前)
- 理由説明で、傍線部の内容の言い換えを選ぶ(問いは「なぜ」)
- 対比で筆者が A を「否定している」と決めつける(A の価値も認めたうえで B を説く型が多い)
- 「〜ではないだろうか」を疑問だと思う(反語 = 強い肯定の主張)
- 選択肢を先に読んで、本文を選択肢の言葉で探す(本文で答えを作ってから照合)
9. 自己チェック
- 主張の文の目印(文末・位置・接続語)を 3 つ言えるか
- 接続語 10 種類と、その後に来るものを言えるか
- 「たとえば」「つまり」の前後で具体と抽象がどう並ぶか言えるか
- 対比の軸の例を 5 つ挙げ、筆者の立場の読み方を言えるか
- 設問 4 型(内容・理由・空欄・趣旨)の解き方と、選択肢の外し方 6 つを言えるか
10. 小テストへ
→ 小テスト(jn-01)
関連する単元
- 前提:k-12 説明文・小説の読み方(中学)、k-03 慣用句・ことわざ・故事成語(評論に出る言い回し)
- 次に進む:jn-02 小説・随筆の読み方、jn-03 評論頻出語彙、jn-04 記述・要約と複数資料
- ここで使う考え方が出てくる:jk-01 漢文(「則」「故」など接続の字)、kk-01 先哲の思想(評論の題材になる近代・他者・言語)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「現代の国語」「論理国語」の「読むこと」
- 大学入試センター「令和 7 年度 大学入学共通テスト 問題作成方針」(国語の出題の構成)
- 例文はすべて本サイトのための自作。他人の文章の転載はしていない
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jn-01/ / 更新 2026-09-13