高1 / 現代文 / jn-03
評論頻出語彙と漢字(概念語・カタカナ語・同音異義語)
この単元でできるようになること
- 評論に繰り返し出る概念語(抽象/具体・普遍/特殊・主観/客観・演繹/帰納・相対/絶対 など)を対になる語と一緒に説明できる
- ・・パラダイム・イデオロギーなど、注がつかないことも多い思想・社会の語の意味を言える
- 評論で使われるカタカナ語(アナロジー・メタファー・コンテクスト・アイロニー…)を日本語で言い換えられる
- 同音異義語・同訓異字(ホショウ:保証・保障・補償、オサめる:収・納・治・修 など)を文脈で書き分けられる
- 共通テスト第 1 問の漢字問題(傍線部と同じ漢字を含む語を選ぶ)の解き方を使える
入試での位置づけ
共通テスト国語 第 1 問の問 1 は漢字 5 問(10 点)。「傍線部のカタカナと同じ漢字を使うもの」を選ぶ形式で、熟語を漢字で思い浮かべ、意味で確かめる力が必要です。また評論本文は概念語の意味がわからないと読めないので、語彙は読解の土台です。この単元の例文はすべて自作です。
1. 対で覚える概念語
まずここだけ
| 対 | 意味 | 例(自作) |
|---|---|---|
| 抽象/具体 | 個々のものから共通点を取り出した概念/個別の実物・例 | 「幸福」は抽象、「温かい夕食」は具体 |
| 普遍/特殊(個別) | いつでもどこでも当てはまる/その場合だけ | 「人は死ぬ」は普遍、「私の祖父は九十歳で死んだ」は特殊 |
| 一般/特殊 | 広く共通する/限られた | 一般論 / 特殊な事情 |
| 主観/客観 | 自分の見方・感じ方/誰が見ても同じ・第三者の立場 | 「この絵は美しい」は主観、「縦 50 cm」は客観 |
| 演繹/帰納 | 一般原理から個別の結論を導く/多くの個別例から一般法則を導く | 「人は死ぬ → ソクラテスも死ぬ」は演繹、「カラス 100 羽が黒い → カラスは黒い」は帰納 |
| 相対/絶対 | 他との比較・関係で決まる/他と関係なくそれだけで成り立つ | 「背が高い」は相対(誰と比べて)、「絶対零度」 |
| 理性/感性(感情) | 筋道を立てて考える力/感じ取る力 | |
| 必然/偶然 | 必ずそうなる/たまたま | |
| 本質/現象(表層) | それをそれたらしめる根本/表に現れた姿 | |
| 能動/受動 | 自分から働きかける/働きかけられる | |
| 自律/他律 | 自分の決めた規範で動く/他人の決めた規範で動く | |
| 内在/外在 | その内部にある/外部にある | 超越 = 枠を超えて外にある |
| 有機的/機械的 | 部分が互いに結びつき全体で生きている/部品の組み合わせ・決まりきった | |
| 合理/非合理 | 理屈に合う・効率的/理屈では説明できない | 不合理 = 理屈に反する |
| 前近代/近代/現代(ポストモダン) | 共同体・身分・宗教の時代/個人・理性・科学・国民国家・資本主義の時代(西洋では 17〜19 世紀、日本では明治以降)/近代の価値を疑う時代 | |
| 同一性/差異 | 同じであること/違い | |
| 実体/関係 | それ自体で存在するもの/他とのつながりで決まるもの | |
| 静態/動態 | 止まった状態/動いている過程 | |
| 共時/通時 | 同じ時代の中で(横)/時代を通じて(縦) | 言語学の語 |
| 記号 = シニフィアン(表すもの・音)/シニフィエ(表されるもの・意味) | 言語論でよく出る |
2. 思想・社会の重要語
まずここだけ
| 語 | 意味 |
|---|---|
| アイデンティティ(自己同一性) | 「自分は自分だ」という一貫した感覚・自分は何者かという認識 |
| パラダイム | ある時代・分野のものの見方の枠組み。パラダイム・シフト = 枠組みの転換 |
| イデオロギー | 社会や政治についての考え方の体系。しばしば「自分では気づかない思い込み」の意味 |
| ナショナリズム | 国民・民族の一体性を重んじる考え |
| グローバリゼーション | 経済・文化が国境を越えて一体化すること |
| 多様性(ダイバーシティ) | 違いがあることを価値とみる |
| 他者 | 自分とは違う・理解しきれない存在。「他者性」= わからなさ |
| 共同体 | 血縁・地縁などで結びついた集団。近代は共同体から個人へ |
| 疎外 | 本来自分のものであるはずのものが、よそよそしくなること(労働の疎外) |
| 物化・物神化 | 人間関係や価値をものとして扱う |
| 啓蒙 | 理性の光で迷信・無知から人を解放すること(18 世紀) |
| 合理化 | 理屈・効率にかなうように整えること。近代の特徴 |
| 均質化・画一化 | どこも同じになること |
| 両義性(アンビバレンス) | 二つの反対の意味・感情を同時にもつこと |
| (パラドックス) | 一見矛盾するが真理を含む言い方(「負けるが勝ち」) |
| 弁証法 | 対立する A と B から、より高い C が生まれる(正・反・合) |
| 形而上/形而下 | 形のない・感覚で捉えられないもの(本質・神)/形のある具体的なもの |
| 観念 | 頭の中の考え・イメージ。観念的 = 現実から離れた |
| 概念 | ものごとの共通する特徴をまとめた考え(「犬」という概念) |
| 範疇(カテゴリー) | 分類の枠 |
| 契機 | きっかけ・要因 |
| 所与 | 与えられたもの・前提 |
| 自明 | 説明なしに明らかなこと。「自明視する」= 疑わずに当然とみる |
| 恣意的 | 勝手な・根拠のない(記号と意味の結びつきは恣意的) |
| 蓋然性 | 確からしさ・起こりそうな度合い |
| 普遍妥当性 | 誰にでも当てはまる正しさ |
| 敷衍 | 意味を押し広げて詳しく説明する |
| 換骨奪胎 | 他人の作品の形を借りて作り変える |
| 止揚(アウフヘーベン) | 対立を高い段階で統合する(弁証法の「合」) |
| 思惟 | 考えること |
| 措定 | 仮に立てること |
| 表象 | 心に思い浮かべられたイメージ・それを表すもの |
| 身体性 | 頭(理性)ではなく身体を通した経験・知 |
| 言説(ディスクール) | ある社会で語られる言葉の体系・語り方 |
| メディア | 媒体。情報を伝える間にあるもの |
| テクスト | 作者の意図から離れて読まれる文章そのもの |
| 消費社会 | ものを必要ではなく記号・イメージとして買う社会 |
3. カタカナ語の言い換え
まずここだけ
| カタカナ語 | 日本語 |
|---|---|
| アナロジー | 類推(似たものから推し量る) |
| メタファー | 隠喩・比喩 |
| コンテクスト | 文脈・状況 |
| アイロニー | 皮肉・反語 |
| レトリック | 修辞・言葉の技巧 |
| ジレンマ | 板ばさみ(二つの選べない選択) |
| ステレオタイプ | 型にはまった見方・固定観念 |
| カタルシス | 浄化(感情の解放) |
| ニヒリズム | 虚無主義(価値を信じない) |
| ペシミズム/オプティミズム | 悲観主義/楽観主義 |
| リアリズム | 現実主義・写実主義 |
| ロマンティシズム | 浪漫主義(感情・理想を重んじる) |
| モラトリアム | 猶予期間 |
| アンビバレント | 両義的・相反する感情が同居する |
| パラドックス | 逆説 |
| ディレンマ/トリレンマ | 二者/三者の板ばさみ |
| ヒエラルキー | 階層秩序・ピラミッド型の序列 |
| ドグマ | 教条・疑わない決まり |
| タブー | 禁忌 |
| フィクション/ノンフィクション | 虚構/事実 |
| ユートピア/ディストピア | 理想郷/暗黒の未来社会 |
| アナーキー | 無秩序・無政府 |
| エゴイズム | 利己主義 |
| ヒューマニズム | 人間中心主義・人道主義 |
| コスモポリタン | 世界市民(国にとらわれない) |
| シミュレーション | 模擬・模倣実験 |
| バーチャル | 仮想の |
| リテラシー | 読み書き能力・使いこなす力(情報リテラシー) |
| サブカルチャー | 下位文化・主流から外れた文化 |
| ジェンダー | 社会的・文化的に作られた性差(生物学的な性 = セックス) |
| マイノリティ/マジョリティ | 少数者/多数者 |
| エートス | ある集団の倫理的な気風・習性 |
| ロゴス/パトス | 言葉・論理/情念 |
| ア・プリオリ/ア・ポステリオリ | 経験に先立つ/経験による |
4. 同音異義語・同訓異字
まずここだけ
同音異義語(音が同じ熟語):
| 音 | 書き分け |
|---|---|
| ホショウ | 保証(確かだと請け合う:品質保証)・保障(守る:社会保障・安全保障)・補償(損失を埋める:損害補償) |
| タイショウ | 対象(目標・相手:調査対象)・対照(比べる:対照的)・対称(つりあう形:左右対称) |
| カンシン | 関心(興味)・感心(立派だと思う)・歓心(喜ぶ心:歓心を買う)・寒心(ぞっとする:寒心に堪えない) |
| イギ | 意義(意味・価値)・異議(反対意見)・異義(違う意味:同音異義) |
| シコウ | 思考(考える)・施行(法律を行う)・試行(試す)・志向(目指す)・嗜好(好み) |
| カイホウ | 開放(開け放つ)・解放(自由にする)・快方(病気がよくなる)・介抱(世話) |
| キセイ | 規制(制限)・既成(すでにできている:既成事実)・既製(作ってある品:既製服)・帰省(故郷に帰る)・寄生 |
| ソウゾウ | 想像(思い描く)・創造(新しく作る) |
| コウセイ | 構成(組み立て)・公正(公平で正しい)・厚生(生活を豊かに)・後世(後の時代)・更生(立ち直る)・校正(文字の誤りを直す)・恒星 |
| セイサン | 生産・精算(細かく計算して払う)・清算(決着をつける:過去を清算)・成算(成功の見込み) |
| ケントウ | 検討(調べ考える)・見当(見込み)・健闘(よく戦う) |
| ジッタイ | 実態(実際の状態)・実体(本体・本質) |
| ヘイコウ | 平行(交わらない線)・並行(同時に進める)・平衡(つりあい)・閉口(困る) |
| シュウシュウ | 収集(集める)・収拾(混乱をおさめる:事態の収拾) |
| テキセイ | 適性(向き不向き)・適正(適切で正しい:適正価格) |
| フヘン | 普遍(広く当てはまる)・不変(変わらない)・不偏(偏らない:不偏不党) |
| キョウコウ | 強行(無理に行う)・強硬(態度が硬い)・恐慌(経済のパニック) |
| カテイ | 過程(プロセス)・課程(学習の内容:教育課程)・仮定・家庭 |
| ケイショウ | 継承(受け継ぐ)・軽傷・警鐘(警告:警鐘を鳴らす)・敬称 |
| ヨウゴ | 擁護(守る)・養護(世話して育てる)・用語 |
| ツイキュウ | 追求(追い求める:利益を追求)・追究(深く調べる:真理を追究)・追及(責任を問いつめる:責任を追及) |
| シンチョウ | 慎重(注意深い)・深長(意味深長)・伸長(伸びる)・新調(新しく作る) |
| カンヨウ | 寛容(広く受け入れる)・肝要(大切)・慣用(習慣的な用法) |
| イショク | 移植・委嘱(仕事を頼む)・異色(他と違う) |
| シンコウ | 信仰・振興(盛んにする)・進行・侵攻・新興・親交 |
同訓異字(訓読みが同じ漢字):
| 訓 | 書き分け |
|---|---|
| おさめる | 収める(中に入れる・手に入れる:成功を収める)・納める(渡す:税を納める)・治める(統治・静める:国を治める)・修める(学ぶ・身につける:学問を修める) |
| つとめる | 努める(努力する)・務める(役目を果たす:議長を務める)・勤める(勤務する) |
| はかる | 測る(長さ・深さ)・量る(重さ・体積)・計る(時間・数)・図る(計画・企てる:解決を図る)・謀る(悪事)・諮る(相談する) |
| あらわす | 表す(気持ち・意味を表現)・現す(姿を見せる:姿を現す)・著す(本を書く) |
| かわる | 変わる(変化)・代わる(代理)・替わる(入れ替え)・換わる(交換) |
| とる | 取る・採る(採用・採取)・捕る(捕まえる)・執る(事務を執る)・撮る(写真)・摂る(栄養) |
| うつす | 写す(書き写す・写真)・映す(鏡・画面)・移す(場所) |
| さす | 指す(指示)・差す(光が差す・傘を差す)・刺す・挿す(花を挿す) |
| そなえる | 備える(準備・性質をもつ)・供える(神仏に) |
| おかす | 犯す(罪)・侵す(権利・領土を侵す)・冒す(危険を冒す) |
| きく | 聞く(音・話)・聴く(注意して)・利く(働く:気が利く・薬が利く)・効く(効果:薬が効く) |
| たつ | 立つ・建つ(建物)・絶つ(途絶:消息を絶つ)・断つ(切る:酒を断つ)・裁つ(布) |
| つく | 付く・着く(到着)・就く(職・地位)・突く・点く |
| あう | 合う(一致)・会う(人と)・遭う(災難) |
| はじめ | 初め(時間の最初:年の初め)・始め(物事の開始:仕事始め・〜を始め) |
5. 共通テスト漢字問題の解き方
まずここだけ
形式:本文の「ケントウを重ねる」のカタカナと同じ漢字を使う語を、選択肢(①ケンメイな判断 ②ケンキョな態度 ③ケンアンの問題 ④事件をケンショウする ⑤ケンヤクに励む)から選ぶ。
- 本文の語を漢字で書く(検討)── 文脈で意味を確認(調べ考える → 検討。見当・健闘ではない)
- 選択肢を全部漢字に(賢明・謙虚・懸案・検証・倹約)
- 同じ漢字を探す(検討の「検」= 検証)
- 迷ったら熟語の意味から漢字を決める(「ケンショウ」= 調べて証明 → 検証)
- 部首・形のヒント:言(言葉に関係)・貝(お金)・心/忄(気持ち)・氵(水)・木(木・材料)
よく狙われる漢字:掲・啓・継・携・傾・警・境・驚・鏡・響・凝・偽・疑・儀・犠・擬・欺・基・既・棋・軌・棄・貴・危・揮・起 など、同音で形の似た字。書いて覚える。
6. よくある間違い
- 演繹と帰納を逆にする(演繹 = 一般 → 個別、帰納 = 個別 → 一般)
- 「普遍」を「不変」と書く(普遍 = 広く当てはまる、不変 = 変わらない)
- 「保証」「保障」「補償」を混同(確か・守る・埋める)
- 「対象」「対照」「対称」を混同(相手・比べる・つりあう形)
- 「追求」「追究」「追及」を混同(利益・真理・責任)
- 「収める」「納める」「治める」「修める」を混同
- 「ジェンダー」を生物学的な性と思う(社会的・文化的な性差)
- 「イデオロギー」を単に「思想」の意味だけで読む(「無自覚の思い込み」の含みに注意)
- 「近代」を「最近」と思う(西洋 17〜19 世紀・日本は明治以降の、個人・理性・科学・国民国家の時代)
- 「アイロニー」を「アイデンティティ」と混同
- 「自明」を「自分で明らかにする」と読む(説明なしに明らか)
- 「恣意的」を「意図的」と読む(勝手な・根拠のない)
7. 自己チェック
- 対の概念語 15 組を、対の相手と一緒に説明できるか
- 近代・アイデンティティ・パラダイム・イデオロギー・他者・疎外・逆説・両義性 を言えるか
- カタカナ語 20 を日本語に言い換えられるか
- ホショウ・タイショウ・ツイキュウ・おさめる・はかる の書き分けを言えるか
- 共通テスト漢字問題の手順 5 つを言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(jn-03)
関連する単元
- 前提:k-04 漢字の読み書き(同音異義語・同訓異字)(中学)、k-02 類義語・対義語・多義語(中学)
- 次に進む:jn-01 評論の読み方(語彙を使って読む)、jn-04 記述・要約と複数資料
- ここで使う考え方が出てくる:kk-01 先哲の思想(理性・啓蒙・近代)、kk-02 民主政治の原理(社会契約・人権)、jk-04 漢詩と思想(漢語の語源)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「現代の国語」「論理国語」の語彙・漢字
- 文化庁「常用漢字表」(平成 22 年内閣告示)、「『異字同訓』の漢字の使い分け例」(平成 26 年 文化審議会国語分科会報告)
- 例文はすべて本サイトのための自作
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jn-03/ / 更新 2026-09-13