数学Ⅱ / 図形と方程式 / h2-06
軌跡と領域
この単元でできるようになること
- 条件を満たす点の軌跡を、点を (x, y) とおいて方程式で求められる(アポロニウスの円など)
- 動点に連動する点の軌跡(中点・重心の軌跡)が求められる
- 不等式の表す領域(直線の上下・円の内外・連立不等式)を図示できる
- 領域における最大・最小(直線 x + y = k を動かす)が解ける
- 不等式の積の形 (x − y)(x + y) > 0 の領域が図示できる
入試での位置づけ
「領域における最大・最小」は共通テスト『数学Ⅱ,数学B,数学C』の図形と方程式で最もよく出る型で、「k = x + y とおいて直線を平行移動し、共有点をもつ範囲」という手順を反射的に使えるかが問われます。軌跡は「2 点からの距離の比」「動点の中点」が定番。数学C の二次曲線(hc-04)でも軌跡として定義されます。
1. 軌跡の求め方
まずここだけ
手順:
- 求める点を P(x, y) とおく
- 条件を x、y の式で表す
- 式を整理して図形を読む(直線・円)
- 除外する点があれば除く(逆の確認)
2 点 A(−1, 0)、B(2, 0) からの距離の比が 2 : 1 である点 P の軌跡 PA : PB = 2 : 1 → PA = 2PB → PA² = 4PB² (x + 1)² + y² = 4{(x − 2)² + y²} x² + 2x + 1 + y² = 4x² − 16x + 16 + 4y² 3x² − 18x + 3y² + 15 = 0 → x² − 6x + y² + 5 = 0 → (x − 3)² + y² = 4 中心 (3, 0)、半径 2 の円(アポロニウスの円)
2 点 A(1, 2)、B(3, −4) から等距離にある点の軌跡 PA² = PB² → (x − 1)² + (y − 2)² = (x − 3)² + (y + 4)² → −2x + 1 − 4y + 4 = −6x + 9 + 8y + 16 → x − 3y − 5 = 0(AB の垂直二等分線)
2. 連動する点の軌跡
ここまでできれば十分
動点 Q が図形上を動くとき、Q に連動する点 P の軌跡。
手順:
- P(x, y)、Q(s, t) とおく
- P と Q の関係から s、t を x、y で表す
- Q が図形上にある条件(s、t の式)に代入する
点 Q が円 x² + y² = 4 上を動くとき、A(4, 0) と Q を結ぶ線分の中点 P の軌跡 Q(s, t)、P(x, y):x = (4 + s)/2、y = t/2 → s = 2x − 4、t = 2y Q が円上:s² + t² = 4 → (2x − 4)² + (2y)² = 4 → (x − 2)² + y² = 1 中心 (2, 0)、半径 1 の円
「もとの点の座標を、求める点の座標で表して代入」が骨。
3. 不等式の表す領域
まずここだけ
| 不等式 | 領域 |
|---|---|
| y > f(x) | 曲線 y = f(x) の上側 |
| y < f(x) | 下側 |
| (x − a)² + (y − b)² < r² | 円の内部 |
| (x − a)² + (y − b)² > r² | 円の外部 |
| x > a | 直線 x = a の右側 |
境界線を含む(≦、≧)なら実線、含まない(<、>)なら破線。
y ≧ x² − 1 → 放物線の上側(境界を含む) x + y − 2 < 0 → y < −x + 2 → 直線の下側
連立不等式
それぞれの領域の共通部分。
x + y ≦ 4、x ≧ 0、y ≧ 0 → 3 直線で囲まれた三角形(境界含む)
積の形
AB > 0 ⇔ (A > 0 かつ B > 0) または (A < 0 かつ B < 0)
(x − y)(x + y) > 0 → 「x − y > 0 かつ x + y > 0」または「x − y < 0 かつ x + y < 0」→ 2 直線 y = x、y = −x で分けた 4 つの領域のうち、左右の 2 つ
4. 領域における最大・最小
ここまでできれば十分
手順:
- 領域 D を図示する
- 求める式を k とおく(x + y = k、2x + y = k、x² + y² = k …)
- k の式が表す図形(直線・円)を動かし、D と共有点をもつ範囲で k の最大・最小を読む
- 頂点(端点)で最大・最小になることが多い
x ≧ 0、y ≧ 0、x + 2y ≦ 6、2x + y ≦ 6 のとき x + y の最大値 領域は 4 点 (0, 0)、(3, 0)、(2, 2)、(0, 3) を頂点とする四角形。 x + y = k → y = −x + k(傾き −1 の直線、y 切片 k) k が最大になるのは直線が頂点 (2, 2) を通るとき → 最大値 4((0, 0) で最小値 0)
傾きの比較
直線 y = −x + k と領域の辺の傾きを比べる。式の傾きが辺の傾きの間にあれば頂点で最大。傾きが辺と同じなら辺全体で最大。
円や距離の場合
- x² + y² = k:原点中心の円。半径 √k が最小・最大になる点
- y/x = k(傾き):原点を通る直線の傾き
- x² + y² − 2x = k:中心 (1, 0) の円
5. 領域と条件(発展)
もう一歩
「x² + y² ≦ 4 ならば x + y ≦ k」が成り立つ最小の k → 円全体が直線 x + y = k の下側にある条件 → 円の中心と直線の距離 ≧ 半径 → k/√2 ≧ 2 → k ≧ 2√2。
「命題の真偽」を領域の包含関係(h1-05 の集合)で考える。
6. よくある間違い
- 軌跡で、除外点を確かめない(分母が 0 になる点、3 点が一直線になる点など)
- 連動する点の軌跡で、動点の座標を x、y で表さず代入する
- 領域の境界を含むかどうか(実線・破線)を書き分けていない
- 最大最小で頂点を 1 つしか調べない → すべての頂点で k の値を出して比べる
7. 自己チェック
- 軌跡は P(x, y) とおき、条件を式に。除外点を確認
- 連動する点は「もとの点を x、y で表して代入」
- y > f(x) は上側。境界の実線・破線
- 最大最小は「= k とおいて図形を動かす」。全頂点を調べる
8. 小テストへ
→ 小テスト(h2-06)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学Ⅱ「(2) 図形と方程式 ア(イ) 軌跡と領域」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/math/h2-06/ / 更新 2026-09-12