高1 / 生物基礎 / bb-06
体内環境の調節(自律神経・ホルモン・血糖)
この単元でできるようになること
- 自律神経系(交感神経・副交感神経)のはたらきと拮抗作用を器官ごとに言える
- ホルモンの性質(内分泌腺から血液中へ・微量・標的器官の受容体)と、主な内分泌腺・ホルモン・はたらきを対応させられる
- 血糖濃度の調節(インスリンで下げる/グルカゴン・アドレナリン・糖質コルチコイドで上げる)と糖尿病を説明できる
- 体温の調節(寒いとき・暑いとき)を自律神経とホルモンの両面から説明できる
- フィードバック調節(甲状腺ホルモン・視床下部・脳下垂体)のしくみを説明できる
入試での位置づけ
「血糖値の調節」は生物基礎で最も出る図表問題で、共通テストでは食事後・運動後の血糖値とインスリン・グルカゴンのグラフ、糖尿病の 2 つの型が定番。ホルモンの表は暗記必須ですが、「血糖を上げるホルモンは複数、下げるのはインスリンだけ」のように理由とセットで覚えると整理しやすい単元です。
1. 自律神経系 ── 交感神経と副交感神経
まずここだけ
- 意思とは無関係に内臓のはたらきを調節。中枢は間脳の視床下部
- 交感神経:活動・緊張・興奮のとき(闘争か逃走か)。脊髄から出る
- 副交感神経:休息・リラックスのとき。中脳・延髄・脊髄下部から出る
- 多くの器官に両方が分布し、逆のはたらきをする(拮抗作用)
| 器官 | 交感神経 | 副交感神経 |
|---|---|---|
| 心臓の拍動 | 促進 | 抑制 |
| 血圧 | 上昇 | 低下 |
| 気管支 | 拡張 | 収縮 |
| 瞳孔 | 拡大 | 縮小 |
| 消化管の運動・消化液 | 抑制 | 促進 |
| 立毛筋・汗腺 | 収縮・分泌促進 | (分布しない) |
| ぼうこう(排尿) | 抑制 | 促進 |
覚え方:交感神経は「戦うために心臓を速く・目を大きく・消化は後回し」。
2. ホルモンと内分泌系
まずここだけ
- ホルモン:内分泌腺から血液中に分泌され(外分泌腺のように管がない)、微量で特定の標的器官(受容体をもつ細胞)にはたらく
- 神経よりゆっくり・長く作用。全身に届く
| 内分泌腺 | ホルモン | はたらき |
|---|---|---|
| 視床下部 | 放出ホルモン | 脳下垂体を調節 |
| 脳下垂体前葉 | 成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン | 成長促進、他の内分泌腺を刺激 |
| 脳下垂体後葉 | バソプレシン | 腎臓の集合管で水の再吸収を促進(尿を減らす)、血圧上昇 |
| 甲状腺 | チロキシン | 代謝を促進(ヨウ素を含む) |
| 副甲状腺 | パラトルモン | 血液中の Ca²⁺ を増やす |
| すい臓ランゲルハンス島 | A 細胞:グルカゴン/B 細胞:インスリン | 血糖を上げる/下げる |
| 副腎髄質 | アドレナリン | 血糖を上げる、心拍促進(交感神経と協力) |
| 副腎皮質 | 糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド | 血糖を上げる(タンパク質 → 糖)、Na⁺ の再吸収促進 |
神経分泌:視床下部の神経細胞がホルモンを分泌(バソプレシンは視床下部でつくられ後葉から出る)。
3. 血糖濃度の調節
まずここだけ
血糖(血液中のグルコース)は約 0.1%(100 mg/100 mL)に保たれる。
高くなったとき(食後):
- 視床下部・すい臓の B 細胞が感知 → 副交感神経・直接 → インスリン分泌 → 細胞へのグルコース取り込み促進、肝臓・筋肉でグリコーゲン合成 → 血糖低下
- 血糖を下げるホルモンはインスリンだけ
低くなったとき(空腹・運動):
- 視床下部が感知 → 交感神経 → グルカゴン(A 細胞)・アドレナリン(副腎髄質)→ グリコーゲン分解 → 血糖上昇
- 脳下垂体前葉 → 副腎皮質刺激ホルモン → 糖質コルチコイド → タンパク質からグルコース合成
糖尿病:血糖が高いまま下がらず、尿にグルコースが出る。
| 型 | 原因 | 対応 |
|---|---|---|
| Ⅰ型 | B 細胞が壊れインスリンが分泌されない(自己免疫など) | インスリン注射 |
| Ⅱ型 | インスリンは出るが細胞にはたらきにくい(インスリン抵抗性)/分泌量が少ない(生活習慣) | 食事・運動・薬 |
グラフの読み方:食後、血糖が上がるとインスリンが増え、血糖が下がる。Ⅰ型はインスリンが増えない。Ⅱ型はインスリンが出ていても血糖が下がりにくい。
4. 体温の調節
ここまでできれば十分
中枢は視床下部。
寒いとき(熱をつくる・逃がさない):
- 交感神経 → 皮膚の血管収縮(放熱を減らす)、立毛筋収縮
- アドレナリン・チロキシン・糖質コルチコイド → 代謝を高めて発熱
- 骨格筋のふるえ
暑いとき(熱を逃がす):
- 皮膚の血管拡張、汗腺から発汗(交感神経)
5. フィードバック調節
ここまでできれば十分
チロキシンの例: 視床下部(放出ホルモン)→ 脳下垂体前葉(甲状腺刺激ホルモン)→ 甲状腺(チロキシン) チロキシンが増えると、視床下部・脳下垂体に作用して放出を抑える(負のフィードバック)→ 濃度が一定に保たれる。
- 甲状腺を除去 → チロキシン減 → 甲状腺刺激ホルモンが増える(抑えがなくなる)
- 体液の塩分濃度が上がる → 視床下部が感知 → バソプレシン増 → 水の再吸収増 → 尿が濃く少なくなる → 濃度が下がる
6. よくある間違い
- 交感神経が消化を促進すると思う(抑制。副交感神経が促進)
- 血糖を下げるホルモンを複数挙げる(インスリンだけ)
- グルカゴンとグリコーゲンを混同する(グルカゴン:ホルモン、グリコーゲン:貯蔵多糖)
- アドレナリンを副腎皮質とする(髄質)
- バソプレシンを前葉とする(後葉)
- 糖尿病Ⅰ型とⅡ型のインスリン量の違いを逆にする
- 甲状腺除去で甲状腺刺激ホルモンが減ると思う(増える)
7. 自己チェック
- 交感神経(活動)・副交感神経(休息)で心臓・消化管のはたらきを言えるか
- 内分泌腺 → ホルモン → はたらき の表を書けるか
- 血糖を下げる:インスリン、上げる:グルカゴン・アドレナリン・糖質コルチコイド、と言えるか
- 糖尿病Ⅰ型・Ⅱ型の違いを言えるか
- 寒いときの血管・代謝の変化を言えるか
- 負のフィードバックを甲状腺で説明できるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(bb-06)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「生物基礎」(3) ア 神経系と内分泌系による調節
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/bb-06/ / 更新 2026-09-12