高1 / 生物基礎 / bb-05
体内環境(体液・循環・腎臓・肝臓)
この単元でできるようになること
- 体液(血液・組織液・リンパ液)と(ホメオスタシス)の意味を説明できる
- 血液の成分(赤血球・白血球・血小板・血しょう)とはたらき、血液凝固のしくみを言える
- 心臓と血液循環(体循環・肺循環、動脈血・静脈血)を説明できる
- 腎臓のしくみ(ろ過 → 再吸収、原尿と尿)と濃縮率・再吸収率を計算できる
- 肝臓のはたらき(血糖の調節・尿素の合成・解毒・胆汁・体温)を挙げられる
入試での位置づけ
体内環境は「腎臓の計算」(イヌリンの濃縮率から原尿量、水や物質の再吸収率)が共通テストの計算問題として定番。血液成分・肝臓のはたらきは知識問題で頻出。「ろ過されるがほぼ全部再吸収される(グルコース)」「ろ過されない(タンパク質)」「再吸収されない(イヌリン)」の区別が計算のカギです。
1. 体液と恒常性
まずここだけ
- 体液:体内の細胞を浸す液体。血液(血管内)・組織液(細胞の間)・リンパ液(リンパ管内)
- 組織液は血しょうが毛細血管からしみ出したもの。多くは血管に戻り、一部はリンパ管へ
- 恒常性(ホメオスタシス):体液の温度・pH・塩分濃度・血糖濃度などを一定に保つはたらき。自律神経とホルモン(bb-06)が担う
2. 血液の成分
まずここだけ
| 成分 | 数(/mm³) | 核 | はたらき |
|---|---|---|---|
| 赤血球 | 約 450〜500 万 | なし(哺乳類) | ヘモグロビンで酸素を運ぶ。骨髄でつくられ、肝臓・ひ臓で壊される |
| 白血球 | 約 4,000〜9,000 | あり | 免疫(好中球・マクロファージ・リンパ球) |
| 血小板 | 約 20〜40 万 | なし | 血液凝固 |
| 血しょう | 液体成分(約 55%) | ── | 栄養分・老廃物・CO₂・ホルモンを運ぶ。タンパク質(アルブミン・フィブリノーゲン)を含む |
ヘモグロビン:酸素濃度が高い(肺)と酸素と結合、低い(組織)と酸素を放す。CO₂ 濃度が高いとさらに放しやすい。
血液凝固:傷口に血小板が集まり、血しょう中のフィブリノーゲンがフィブリン(繊維状)に変化して血球を絡め血ぺいをつくる。血ぺいを除いた液体が血清。線溶:傷が治るとフィブリンが分解される。
3. 循環系
ここまでできれば十分
心臓:右心房・右心室・左心房・左心室の 4 つ。左心室の壁が最も厚い(全身へ送る)。
| 循環 | 経路 | 血液 |
|---|---|---|
| 肺循環 | 右心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房 | 肺動脈は静脈血、肺静脈は動脈血 |
| 体循環 | 左心室 → 大動脈 → 全身 → 大静脈 → 右心房 |
- 動脈血:酸素が多い(鮮紅色)、静脈血:酸素が少ない(暗赤色)。「動脈・静脈」は血管の名前、「動脈血・静脈血」は血液の状態
- 動脈:壁が厚い。静脈:弁がある。毛細血管:物質交換
- リンパ管は静脈に合流(鎖骨下静脈)。リンパ節には免疫細胞が集まる
4. 腎臓 ── ろ過と再吸収
まずここだけ
ネフロン(腎単位) = 腎小体(糸球体 + ボーマンのう)+ 細尿管(腎細管)。1 個の腎臓に約 100 万個。
- ろ過:糸球体からボーマンのうへ、血しょうがこし出される → 原尿(1 日約 170 L)。タンパク質・血球はろ過されない
- 再吸収:細尿管と集合管で、水(約 99%)・グルコース(100%)・ナトリウムイオンなどが毛細血管に戻される
- 残りが尿(1 日約 1.5 L)→ 腎う → 輸尿管 → ぼうこう
| 物質 | 血しょう | 原尿 | 尿 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| タンパク質 | ○ | × | × | ろ過されない |
| グルコース | ○ | ○ | × | ろ過されるが全部再吸収 |
| 尿素 | ○ | ○ | 濃い | 一部再吸収、濃縮される |
| イヌリン | ○(注射) | ○ | 濃い | まったく再吸収されない → 原尿量の計算に使う |
濃縮率 = 尿中の濃度 ÷ 血しょう中の濃度 原尿量 = 尿量 × イヌリンの濃縮率(イヌリンは再吸収されないので、原尿中の量 = 尿中の量)
イヌリンの濃縮率 120、尿量 1.5 L/日 → 原尿 180 L/日 再吸収率(水)= (原尿量 − 尿量) ÷ 原尿量 = (180 − 1.5)/180 ≒ 99% ある物質の再吸収量 = 原尿中の量(原尿量 × 血しょう濃度)− 尿中の量(尿量 × 尿中濃度)
バソプレシン(脳下垂体後葉):集合管での水の再吸収を促進 → 尿が濃くなる(bb-06)。
5. 肝臓 ── 化学工場
ここまでできれば十分
体内最大の臓器(約 1.2〜1.5 kg)。肝門脈で小腸から吸収した栄養分を受け取る。
| はたらき | 内容 |
|---|---|
| 血糖の調節 | グルコース ⇄ グリコーゲン(貯蔵) |
| 尿素の合成 | 有害なアンモニア(タンパク質の分解で生じる)→ 無害な尿素 → 腎臓へ |
| 解毒 | アルコール・薬物の分解 |
| 胆汁の生成 | 脂肪の消化を助ける(胆のうに蓄え十二指腸へ)。古い赤血球の分解物(ビリルビン)を含む |
| 体温の保持 | 化学反応で発熱 |
| タンパク質の合成 | アルブミン・フィブリノーゲンなど血しょうタンパク質 |
6. よくある間違い
- 肺動脈に動脈血が流れると思う(静脈血)
- 赤血球に核があるとする(哺乳類はない)
- 原尿と尿の量を混同する(原尿 170 L、尿 1.5 L)
- グルコースが尿に出ると思う(健康ならすべて再吸収。糖尿病で出る)
- イヌリンの濃縮率を「原尿量 ÷ 尿量」と逆にする(尿濃度 ÷ 血しょう濃度 = 原尿量 ÷ 尿量:同じ値)
- 尿素が肝臓でなく腎臓でつくられると思う(肝臓で合成、腎臓で排出)
- 血清と血しょうを混同する(血しょう − フィブリノーゲン = 血清)
7. 自己チェック
- 血液・組織液・リンパ液の関係を言えるか
- 赤血球・白血球・血小板・血しょうのはたらきを言えるか
- フィブリノーゲン → フィブリン → 血ぺい、血清の順で言えるか
- 肺循環・体循環と動脈血・静脈血を言えるか
- ろ過(糸球体 → ボーマンのう)と再吸収(細尿管)、原尿量 = 尿量 × 濃縮率 を使えるか
- 肝臓のはたらきを 5 つ言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(bb-05)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「生物基礎」(3) ア 神経系と内分泌系による調節(体内環境の維持)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/bb-05/ / 更新 2026-09-12