高1 / 化学基礎 / cb-07
酸と塩基(定義・価数・電離度・pH)
この単元でできるようになること
- アレニウスの定義(水溶液中で H⁺/OH⁻ を出す)とブレンステッド・ローリーの定義(H⁺ を与える/受け取る)を使い分けられる
- 酸・塩基の価数と強弱(電離度)を代表的な物質について言える
- 水素イオン濃度 [H⁺] と pH = −log₁₀[H⁺] の関係、水のイオン積 [H⁺][OH⁻] = 1.0 × 10⁻¹⁴ を使える
- 強酸・強塩基の水溶液の pH を濃度から求められる(弱酸は電離度をかける)
- pH の測定(指示薬・pH メーター)と、希釈による pH の変化がわかる
入試での位置づけ
酸・塩基はpH の計算とブレンステッドの定義での酸・塩基の判定が共通テストの定番です。「0.010 mol/L の塩酸の pH = 2」「0.10 mol/L の NaOH の pH = 13」のように10 の累乗で処理することに慣れれば計算は速い。中和滴定(cb-08)では価数と強弱が必要になります。
1. 酸・塩基の定義
まずここだけ
| 定義 | 酸 | 塩基 |
|---|---|---|
| アレニウス | 水に溶けて H⁺(実際は H₃O⁺)を出す | 水に溶けて OH⁻ を出す |
| ブレンステッド・ローリー | H⁺ を与える | H⁺ を受け取る |
HCl + H₂O → H₃O⁺ + Cl⁻:HCl が酸、H₂O が塩基(H⁺ を受け取った) NH₃ + H₂O → NH₄⁺ + OH⁻:NH₃ が塩基、H₂O が酸(H⁺ を与えた) 水は相手によって酸にも塩基にもなる。ブレンステッドの定義では OH⁻ を持たない NH₃ も塩基。
酸の性質:酸っぱい、青リトマス → 赤、金属(Mg・Zn・Fe)と反応して H₂ 発生。塩基の性質:苦い、赤リトマス → 青、フェノールフタレイン → 赤、ぬるぬるする。
2. 価数と強弱
まずここだけ
価数:酸 1 分子(1 個)が出せる H⁺ の数/塩基 1 個が出せる OH⁻(受け取れる H⁺)の数。
| 価数 | 強酸 | 弱酸 | 強塩基 | 弱塩基 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | HCl・HNO₃ | CH₃COOH(酢酸) | NaOH・KOH | NH₃ |
| 2 | H₂SO₄ | H₂CO₃・H₂S・(COOH)₂(シュウ酸) | Ca(OH)₂・Ba(OH)₂ | Mg(OH)₂ |
| 3 | ── | H₃PO₄ | ── | Al(OH)₃ |
強弱は電離度で決まり、価数や濃度とは関係ない。
電離度 α = 電離した分子の数 ÷ 溶かした分子の数(0 < α ≦ 1)
- 強酸・強塩基:α ≒ 1(ほぼ完全に電離)
- 弱酸・弱塩基:α ≪ 1(酢酸 0.10 mol/L で α ≒ 0.016)。濃度が薄いほど α は大きくなる
0.10 mol/L 酢酸(α = 0.016)の [H⁺] = 0.10 × 0.016 = 1.6 × 10⁻³ mol/L [H⁺] = 価数 × 濃度 × 電離度
3. 水のイオン積と pH
まずここだけ
- 純水もわずかに電離:H₂O ⇄ H⁺ + OH⁻。[H⁺] = [OH⁻] = 1.0 × 10⁻⁷ mol/L(25 ℃)
- 水のイオン積 K_w = [H⁺][OH⁻] = 1.0 × 10⁻¹⁴ (mol/L)²(25 ℃、酸性でも塩基性でも一定)
- pH = −log₁₀[H⁺] → [H⁺] = 1.0 × 10⁻ⁿ mol/L なら pH = n
| 液性 | [H⁺] | pH |
|---|---|---|
| 酸性 | > 10⁻⁷ | < 7 |
| 中性 | = 10⁻⁷ | 7 |
| 塩基性 | < 10⁻⁷ | > 7 |
pH が 1 小さいと [H⁺] は 10 倍。
4. pH の計算
ここまでできれば十分
強酸:[H⁺] = 価数 × 濃度
0.010 mol/L 塩酸(1 価):[H⁺] = 1.0 × 10⁻² → pH 2 0.0050 mol/L 硫酸(2 価):[H⁺] = 2 × 5.0 × 10⁻³ = 1.0 × 10⁻² → pH 2
強塩基:[OH⁻] = 価数 × 濃度 → [H⁺] = 10⁻¹⁴ ÷ [OH⁻]
0.10 mol/L NaOH:[OH⁻] = 10⁻¹ → [H⁺] = 10⁻¹³ → pH 13 0.0050 mol/L Ca(OH)₂(2 価):[OH⁻] = 1.0 × 10⁻² → pH 12
弱酸:[H⁺] = 濃度 × 電離度
0.10 mol/L 酢酸(α = 0.010 とすると):[H⁺] = 1.0 × 10⁻³ → pH 3
希釈:強酸を 10 倍に薄めると pH は 1 大きくなる(pH 2 → 3)。ただし7 をこえて塩基性にはならない(pH 6 の塩酸を 100 倍に薄めても pH ≒ 7)。
5. pH の測定
- 指示薬:フェノールフタレイン(無色 → 赤、変色域 pH 8.3〜10.0)、メチルオレンジ(赤 → 黄、3.1〜4.4)、BTB(黄 → 緑 → 青、6.0〜7.6)、リトマス
- pH 試験紙(万能 pH 試験紙)、pH メーター(正確)
- 身近な pH:胃液 1〜2、レモン 2、雨水 5.6(CO₂ が溶けている。5.6 未満が酸性雨)、血液 7.4、石けん水 10、水酸化ナトリウム水溶液 13〜14
6. よくある間違い
- 「強酸 = 濃い酸」「弱酸 = 薄い酸」と思う(強弱は電離度、濃薄は濃度)
- 硫酸の [H⁺] を濃度そのままにする(2 価なので 2 倍)
- 強塩基の pH を [OH⁻] からそのまま出す(イオン積で [H⁺] に直す)
- 弱酸の [H⁺] を濃度そのままにする(× 電離度)
- pH 2 の塩酸を 10 倍に薄めて pH 1 とする(薄めると pH は大きくなる → 3)
- H₂O を酸・塩基のどちらかに固定する(相手による)
- NH₃ を「OH⁻ を持たないから塩基でない」と思う(水と反応して OH⁻ を生じる・H⁺ を受け取る)
7. 自己チェック
- ブレンステッドの定義で H₂O が酸にも塩基にもなる例を言えるか
- 強酸 3 つ(HCl・HNO₃・H₂SO₄)と強塩基(NaOH・KOH・Ca(OH)₂・Ba(OH)₂)を言えるか
- [H⁺] = 価数 × 濃度 × 電離度 を書けるか
- [H⁺][OH⁻] = 10⁻¹⁴ から強塩基の pH を出せるか
- pH 1 の差は [H⁺] 10 倍、と言えるか
- フェノールフタレイン・メチルオレンジの変色を言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(cb-07)
関連する単元
- 前提:s3-04 酸・アルカリ・イオン(中学)、cb-05 モル濃度、h2-06 対数(log)
- 次に進む:cb-08 中和反応と塩・中和滴定
- ここで使う考え方が出てくる:cb-09 酸化還元(酸化剤としての酸)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「化学基礎」(3) ア 化学反応(酸・塩基と中和)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/cb-07/ / 更新 2026-09-12