高1 / 化学基礎 / cb-08
中和反応と塩・中和滴定
この単元でできるようになること
- 中和(H⁺ + OH⁻ → H₂O)の反応式と、生じる塩の化学式を書ける
- 中和の量的関係:酸の価数 × 酸の mol = 塩基の価数 × 塩基の mol(a c V = b c′ V′)で濃度・体積を求められる
- 塩の分類(正塩・酸性塩・塩基性塩)と、塩の水溶液の液性(強酸 + 強塩基 → 中性、強酸 + 弱塩基 → 酸性、弱酸 + 強塩基 → 塩基性)を判断できる
- の器具・操作・滴定曲線・指示薬の選び方を説明できる
- 弱酸の遊離(弱酸の塩 + 強酸 → 弱酸)を書ける
入試での位置づけ
中和滴定は化学基礎の計算・実験の両方で最頻出です。共通テストでは「a c V = b c′ V′ で未知の濃度を求める」「滴定曲線から酸・塩基の強弱と指示薬を選ぶ」「器具の使い方(共洗い)」「塩の液性」が定番。式は 1 つだけなので、価数と単位(mL → L)を確実に。
1. 中和反応と塩
まずここだけ
中和:酸の H⁺ と塩基の OH⁻ が結びついて水になり、残りが塩になる。 酸 + 塩基 → 塩 + 水
| 酸 | 塩基 | 反応式 | 塩 |
|---|---|---|---|
| HCl | NaOH | HCl + NaOH → NaCl + H₂O | 塩化ナトリウム |
| H₂SO₄ | 2NaOH | H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O | 硫酸ナトリウム |
| 2HCl | Ca(OH)₂ | 2HCl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2H₂O | 塩化カルシウム |
| CH₃COOH | NaOH | CH₃COOH + NaOH → CH₃COONa + H₂O | 酢酸ナトリウム |
| HCl | NH₃ | HCl + NH₃ → NH₄Cl | 塩化アンモニウム(水はできない) |
塩の分類(化学式の形による。液性とは別):
- 正塩:酸の H も塩基の OH も残っていない(NaCl、Na₂SO₄、CH₃COONa)
- 酸性塩:酸の H が残っている(NaHSO₄、NaHCO₃)
- 塩基性塩:塩基の OH が残っている(MgCl(OH))
2. 中和の量的関係 ── a c V = b c′ V′
まずここだけ
過不足なく中和するとき:酸が出す H⁺ の mol = 塩基が出す OH⁻ の mol a × c × V = b × c′ × V′(a・b:価数、c・c′:モル濃度、V・V′:体積 L)
- 強弱は関係ない(弱酸も最終的にすべて反応する)。関係するのは価数だけ
- 単位は両辺そろっていれば mL のままでもよい
0.10 mol/L 塩酸 20 mL を中和する 0.10 mol/L NaOH:1 × 0.10 × 20 = 1 × 0.10 × V′ → 20 mL 0.10 mol/L 硫酸 10 mL を中和する 0.20 mol/L NaOH:2 × 0.10 × 10 = 1 × 0.20 × V′ → 10 mL 濃度不明の酢酸 10 mL に 0.10 mol/L NaOH が 15 mL 必要:1 × c × 10 = 1 × 0.10 × 15 → c = 0.15 mol/L
固体の塩基:mol = g ÷ モル質量 で mol を出してから価数をかける。
3. 塩の水溶液の液性
ここまでできれば十分
「正塩の水溶液が中性とは限らない」。もとの酸・塩基の強いほうの性質が残る。
| 組み合わせ | 塩の例 | 液性 |
|---|---|---|
| 強酸 + 強塩基 | NaCl、Na₂SO₄、KNO₃ | 中性 |
| 強酸 + 弱塩基 | NH₄Cl、(NH₄)₂SO₄ | 酸性 |
| 弱酸 + 強塩基 | CH₃COONa、Na₂CO₃、NaHCO₃ | 塩基性 |
| 酸性塩 NaHSO₄ | 酸性(H⁺ を出す) |
理由:CH₃COO⁻ が水から H⁺ を奪って CH₃COOH に戻り、OH⁻ が残る(塩の加水分解)。
弱酸の遊離:弱酸の塩 + 強酸 → 強酸の塩 + 弱酸
CH₃COONa + HCl → NaCl + CH₃COOH CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂(炭酸が分解) 弱塩基の遊離:NH₄Cl + NaOH → NaCl + NH₃ + H₂O
4. 中和滴定 ── 操作と器具
まずここだけ
濃度のわかった溶液(標準溶液)で、濃度不明の溶液を中和して濃度を求める操作。
| 器具 | 用途 | 水でぬれたまま |
|---|---|---|
| ホールピペット | 一定体積(例 10.00 mL)を正確にはかり取る | × 共洗い |
| ビュレット | 滴下した体積を読む(0.01 mL まで) | × 共洗い |
| コニカルビーカー | 溶液を受けて振り混ぜる | ○(溶質の量は変わらない) |
| メスフラスコ | 標準溶液を一定体積に調製 | ○ |
手順:①ホールピペットで試料をコニカルビーカーに取る → ②指示薬を数滴 → ③ビュレットから標準溶液を滴下 → ④色が変わって消えなくなった点(終点)の目盛りを読む → ⑤a c V = b c′ V′
5. 滴定曲線と指示薬
ここまでできれば十分
滴下量を横軸、pH を縦軸にしたグラフ。中和点付近で pH が急に変化する(pH ジャンプ)。指示薬は変色域がジャンプの範囲に入るものを使う。
| 酸 + 塩基 | 中和点の pH | ジャンプ | 使える指示薬 |
|---|---|---|---|
| 強酸 + 強塩基 | 7 | 大きい(約 3〜11) | フェノールフタレイン・メチルオレンジどちらも可 |
| 弱酸 + 強塩基(酢酸 + NaOH) | 7 より大(塩基性) | 塩基側だけ | フェノールフタレイン |
| 強酸 + 弱塩基(HCl + NH₃) | 7 より小(酸性) | 酸側だけ | メチルオレンジ |
| 弱酸 + 弱塩基 | ジャンプなし | 指示薬では不可 |
曲線の読み方:滴定開始時の pH で酸の強弱(強酸なら pH 1、弱酸なら 3 程度)、終点の pH で塩基の強弱がわかる。
6. よくある間違い
- 中和の式に強弱(電離度)を入れる(価数だけ)
- 硫酸を 1 価として計算する(2 価)
- mL と L を片方だけ直す(両辺そろえる)
- 「正塩 = 中性」と思う(CH₃COONa は塩基性、NH₄Cl は酸性)
- ホールピペット・ビュレットを水でぬれたまま使う(共洗い)
- 酢酸 + NaOH の滴定にメチルオレンジを使う(フェノールフタレイン)
- 塩基性塩と塩基性を混同する(分類と液性は別)
7. 自己チェック
- a c V = b c′ V′ を書け、価数を正しく入れられるか
- 強弱は中和の量に関係しない、と言えるか
- NaCl 中性、CH₃COONa 塩基性、NH₄Cl 酸性、と言えるか
- 共洗いする器具(ホールピペット・ビュレット)を言えるか
- 弱酸 + 強塩基はフェノールフタレイン、強酸 + 弱塩基はメチルオレンジ、と言えるか
- 弱酸の遊離の式を書けるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(cb-08)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「化学基礎」(3) ア 化学反応(中和反応・中和滴定)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/cb-08/ / 更新 2026-09-12