中1 数学 / 数と式 / m1-09
一次方程式の利用 ── 文章題・比例式
この単元でできるようになること
- 文章題を「何を x とおくか → 等しい関係を見つける → 方程式 → 解く → 答えを確かめる」の手順で解ける
- 代金・個数、過不足、速さ、年齢など、よく出る型の式を立てられる
- 比例式(a : b = c : d)を解ける
- 出た解が問題に合っているか(人数が負になっていないか等)を確かめられる
入試での位置づけ
方程式の文章題は出題されやすく、配点も計算問題より大きいことが多い分野です。中2の連立方程式・中3の二次方程式の文章題も、「x とおく → 等しい関係を式にする」の手順はまったく同じなので、ここで型を身につけると3年分の文章題に通用します。式が立てられない人の多くは、方程式の解き方ではなく、m1-07 でやった「等しいものを2つ見つける」で止まっています。
1. 文章題の手順 ── 5つのステップ
まずここだけ
どんな文章題も、次の5ステップで解きます。
- 何を x とおくか決める(ふつうは「求めたいもの」)
- 等しい2つの量を見つけて、それぞれ x の式で表す
- = でつないで方程式にする
- 方程式を解く
- 解が問題に合っているか確かめて、単位をつけて答える
ステップ 2 が本体です。「何と何が等しいのか」を日本語で言えれば、式は立ちます。
例:代金の問題
1個 120 円のりんごと 1個 80 円のみかんを合わせて 10 個買ったら、代金は 1000 円だった。りんごは何個買ったか。
- りんごの個数を x 個 とおく。すると、みかんは (10 − x) 個
- 等しい2つ:「りんごの代金 + みかんの代金」と「1000 円」 りんごの代金 = 120x、みかんの代金 = 80(10 − x)
- 120x + 80(10 − x) = 1000
- 120x + 800 − 80x = 1000 → 40x = 200 → x = 5
- りんご 5 個、みかん 5 個。代金 600 + 400 = 1000 円で合っている。答え:5 個
よくある間違い
- みかんの個数を「x 個」と別の文字にして 2 文字になる → 中1では文字は 1つ。「合わせて 10 個」を使って (10 − x) と表す
- 「x = 5」で終わる → 問われているのは「りんごの個数」。単位をつけて答える(5 個)
- 解の確かめを省く → 計算ミスがあっても気づけない。「代金 1000 円になるか」を代入して確かめる
2. よく出る型
型①:過不足の問題
何人かの子どもにあめを配る。1人に 4 個ずつ配ると 6 個余り、1人に 5 個ずつ配ると 2 個足りない。子どもは何人か。
等しいもの:あめの総数(配り方が変わっても、あめの数は同じ)
- 子どもを x 人とおく
- 4 個ずつで 6 個余る → あめは 4x + 6 個
- 5 個ずつで 2 個足りない → あめは 5x − 2 個
- 4x + 6 = 5x − 2 → x = 8
答え:8 人(あめは 38 個。4 × 8 + 6 = 38、5 × 8 − 2 = 38 で一致)
「余る」は +、「足りない」は − です。「5 個ずつ配ると 2 個足りない」は「あめが 5x 個あれば足りたが、実際は 2 個少ない 5x − 2 個」という意味です。
型②:速さの問題
家から駅まで、行きは分速 60 m で歩き、帰りは分速 90 m で走ったら、往復で 25 分かかった。家から駅までの道のりは何 m か。
等しいもの:行きの時間 + 帰りの時間 = 25 分
- 道のりを x m とおく
- 行きの時間 = 道のり ÷ 速さ = x/60 分、帰り = x/90 分
- x/60 + x/90 = 25
- 分母をはらう(最小公倍数 180):3x + 2x = 4500 → 5x = 4500 → x = 900
答え:900 m(行き 15 分 + 帰り 10 分 = 25 分で一致)
速さの問題は「時間で等式を作る」か「道のりで等式を作る」のどちらかです。「往復で○分」なら時間、「追いつく」「出会う」なら道のりで作るのが基本です。
型③:追いつく問題
弟が分速 60 m で家を出た 10 分後に、兄が分速 90 m で同じ道を追いかけた。兄は何分後に弟に追いつくか。
等しいもの:追いついた時点で、2人の進んだ道のりが同じ
- 兄が出発してから追いつくまでを x 分とおく
- 兄の道のり = 90x、弟の道のり = 60 × (x + 10)(弟は 10 分早く出ている)
- 90x = 60(x + 10) → 90x = 60x + 600 → 30x = 600 → x = 20
答え:20 分後(兄 1800 m、弟 60 × 30 = 1800 m で一致)
型④:年齢の問題
現在、母は 38 歳、子は 10 歳。母の年齢が子の年齢の 3 倍になるのは何年後か。
等しいもの:(x 年後の母の年齢)=(x 年後の子の年齢)× 3
- x 年後とおく。母 38 + x、子 10 + x
- 38 + x = 3(10 + x) → 38 + x = 30 + 3x → 8 = 2x → x = 4
答え:4 年後(母 42、子 14。42 = 14 × 3 で一致)
型⑤:割合の問題
ある品物に原価の 3 割の利益を見込んで定価をつけたが、売れないので定価の 2 割引きで売ったら、利益は 80 円だった。原価はいくらか。
- 原価を x 円とおく
- 定価 = x × (1 + 0.3) = 1.3x
- 売値 = 1.3x × (1 − 0.2) = 1.04x
- 利益 = 売値 − 原価 = 1.04x − x = 0.04x
- 0.04x = 80 → x = 2000
答え:2000 円(定価 2600、売値 2080、利益 80 で一致)
「3 割」= 0.3、「2 割引き」= 0.8 倍。割合は小数に直してから式にします。
ここまでできれば十分
型①〜③(代金・過不足・速さ)が自力で立式できれば、中1の文章題の中心は押さえています。④⑤は同じ手順の応用です。
3. 比例式
まずここだけ
a : b = c : d のように、2つの比が等しいことを表した式を といいます。比例式には次の性質があります。
a : b = c : d ならば、ad = bc(外側どうしの積 = 内側どうしの積)
これを使うと、比例式は一次方程式に直せます。
x : 6 = 5 : 3 → 3x = 30(外側 x と 3、内側 6 と 5)→ x = 10
なぜ ad = bc になるのか
a : b = c : d は「a/b = c/d」と同じ意味です(比の値が等しい)。両辺に bd をかけると ad = bc。分数の方程式を分母をはらったのと同じことです。
例
| 比例式 | ad = bc | 解 |
|---|---|---|
| x : 4 = 3 : 2 | 2x = 12 | x = 6 |
| 8 : x = 4 : 3 | 24 = 4x | x = 6 |
| (x + 2) : 3 = 4 : 1 | x + 2 = 12 | x = 10 |
| 2 : 5 = x : 20 | 40 = 5x | x = 8 |
比例式の文章題
コーヒーとミルクを 5 : 2 の割合で混ぜる。コーヒーを 300 mL 使うとき、ミルクは何 mL か。
ミルクを x mL とおくと 5 : 2 = 300 : x → 5x = 600 → x = 120。答え:120 mL
「同じ割合」「同じ比で」という言葉が出たら、比例式が使えます。
よくある間違い
- 外側と内側を取り違える:x : 6 = 5 : 3 で 6x = 15 とする → 外側どうし(x と 3)、内側どうし(6 と 5)
- 比の順番を逆に書く:「コーヒー : ミルク = 5 : 2」を 2 : 5 にしてしまう → 左右で同じ順番(コーヒー : ミルク = コーヒーの量 : ミルクの量)
もう一歩(発展):解の吟味
方程式を解いて出た数が、問題の答えとして意味を持つかを確かめることを「解の吟味」といいます。
- 人数・個数が負の数や小数になった → どこかで式が違う
- 「x 個買った」のに x が 10 より大きい(全部で 10 個のはず)→ 立式ミス
- 速さの問題で時間が負 → 立式ミス
「方程式の解」と「問題の答え」は別物です。方程式は正しく解けても、問題の条件に合わなければ答えにはなりません。入試の記述では「x = 5 はこの問題に適している」と一言書く型もあります。
4. 自己チェック
- 何を x とおいたか、単位つきで書いたか(x 個、x 分、x 円)
- 等しい2つの量を日本語で言えるか
- 「余る」は +、「足りない」は − にしたか
- 速さ:時間 = 道のり ÷ 速さ、道のり = 速さ × 時間 になっているか。単位(分と時間、m と km)はそろっているか
- 解を問題文に戻して確かめたか。答えに単位をつけたか
5. 小テストへ
→ 小テスト(m1-09)
関連する単元
- 前提:m1-07 関係を表す式、m1-08 一次方程式の解き方
- 次に進む:m1-10 比例
- ここで使う考え方が出てくる:m2-05 連立方程式の利用、m3-07 二次方程式の利用、m3-12 平行線と線分の比(比例式)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 A 数と式 (3) 一次方程式 ── 「一次方程式を具体的な場面で活用すること」「簡単な比例式を解くこと」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koko/math/m1-09/ / 更新 2026-09-12