数学Ⅰ / 図形と計量 / h1-10

更新 2026-09-12

三角比 ── 定義・相互関係・角の拡張

この単元でできるようになること

入試での位置づけ

三角比は共通テスト数学Ⅰの「図形と計量」の大問の土台で、正弦定理・余弦定理(h1-11)・面積(h1-12)はすべてここから始まります。「cos θ がわかれば sin θ がわかる」(相互関係)と、「鈍角の cos は負」を反射的に使えるかが計算速度を決めます。数学Ⅱの三角関数(h2-07・08)で 360° を超える角へ広がります。


1. 定義 ── 直角三角形の辺の比

まずここだけ

∠C = 90° の直角三角形 ABC で、∠A = θ とすると、

三角比定義覚え方
sin θ対辺 / 斜辺(θ の向かい / 一番長い辺)筆記体の s の形(斜辺→対辺)
cos θ隣辺 / 斜辺(θ のとなり / 斜辺)c の形(斜辺→隣辺)
tan θ対辺 / 隣辺t の形(隣辺→対辺)

「斜辺は 90° の向かいの辺、対辺は θ の向かいの辺」。図の向きが変わっても、θ の位置から決める。

3 : 4 : 5 の直角三角形で、3 の辺の向かいの角を θ とすると sin θ = 3/5、cos θ = 4/5、tan θ = 3/4

三角定規の値(必ず覚える)

θ30°45°60°
sin θ1/2√2/2(= 1/√2)√3/2
cos θ√3/2√2/21/2
tan θ1/√3(= √3/3)1√3

(1 : 2 : √3 の三角定規と 1 : 1 : √2 の三角定規から)

三角比の使い方

高さを求める:斜辺 10、θ = 30° の坂の高さは 10 × sin 30° = 5 辺の長さ:求めたい辺 = わかっている辺 × 三角比(または ÷)で式を立てる


2. 相互関係 ── 1 つわかれば全部わかる

まずここだけ

公式使いどころ
sin²θ + cos²θ = 1sin ⇔ cos
tan θ = sin θ / cos θtan を出す
1 + tan²θ = 1 / cos²θtan ⇔ cos

sin θ = 3/5(θ は鋭角)のとき cos²θ = 1 − 9/25 = 16/25 → cos θ = 4/5(鋭角なので正) tan θ = (3/5) / (4/5) = 3/4

tan θ = 2(θ は鋭角)のとき 1/cos²θ = 1 + 4 = 5 → cos²θ = 1/5 → cos θ = 1/√5 = √5/5 sin θ = tan θ × cos θ = 2/√5 = 2√5/5

符号に注意

θ が鈍角(90° < θ < 180°)なら cos θ < 0、tan θ < 0。sin θ は 0° < θ < 180° で常に正。

sin θ = 3/5 で θ が鈍角 → cos θ = −4/5、tan θ = −3/4


3. 90° − θ の公式(余角)

ここまでできれば十分

直角三角形のもう 1 つの鋭角は 90° − θ。sin と cos が入れかわる

sin(90° − θ) = cos θcos(90° − θ) = sin θ
tan(90° − θ) = 1 / tan θ

sin 70° = cos 20°、cos 80° = sin 10°、tan 65° = 1/tan 25°

使いどころ:45° を超える角の三角比を 45° 以下に直す(三角比の表の利用)。


4. 180° − θ の公式(鈍角への拡張)

ここまでできれば十分

単位円(半径 1 の円)で、θ を x 軸の正の向きから測った点 P(x, y) をとると、

cos θ = x、sin θ = y、tan θ = y/x

これで 0° ≦ θ ≦ 180° の三角比が定義できる。180° − θ の点は y 軸に関して対称なので、

sin(180° − θ) = sin θcos(180° − θ) = −cos θ
tan(180° − θ) = −tan θ

sin 150° = sin 30° = 1/2 cos 120° = −cos 60° = −1/2 tan 135° = −tan 45° = −1 cos 180° = −1、sin 180° = 0、sin 90° = 1、cos 90° = 0、tan 90° は定義しない

0°〜180° の表

θ30°45°60°90°120°135°150°180°
sin01/2√2/2√3/21√3/2√2/21/20
cos1√3/2√2/21/20−1/2−√2/2−√3/2−1
tan01/√31√3なし−√3−1−1/√30

cos の符号が 90° を境に変わる。sin は左右対称。


5. 三角比の値から角を求める

ここまでできれば十分

0° ≦ θ ≦ 180° で、

sin θ = 1/2 → θ = 30°、150°(2 つ! 単位円で y = 1/2 の点は 2 つ) cos θ = −√2/2 → θ = 135°(cos は 1 つに決まる) tan θ = −√3 → θ = 120°

sin の値からは角が 2 つ出る(θ と 180° − θ)。cos・tan は 1 つ。三角形の内角を求めるとき、sin から出したら両方を検討するh1-11 正弦定理で重要)。


6. 自己チェック

  1. 斜辺・対辺・隣辺を θ の位置から正しく取ったか
  2. 30°・45°・60° の値が即答できるか
  3. 相互関係で cos を出したとき、θ が鈍角なら負にしたか
  4. 180° − θ で cos・tan の符号が変わることを忘れていないか
  5. sin の値から角を求めるとき、2 つ(θ、180° − θ)を考えたか

7. 小テストへ

→ 小テスト(h1-10

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参考資料

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