数学Ⅰ / データの分析 / h1-13
データの分析 ① ── 代表値・四分位数・箱ひげ図・分散・標準偏差
この単元でできるようになること
- 平均値・中央値・最頻値を求め、使い分けられる
- 四分位数・四分位範囲を求め、箱ひげ図をかける・読める
- 外れ値の基準(第 1 四分位数 − 1.5 × 四分位範囲 など)がわかる
- ・標準偏差を定義から計算できる
- 分散の公式 s² = (2 乗の平均)−(平均の 2 乗)で速く計算できる
- データを一律に変換(全部に a を足す・b 倍する)したときの平均・分散の変化がわかる
入試での位置づけ
「データの分析」は共通テスト数学Ⅰ・A で必ず大問 1 つが出ます。ただし計算より箱ひげ図・ヒストグラム・散布図を読んで正しい記述を選ぶ問題が中心で、「分散の意味」「四分位範囲と範囲の違い」を正確に理解していれば取れる分野です。数学B の統計的な推測(hb-04・05)の土台でもあります。
1. 代表値
まずここだけ
| 代表値 | 求め方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 平均値 x̄ | 合計 ÷ 個数 | 極端な値(外れ値)に引っぱられる |
| 中央値 | 小さい順に並べた真ん中(偶数個なら中央 2 つの平均) | 外れ値の影響を受けにくい |
| 最頻値 | 最も多く現れる値 | 度数分布表では最も度数の大きい階級の階級値 |
データ 2, 3, 3, 5, 12:平均 25/5 = 5、中央値 3、最頻値 3 12 が 100 になると平均は 22.6 に跳ね上がるが、中央値は 3 のまま。
2. 四分位数と箱ひげ図
まずここだけ
データを小さい順に並べ、中央値で前半・後半に分ける(奇数個なら中央値は両方に含めない)。
- 第 1 四分位数 Q₁:前半の中央値
- 第 2 四分位数 Q₂:全体の中央値
- 第 3 四分位数 Q₃:後半の中央値
- 四分位範囲 = Q₃ − Q₁(真ん中 50% の広がり)
- 範囲 = 最大値 − 最小値
1, 3, 4, 6, 8, 9, 12, 15(8 個) 前半 1, 3, 4, 6 → Q₁ = (3 + 4)/2 = 3.5、Q₂ = (6 + 8)/2 = 7、後半 8, 9, 12, 15 → Q₃ = (9 + 12)/2 = 10.5 四分位範囲 10.5 − 3.5 = 7、範囲 15 − 1 = 14
2, 4, 5, 7, 9, 10, 13(7 個) 中央値 7 を除いて、前半 2, 4, 5 → Q₁ = 4、後半 9, 10, 13 → Q₃ = 10
箱ひげ図
最小値 ─ Q₁ ┃ Q₂ ┃ Q₃ ─ 最大値 を横に並べた図。箱が Q₁〜Q₃(真ん中 50%)、ひげが最小・最大まで。
読み方のポイント:
- 箱の長さ = 四分位範囲。箱が短い ⇒ 真ん中 50% が集中
- 箱の中の線が中央値。平均値は箱ひげ図からはわからない(別に印があれば読む)
- 各区間(最小〜Q₁、Q₁〜Q₂、Q₂〜Q₃、Q₃〜最大)にデータの約 25% ずつが入る
- 「Q₃ より大きいデータは全体の約 25%」のような割合の判断に使う
外れ値
Q₁ − 1.5 × 四分位範囲 より小さい値、または Q₃ + 1.5 × 四分位範囲 より大きい値を外れ値とする(教科書の基準)。
Q₁ = 3.5、Q₃ = 10.5、四分位範囲 7 → 3.5 − 10.5 = −7 未満、10.5 + 10.5 = 21 より大きい値が外れ値
3. 分散と標準偏差
まずここだけ
偏差:各データ − 平均(x − x̄)。偏差の合計は必ず 0。
分散 s² = 偏差の 2 乗の平均 = {(x₁ − x̄)² + … + (xₙ − x̄)²} / n 標準偏差 s = √(分散)(単位がデータと同じになる)
データ 2, 4, 6, 8:平均 5。偏差 −3, −1, 1, 3。偏差の 2 乗 9, 1, 1, 9。 分散 = 20/4 = 5、標準偏差 = √5
分散が大きい ⇒ 散らばりが大きい。
分散の公式(速い)
s² = (x² の平均)−(x̄)²
2, 4, 6, 8:x² の平均 = (4 + 16 + 36 + 64)/4 = 30。x̄² = 25。分散 = 30 − 25 = 5 ✓
平均が小数のときはこちらが楽。
よくある間違い
- 偏差の合計を分散と思う(合計は 0)
- 分散を n − 1 で割る(高校では n で割る)
- 標準偏差を求めるのに √ を忘れる
- 「分散が大きい = 平均が大きい」と誤解する(分散は散らばり)
4. データの変換
ここまでできれば十分
全データを y = ax + b に変換すると、
| 平均 | 分散 | 標準偏差 | |
|---|---|---|---|
| 全部に b を足す | b 増える | 変わらない | 変わらない |
| 全部を a 倍する | a 倍 | a² 倍 | |
| y = ax + b | a x̄ + b | a² s² |
テストの点数(平均 60、標準偏差 10)を全員 5 点加点 → 平均 65、標準偏差 10 全員 2 倍 → 平均 120、分散 4 倍、標準偏差 20
足しても散らばりは変わらない、かけると散らばりも a 倍。
度数分布表からの計算
階級値 × 度数の合計 ÷ 総度数で平均。分散も階級値で計算する。
5. 読み取り問題のコツ
もう一歩
共通テストの記述選択問題で問われる「正しい/正しくない」の典型:
| 記述 | 判断 |
|---|---|
| 箱ひげ図で「中央値より大きいデータは半分」 | ○(定義) |
| 「箱が長い群のほうが範囲も大きい」 | × とは限らない(範囲はひげの端で決まる) |
| 「平均値は箱の真ん中」 | × 箱ひげ図から平均はわからない |
| 「Q₃ 以上のデータは 25% 以上」 | ○(同じ値が並ぶと 25% を超えることがある) |
| ヒストグラムの山が右に偏る(右に裾)→ 平均 > 中央値 | ○ が多い(外れ値が平均を引く) |
定義に戻って確かめる。「〜のように見える」で判断しない。
6. 自己チェック
- 中央値は並べ替えてから。偶数個なら中央 2 つの平均
- Q₁・Q₃ は前半・後半の中央値(奇数個なら中央値を除く)
- 分散は偏差の 2 乗の平均。標準偏差は √
- 全部に足す → 分散は変わらない。a 倍 → 分散は a² 倍
- 箱ひげ図から平均値は読めない
7. 小テストへ
→ 小テスト(h1-13)
関連する単元
- 前提:中1 m1-17 データの活用、中2 m2-15 四分位範囲と箱ひげ図
- 次に進む:h1-14 散布図・相関係数
- ここで使う考え方が出てくる:hb-04 確率分布(期待値・分散)、hb-05 正規分布
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学Ⅰ「(4) データの分析 ア(ア) 分散,標準偏差」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/math/h1-13/ / 更新 2026-09-12