高1 / 地学基礎 / eb-08
恒星と宇宙の構造
この単元でできるようになること
- 光年と宇宙の距離感(太陽〜地球 8 分、最も近い恒星 4.2 光年、銀河系の直径 10 万光年)を言える
- 恒星の色と表面温度の関係(青白いほど高温、赤いほど低温)とスペクトル型を説明できる
- HR 図(・赤色巨星・白色矮星)と恒星の一生を説明できる
- 銀河系(天の川銀河)の構造(円盤・バルジ・ハロー、太陽の位置)と銀河・銀河群・銀河団の階層を説明できる
- 宇宙の誕生(ビッグバン、約 138 億年前)と宇宙の膨張(ハッブルの法則)を説明できる
入試での位置づけ
「恒星の色 → 温度」「太陽の一生(主系列星 → 赤色巨星 → 白色矮星)」「銀河系の形と太陽の位置」「ビッグバン 138 億年前、太陽系 46 億年前」が定番。宇宙の階層(太陽系 < 銀河系 < 銀河群 < 銀河団 < 超銀河団)の大きさの順と、光年の計算も出ます。
1. 宇宙の距離の単位
まずここだけ
- 天文単位(au):太陽〜地球 = 1.5 億 km(太陽系の中)
- 光年:光が 1 年に進む距離 = 約 9.5 兆 km(≒ 6.3 万 au)(恒星・銀河の距離)
光の速さ 30 万 km/s × 3.15 × 10⁷ s ≒ 9.5 × 10¹² km
- 目安:太陽 → 地球 8 分、太陽 → 海王星 約 4 時間、最も近い恒星(プロキシマ・ケンタウリ)4.2 光年、銀河系の直径 約 10 万光年、アンドロメダ銀河 約 250 万光年、観測できる宇宙 約 138 億光年(宇宙の年齢)
- 遠くを見る = 昔の光を見る(100 光年先の星は 100 年前の姿)
2. 恒星の色・温度・明るさ
まずここだけ
- 恒星は自ら光る天体(太陽もその 1 つ)。惑星は反射して光る
- 色と表面温度:青白い(高温 1 万〜数万 K)→ 白 → 黄(太陽 5800 K)→ 橙 → 赤(低温 3000 K)。加熱した鉄と同じ(赤 → 白 → 青白)
- スペクトル型:高温から O・B・A・F・G・K・M(「オーバーファインガールキスミー」)。太陽は G 型
型 色 表面温度 例 O・B 青白 1 万〜3 万 K 以上 リゲル(B) A 白 約 1 万 K シリウス・ベガ F・G 黄白〜黄 6000〜7000 K 太陽(G) K 橙 4000〜5000 K アルクトゥルス M 赤 3000 K 程度 ベテルギウス・アンタレス - 等級:明るさ。数字が小さいほど明るい。1 等級差で約 2.5 倍、5 等級差で 100 倍。見かけの等級(地球から見た明るさ)と絶対等級(10 パーセク = 32.6 光年に置いたときの明るさ = 本当の明るさ)
- 遠いほど暗い:明るさは距離の 2 乗に反比例
3. HR 図と恒星の一生
ここまでできれば十分
HR 図(ヘルツシュプルング・ラッセル図):横軸に表面温度(左が高温)、縦軸に絶対等級(明るさ)(上が明るい)をとって恒星を打点。
- 主系列星:左上から右下への帯。恒星の約 9 割。中心で水素の核融合をしている安定期。左上ほど質量が大きく高温・明るい・寿命が短い。太陽はこの帯の中ほど
- 赤色巨星:右上(低温だが明るい = 巨大)。主系列を終えた星
- 白色矮星:左下(高温だが暗い = 小さい)。燃え尽きた星の芯
恒星の一生:
- 星間ガス(星間雲)が重力で収縮 → 原始星(暗黒星雲・散光星雲がゆりかご。オリオン大星雲)
- 中心が 1000 万 K を超えて水素の核融合開始 → 主系列星(太陽は約 100 億年ここにいる。今 46 億年目)
- 中心の水素を使い果たす → 外層がふくらみ 赤色巨星(太陽は地球軌道近くまで)
- その後は質量で分かれる:
- 太陽程度:外層を放出(惑星状星雲)→ 芯が 白色矮星 → 冷えていく
- 太陽の 8 倍以上:超新星爆発(重い元素をまき散らす。鉄より重い元素はここで生成)→ 中性子星(さらに重いと ブラックホール)
- 質量が大きいほど燃料を激しく使い寿命が短い(太陽の 10 倍の質量なら数千万年)
- 私たちの体の炭素・酸素・鉄は、昔の恒星の内部と超新星でつくられた
4. 銀河系と宇宙の階層
まずここだけ
銀河系(天の川銀河):太陽を含む約 2000 億個の恒星の集団。
- 形:円盤部(直径 約 10 万光年、厚さ 1.5 万光年、渦巻き腕)+ 中心のバルジ(膨らみ)+ 全体を包むハロー(球状星団が分布)
- 太陽は中心から約 2.8 万光年の円盤部にあり、約 2 億年で 1 周
- 天の川:円盤部を内側から見た姿(夏は中心方向(いて座)が見えるので濃い)
- 中心には巨大ブラックホール
階層(小 → 大): 太陽系 → 銀河系 → 局部銀河群(銀河系・アンドロメダ銀河など数十個)→ 銀河団(数百〜数千個。おとめ座銀河団)→ 超銀河団 → 宇宙の大規模構造(銀河が泡のように分布。泡の膜に銀河、内側はボイド)
銀河の種類:渦巻銀河(銀河系・アンドロメダ)、棒渦巻銀河(銀河系もこれとされる)、楕円銀河、不規則銀河。
5. 宇宙の誕生と膨張
ここまでできれば十分
- ビッグバン:約 138 億年前、宇宙は超高温・高密度の状態から始まり膨張してきた
- 最初の 3 分で水素・ヘリウムの原子核ができる(それより重い元素は恒星がつくる)
- 約 38 万年後に温度が下がって原子ができ、光がまっすぐ進めるようになった(宇宙の晴れ上がり)。このときの光が宇宙背景放射(現在 約 3 K のマイクロ波)としてビッグバンの証拠に
- その後、恒星・銀河が誕生(数億年後)。太陽系は 46 億年前(宇宙の年齢の 1/3)
- ハッブルの法則(ハッブル・ルメートルの法則):遠い銀河ほど速く遠ざかっている(後退速度 ∝ 距離)。光の赤方偏移から分かる。宇宙全体が膨張している証拠
- 宇宙の中身:普通の物質は 5% 程度、残りはダークマター(暗黒物質)とダークエネルギー(膨張を加速)
6. よくある間違い
- 赤い星を高温とする(赤は低温、青白が高温)
- 等級の数字が大きいほど明るいとする(小さいほど明るい)
- 太陽の最後を超新星爆発とする(太陽程度は白色矮星。8 倍以上が超新星)
- 質量の大きい星ほど長生きとする(短命)
- 光年を時間の単位とする(距離)
- 銀河系の中心に太陽があるとする(中心から 2.8 万光年)
- 宇宙の年齢(138 億年)と太陽系(46 億年)・地球の生命(40 億年)を混同
- 「ビッグバンの前」を語る(時間も空間もビッグバンから)
7. 自己チェック
- 光年の定義と、太陽 8 分・銀河系 10 万光年を言えるか
- 色 → 温度の順(青白 → 赤)とスペクトル型 OBAFGKM を言えるか
- HR 図の 3 つの領域を説明できるか
- 太陽の一生(原始星 → 主系列 → 赤色巨星 → 惑星状星雲 → 白色矮星)と重い星の最期を言えるか
- 銀河系の形・大きさ・太陽の位置を言えるか
- 宇宙の階層の順を言えるか
- ビッグバン 138 億年前、背景放射、ハッブルの法則を言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(eb-08)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「地学基礎」(1) ア 宇宙における地球(宇宙の誕生・恒星・銀河)
- 国立天文台「宇宙の階層構造」(https://www.nao.ac.jp/astro/basic/)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/science/eb-08/ / 更新 2026-09-12