数学A / 図形の性質 / ha-05
三角形の性質 ── 角の二等分線・五心・チェバ・メネラウスの定理
この単元でできるようになること
- 内角・外角の二等分線と辺の比の関係が使える
- 三角形の五心(外心・内心・重心・垂心・傍心)の定義と性質がわかる
- 重心が中線を 2 : 1 に分けることを使って長さが求められる
- チェバの定理・メネラウスの定理で、線分の比が求められる
- 三角形の成立条件・辺と角の大小関係がわかる
入試での位置づけ
「図形の性質」は共通テスト数学A の選択問題(近年は必答化の流れ)で、角の二等分線の比・重心・メネラウスの定理が定番です。証明問題は少なく、比を計算で出す問題が中心。三角比(h1-11・12)や円の性質(ha-06)と組み合わせて出ます。
1. 角の二等分線と比
まずここだけ
内角の二等分線:△ABC で ∠A の二等分線が BC と交わる点を D とすると、
BD : DC = AB : AC
AB = 6、AC = 4、BC = 5 なら BD : DC = 6 : 4 = 3 : 2 → BD = 5 × 3/5 = 3、DC = 2
外角の二等分線:∠A の外角の二等分線が BC の延長と交わる点を E とすると、
BE : EC = AB : AC(外分)
AB = 6、AC = 4、BC = 5:BE : EC = 3 : 2 で E は C の外側。BE − EC = 5、BE : EC = 3 : 2 → EC = 10、BE = 15
覚え方
「二等分線は、向かいの辺を隣の 2 辺の比に分ける」。
2. 三角形の五心
まずここだけ
| 名前 | 定義(何の交点) | 性質 |
|---|---|---|
| 外心 O | 3 辺の垂直二等分線の交点 | 3 頂点から等距離(外接円の中心)。OA = OB = OC = R |
| 内心 I | 3 つの内角の二等分線の交点 | 3 辺から等距離(内接円の中心)。距離 = r |
| 重心 G | 3 本の中線の交点 | 各中線を 2 : 1 に分ける(頂点側が 2) |
| 垂心 H | 3 頂点から対辺への垂線の交点 | |
| 傍心 | 1 つの内角と 2 つの外角の二等分線の交点 | 傍接円の中心(3 つある) |
外心の位置
- 鋭角三角形 → 内部
- 直角三角形 → 斜辺の中点(斜辺が直径)
- 鈍角三角形 → 外部
内心の角
∠BIC = 90° + ∠A/2(内心 I について)
∠A = 60° なら ∠BIC = 120°
重心の計算
中線 AM(M は BC の中点)上で AG : GM = 2 : 1。
AM = 9 なら AG = 6、GM = 3
正三角形では五心(傍心以外)がすべて一致、二等辺三角形では外心・内心・重心・垂心が頂角の二等分線上にある。
3. チェバの定理
ここまでできれば十分
△ABC の内部の点 O を通る直線が、辺 BC、CA、AB(またはその延長)と P、Q、R で交わるとき、
(BP/PC) × (CQ/QA) × (AR/RB) = 1
「頂点 A から出発して、B → P → C → Q → A → R → B と一周する形で分数をかけると 1」。
AR : RB = 1 : 2、BP : PC = 3 : 2 のとき CQ : QA (3/2) × (CQ/QA) × (1/2) = 1 → CQ/QA = 4/3 → CQ : QA = 4 : 3
4. メネラウスの定理
ここまでできれば十分
△ABC の辺 BC、CA、AB(またはその延長)が 1 本の直線と P、Q、R で交わるとき、
(BP/PC) × (CQ/QA) × (AR/RB) = 1
チェバと同じ形。違いは、チェバは「点」を通る 3 直線、メネラウスは「1 直線」が横切る。
使い方(比を求める定番)
△ABC で、AB を 2 : 1 に内分する点 R、BC を 1 : 3 に内分する点 P をとり、直線 RP と AC の延長の交点を Q とする。CQ : QA を求めよ。 メネラウス(△ABC と直線 RPQ):(BP/PC)(CQ/QA)(AR/RB) = (1/3)(CQ/QA)(2/1) = 1 → CQ/QA = 3/2 → CQ : QA = 3 : 2
コツ
- どの三角形に、どの直線かを先に決める(三角形の 3 辺が 1 本の直線に切られている形を探す)
- 一周する順に、「頂点 → 分点 → 頂点 → 分点 → …」と書く
- 分数の向きを 1 つ決めたら(B→P/P→C)、あとは同じ向きに回す
5. 三角形の辺と角
ここまでできれば十分
成立条件:3 辺 a、b、c が三角形を作る ⇔ |b − c| < a < b + c(どの辺も、他 2 辺の差より大きく和より小さい)
3、5、x が三角形になる x の範囲:2 < x < 8
辺と角の大小:大きい辺の向かいの角が大きい(逆も成り立つ)。
a = 7、b = 5、c = 3 なら A > B > C
6. よくある間違い
- 角の二等分線の比を BD : DC = AB : BC としてしまう(AB : AC、二等分線をはさむ 2 辺)
- 重心の比 2 : 1 を、頂点側 1 と逆にする
- メネラウスで一周の順序が崩れる(分数の分子・分母が逆)
- 外心と内心を混同する(外心 = 垂直二等分線、内心 = 角の二等分線)
7. 自己チェック
- 角の二等分線:BD : DC = AB : AC
- 外心 = 垂直二等分線の交点、内心 = 角の二等分線の交点、重心 = 中線の交点(2 : 1)
- チェバ・メネラウスは「一周」して分数の積 = 1
- メネラウスは「1 本の直線が三角形の 3 辺(延長)を切る」形
- 三角形の成立条件 |b − c| < a < b + c
8. 小テストへ
→ 小テスト(ha-05)
関連する単元
- 前提:中2 m2-11 三角形の性質、中3 m3-11 相似
- 次に進む:ha-06 円の性質
- ここで使う考え方が出てくる:h1-12 図形の計量(内接円・外接円)、hc-02 ベクトルと図形(重心・内分)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学A「(1) 図形の性質 ア(ア) 平面図形(三角形の性質)」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/math/ha-05/ / 更新 2026-09-12