地方上級 / 化学 / zn-04

更新 2026-09-14

物質の構成と変化(原子・結合・反応式)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

地方上級・国家一般職の化学は 1〜2 問で、この単元は「化学の言葉」そのものです。周期表と電子配置、結合と結晶の性質は正誤問題の定番で、計算は中性子の数・平均原子量・反応式の係数程度です。次の zn-05(mol・濃度・酸と塩基・酸化還元)の計算はすべてこの単元の言葉の上に乗るので、先にここを固めておくと後が楽になります。高校の化学基礎(cb-01cb-03cb-06)の範囲と同じです。


1. 物質の分類と分離 ── まず「混ざっているか」

まずここだけ

分類意味
純物質1 種類の物質だけ。融点・沸点が一定水・酸素・塩化ナトリウム
── 単体1 種類の元素だけでできている酸素 O₂・鉄 Fe・ダイヤモンド C
── 化合物2 種類以上の元素でできている水 H₂O・二酸化炭素 CO₂・塩化ナトリウム NaCl
混合物2 種類以上の純物質が混ざったもの。融点・沸点が一定でない空気・海水・石油・食塩水

同素体は「同じ元素の単体なのに性質が違うもの」で、S・C・O・P(スコップ)の 4 元素で覚えます。

元素同素体
硫黄 S斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄
炭素 Cダイヤモンド・黒鉛・フラーレン・カーボンナノチューブ
酸素 O酸素 O₂・オゾン O₃
リン P黄リン(自然発火・猛毒)・赤リン(マッチの側薬)

「同素体」と「同位体」(次の節)は字が似ていて入れかえて出題されます。同素体は単体どうし、同位体は原子どうしの話です。

ここまでできれば十分

混合物を分ける操作は「何の違いを使うか」で選びます。

操作使う違い
ろ過粒の大きさ(液体と溶けていない固体)泥水から泥を取る
蒸留沸点海水から水を取り出す
分留沸点の差(液体どうし)石油からガソリン・灯油を分ける。液体空気から窒素と酸素
再結晶温度による溶解度の差少量の塩化ナトリウムを含む硝酸カリウムを精製する
昇華法昇華しやすさヨウ素・ナフタレンを砂から分ける
抽出溶媒への溶けやすさ茶葉からお湯で成分を取り出す。ヨウ素をヘキサンに移す
クロマトグラフィーろ紙などへの吸着されやすさインクの色素を分ける

「食塩水から食塩を取り出す」は蒸発乾固、「食塩水から水を取り出す」は蒸留です。何を取り出したいかで答えが変わります。


2. 原子の構造と同位体 ── 数の関係は 2 本の式

まずここだけ

原子は中心の原子核(陽子 + 中性子)と、そのまわりの電子でできています。

粒子電荷質量
陽子+11(基準)
中性子0陽子とほぼ同じ
電子−1陽子の約 1/1840(無視できるほど軽い)

原子番号 = 陽子の数 = 電子の数(原子は電気的に中性) 質量数 = 陽子の数 + 中性子の数

元素記号の左上に質量数、左下に原子番号を書きます。

²³Na(原子番号 11)→ 陽子 11・電子 11・中性子 23 − 11 = 12 ³⁷Cl(原子番号 17)→ 中性子 37 − 17 = 20

ここまでできれば十分

同位体(アイソトープ)は、陽子の数が同じで中性子の数が違う原子どうしです。化学的な性質はほぼ同じで、質量だけが違います。

元素同位体使いみち
水素¹H(軽水素)・²H(重水素)・³H(三重水素)³H は放射性
炭素¹²C・¹³C・¹⁴C¹⁴C は放射性で、年代測定に使う
塩素³⁵Cl(約 75%)・³⁷Cl(約 25%)原子量 35.5 のもと

原子量は ¹²C = 12 を基準にした相対質量で、同位体があるときは存在比で重みをつけた平均です。

塩素:35 × 0.75 + 37 × 0.25 = 26.25 + 9.25 = 35.5

放射線を出して別の原子核に変わる同位体を放射性同位体といい、半分になるまでの時間が半減期です(¹⁴C は約 5,730 年)。半減期を 2 回すぎると 1/4、3 回で 1/8 になります。


3. 電子配置と周期表 ── 最外殻電子で性質が決まる

まずここだけ

電子は内側から K 殻(2 個)・L 殻(8 個)・M 殻(18 個)…の順に入ります(それぞれ最大 2n² 個)。いちばん外側の殻の電子を最外殻電子といい、原子番号 1〜20 では次のようになります。

原子番号元素電子配置(K・L・M・N)最外殻電子
1H11
2He22
3〜10Li Be B C N O F Ne2・1 〜 2・81〜8
11〜18Na Mg Al Si P S Cl Ar2・8・1 〜 2・8・81〜8
19・20K Ca2・8・8・1 / 2・8・8・21・2

Na(11)→ 2・8・1、Cl(17)→ 2・8・7、Ar(18)→ 2・8・8

周期表は原子番号順に並べ、最外殻電子の数が同じ元素が縦()に並ぶように折り返した表です。横の行が周期(=電子殻の数)。

ここまでできれば十分

名前最外殻電子性質
1 族(H 以外)アルカリ金属(Li・Na・K…)11 価の陽イオンになりやすい。水と激しく反応
2 族アルカリ土類金属(Be・Mg・Ca…)22 価の陽イオンになりやすい
17 族ハロゲン(F・Cl・Br・I)71 価の陰イオンになりやすい。単体は 2 原子分子
18 族希ガス(貴ガス)(He・Ne・Ar…)8(He は 2)安定で、ほかの原子と結びつきにくい。単原子分子

原子は希ガスと同じ電子配置になろうとします。最外殻電子が 1〜3 個なら放出して陽イオン、6〜7 個なら受け取って陰イオンになります。

Na → Na⁺(電子 10 個 = Ne と同じ)、Mg → Mg²⁺、Al → Al³⁺ Cl → Cl⁻(電子 18 個 = Ar と同じ)、O → O²⁻、S → S²⁻

価電子は結合に使われる最外殻電子で、希ガスだけは最外殻が 8 個(He は 2 個)でも価電子 0 と数えます。

周期表の左下ほど陽性(電子を放しやすい・イオン化エネルギーが小さい)、右上ほど陰性(電子を引きつけやすい・電気陰性度が大きい。希ガスを除く)が強くなります。

もう一歩(発展)

イオン化エネルギーは原子から電子を 1 個取り去るのに必要なエネルギーで、同じ周期では右ほど大きく、希ガスで最大、次の周期のアルカリ金属で最小になります。原子番号順にグラフにするとのこぎりの歯のような形になり、山が希ガス、谷がアルカリ金属です。


4. 化学結合と結晶 ── 「誰が電子をどうするか」

まずここだけ

結合相手何が起こるか
イオン結合金属 + 非金属電子を渡して陽イオンと陰イオンになり、静電気力で引き合うNaCl・CaO・MgCl₂
共有結合非金属 + 非金属電子を出し合って共有するH₂O・CO₂・NH₃・ダイヤモンド
金属結合金属 + 金属自由に動く自由電子が全体を結びつけるFe・Cu・Al
分子間力分子 + 分子分子どうしの弱い引力ドライアイス・ヨウ素の結晶

「金属と非金属ならイオン結合、非金属どうしなら共有結合、金属どうしなら金属結合」が最初の判断です。

ここまでできれば十分

結晶の性質は結合の種類で決まります。

結晶結合融点電気伝導性
イオン結晶イオン結合高い固体は通さない。水溶液・融解液は通すNaCl・KCl
共有結合の結晶共有結合が全体に続く非常に高い・きわめて硬い通さない(黒鉛は例外で通すダイヤモンド・黒鉛・ケイ素 Si・二酸化ケイ素 SiO₂
金属結晶金属結合さまざま固体でも通す。展性・延性・光沢Fe・Cu・Na
分子結晶分子間力低い・やわらかい・昇華しやすいものが多い通さないドライアイス CO₂・ヨウ素 I₂・ナフタレン

黒鉛が電気を通す理由は、炭素の 4 個の価電子のうち 3 個で平面の網目をつくり、残り 1 個が平面上を自由に動くからです。ダイヤモンドは 4 個すべてを結合に使うので通しません。

分子の極性:共有結合でも、電気陰性度の差で電子がかたよると極性が生まれます。H₂O(折れ線形)・NH₃(三角錐形)・HCl は極性分子、CO₂(直線形)・CH₄(正四面体形)は結合に極性があっても形が対称なので無極性分子です。「水と油が混ざらない」のは極性の違い、「水の沸点が分子量のわりに高い」のは分子間にはたらく水素結合のためです。

もう一歩(発展)

配位結合は、一方の原子が非共有電子対をまるごと提供してできる共有結合です。アンモニウムイオン NH₄⁺(NH₃ + H⁺)、オキソニウムイオン H₃O⁺(H₂O + H⁺)が代表で、できてしまえばほかの共有結合と区別がつきません。


5. 化学反応式と質量保存

まずここだけ

化学反応式は「反応の前後で原子の種類と数が変わらない」ように係数を合わせます(質量保存の法則。ラボアジエ)。

メタンの燃焼:CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O 手順:C を合わせる(CO₂ 1 個)→ H を合わせる(H 4 個 → H₂O 2 個)→ 最後に O を合わせる(右辺の O は 2 + 2 = 4 個 → O₂ 2 個)

単体(O₂・H₂ など)は最後に合わせると 1 回で決まります。

ここまでできれば十分

プロパンの燃焼:C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O(右辺の O = 6 + 4 = 10 → O₂ は 5) 鉄の酸化:4Fe + 3O₂ → 2Fe₂O₃ 水の電気分解:2H₂O → 2H₂ + O₂

係数の比は分子の数の比 = 物質量(mol)の比です。「気体なら同温・同圧で体積の比」にもなります。ここから先の量の計算は zn-05 で扱います。

化学の基本法則は名前と内容の対応で出題されます。

法則内容人物
質量保存の法則反応の前後で物質全体の質量は変わらないラボアジエ
定比例の法則1 つの化合物をつくる元素の質量比はつねに一定プルースト
倍数比例の法則2 元素が複数の化合物をつくるとき、一方の一定量と結びつく他方の質量は簡単な整数比ドルトン
気体反応の法則反応する気体の体積は同温・同圧で簡単な整数比ゲーリュサック
アボガドロの法則同温・同圧・同体積の気体は同数の分子を含むアボガドロ

6. よくある間違い

間違い正しくは
同位体と同素体は同じ意味同位体は中性子の数が違う原子、同素体は同じ元素の性質が違う単体
質量数 = 陽子の数質量数 = 陽子 + 中性子。陽子の数は原子番号
希ガスの価電子は 8最外殻電子は 8 でも価電子は 0
イオン結晶は電気を通さない固体は通さないが、水に溶かすか融かすと通す
共有結合の結晶はすべて電気を通さない黒鉛は通す
CO₂ は極性分子結合には極性があるが直線形で打ち消し合うので無極性
空気・食塩水は化合物どちらも混合物。化合物は決まった組成の純物質
反応式の係数は分子の質量の比係数は分子の数(物質量)の比

7. 覚え方の型

  1. 物質を見たら「混合物か純物質か → 単体か化合物か」の順で分類する。同素体は S・C・O・P
  2. 原子の数は「原子番号 = 陽子 = 電子」「質量数 − 原子番号 = 中性子」の 2 本で全部出る
  3. 原子番号 1〜20 の電子配置は 2・8・8 の順に埋めて最外殻を数える。1〜3 個なら陽イオン、6〜7 個なら陰イオン、8 個なら希ガス
  4. 結合は「金属か非金属か」の組み合わせで決め、結晶の性質は「融点」と「電気を通すのはいつか」の 2 点で押さえる
  5. 反応式の係数は「単体を最後に」合わせる。合わせ終わったら原子の数を左右で数え直す

8. 小テストへ

→ 小テスト(zn-04

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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