地方上級 / 物理 / zn-03

更新 2026-09-14

波動・電気(波の性質・オームの法則・電力)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

地方上級・国家一般職の物理は 1〜2 問で、力学(zn-02)が最もよく問われ、次に波動と電気が出題されやすい分野です。波動は「用語の正誤」(回折・屈折・ドップラー効果など)が中心で、計算は v = fλ と反射音の往復程度です。電気はオームの法則・合成抵抗・電力の計算 1 問が定番で、中学(s2-01s2-02)と高校の物理基礎(pb-08pb-10)の範囲を超えることはほとんどありません。公式の数は少ないので、単位を見て式を選ぶ習慣をつければ得点源にできます。


1. 波の基本 ── v = fλ を 1 本だけ覚える

まずここだけ

波を表す量は 4 つです。

記号・単位意味
波長λ(ラムダ)・m山から次の山までの長さ
振動数f・Hz1 秒間に振動する回数
周期T・s1 回振動するのにかかる時間。T = 1/f
振幅A・m振れ幅(山の高さ)。波の速さには関係しない

これらをつなぐ式は 1 本だけです。

v = fλ(1 秒に f 個の波が出て、1 個の長さが λ だから、1 秒に fλ 進む)

振動数 5 Hz、波長 0.4 m の波 → v = 5 × 0.4 = 2 m/s 音速 340 m/s、振動数 170 Hz の音の波長 → λ = 340 ÷ 170 = 2 m

横波と縦波:媒質の振動方向が進行方向と垂直なのが横波(光・弦の波・地震の S 波)、平行なのが縦波(音・地震の P 波)。縦波は密な部分と疎な部分がくり返すので疎密波ともいいます。

ここまでできれば十分

波に起こる 4 つの現象は、名前の入れかえで問われます。

現象何が起こるか身近な例
反射境界ではね返る。入射角 = 反射角やまびこ・鏡
屈折別の媒質に入るとき速さが変わり、進む向きが変わる。振動数は変わらない水中の棒が曲がって見える・浅瀬で波の向きが変わる
回折障害物の背後やすき間の先に回り込む。波長が長いほど目立つ塀の向こうの声が聞こえる・AM ラジオが山かげでも入る
干渉2 つの波が重なって強め合い・弱め合うシャボン玉の色・ノイズキャンセリング

重なった波は、重なっている間だけ変位が足し合わされ(重ね合わせの原理)、通り過ぎればそれぞれ元の形で進みます(波の独立性)。「重なった波は打ち消し合って消える」は誤りです。

定常波(定在波):同じ振幅・振動数の波が逆向きに進んで重なると、まったく振動しないと、大きく振動するが交互にできる、進まない波になります。隣り合う節と節の間隔は波長の半分です。弦楽器の弦や気柱(管楽器)の音は定常波です。

もう一歩(発展)

ドップラー効果:音源と観測者が近づくと音は高く(振動数が大きく)、遠ざかると低く聞こえます。救急車のサイレンが通り過ぎた瞬間に低くなるのがこれです。星の光でも同じことが起こり、遠ざかる銀河の光は波長が長い側(赤い側)にずれます(赤方偏移)。


2. 音 ── 三要素と「往復」

まずここだけ

音の要素決める量
高さ振動数(大きいほど高い)
大きさ振幅(大きいほど大きい)
音色波形(同じ高さ・大きさでも楽器で違う)

音の速さは空気中で約 340 m/s(15℃ 付近)で、気温が高いほど速くなります。音は媒質がないと伝わらないので真空中では聞こえません。水中や鉄の中では空気中より速く伝わります(液体・固体のほうが速い)。

ここまでできれば十分

反射音(やまびこ)は往復を忘れないこと。

崖に向かって声を出し、2 秒後に反射音が聞こえた。崖までの距離は? 音が進んだ距離 = 340 × 2 = 680 m。これは往復分なので崖までは 340 m

うなり:振動数がわずかに違う 2 つの音を同時に鳴らすと、音が周期的に大きくなったり小さくなったりします。1 秒間のうなりの回数は振動数の差です。

440 Hz と 444 Hz → 1 秒に 4 回のうなり

弦の振動:弦を短く・細く・強く張るほど高い音が出ます(ギターで音を高くするときの操作を思い出せば向きを間違えません)。


3. オームの法則と合成抵抗

まずここだけ

V = RI(電圧 V ボルト = 抵抗 R オーム × 電流 I アンペア)

20 Ω の抵抗に 6 V → I = 6 ÷ 20 = 0.3 A 2 A 流れて 10 V かかっている抵抗 → R = 10 ÷ 2 = 5 Ω

抵抗の大きさは導線の長さに比例し、断面積に反比例します(R = ρL/S。ρ は抵抗率で物質ごとの値)。長さ 2 倍・断面積 2 倍なら抵抗はもとと同じです。金属は温度が上がると抵抗が大きくなります。

ここまでできれば十分

接続電流電圧合成抵抗
直列どこも同じ抵抗の比に分かれるR = R₁ + R₂(どの抵抗より大きくなる)
並列抵抗の逆比に分かれるどちらも同じ1/R = 1/R₁ + 1/R₂(どの抵抗より小さくなる)

並列 2 本のときは R = R₁R₂/(R₁ + R₂)(積 ÷ 和)が速いです。

6 Ω と 3 Ω を並列 → 6 × 3 ÷ (6 + 3) = 2 Ω 同じく直列 → 6 + 3 = 9 Ω

直列回路の電圧の分け方:12 V の電源に 2 Ω と 4 Ω を直列につなぐと、電流は 12 ÷ 6 = 2 A で共通。2 Ω には 4 V、4 Ω には 8 V。電圧は抵抗の比 2 : 4 に分かれると覚えると、電流を出さずに答えられます。

もう一歩(発展)

直列と並列の組み合わせは、並列部分を先に 1 本の抵抗にまとめてから直列に足します。

3 Ω に、6 Ω と 3 Ω の並列部分を直列につなぐ → 並列部分 = 6 × 3 ÷ 9 = 2 Ω。全体 = 3 + 2 = 5 Ω

回路を流れる電流が分かれば、各部分の電圧は V = RI で順に出せます。


4. 電力・電力量・ジュール熱 ── 単位で式を選ぶ

まずここだけ

電力 P = VI(単位 W ワット)。V = RI を使うと P = I²R = V²/R とも書ける

100 V で 5 A 流れる電気ストーブ → P = 100 × 5 = 500 W 10 Ω に 20 V → P = 20² ÷ 10 = 40 W

電力量(=発生する熱量)は 電力 × 時間です。単位の組み合わせを表で押さえます。

電力の単位時間の単位電力量の単位
WJ(1 W × 1 s = 1 J)
W時間Wh
kW時間kWh(電気料金の単位)

1,000 W のドライヤーを 30 分 → 1 kW × 0.5 h = 0.5 kWh 同じものを J で → 1,000 W × 1,800 s = 1,800,000 J(= 1.8 × 10⁶ J)

ここまでできれば十分

抵抗で発生する熱をジュール熱といい、Q = I²Rt(= VIt = Pt)で計算します。

5 Ω の電熱線に 2 A を 60 秒 → Q = 2² × 5 × 60 = 1,200 J

家庭の配線は並列です。だから各器具にはいつも 100 V がかかり、1 つを消しても他は使えます。器具を増やすほど合成抵抗は小さくなり、幹線の電流の合計が増えるので、限度を超えるとブレーカーが落ちます。「たこ足配線が危ない」のは、1 本のコードに流れる電流が増えてジュール熱で発熱するからです。

家庭に届く電気は交流(向きが周期的に変わる。東日本 50 Hz・西日本 60 Hz)、乾電池は直流です。

もう一歩(発展)

電磁波は電場と磁場の振動が伝わる波で、真空中を光の速さ(約 3.0 × 10⁸ m/s)で進みます。波長の長い順に

電波 → 赤外線 → 可視光線(赤 → 紫)→ 紫外線 → X 線 → γ 線

波長が短いほど振動数が大きく、エネルギーも大きくなります。赤外線は熱を運ぶ(こたつ・リモコン)、紫外線は日焼け・殺菌、X 線はレントゲン、という用途との対応も問われます。


5. よくある間違い

間違い正しくは
振幅が大きいほど波の速さも速い速さは媒質で決まる。振幅は関係しない
屈折すると振動数が変わる変わるのは速さと波長。振動数は変わらない
波長が短いほど回折しやすい長いほど回折しやすい(低い音ほど回り込む)
音は真空中でも伝わる媒質が必要。真空中では伝わらない(光は伝わる)
反射音の距離 = 340 × 時間往復なので÷ 2
並列にすると合成抵抗が大きくなる並列はどの抵抗より小さくなる。直列は和
直列では電圧がどこも同じ直列で同じなのは電流。電圧が同じなのは並列
1 kWh = 1,000 J1 kWh = 1,000 W × 3,600 s = 3.6 × 10⁶ J
家庭の配線は直列並列。だから 1 つ消しても他は使える

6. 解き方の型

  1. 波の計算は「Hz か秒か」を見て f と T を区別し、v = fλ に代入する。反射音は往復
  2. 回路は「直列なら電流が共通、並列なら電圧が共通」と書いてから始める。並列部分は先に 1 本にまとめる
  3. 電力は与えられた量で式を選ぶ:V と I → VI、I と R → I²R、V と R → V²/R
  4. 電力量は単位を見る:J なら秒、kWh なら kW と時間
  5. 用語の正誤問題は「屈折 ⇔ 回折」「振動数 ⇔ 振幅」「直列 ⇔ 並列」の入れかえを疑う

7. 小テストへ

→ 小テスト(zn-03

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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