地方上級 / 化学 / zn-06

更新 2026-09-14

無機と有機の基礎(気体・金属・有機化合物)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

地方上級・国家一般職の化学は 1〜2 問で、理論化学(zn-04zn-05)と並んで無機・有機の知識問題が出題されやすい分野です。計算はほとんどなく、「気体の性質」「金属の性質」「有機化合物の分類」を表のまま覚えているかが問われます。選択肢は 5 つの短い文で、そのうち 1 つの要素(色・捕集法・反応の相手)を入れかえた誤り文が並びます。高校の化学基礎の範囲(cb-01cb-10)を土台に、ここでは「試験で並べられやすい比較」に絞ってまとめます。


1. 気体の性質 ── 表を 1 枚で持つ

まずここだけ

気体の問題は、色・におい・水への溶け方・空気より重いか軽いかの 4 点でほぼ決まります。

気体色・におい水への溶け方と液性捕集法主な製法検出・特徴
水素 H₂無色・無臭溶けにくい水上置換亜鉛に希硫酸最も軽い気体。燃えて水になる
酸素 O₂無色・無臭溶けにくい水上置換過酸化水素水に酸化マンガン(IV)(触媒)火のついた線香が炎を上げて燃える
窒素 N₂無色・無臭溶けにくい水上置換液体空気の分留空気の約 78%。反応しにくい
二酸化炭素 CO₂無色・無臭少し溶けて弱酸性下方置換(水上置換も可)石灰石に希塩酸石灰水を白く濁らせる
アンモニア NH₃無色・刺激臭非常によく溶けて塩基性上方置換塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを加熱濃塩酸を近づけると白煙(塩化アンモニウム)
塩化水素 HCl無色・刺激臭非常によく溶けて強酸性下方置換塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱アンモニアで白煙
塩素 Cl₂黄緑色・刺激臭溶けて酸性・漂白作用下方置換酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加えて加熱ヨウ化カリウムデンプン紙を青くする。有毒
硫化水素 H₂S無色・腐卵臭溶けて弱酸性下方置換硫化鉄(II)に希硫酸酢酸鉛紙を黒くする。還元性。有毒
二酸化硫黄 SO₂無色・刺激臭溶けて弱酸性下方置換銅に濃硫酸を加えて加熱漂白作用・還元性。硫化水素と反応して硫黄
一酸化窒素 NO無色溶けにくい水上置換銅に希硝酸空気に触れるとすぐ二酸化窒素(赤褐色)になる
二酸化窒素 NO₂赤褐色・刺激臭溶けて酸性下方置換銅に濃硝酸有毒。硝酸の原料

捕集法の決め方:水に溶けにくい → 水上置換(最も純粋に集まる)。水に溶けやすく空気より軽い → 上方置換(実質アンモニアだけ)。水に溶けやすく空気より重い → 下方置換。

色のある気体は 3 つだけ:塩素(黄緑)・二酸化窒素(赤褐)・オゾン(淡青)。それ以外は無色です。

ここまでできれば十分

「銅に硝酸・硫酸」で何が出るかは入れかえ問題の定番です。

反応発生する気体
銅 + 希硝酸一酸化窒素 NO
銅 + 濃硝酸二酸化窒素 NO₂
銅 + 熱濃硫酸二酸化硫黄 SO₂
亜鉛 + 希硫酸水素 H₂

銅は水素よりイオン化傾向が小さいので、希硫酸や希塩酸には溶けません。酸化力のある酸(硝酸・熱濃硫酸)にだけ溶けます。

もう一歩(発展)

乾燥剤との相性:アンモニア(塩基性)を濃硫酸(酸性)で乾かすと反応して吸収されてしまいます。アンモニアの乾燥にはソーダ石灰(塩基性)を使います。同様に、塩化カルシウムはアンモニアと化合物を作るので不可。「酸性の気体には酸性・中性の乾燥剤、塩基性の気体には塩基性の乾燥剤」と覚えます。


2. 金属の性質 ── イオン化傾向でつなぐ

まずここだけ

金属の反応性はイオン化傾向(陽イオンになりやすさ)の順に並べると整理できます。

Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H₂) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au

範囲水との反応酸との反応
Li・K・Ca・Na常温の水と反応して水素を出す溶ける
Mg熱水と反応溶ける
Al・Zn・Fe高温の水蒸気と反応希酸に溶けて水素を出す
Ni・Sn・Pb反応しない希酸に溶ける(Pb はほとんど溶けない)
Cu・Hg・Ag反応しない硝酸・熱濃硫酸(酸化力のある酸)にだけ溶ける
Pt・Au反応しない王水(濃硝酸 1 : 濃塩酸 3)にだけ溶ける

ここまでできれば十分

個別の金属の「これだけ」

金属試験で問われやすい特徴
ナトリウム Na軟らかい・水と激しく反応・石油中に保存・炎色反応は黄色
カルシウム Ca常温の水と反応。酸化カルシウム(生石灰)は水と発熱して消石灰に。炎色反応は橙赤
アルミニウム Al軽い・両性元素(酸にも強塩基にも溶ける)・濃硝酸には不動態で溶けない・ボーキサイトから溶融塩電解で得る・テルミット反応
亜鉛 Zn両性元素・トタン(鉄の表面を亜鉛でめっき)・乾電池の負極
鉄 Fe鉄鉱石をコークスで還元して製鉄・濃硝酸で不動態・鉄(II)イオンは淡緑色、鉄(III)イオンは黄褐色・ブリキ(鉄の表面をスズでめっき)
銅 Cu電気・熱をよく通す(銀に次ぐ)・湿った空気で緑青・硫酸銅(II)水溶液は青色・青銅(Sn との合金)、黄銅(Zn との合金)
銀 Ag電気・熱伝導性が金属中で最大・硫化水素で黒ずむ・ハロゲン化銀は感光性
金 Au展性・延性が最大・王水以外に溶けない
水銀 Hg常温で唯一の液体金属・他の金属と合金(アマルガム)を作る

両性元素(酸にも強塩基の水溶液にも溶ける)は Al・Zn・Sn・Pb(「ああ、すんなり」)。不動態(濃硝酸で表面に酸化被膜ができて溶けなくなる)は Al・Fe・Ni

炎色反応

元素LiNaKCuCaSrBa
赤紫青緑橙赤紅(深赤)黄緑

「リアカー無き K 村、動力借るとするもくれない馬力」の語呂で覚える人が多い組み合わせです。

もう一歩(発展)

非金属元素もひとことずつ:ハロゲン(F・Cl・Br・I)は原子番号が小さいほど酸化力が強い(F₂ > Cl₂ > Br₂ > I₂)ので、臭化カリウム水溶液に塩素を通すと臭素が遊離します。フッ化水素酸はガラスを溶かすのでポリエチレン容器に保存。硫黄には斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄の同素体、炭素にはダイヤモンド・黒鉛・フラーレンの同素体があります。リンの同素体では黄リンが自然発火するので水中に保存します。


3. 有機化合物の基礎 ── 官能基で分類する

まずここだけ

有機化合物は炭素の骨格に官能基(性質を決める原子団)がついたものとして分類します。

官能基名前化合物の分類性質
−OHヒドロキシ基アルコール(鎖式)/フェノール類(ベンゼン環に直結)エタノール/フェノールアルコールは中性、フェノールは弱酸性
−CHOアルデヒド基(ホルミル基)アルデヒドアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド還元性(銀鏡反応・フェーリング液を還元)
>C=Oケトン基(カルボニル基)ケトンアセトン還元性なし
−COOHカルボキシ基カルボン酸酢酸、ギ酸弱酸性。ギ酸はアルデヒド基も持ち還元性あり
−COO−エステル結合エステル酢酸エチル、油脂果実のような香り。加水分解でカルボン酸とアルコールに戻る
−NH₂アミノ基アミンアニリン弱塩基性
−NO₂ニトロ基ニトロ化合物ニトロベンゼン、TNT爆発性のものが多い
−SO₃Hスルホ基スルホン酸ベンゼンスルホン酸強酸性

酸化の流れ(第一級アルコール → アルデヒド → カルボン酸)が最も問われやすい部分です。

エタノール C₂H₅OH ──酸化──→ アセトアルデヒド CH₃CHO ──酸化──→ 酢酸 CH₃COOH

飲酒後の「悪酔い」の原因物質がアセトアルデヒドである、という形で出ることもあります。

ここまでできれば十分

炭化水素の分類

分類一般式結合反応
アルカンCₙH₂ₙ₊₂単結合のみ(飽和)メタン CH₄、プロパン C₃H₈置換反応(光で塩素と)
アルケンCₙH₂ₙ二重結合 1 つエチレン C₂H₄付加反応(臭素水を脱色)、付加重合
アルキンCₙH₂ₙ₋₂三重結合 1 つアセチレン C₂H₂付加反応。カーバイドに水を加えて発生
芳香族──ベンゼン環ベンゼン C₆H₆、トルエン不飽和だが置換反応が起こりやすい

アルカンの完全燃焼は CₙH₂ₙ₊₂ + (3n+1)/2 O₂ → n CO₂ + (n+1) H₂O。メタン 1 mol の燃焼に酸素 2 mol、プロパン 1 mol に酸素 5 mol です。

身近な有機化合物

物質覚えておく点
メタン天然ガスの主成分。温室効果ガス
エチレン植物ホルモン(果実の成熟)。ポリエチレンの原料
エタノール酒の成分。糖のアルコール発酵で生じる。消毒
酢酸食酢の成分。純粋なものは冬に凍る(氷酢酸)
酢酸エチル酢酸とエタノールのエステル。果実臭。溶剤
ベンゼン正六角形の平面構造。発がん性。置換反応
フェノール弱酸性。塩化鉄(III)水溶液で紫色に呈色
油脂グリセリンと高級脂肪酸のエステル。水酸化ナトリウムでけん化するとセッケン
セッケン高級脂肪酸のナトリウム塩。弱塩基性。硬水中で沈殿
合成洗剤中性。硬水でも使える

もう一歩(発展)

高分子化合物:小さな分子(単量体)が多数つながったもの。二重結合が開いてつながる付加重合(ポリエチレン・ポリ塩化ビニル・ポリスチレン)と、水などがとれてつながる縮合重合(ナイロン 66・ポリエチレンテレフタラート PET)に分けます。天然高分子ではデンプン・セルロース(ともにグルコースが多数つながったもの)、タンパク質(アミノ酸がペプチド結合でつながったもの)、天然ゴムがあります。


4. よくある間違い

間違い正しくは
アンモニアは下方置換で集める空気より軽く水に溶けやすいので上方置換
二酸化炭素は水に溶けないので水上置換だけ少し溶けるが水上置換も可。純度を求めなければ下方置換
銅は希塩酸に溶けて水素を出す銅は水素よりイオン化傾向が小さく、希塩酸・希硫酸には溶けない
アルミニウムは濃硝酸によく溶ける不動態になり溶けない(希酸には溶ける)
塩素は無色黄緑色。二酸化窒素は赤褐色
ナトリウムの炎色反応は赤黄色。赤は Li、赤紫は K、青緑は Cu
エタノールを酸化すると酢酸になり、それ以上は変わらないエタノール → アセトアルデヒド → 酢酸の 2 段階
アルケンは置換反応、アルカンは付加反応逆。二重結合があるアルケンが付加、アルカンは置換
油脂はカルボン酸である油脂はグリセリンと脂肪酸のエステル

5. 覚え方の型

  1. 気体は「色のある 3 つ(Cl₂ 黄緑・NO₂ 赤褐・O₃ 淡青)」「上方置換は NH₃ だけ」「水上置換は溶けにくい気体(H₂・O₂・N₂・NO・CO)」の 3 つの例外グループから固める
  2. 金属はイオン化傾向の列を書き、「常温の水と反応するのは Na まで」「希酸に溶けるのは H より左」「王水だけは Pt・Au」と区切り線を 3 本引く
  3. 両性元素「ああすんなり」(Al・Zn・Sn・Pb)と不動態「Al・Fe・Ni」は別のグループとして覚える
  4. 有機は「官能基 → 性質」を 1 対 1 で覚え、酸化の流れ「アルコール → アルデヒド → カルボン酸」を口で言えるようにする
  5. 5 択の正誤文は、文の中の「色・捕集法・反応の相手・酸性か塩基性か」の 4 か所に線を引き、1 か所ずつ表と照らす

6. 小テストへ

→ 小テスト(zn-06

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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