地方上級 / 日本史 / zj-02

更新 2026-09-14

近世(織豊政権・江戸の政治と三大改革)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

近世は日本史の中でも三大改革(享保・寛政・天保)と田沼政治の対比がよく問われる分野です。5 択の各選択肢が「改革名 + 人物 + 政策」の組み合わせになっていて、1 か所だけ入れ替えてあるのが典型です。また、太閤検地・刀狩が「兵農分離・石高制」につながり、それが江戸の幕藩体制の土台になるという中世から近世への切り替わりも、zj-01 と合わせて問われます。中学の h-06h-07 が土台です。


1. 全体の年表

まずここだけ

出来事
1573室町幕府の滅亡(信長が義昭を追放)
1575長篠の戦い(鉄砲の大量使用)
1582本能寺の変。秀吉が太閤検地を開始
1588刀狩令
1590秀吉の全国統一
1592・1597文禄の役・慶長の役(朝鮮出兵)
1600関ヶ原の戦い
1603家康が征夷大将軍・江戸幕府
1615大坂夏の陣。武家諸法度(元和令)・禁中並公家諸法度
1635武家諸法度(寛永令)で参勤交代を制度化(家光)
1637島原・天草一揆
1641オランダ商館を出島に移す(鎖国体制の完成)
1716享保の改革(徳川吉宗、〜45)
1772田沼意次が老中に
1787寛政の改革(松平定信、〜93)
1825異国船打払令
1837大塩平八郎の乱
1841天保の改革(水野忠邦、〜43)
1853ペリー来航
1854日米和親条約
1858日米修好通商条約・安政の大獄
1860桜田門外の変
1866薩長同盟
1867大政奉還・王政復古の大号令

ここまでできれば十分

「享保 → 田沼 → 寛政 → 天保」の順序と、それぞれの間に起きた飢饉(享保の飢饉 1732、天明の飢饉 1782〜87、天保の飢饉 1833〜39)を結びつけておくと、「飢饉のあとに改革」というリズムで前後関係が判断できます。


2. 織豊政権 ── 中世を終わらせた政策

まずここだけ

人物政策終わらせたもの
織田信長楽市楽座・関所の撤廃座の特権・関銭による流通の妨げ
比叡山焼き討ち・石山本願寺との戦い寺社の武力・政治力
豊臣秀吉太閤検地(石高制・一地一作人)荘園制(土地の重層的な権利)
刀狩令(1588)農民の武装 → 兵農分離
身分統制令(1591)武士・町人・百姓の移動
バテレン追放令(1587)(宣教師の追放。南蛮貿易は継続)

ここまでできれば十分

太閤検地のポイントは 3 つです。①統一した枡(京枡)と単位で全国の田畑を測った、②土地の生産力を石高で表し、これが大名の軍役と農民の年貢の基準になった、③1 つの土地に 1 人の耕作者を登録し(一地一作人)、中世の荘園に重なっていた複雑な権利を整理した。この石高制が江戸時代の「◯万石の大名」の土台です。

刀狩は「一揆の防止」を名目に農民から武器を取り上げ、武士と農民の身分を分けた(兵農分離)点で、身分制社会の出発点とされます。「刀狩で武士の刀も取り上げた」は誤りです。


3. 江戸幕府の支配のしくみ

まずここだけ

対象制度ねらい
大名武家諸法度(1615 元和令〜)、参勤交代(1635 制度化)、親藩・譜代・外様の配置反乱の防止・財力の消耗
朝廷禁中並公家諸法度(1615)、京都所司代朝廷が政治に関わることの防止
寺社寺請制度(宗門改め)キリスト教の禁止・民衆の把握
農民五人組、田畑永代売買の禁止令(1643)、分地制限令年貢の確保・本百姓の維持
外国1639 ポルトガル船の来航禁止、1641 出島。長崎・対馬・薩摩・松前の「四つの口」貿易の独占とキリスト教の排除

幕府の職制は、老中(政務の統括・複数で月番)、若年寄、大目付(大名の監察)、三奉行(寺社・町・勘定)、京都所司代。将軍直属の家臣は旗本・御家人です。

ここまでできれば十分

「鎖国」は外国との交流を完全に絶ったわけではなく、長崎(オランダ・中国)、対馬(朝鮮・宗氏)、薩摩(琉球・島津氏)、松前(アイヌ・松前氏)の 4 つの窓口で管理貿易を続けました。オランダには海外情報を記したオランダ風説書を提出させています。「オランダとの交流も禁止した」は誤りです。

経済は、17 世紀に新田開発と農具(備中鍬・千歯扱)・肥料(干鰯)で生産が伸び、三都(江戸・大坂・京都)と航路(河村瑞賢の東廻り・西廻り)、大坂の蔵屋敷、両替商が発達しました。元禄期には財政難から荻原重秀が貨幣の質を落とす改鋳を行い、物価が上がりました。これを新井白石(正徳の治)が元に戻したことも対比で問われます。


4. 三大改革と田沼政治 ── この対比表が中心

まずここだけ

享保の改革田沼政治寛政の改革天保の改革
時期1716〜451772〜861787〜931841〜43
人物8 代将軍徳川吉宗老中田沼意次老中松平定信老中水野忠邦
基本方針年貢増収・倹約・実学商業資本の活用農村復興・倹約・思想統制倹約・商業統制・幕府権力の強化
財政・農政上げ米、定免法、新田開発、足高の制株仲間の公認(運上・冥加)、印旛沼干拓、蝦夷地調査、南鐐二朱銀囲米、旧里帰農令、七分積金株仲間の解散、人返しの法、上知令(失敗)
社会・思想目安箱、公事方御定書、相対済し令、漢訳洋書輸入の緩和長崎貿易の奨励棄捐令、寛政異学の禁、人足寄場、出版統制倹約令、出版統制
結果年貢は増えたが享保の飢饉・米価の問題天明の飢饉と賄賂批判で失脚厳しさへの反発上知令の反対で 2 年余りで失敗

ここまでできれば十分

見分けるときの手がかりです。

もう一歩(発展)

田沼政治は「賄賂政治」の評価が強いですが、試験では商業資本を財源に取り込もうとした重商主義的な政策として、三大改革(農本主義・倹約)との対比で問われます。「田沼が倹約令を出して株仲間を解散させた」は天保の改革との取り違えです。


5. 近世の文化 ── 元禄と化政、国学と蘭学

まずここだけ

桃山文化元禄文化化政文化
時期16 世紀末17 世紀末〜18 世紀初め(綱吉の頃)19 世紀前半(文化・文政期)
中心地・担い手大名・豪商上方(大坂・京都)の町人江戸の町人
代表城郭建築、狩野永徳の障壁画、千利休の侘び茶井原西鶴(浮世草子)、松尾芭蕉(俳諧)、近松門左衛門(人形浄瑠璃)、菱川師宣(浮世絵)、尾形光琳十返舎一九、滝沢馬琴、葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿

ここまでできれば十分

学問は 3 つの流れで整理します。

学問内容人物
朱子学(儒学)幕府の正学。上下の秩序を重んじる林羅山、新井白石
国学日本の古典から古来の精神を探る本居宣長『古事記伝』
蘭学(洋学)オランダ語を通じた西洋の学問杉田玄白ら『解体新書』(1774)、伊能忠敬(日本地図)、シーボルト(鳴滝塾)

教育は、武士の藩校、庶民の寺子屋、私塾(緒方洪庵の適塾、吉田松陰の松下村塾)。


6. 開国から倒幕へ

まずここだけ

出来事ポイント
1853ペリー来航翌年、日米和親条約(下田・箱館を開港)
1858日米修好通商条約大老井伊直弼が勅許なしで調印。領事裁判権を認め、関税自主権がない不平等条約
1858〜59安政の大獄反対派を弾圧 → 1860 桜田門外の変で井伊が殺される
1863〜64薩英戦争・四国艦隊下関砲撃攘夷の不可能を薩摩・長州が実感
1866薩長同盟倒幕へ
1867大政奉還(徳川慶喜)→ 王政復古の大号令幕府の終わり

ここまでできれば十分

不平等条約の 2 点(領事裁判権を認めた・関税自主権がない)は、明治の条約改正(zj-03)へつながります。開港後は生糸の輸出で品不足・物価上昇が起こり、金銀比価の違いで金が流出しました。


7. よくある間違い

間違い正しくは
刀狩で武士からも刀を取り上げた農民の武器を取り上げ、兵農分離を進めた
太閤検地は貫高制を採用した石高制。貫高制は戦国大名の方式
鎖国でオランダとの貿易も禁止した長崎の出島でオランダ・中国と貿易を継続
参勤交代は家康が定めた1635 年、3 代家光の武家諸法度(寛永令)で制度化
田沼意次が株仲間を解散させた田沼は公認、解散は天保の改革(水野忠邦)
寛政異学の禁は蘭学を禁止した朱子学以外の儒学を昌平坂学問所で教えることを禁じた
元禄文化は江戸の町人文化元禄は上方、化政が江戸
日米和親条約で貿易が始まった貿易は 1858 年の日米修好通商条約から

8. 覚え方の型

  1. 三大改革は「人物 ── 時期 ── 財政策 ── 社会・思想策 ── 結果」の 5 列で表を書いて埋める
  2. 選択肢の「株仲間」「農民の帰村」「学問統制」の 3 語を見たら、どの改革の向きか(公認か解散か・任意か強制か)を確かめる
  3. 文化は「上方か江戸か」「町人か大名か」を先に判断する
  4. 織豊政権の政策は「何を終わらせたか」(座・荘園・農民の武装)で覚える

9. 小テストへ

→ 小テスト(zj-02

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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