地方上級 / 地理 / zj-08

更新 2026-09-14

自然地理(地形・気候・土壌と植生)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

地方上級・国家一般職の地理では、自然地理は「地形の成因と例」「ケッペンの気候区分と雨温図」「土壌・植生と農業」が 5 択の正誤文でよく問われます。選択肢の細工は「成因の入れかえ(リアス海岸を氷河地形にする)」「気候区の条件の入れかえ(Cs の夏と冬の降水を逆にする)」「土壌と分布地域の入れかえ(チェルノーゼムを熱帯にする)」が中心なので、用語 1 つにつき「成因・分布・利用」の 3 点をセットで覚えるのが近道です。中学の g-02g-07、高校の gt-02gt-03 が土台で、zj-09 の産業と地誌へつながります。


1. 大地形 ── プレートと造山帯

まずここだけ

地球の表面は十数枚のプレートに分かれて動いており、その境界で地震・火山・山脈ができます(プレートテクトニクス)。

境界の種類動きできるもの
狭まる境界(沈み込み)海洋プレートが大陸プレートの下に沈む海溝・弧状列島・火山日本列島・アンデス山脈
狭まる境界(衝突)大陸プレートどうしがぶつかる大山脈(火山は少ない)ヒマラヤ山脈
広がる境界プレートが離れる海嶺・地溝帯大西洋中央海嶺・アイスランド・アフリカ大地溝帯
ずれる境界横にすれちがう横ずれ断層サンアンドレアス断層

大地形は、造山運動を受けた時代で 3 つに分けます。

区分時代特徴資源
新期造山帯中生代末〜新生代高く険しい。地震・火山が多い環太平洋造山帯(日本・アンデス・ロッキー)、アルプス=ヒマラヤ造山帯石油・銅・銀
古期造山帯古生代侵食されてなだらかアパラチア・ウラル・スカンディナヴィア・グレートディヴァイディング石炭
安定陸塊先カンブリア時代長く侵食された平原・高原。楯状地と卓状地カナダ楯状地・バルト楯状地・ブラジル高原・デカン高原鉄鉱石

ここまでできれば十分

「ウラル山脈は新期造山帯」「アパラチアで石油」のような入れかえが典型的な誤答です。古期造山帯=石炭(古生代の森林が起源)、安定陸塊=鉄鉱石(先カンブリア時代の縞状鉄鉱層)、新期造山帯=石油・銅という対応は資源の分布(zj-09)でも使います。楯状地は先カンブリア時代の岩石が露出した地域、卓状地はその上に古生代以降の地層がほぼ水平に積もった地域です。


2. 小地形 ── 成因と土地利用

まずここだけ

河川がつくる地形は上流から下流へ順に覚えます。

地形場所成因土地利用
V 字谷山地下方への侵食(下刻)──
扇状地谷の出口流れが弱まり砂礫が堆積扇央は水が地下にしみこみ水無川・果樹園、扇端は湧水で集落・水田
氾濫原中〜下流洪水時に土砂が堆積自然堤防(微高地・砂)に集落・畑、後背湿地(低地・粘土)に水田
三角州河口細かい土砂が堆積低湿で水害を受けやすい。水田・都市

海岸の地形は「沈水(海面上昇・土地の沈降)か離水(海面低下・土地の隆起)か」で分けます。

地形沈水/離水成因
リアス海岸沈水山地の谷に海水が入る。のこぎり状三陸海岸・志摩半島・スペイン北西岸
フィヨルド沈水氷河が削った U 字谷に海水が入る。奥行きが深いノルウェー・チリ南部・ニュージーランド南島
エスチュアリー(三角江)沈水河口がラッパ状に開くテムズ川・ラプラタ川・エルベ川
海岸段丘離水海食台が隆起して階段状に室戸岬
砂嘴・砂州・陸繋島──沿岸流が砂を運んで堆積天橋立(砂州)・函館(陸繋島=トンボロ)

ここまでできれば十分

氷河地形:U 字谷・カール(圏谷)・モレーン(堆石)・フィヨルド。「リアス海岸は氷河がつくった」は誤りで、リアス海岸は河川がつくった V 字谷が沈水したものです。

カルスト地形石灰岩が雨水(二酸化炭素を含む)に溶けてできる。ドリーネ(すり鉢状のくぼ地)→ ウバーレ(ドリーネがつながったもの)→ ポリエ(溶食盆地)、地下には鍾乳洞。山口県の秋吉台、スロベニアのカルスト地方。

乾燥地形:ワジ(ふだんは水のない川)、メサ・ビュート(テーブル状・塔状の残丘)、外来河川(湿潤地域に源をもち砂漠を流れる。ナイル川・ティグリス川)。

火山地形:カルデラ(火口部が陥没してできた大きなくぼ地。阿蘇)、成層火山(富士山)、楯状火山(ハワイのマウナロア)。


3. 気候 ── ケッペンの区分の判定手順

まずここだけ

ケッペンの気候区分は植生に対応するように気温と降水量で区分したものです。判定は 2 段階で行います。

第 1 段階:気温で大区分

記号条件名称
A最寒月の平均気温が 18℃以上熱帯
C最寒月が −3℃以上 18℃未満温帯
D最寒月が −3℃未満、最暖月が 10℃以上冷帯(亜寒帯)
E最暖月が 10℃未満寒帯(ET ツンドラ:最暖月 0℃以上/EF 氷雪:0℃未満)
B降水量が蒸発量より少ない(樹木が育たない)乾燥帯(BW 砂漠/BS ステップ)

B は気温より先に判定します(乾燥限界の式で決まる)。

第 2 段階:降水の季節配分で小区分

記号意味気候区の例
f年中湿潤Af 熱帯雨林・Cfa 温暖湿潤・Cfb 西岸海洋性・Df 冷帯湿潤
wに乾燥Aw サバナ・Cw 温暖冬季少雨・Dw 冷帯冬季少雨
sに乾燥Cs 地中海性
m弱い乾季(熱帯モンスーン)Am

C の 3 番目の記号:a は最暖月 22℃以上(Cfa 東京・上海・ニューヨーク)、b は 22℃未満で月平均 10℃以上の月が 4 か月以上(Cfb ロンドン・パリ)。

ここまでできれば十分

代表都市で覚えます。

気候区都市特徴
Afシンガポール・マナオス年中高温多雨。スコール
Awバンコク・ダーウィン雨季と乾季。サバナ(疎林と草原)
BWカイロ・リヤド年降水量がごく少ない
BSテヘラン・ニアメ短い草原(ステップ)。チェルノーゼムなど肥沃な土壌の地域も
Csローマ・サンフランシスコ・ケープタウン・パース夏乾燥・冬湿潤。大陸西岸の緯度 30〜45 度
Cwホンコン・クンミン夏に多雨・冬に乾燥。モンスーンの影響
Cfa東京・上海・ブエノスアイレス夏高温多湿。大陸東岸
Cfbロンドン・パリ・ウェリントン偏西風と暖流で冬温和・夏冷涼。年較差が小さい
Dfモスクワ・シカゴ・札幌冬は厳寒。タイガ
Dwイルクーツク・ハルビン冬に極端に乾燥・寒冷。北半球の大陸東部(ユーラシア東部)にのみ分布
ETバロー(ウトキアグヴィク)短い夏にコケ類・地衣類

大気大循環:赤道低圧帯(上昇気流・多雨)→ 亜熱帯高圧帯(下降気流・乾燥=砂漠の帯)→ 偏西風 → 亜寒帯低圧帯 → 極高圧帯。Cs は夏に亜熱帯高圧帯に覆われ、冬に偏西風帯に入って雨が降る、と理解すると「夏乾燥」を忘れません。

海流:暖流は沿岸を温め湿らせ(北大西洋海流 → 西岸海洋性気候)、寒流は沿岸を冷やし乾燥させます(ペルー海流 → アタカマ砂漠、ベンゲラ海流 → ナミブ砂漠のような海岸砂漠)。

もう一歩(発展)

局地風:フェーン(山を越えて吹き下りる高温乾燥の風)、ボラ(アドリア海の寒冷な下降風)、ミストラル(ローヌ川谷の寒風)、シロッコ(サハラからの熱風)。エルニーニョ現象は太平洋赤道域東部の海面水温が平年より高くなる現象で、世界各地に異常気象をもたらし、日本では冷夏・暖冬の傾向とされます(逆がラニーニャ)。


4. 土壌と植生

まずここだけ

土壌は気候帯に対応してできる成帯土壌と、もとの岩石や地形に対応してできる間帯土壌に分けます。

成帯土壌気候色・性質農業
ラトソル熱帯(Af・Aw)赤色。鉄・アルミが残る。やせている焼畑・プランテーション
砂漠土BW塩分が集まるオアシス農業
チェルノーゼム(黒土)BS(ウクライナ〜西シベリア)黒色。腐植に富み非常に肥沃小麦(世界の穀倉)
プレーリー土BS〜Cfa(北米)黒〜暗褐色。肥沃とうもろこし・小麦
褐色森林土温帯(Cfa・Cfb)褐色。落葉広葉樹林の下混合農業
ポドゾル冷帯(Df・Dw)灰白色。酸性でやせている林業(タイガ)
ツンドラ土ET永久凍土の上。湿地トナカイ遊牧
間帯土壌母岩分布農業
テラロッサ石灰岩地中海沿岸オリーブ・ブドウ
テラローシャ玄武岩ブラジル高原コーヒー
レグール玄武岩デカン高原綿花
レス(黄土)風で運ばれた細かい土中国の黄土高原・ヨーロッパ中部小麦

ここまでできれば十分

植生は気候帯に対応します。

気候植生呼び名
Af常緑広葉樹の密林セルバ(アマゾン)・ジャングル(東南アジア)
Aw疎林と長草の草原サバナ。リャノ(オリノコ)・カンポ(ブラジル高原)
BS短草草原ステップ。プレーリー(北米)・パンパ(アルゼンチン)は温帯草原
Cs硬葉樹(オリーブ・コルクがし・月桂樹)夏の乾燥に耐える厚い葉
Cfa照葉樹(シイ・カシ・クス)葉に光沢
Cfb落葉広葉樹(ブナ・ナラ)冬に落葉
Df・Dw針葉樹林タイガ
ETコケ類・地衣類ツンドラ

「地中海性気候の植生は照葉樹」「温暖湿潤気候は硬葉樹」は入れかえの典型です。硬葉樹=Cs、照葉樹=Cfa、落葉広葉樹=Cfb・Dfの南部と覚えます。


5. よくある間違い

間違い正しくは
古期造山帯は石油、新期造山帯は石炭古期造山帯=石炭、新期造山帯=石油・銅、安定陸塊=鉄鉱石
リアス海岸は氷河が削った谷河川の V 字谷が沈水。氷河の U 字谷が沈水したのはフィヨルド
扇状地の扇央に集落、扇端に果樹園扇央は水無川で果樹園、扇端は湧水で集落・水田
自然堤防に水田、後背湿地に集落自然堤防(微高地)に集落・畑、後背湿地に水田
地中海性気候は夏に雨が多い夏乾燥・冬湿潤(Cs の s は夏乾燥)
西岸海洋性気候は年較差が大きい偏西風と暖流で年較差が小さい。年較差が大きいのは大陸東岸・内陸
チェルノーゼムは熱帯の土ステップ気候(ウクライナ〜西シベリア)の黒土。熱帯はラトソル
ポドゾルは肥沃冷帯の灰白色の酸性土でやせている。タイガの下
テラローシャは綿花、レグールはコーヒーテラローシャ(ブラジル)=コーヒー、レグール(デカン)=綿花

6. 覚え方の型

  1. 地形の用語は「成因(何が作った)── 例(どこ)── 利用(何に使う)」の 3 点で 1 行にする
  2. 気候区分は「B か → 最寒月の気温で A・C・D・E → 降水の季節で f・w・s」の順に判定する。雨温図は最寒月と最暖月の気温を先に読む
  3. Cs は「夏に亜熱帯高圧帯、冬に偏西風」と成因ごと覚える。Cfb は「偏西風+暖流=年較差小」
  4. 土壌は「成帯(気候)と間帯(岩石)」に分け、間帯土壌は「テラロッサ=石灰岩・地中海」「テラローシャ=玄武岩・コーヒー」「レグール=玄武岩・綿花」の 3 つを確実に

7. 小テストへ

→ 小テスト(zj-08

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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