地方上級 / 地学 / zn-09
地球の構造・地震・火山・岩石
この単元でできるようになること
- 地球の内部構造(地殻・マントル・核)とプレートテクトニクス(プレートの境界 3 種類と日本付近の 4 枚)を説明できる
- 地震の P 波・S 波から初期微動継続時間と震源距離を計算し、震度とマグニチュードを区別できる
- マグマの粘性から火山の形・噴火のようす・岩石の色を一続きで説明できる
- 火成岩(火山岩・深成岩)・堆積岩・変成岩の分類と代表的な岩石名を言える
- 地層の重なり方(地層累重の法則・不整合)と示相化石・示準化石、地質時代の区切りを使える
試験での位置づけ
地方上級・国家一般職の地学は 1 問程度で、この単元(固体地球)と zn-10(気象・天文)から交互に出題されやすい形です。地震の計算(大森公式:震源距離 = k × 初期微動継続時間)は自然科学のなかでも取り組みやすい計算問題で、マグマの粘性と火山の形・岩石の対応、火山岩と深成岩の組織のちがいは正誤問題の常連です。内容は中学理科(s1-09・s1-10)と高校の地学基礎(eb-01〜eb-04)の範囲で、覚える量も多くないので、短時間で仕上げられる分野です。
1. 地球の内部構造とプレート
まずここだけ
地球は半径約 6,400 km の球で、内側から次の層に分かれます。
| 層 | 深さのめやす | 状態・特徴 |
|---|---|---|
| 地殻 | 地表〜数 km(海洋)/〜数十 km(大陸) | 岩石。大陸地殻は花こう岩質、海洋地殻は玄武岩質 |
| マントル | 地殻の下〜約 2,900 km | 固体の岩石(かんらん岩質)。ゆっくり対流する |
| 外核 | 約 2,900〜5,100 km | 液体の鉄・ニッケル。地磁気のもと |
| 内核 | 約 5,100 km〜中心 | 固体の鉄・ニッケル。高圧のため固体 |
地殻とマントルの境界をモホロビチッチ不連続面(モホ面)といいます。地殻とマントル最上部を合わせた硬い部分(厚さ約 100 km)がリソスフェア = プレートで、その下のやわらかく流れやすい部分がアセノスフェアです。「地殻 = プレート」ではありません。
ここまでできれば十分
地球の表面は十数枚のプレートに分かれ、年に数 cm の速さで動いています(プレートテクトニクス)。境界は 3 種類です。
| 境界 | 何が起こるか | 例 |
|---|---|---|
| 発散境界(広がる) | マグマが上がって新しい海洋プレートができる | 海嶺(大西洋中央海嶺)・アイスランド |
| 収束境界(近づく) | 海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む(海溝・島弧・火山・地震)/大陸どうしがぶつかる(ヒマラヤ山脈) | 日本海溝・南海トラフ・アンデス山脈 |
| すれ違う境界 | 横ずれ断層 | サンアンドレアス断層 |
日本付近には 4 枚のプレートがあります。大陸側の北米プレート(東日本)とユーラシアプレート(西日本)の下に、海洋側の太平洋プレート(東から)とフィリピン海プレート(南から)が沈み込んでいます。海洋プレートは重いので、大陸プレートの下にもぐります。
プレートの沈み込みが日本の地震と火山の原因で、海溝から一定の距離をおいて火山が並ぶ線を火山前線(火山フロント)といいます。海溝と火山前線の間には火山がありません。
2. 地震 ── P 波・S 波と規模の表し方
まずここだけ
地震が起こった地下の点が震源、その真上の地表の点が震央です。地震波は 2 種類あります。
| 波 | 速さ | 揺れ | 性質 |
|---|---|---|---|
| P 波(Primary) | 速い(地殻で約 5〜7 km/s) | 初期微動(カタカタ) | 縦波。固体・液体・気体を伝わる |
| S 波(Secondary) | 遅い(約 3〜4 km/s) | 主要動(ユサユサ) | 横波。液体を伝わらない |
P 波が着いてから S 波が着くまでの時間が初期微動継続時間で、震源から遠いほど長くなります。
初期微動継続時間 = 震源距離 ÷ S 波の速さ − 震源距離 ÷ P 波の速さ
P 波 6 km/s、S 波 3 km/s、震源距離 120 km → 120/3 − 120/6 = 40 − 20 = 20 秒 逆に、初期微動継続時間 10 秒なら震源距離 = 10 ÷ (1/3 − 1/6) = 60 km
震源距離は初期微動継続時間に比例します(大森公式:距離 = k × 時間。k は 6〜8 km/s 程度)。緊急地震速報は、先に届く P 波を観測して S 波が来る前に知らせるしくみです。
ここまでできれば十分
| 震度 | マグニチュード(M) | |
|---|---|---|
| 何を表すか | その場所の揺れの強さ | 地震そのものの規模(エネルギー) |
| 値 | 0・1・2・3・4・5 弱・5 強・6 弱・6 強・7 の 10 段階(気象庁) | 上限なし。1 つの地震に 1 つ |
| 特徴 | 震源に近いほど大きい。同じ地震でも場所で違う | M が 1 大きいとエネルギーは約 32 倍、2 大きいと 1,000 倍 |
「震度 7 が最大」「マグニチュードは場所によらず 1 つ」の 2 点を押さえてください。
地震の種類:
| 種類 | 起こる場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 海溝型(プレート境界型) | 沈み込む境界 | 規模が大きい。津波を起こす。東北地方太平洋沖地震(2011 年)・南海トラフ |
| 内陸型(直下型) | 内陸の活断層 | 規模のわりに被害が大きい。兵庫県南部地震(1995 年) |
断層は力のかかり方で、正断層(引っ張り。上盤がずり下がる)・逆断層(圧縮。上盤がずり上がる)・横ずれ断層に分けます。日本列島は圧縮されているので逆断層が多いです。
もう一歩(発展)
S 波が液体を伝わらないことから、外核が液体だと分かりました。震央から角度で 103°〜143° 離れた地域には P 波も S 波も直接届かないシャドーゾーンがあり、これも核の存在の証拠です。液状化現象は、埋立地や砂地で地震動により地下水と砂が混ざって地盤が液体のようになる現象です。
3. 火山 ── マグマの粘性ですべて決まる
まずここだけ
火山の形・噴火のしかた・岩石の色は、マグマの粘性(ねばりけ)で一続きに決まります。粘性は二酸化ケイ素 SiO₂ の割合が多いほど、温度が低いほど高くなります。
| 粘性が低い(SiO₂ 少・高温) | 中間 | 粘性が高い(SiO₂ 多・低温) | |
|---|---|---|---|
| 火山の形 | 盾状火山(なだらか) | 成層火山(円すい形) | 溶岩ドーム(溶岩円頂丘) |
| 噴火 | 穏やか。溶岩が流れる | 溶岩と火山灰をくり返す | 爆発的。火砕流 |
| 岩石の色 | 黒っぽい(玄武岩) | 灰色(安山岩) | 白っぽい(流紋岩) |
| 例 | ハワイのマウナロア・キラウエア | 富士山・浅間山・桜島 | 昭和新山・雲仙普賢岳(平成新山) |
「白い=ねばい=爆発的=ドーム」「黒い=さらさら=穏やか=盾状」の 2 本の鎖で覚えます。
ここまでできれば十分
噴火で出るものをまとめて火山噴出物といい、溶岩・火山ガス(大部分は水蒸気)・火山砕屑物(火山灰・火山れき・軽石・火山弾)があります。高温のガスと火山灰が斜面を高速で流れ下るのが火砕流で、雲仙普賢岳(1991 年)の災害で知られます。
大規模な噴火で地下のマグマだまりが空になり、山体が陥没してできた大きなくぼ地がカルデラです(阿蘇・十和田湖・屈斜路湖)。
火山の分布はプレート境界に集中し、日本のように沈み込み帯にできる火山(安山岩が多い)と、ハワイのようにプレート内部のホットスポットにできる火山(玄武岩)、海嶺の火山があります。ハワイ諸島が一列に並ぶのは、固定されたホットスポットの上を太平洋プレートが動いたためです。
4. 岩石 ── 3 つの成因で分ける
まずここだけ
岩石はでき方で 3 つに分けます。
| 分類 | でき方 |
|---|---|
| 火成岩 | マグマが冷えて固まった |
| 堆積岩 | 土砂・生物の遺骸・火山灰などが積もって固まった |
| 変成岩 | 既にある岩石が熱や圧力で性質を変えた |
火成岩は冷え方で 2 つに分かれます。
| 火山岩 | 深成岩 | |
|---|---|---|
| 冷え方 | 地表付近で急に冷えた | 地下深くでゆっくり冷えた |
| 組織 | 斑状組織(大きな斑晶 + 細かい石基) | 等粒状組織(大きさのそろった結晶) |
| 黒っぽい → 白っぽい | 玄武岩 → 安山岩 → 流紋岩 | 斑れい岩 → 閃緑岩 → 花こう岩 |
「げん・あん・りゅう」「はん・せん・か」と唱えて縦に対応させれば、「玄武岩と斑れい岩は同じ成分で冷え方が違うだけ」がすぐ出ます。造岩鉱物は、白っぽい無色鉱物(石英・長石)と黒っぽい有色鉱物(黒雲母・角閃石・輝石・かんらん石)で、白っぽい岩石ほど無色鉱物の割合が大きくなります。
ここまでできれば十分
堆積岩は何が積もったかで分けます。
| 堆積岩 | もとになったもの |
|---|---|
| れき岩・砂岩・泥岩 | 岩石の破片。粒の大きさで区別(れき 2 mm 以上・砂・泥 1/16 mm 以下) |
| 石灰岩 | サンゴ・貝などの炭酸カルシウム。塩酸をかけると二酸化炭素が発生 |
| チャート | 放散虫などの二酸化ケイ素。非常に硬く、塩酸に反応しない |
| 凝灰岩 | 火山灰。角ばった粒 |
| 岩塩・石こう | 海水が蒸発してできた |
れき・砂・泥は河口から沖へ、粒の大きいものほど近くに堆積します。
変成岩は変成のしかたで 2 つです。
| 変成作用 | 原因 | できる岩石 |
|---|---|---|
| 接触変成作用 | マグマの熱 | 石灰岩 → 大理石(結晶質石灰岩)、泥岩 → ホルンフェルス |
| 広域変成作用 | プレート境界での高い圧力と熱 | 片麻岩・結晶片岩(鉱物が一定方向に並ぶ) |
5. 地層と化石 ── 順序と時代を読む
まずここだけ
- 地層累重の法則:地層はふつう下ほど古い(逆転していなければ)
- 不整合:堆積が中断し、隆起・侵食されたあと再び沈降して堆積した境目。長い時間の空白を表す
- 整合:連続して堆積した重なり
断層や貫入は、それに切られている地層より新しい。順序を問う問題は「切っているほうが新しい」で解けます。
ここまでできれば十分
| 化石 | 何が分かるか | 条件 | 例 |
|---|---|---|---|
| 示相化石 | 堆積した当時の環境 | 限られた環境にだけすむ | サンゴ(暖かく浅い海)・シジミ(河口・湖)・ブナ(冷涼) |
| 示準化石 | 堆積した時代 | 短い期間に広い範囲で栄えた | 三葉虫・フズリナ(古生代)、アンモナイト・恐竜(中生代)、ビカリア・ナウマンゾウ(新生代) |
地質時代の大きな区切り:
| 時代 | おおよその期間 | 出来事 |
|---|---|---|
| 先カンブリア時代 | 約 46 億〜5.4 億年前 | 地球誕生・原始生命・シアノバクテリアによる酸素の増加 |
| 古生代 | 約 5.4 億〜2.5 億年前 | 三葉虫・魚類・両生類・シダ植物の大森林。末に大量絶滅 |
| 中生代 | 約 2.5 億〜6,600 万年前 | アンモナイト・恐竜・裸子植物。末に恐竜の絶滅(隕石の衝突) |
| 新生代 | 約 6,600 万年前〜現在 | 哺乳類・被子植物の繁栄。第四紀(約 260 万年前〜)に人類 |
同じ地層かどうかを離れた場所で対比するときは、火山灰の層(鍵層)が使われます。火山灰は短期間に広い範囲へ同時に降るからです。
6. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 地殻 = プレート | プレートは地殻 + マントル最上部(リソスフェア) |
| 外核も内核も固体 | 外核は液体(S 波が伝わらない)。内核は固体 |
| S 波が先に届く | 先に届くのは P 波(初期微動)。S 波は主要動 |
| 震度は地震ごとに 1 つ | 地震ごとに 1 つはマグニチュード。震度は場所ごと |
| 震度は 7 段階 | 10 段階(5 と 6 に弱・強がある)。最大は 7 |
| ねばりけの強いマグマは黒っぽく穏やかに噴火 | ねばりけが強い(SiO₂ 多)と白っぽく爆発的。溶岩ドーム |
| 花こう岩は火山岩 | 花こう岩は深成岩(等粒状組織)。火山岩の相方は流紋岩 |
| 石灰岩とチャートはどちらも塩酸に反応 | 反応するのは石灰岩だけ(CO₂ 発生)。チャートは SiO₂ で反応しない |
| 示準化石は長く栄えた生物がよい | 短い期間に広く分布した生物。長く栄えると時代を絞れない |
| 断層は切っている地層より古い | 切っているほうが新しい |
7. 解き方の型
- 地震の計算は「震源距離 ÷ 速さ = 到着までの時間」を P 波・S 波それぞれに書き、差が初期微動継続時間。距離を x とおけば 1 次方程式
- 震度かマグニチュードかは「場所の話か、地震の話か」で判定する
- 火山と岩石は「SiO₂ の量 → 粘性 → 形・噴火・色 → 岩石名」の 1 本の鎖でたどる。げん・あん・りゅう/はん・せん・か
- 岩石名を見たら「火成(火山岩/深成岩)・堆積・変成」のどれかをまず決め、次に色や粒で絞る
- 地層の順序は「下が古い」「切るほうが新しい」「不整合は空白」の 3 原則で読む
8. 小テストへ
→ 小テスト(zn-09)
関連する単元
- 前提:s1-09 火山と火成岩・地震(P 波 S 波・初期微動継続時間)、s1-10 地層と化石・堆積岩(中学理科)
- 高校の土台:eb-01 地球の形と内部構造・プレートテクトニクス、eb-02 地震と火山、eb-03 岩石と鉱物、eb-04 地層と地質時代・化石
- 次に進む:zn-10 気象と天文(大気・海洋・太陽系・恒星)
- 波の性質(縦波・横波)は zn-03 波動・電気
参考資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 理科編」── 地学基礎「地球のすがた」「変動する地球」
- 高等学校「地学基礎」教科書(地球の内部・プレート・地震・火山・岩石・地層の各章)
- 気象庁「気象庁震度階級関連解説表」・「地震・津波の知識」
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(自然科学)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/shizen/zn-09/ / 更新 2026-09-14