地方上級 / 世界史 / zj-07
現代(二つの大戦・冷戦・現代の国際社会)
この単元でできるようになること
- 第一次世界大戦の原因(同盟と協商・バルカン問題)と結果(ヴェルサイユ体制・国際連盟・ロシア革命)を、因果でつないで説明できる
- 世界恐慌への各国の対応(ニューディール・ブロック経済・ファシズム)と第二次世界大戦への道筋を順序どおりに並べられる
- 冷戦を「始まり(トルーマン・ドクトリン〜NATO)・対立の山(朝鮮戦争・キューバ危機・ベトナム戦争)・緊張緩和(デタント)・終結(マルタ会談・ソ連解体)」の 4 段階で説明できる
- 冷戦後の国際社会(EU・地域紛争・テロ・グローバル化)の主な出来事を年順に押さえる
試験での位置づけ
世界史の現代は、社会科学の国際政治・時事とも重なる部分で、地方上級・国家一般職では「ヴェルサイユ体制の内容」「世界恐慌への各国の対応」「冷戦の展開」「冷戦終結後の出来事」が 5 択の正誤文で問われます。選択肢の細工は「順序の入れかえ(ベルリン封鎖と NATO 結成)」「国の入れかえ(マーシャル・プランはソ連の政策)」「因果の逆転(キューバ危機で冷戦が終わった)」が多く、年表を「対立が強まる時期」と「緩む時期」に色分けして覚えるのが近道です。日本史の zj-03・zj-04 と同じ時代なので、あわせて読むと二重に覚えられます。中学の h-09〜h-11、高校の ht-06〜ht-12 が土台です。
1. 第一次世界大戦とヴェルサイユ体制
まずここだけ
| 年 | 出来事 | 要点 |
|---|---|---|
| 1882 | 三国同盟 | 独・墺・伊 |
| 1907 | 三国協商の成立 | 英・仏・露(露仏同盟 1891〜94・英仏協商 1904・英露協商 1907) |
| 1914 | サライェヴォ事件 → 開戦 | オーストリア皇位継承者夫妻をセルビア人青年が暗殺。「ヨーロッパの火薬庫」バルカン半島 |
| 1917 | ロシア革命・アメリカ参戦 | 二月革命で帝政が倒れ、十月革命でレーニンのボリシェヴィキが政権を握る。無併合・無償金・民族自決を掲げ、翌年ドイツと単独講和 |
| 1918 | ウィルソンの十四カ条・ドイツ革命 → 休戦 | 民族自決・秘密外交の廃止・国際平和機構の設立 |
| 1919 | パリ講和会議・ヴェルサイユ条約 | ドイツに巨額の賠償・軍備制限・領土割譲・植民地の放棄 |
| 1920 | 国際連盟発足 | 提唱国アメリカは上院の反対で不参加。ドイツ・ソ連は当初除外。全会一致制・制裁は経済制裁のみ |
| 1921〜22 | ワシントン会議 | 海軍軍縮条約・四カ国条約(日英同盟の解消)・九カ国条約(中国の門戸開放) |
| 1925 | ロカルノ条約 | 独仏国境の現状維持。翌年ドイツが国際連盟に加盟 |
| 1928 | 不戦条約(ケロッグ・ブリアン条約) | 戦争の違法化 |
ここまでできれば十分
国際連盟の弱点(アメリカの不参加・全会一致制・軍事制裁がない)は、国際連合との対比でよく問われます。国際連合(1945)は安全保障理事会の五大国に拒否権を与え、軍事的措置も可能にしました。
ロシア革命の要点は「二月革命(三月革命)で帝政崩壊 → 臨時政府(ケレンスキー)は戦争を継続 → 十月革命(十一月革命)でボリシェヴィキが政権 → ブレスト・リトフスク条約で単独講和 → 干渉戦争(シベリア出兵)→ 1922 年ソ連成立」です。民族自決の原則は東欧に多くの独立国を生みましたが、アジア・アフリカの植民地には適用されず、三・一独立運動(朝鮮)や五・四運動(中国)が起こりました。
2. 世界恐慌と第二次世界大戦
まずここだけ
| 年 | 出来事 | 要点 |
|---|---|---|
| 1929 | 世界恐慌 | ニューヨーク株式市場の暴落(10 月) |
| 1933 | ニューディール(米・F. ローズヴェルト) | 農業調整法・全国産業復興法・テネシー川流域開発公社(TVA)・ワグナー法(1935) |
| 1932 | オタワ会議(英) | ブロック経済(スターリング・ブロック)。フランスもフラン・ブロック |
| 1933 | ヒトラーが首相に | 全権委任法。ドイツは国際連盟を脱退 |
| 1935 | ドイツの再軍備宣言・イタリアのエチオピア侵攻 | |
| 1936 | スペイン内戦(〜39)・ラインラント進駐 | 独伊がフランコを支援 |
| 1938 | ミュンヘン会談 | 英チェンバレンらがドイツのズデーテン地方併合を認める(宥和政策) |
| 1939 | 独ソ不可侵条約 → ドイツのポーランド侵攻 → 第二次世界大戦 | 英仏が対独宣戦 |
| 1941 | 独ソ戦の開始・大西洋憲章・日本の真珠湾攻撃 | アメリカ参戦。戦争が世界化 |
| 1943 | スターリングラードの戦い・カイロ会談・テヘラン会談 | 戦局の転換 |
| 1944 | ノルマンディー上陸 | |
| 1945 | ヤルタ会談(2 月)・ドイツ降伏(5 月)・ポツダム会談(7 月)・日本降伏(8 月)・国際連合発足(10 月) | ヤルタで戦後処理とソ連の対日参戦を密約 |
ここまでできれば十分
世界恐慌への対応は「持てる国(米・英・仏)は国内の需要創出やブロック経済で乗り切ろうとし、持たざる国(独・伊・日)は対外進出(ファシズム・軍国主義)に向かった」という対比で整理します。ソ連は五カ年計画(1928〜)の計画経済で恐慌の影響をほとんど受けなかった点も選択肢に出ます。
宥和政策は「ドイツの要求を認めて戦争を避けようとしたが、かえってドイツを増長させた」という評価で問われ、ミュンヘン会談の翌年に大戦が始まったことが要点です。
3. 冷戦の始まりと対立の山
まずここだけ
| 年 | 西側(アメリカ) | 東側(ソ連) | 要点 |
|---|---|---|---|
| 1946 | チャーチル「鉄のカーテン」演説 | ||
| 1947 | トルーマン・ドクトリン・マーシャル・プラン | コミンフォルム | 封じ込め政策の開始 |
| 1948〜49 | ベルリン封鎖 | 西側は空輸で対抗 | |
| 1949 | NATO(北大西洋条約機構) | COMECON・ソ連の原爆保有 | 中華人民共和国成立(10 月)。ドイツが東西に分断 |
| 1950〜53 | 朝鮮戦争 | 国連軍(米軍中心)対 北朝鮮・中国義勇軍。休戦ライン 38 度線付近 | |
| 1955 | ワルシャワ条約機構 | 西ドイツの NATO 加盟に対抗。バンドン会議(アジア・アフリカ会議、平和十原則) | |
| 1956 | スターリン批判(フルシチョフ)・ハンガリー事件 | 「雪どけ」と東欧の動揺。スエズ危機(第二次中東戦争) | |
| 1961 | ベルリンの壁建設 | 非同盟諸国首脳会議(ベオグラード) | |
| 1962 | キューバ危機 | 核戦争の瀬戸際 → 米ソ間にホットライン。翌年部分的核実験禁止条約 | |
| 1965〜73 | ベトナム戦争(北爆開始〜米軍撤退) | 1975 年サイゴン陥落で南北統一 | |
| 1968 | プラハの春 → ソ連の軍事介入 | 核拡散防止条約(NPT) |
ここまでできれば十分
トルーマン・ドクトリン(ギリシャ・トルコへの支援、共産主義の封じ込め宣言)とマーシャル・プラン(ヨーロッパ経済復興援助計画)はアメリカの政策、それに対抗するコミンフォルム・COMECON・ワルシャワ条約機構はソ連側です。順序は「ベルリン封鎖(1948)→ NATO(1949)→ ワルシャワ条約機構(1955)」で、NATO のほうが 6 年早い点が問われます。
第三世界:1955 年のバンドン会議(インドのネルー・中国の周恩来・インドネシアのスカルノ・エジプトのナセルら)と 1961 年の非同盟諸国首脳会議で、米ソどちらの陣営にも属さない立場を打ち出しました。1960 年は「アフリカの年」(17 か国独立)です。
4. 緊張緩和から冷戦の終結へ
まずここだけ
| 年 | 出来事 | 要点 |
|---|---|---|
| 1969〜72 | 中ソ国境紛争 → ニクソン訪中(1972)・SALT I | 米中接近。1971 年に中国が国連代表権を獲得 |
| 1973 | 第四次中東戦争 → 第一次石油危機 | OAPEC の石油戦略 |
| 1975 | 全欧安全保障協力会議(CSCE)ヘルシンキ宣言 | デタント(緊張緩和)の頂点 |
| 1979 | ソ連のアフガニスタン侵攻・イラン革命・米中国交正常化 | 「新冷戦」へ。1980 年モスクワ五輪を西側がボイコット |
| 1985 | ゴルバチョフがソ連書記長に | ペレストロイカ(改革)・グラスノスチ(情報公開)・新思考外交 |
| 1987 | INF(中距離核戦力)全廃条約 | 初めて核兵器の削減に合意 |
| 1989 | 東欧革命・ベルリンの壁崩壊(11 月)・マルタ会談(12 月) | ブッシュ(父)とゴルバチョフが冷戦終結を宣言。中国では天安門事件(6 月) |
| 1990 | ドイツ統一 | 西ドイツが東ドイツを吸収 |
| 1991 | 湾岸戦争・ワルシャワ条約機構と COMECON の解散・ソ連解体(12 月) | 独立国家共同体(CIS)へ。エリツィンのロシア |
ここまでできれば十分
冷戦終結の順序は「ゴルバチョフ登場(1985)→ INF 全廃条約(1987)→ ベルリンの壁崩壊・マルタ会談(1989)→ ドイツ統一(1990)→ ソ連解体(1991)」です。「ソ連解体によって冷戦が終わった」は順序が逆で、冷戦終結の宣言(マルタ会談)のほうが 2 年早く、ソ連解体はその結果として起こりました。
中国の流れも同時に押さえます。中華人民共和国成立(1949)→ 大躍進政策の失敗 → プロレタリア文化大革命(1966〜76)→ 鄧小平の改革・開放(1978〜)→ 天安門事件(1989)→ 香港返還(1997)→ WTO 加盟(2001)。
5. 冷戦後の国際社会
まずここだけ
| 年 | 出来事 | 要点 |
|---|---|---|
| 1991 | 湾岸戦争 | イラクのクウェート侵攻に対し多国籍軍が武力行使(安保理決議) |
| 1991〜 | ユーゴスラヴィア紛争 | 民族・宗教の対立。ボスニア・コソボ |
| 1993 | EU(ヨーロッパ連合)発足 | マーストリヒト条約(1992 調印)。1999 年に単一通貨ユーロ導入(2002 年から現金流通) |
| 1994 | 南アフリカでマンデラが大統領に | アパルトヘイトの撤廃(1991)後、初の全人種参加選挙 |
| 1995 | WTO(世界貿易機関)発足 | GATT を発展させる |
| 2001 | アメリカ同時多発テロ(9.11)→ アフガニスタン攻撃 | 「テロとの戦い」 |
| 2003 | イラク戦争 | 米英がフセイン政権を倒す。安保理の明確な承認なし |
| 2008 | リーマン・ショック → 世界金融危機 | G20 サミットの始まり |
| 2010〜11 | 「アラブの春」 | チュニジア・エジプト・リビアなどで政権崩壊。シリア内戦へ |
| 2014 | ロシアのクリミア併合 | |
| 2020 | イギリスの EU 離脱 | 2016 年の国民投票にもとづく |
| 2022 | ロシアのウクライナ侵攻 |
ここまでできれば十分
EU は「ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC・1952)→ ヨーロッパ経済共同体(EEC・1958)→ ヨーロッパ共同体(EC・1967)→ EU(1993)」と段階的に統合を深め、加盟国は 2004 年の東欧諸国の一斉加盟などを経て 28 か国まで増えたあと、イギリスの離脱で 27 か国になりました(2026 年 9 月時点。最新は外務省などの資料で確認)。
6. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| アメリカは国際連盟の常任理事国だった | 提唱国だが上院の反対で不参加。常任理事国は英・仏・伊・日 |
| ロシア革命でソ連が直ちに成立 | 十月革命は 1917 年、ソ連の成立は 1922 年 |
| ミュンヘン会談でドイツの要求を拒否した | 英仏はズデーテン併合を認めた(宥和政策)。翌年開戦 |
| マーシャル・プランはソ連の東欧援助 | アメリカのヨーロッパ復興援助。ソ連側の対抗は COMECON |
| NATO はワルシャワ条約機構への対抗として結成 | 逆。NATO(1949)が先で、ワルシャワ条約機構(1955)が対抗 |
| キューバ危機で冷戦が終わった | 核戦争の危機のあと緊張緩和が始まった。終結は 1989 年マルタ会談 |
| ソ連解体で冷戦が終わった | マルタ会談(1989)で終結宣言、ソ連解体(1991)はその後 |
| EU はマーストリヒト条約で初めて生まれた統合組織 | ECSC → EEC → EC → EU の段階的な統合 |
7. 覚え方の型
- 年表を「対立が強まる時期(1947〜62・1979〜85)」と「緩む時期(1963〜78・1985〜)」に色分けし、各出来事がどちらに属するかを意識する
- 政策・組織はどちらの陣営かを先に決める(米:トルーマン・ドクトリン、マーシャル・プラン、NATO/ソ:コミンフォルム、COMECON、ワルシャワ条約機構)
- 国際連盟と国際連合は「アメリカの参加・全会一致か拒否権か・軍事制裁の有無」の 3 点で対比する
- 同じ年の日本史(zj-03・zj-04)と横につなぐ(1951 平和条約=朝鮮戦争中、1956 国連加盟=スターリン批判の年、1972 沖縄返還・日中=ニクソン訪中の年)
8. 小テストへ
→ 小テスト(zj-07)
関連する単元
- 前提:zj-06 世界史 近代(帝国主義まで)、h-09〜h-11(中学歴史)、ht-06 第一次世界大戦とロシア革命、ht-08 世界恐慌とファシズム、ht-09 第二次世界大戦、ht-10 冷戦と戦後日本、ht-11 冷戦の終結、ht-12 現代の課題(歴史総合)
- 同じ時代の日本史:zj-03 近代、zj-04 現代
- 同じ考え方を使う:zk-01 以降の社会科学(国際連合・国際経済の制度)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(人文科学)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 高等学校「世界史探究」「歴史総合」教科書(文部科学省検定済)の該当章
- 外務省ウェブサイト「欧州連合(EU)」基礎データ ── 加盟国数の確認
- 『世界史年表・地図』(吉川弘文館)── 年号・人物名の確認
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/jinbun/zj-07/ / 更新 2026-09-14