地方上級 / 資料解釈 / zs-22
実数の表とグラフ(増減・差・倍率)
この単元でできるようになること
- 表やグラフの「実数」(人数・金額・重さ そのものの数)を読み、差・倍率・増加率の 3 つを区別して計算できる
- 「対前年増加量」「◯年間の増加量」など、表に書かれていない数を自分で書き足して比べられる
- 選択肢の文を「何と何を、どの方法で比べているか」に分解し、確かめる順番を決められる
- 割り算をせずに「◯倍して比べる」「差を見て見当をつける」で、1 問 3 分以内に判断できる
試験での位置づけ
資料解釈は、地方上級・国家一般職の教養試験(基礎能力試験)で数問出題される分野です。実数の表とグラフは、その中でいちばん基本の型で、ここで身につける「差・倍率・増加率の区別」と「概算のしかた」は、構成比(zs-23)や増加率・指数(zs-24)の問題でもそのまま使います。知識はほとんど要らず、計算の量をどれだけ減らせるかで時間が決まる分野です。数的推理が苦手でも、練習で安定して得点しやすい単元といえます。
1. 差・倍率・増加率を区別する
まずここだけ
試験ではこのような実数の表がそのまま出ます(数値は架空)。小テストでも同じ形の表とグラフを読みます。
実数の表で問われる比べ方は 3 つだけです。同じ 2 つの数(2020 年 200、2023 年 260)でも、聞かれ方で計算が変わります。
| 聞かれ方 | 計算 | 例(200 → 260) |
|---|---|---|
| どれだけ増えたか(差・増加量) | 後 − 前 | 260 − 200 = 60 |
| 何倍か(倍率) | 後 ÷ 前 | 260 ÷ 200 = 1.3 倍 |
| 何%増えたか(増加率) | (後 − 前) ÷ 前 × 100 | 60 ÷ 200 = 30% |
倍率と増加率は「もとにする量」で割る点が同じで、倍率 − 1 = 増加率の関係にあります(1.3 倍 = 30% 増)。割合の考え方そのものは zs-13 で扱っています。
ここまでできれば十分
選択肢の文は、この 3 つのどれかに言いかえられます。
- 「A 市は B 市を 100 千人以上上回っている」→ 差(A − B ≧ 100)
- 「A 市は B 市の 1.5 倍を超えている」→ 倍率(A ÷ B > 1.5、つまり A > B × 1.5)
- 「2023 年は 2020 年より 10% 以上多い」→ 増加率(2023 年 ≧ 2020 年 × 1.1)
倍率と増加率は、割り算ではなく掛け算に直して比べるのがコツです。「B × 1.5 と A を比べる」なら、暗算で済みます。
B 市 320 の 1.5 倍は 480。A 市が 470 なら「1.5 倍を超えている」は誤り。
2. 表にない数は自分で書き足す
まずここだけ
「対前年増加量が最も大きい年」「増加量が毎年大きくなっている」のような文は、表に書かれていない数(前年との差)について聞いています。頭の中で追わず、表の横に差の行を書き足します。
年|値|対前年増加量 2020|200|─ 2021|230|+30 2022|290|+60 2023|310|+20
こうすると「増加量が最も大きいのは 2022 年」「増加量は 2023 年に小さくなった」が一目で分かります。2020 年の対前年増加量は、2019 年の値が表にないので分からない(分からないことは「確実にいえる」とは言えません)。
ここまでできれば十分
「値が最も大きい年」と「増加量が最も大きい年」は別のものです。上の表では値が最も大きいのは 2023 年ですが、増加量が最も大きいのは 2022 年です。選択肢がどちらを聞いているかを、下線を引いて確かめてください。
「◯年から△年までの増加量」は、途中の年を使わず両端の差だけで出します。「1 年あたりの平均増加量」は、その差を年数(△ − ◯)で割ります。2020 年から 2023 年なら、3 年間なので 3 で割ります(4 で割る間違いが多いところです)。
もう一歩(発展)
2 つの系列(A 市と B 市)がある表では、「差が広がっている/縮まっている」という文が出ます。これは各年の差の行を作れば済みます。差が 120 → 110 → 90 → 60 なら「縮まっている」です。差が毎年縮まっていても、A 市自体は増えている、ということはよくあります。「差」と「値」を混同しないようにしてください。
3. 概算で時間を減らす
まずここだけ
資料解釈は正確な値を求める問題ではなく、選択肢の文が正しいかどうかを判断する問題です。ですから、判断に必要なところまで計算すれば止めてよいのです。
- 「1.5 倍を超えているか」→ もとの数を 1.5 倍して比べる。1,240 × 1.5 = 1,860 に対して 1,900 なら超えている
- 「10% 以上多いか」→ もとの数の 1 割を足して比べる。860 の 1 割は 86、足して 946。相手が 950 なら 10% 以上多い
- 「およそ何倍か」→ 相手を 2 倍・3 倍して、どの間に入るかを見る
ここまでできれば十分
差がはっきり大きいときは、細かく計算しなくても判断できます。差が小さくて迷うときだけ、筆算に切りかえます。この「まず概算、迷ったら筆算」の順番が、1 問 3 分に収めるための考え方です。
数字が大きいときは、下の桁を切り捨てて同じ桁数で比べるのも有効です。1,238 と 1,312 の差を見るのに、1,240 と 1,310 で十分なことが多いです。ただし選択肢が「180 以上」のように境目ぎりぎりの数を出してきたら、そこは正確に引き算します。
もう一歩(発展)
「以上・以下」は境目の値を含み、「超える・未満・下回る」は含みません。差がちょうど 180 のとき、「180 以上多い」は正しく、「180 を超えて多い」は誤りです。出題者は、この境目に数を置いてくることがあります。
また「確実にいえる」問題では、表に書かれていない事柄(2019 年の値、人口 1 人あたりの値 など)を前提にした文は、それだけで誤りです。表に単位や注記があるときは、そこも読んでから選択肢に進みます。
4. グラフの読み方
まずここだけ
折れ線グラフは系列ごとに線の種類(実線・破線・点線)と記号で見分け、各点の数値を読みます。
棒グラフ・折れ線グラフも、目盛りから数を読み取れば表と同じです。読み取るときに注意する点は 2 つです。
- 縦軸の 0 の位置:0 から始まっていないグラフ(波線で途中が省略されているグラフ)では、棒の長さの比が値の比になりません。倍率は目盛りの数値で計算します
- 単位:「千人」「億円」「万 t」など。差を答えるときは単位をそろえ、選択肢の単位とも合わせます
ここまでできれば十分
2 つの系列を左右の軸で別々に表したグラフ(左軸が金額、右軸が件数 など)では、線の高さを直接比べてはいけません。それぞれの軸の目盛りで値を読み、数として比べます。「A の線が B の線を上回った年がある」という文は、両方の線が同じ軸で描かれているときだけ意味があります。
5. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 「何倍」と「何%増」を同じものとして計算する | 1.3 倍 = 30% 増。倍率から 1 を引いたものが増加率 |
| 「値が最も大きい年」を「増加量が最も大きい年」の答えにする | 増加量は前年との差。差の行を書き足して比べる |
| 2020 年から 2023 年の平均増加量を 4 で割る | 期間は 3 年間。両端の差 ÷ 3 |
| 「180 以上」を「180 より大きい」と読む | 以上・以下は境目を含む。超える・未満は含まない |
| 表にない年の値を「たぶんこれくらい」で補って判断する | 表にないことは確実にいえない。その文は誤り |
| 波線で省略されたグラフの棒の長さで倍率を出す | 目盛りの数値で計算する |
6. 解き方の型
- 表の題名・単位・年の範囲を読む(何の実数か、何年から何年か)
- 選択肢を「差」「倍率」「増加率」のどれかに分類し、計算が軽いもの(差・上回る)から確かめる
- 「増加量」「差の推移」を聞かれたら、表の横に差の行を書き足す
- 倍率・増加率は割り算ではなく「もとの数 × 1.5」「もとの数 + 1 割」の掛け算で比べる
- 境目ぎりぎりのときだけ正確に計算し、「以上/超える」の違いを確かめる
- 表にないことを前提にした文は、計算せずに誤りと判断する
7. 小テストへ
→ 小テスト(zs-22)
関連する単元
- 前提:zs-13 割合・比・濃度(倍率・増加率の考え方)、m1-18 データの活用(中学数学の表とグラフ)
- 次に進む:zs-23 構成比と累積、zs-24 増加率と指数
- 同じ考え方を使う:zs-12 方程式と不等式の文章題(もとにする量の見分け方)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理・資料解釈)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 総務省統計局「なるほど統計学園」── 統計表・グラフの読み方の基礎
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-22/ / 更新 2026-09-14